独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第21回目は「借地建物付き建物の相続」です。
皆さんは「借地権付き建物」ってご存知ですか?いざ相続に直面したときに、そんな話しが出てきたら、「ちょっと困ったなぁ!」と思うかもしれません。それは一言で言うと「他人の土地に建てた自分の建物」のこと。一般的な所有権とは違って、パッとは分かりやすいものではありません!
というワケで今回は「借地権付き建物」を相続したらどうするか?その活用法から売却までの全てについて、詳しく解説していきます。きっと安心して対処していけるようになりますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね!
借地権付き建物とその基本!
まず、そもそも「借地権」とは「建物の所有を目的に一定期間地主(他人)から土地を借りる(利用する)権利」のことで、その他人の土地に自らの建物を建てることができます。借地権を持つ権利者を「借地人」といいます。
それは必ず「底地権」とセットで語られます。「底地権」とはその地主の持つ「土地の所有権」です。借地人さんは地主さんに、土地を利用するにあたって「地代」を払わなくてはなりません。
ちょっとややこしいですが、これらふたつの権利を合わせることで、「不動産の使用等を第三者に阻害されずに自由に行える権利」である、一般的な土地の「(完全)所有権」となります。
これらを踏まえて「借地権付き建物」とは、「地主から土地を借りる借地権のついた、土地の所有者と所有者が異なる建物」ということ…、いやいや、もっと平たく言うと「他人の土地に建てた自分の建物」です(笑)!
そして借地権は2種類で…、
①地上権
ひとつに、地主さんの承諾なしに第三者に土地を又貸ししたり、借地権を売却したり、土地を自由に活用できる「地上権」があります。これは「物件」といって「物に対する権利」のことを指し、絶対的な主張ができる強い権利です。
②賃借権
もうひとつに、地主さんの許可なしでは建物(借地権)の売却はおろか、建て替えも自由にはできない「賃借権」があります。これは「債権」といって「人に対する権利」を指し、或る相手に対し或る行為をすること(しないこと)を請求する(要するに地主さんに断らないといけないこと)相対的な権利のことです。使用目的が無くなれば、その土地を返還しなくてはならず、そして地主さんの承諾がなければ、建物の増改築・リフォーム・売却はできません。
ここでいう「借地権付き建物」については、ほぼ後者の「賃借権」であると考えてオーケーです。
「賃借権」をもっと掘り下げてまとめると…、
・地主に登記の義務なし
・地主に地代を払う
・譲渡や売買には地主の許可が必要
・権利存続期間は最短で30年
・担保は不可
・抵当権は建物のみ設定可能
さらに借地権には、平成4年の借地借家法の改正により、別の分類の仕方があって、今回のテーマに沿ったそれは3種類で…、
①旧借地権
旧法における借地権です。昔は立場の弱かった借地人の権利を保護する色合いが強くて、借地人次第で契約の更新が成されるので、地主さんからすれば「一度土地を貸すと戻ってこない」と言われるほど!新法への移行するにも新たに契約を結び直す必要があります。
以下は新法です。
②普通借地権
ほぼ旧借地権を踏襲していますが、大きな違いは旧法において更新後に建物滅失しても原則として解約はできないのに対し、新法の普通借地権は更新後であれば建物滅失したら解約できます。
③定期借地権
借りる期間を定めて(30〜50年)契約する借地権で、期間終了したら原則的に更地返還しなくてはなりません。地主さんにとっては将来の相続を見据えて有利にはたらきます。
借地権付き建物のメリット・デメリット!
では続いて、「借地権付き建物」の相続したとして、そのメリット・デメリットについてお話しします。
まずメリットは…、
①土地に関わる税金は不要
土地を所有しているワケではないため、固定資産税や都市計画税などといったその土地に関わる各種の税金の負担はありません。
②借地人に優しい法律
昔から借主は貸主に対して立場が弱いとされ、特に旧借地法においてはかなり手厚く保護されています。地主さんの都合で、追い出されることはありません。
③旧借地権・普通借地権では契約更新が原則
旧借地権・普通借地権においては、地主さんに正当な理由なしに契約更新を断られることはありません。相続においても同様で、基本的にはそのまま継承できます。
次にデメリットは…、
①物件価格が安い
土地所有権もある一般的な不動産物件を購入するよりも、2〜3割も安い価格でしか売れません。
②住宅ローン融資を受けにくい
借地権については担保価値がありません。金融機関から思うような融資が受けられないケースが多く、それは定期借地権の期限が迫るほど顕著です。
③地代がかかる
多くの税金はかからない一方で、地主さんに払う地代がかかります。当然ですが、どんなに長年地代を払ったとしても自分のものにはなりません。
④土地利用に制約がある
先述の通り、建物の使用目的の変更や増改築・売買など、地主さんの承諾なしでは何も出来ず、土地利用には多くの制約があります。
⑤定期借地権では契約更新不可
定期借地権においては、契約期限がくれば更新できません。まして、地主さんが建物ごと買い取ってでもしてくれない限り、建物を解体・更地にして返さなくてはなりません。
借地権付き建物には相続税がかかる!
また、「借地権付き建物」は相続財産であり、もちろん相続税がかかります!借地権がある土地の地価、借地権の内容や経済的利益などを考慮して決定されます。なので、相続税対策を考える必要になり、普通借地権と定期借地権で評価方式も異なります。
ひとつに普通借地権の相続税評価額がありますが、「相続税路線価」と「借地権割合」をもとに計算します。
「相続税路線価」とは、国税庁が毎年発表する「路線価図」に記された相続税や贈与税の算定基準で、路線(道路)に面する宅地の1㎡あたりの価額のこと。これで自用地(自らの所有地)評価額が算出できます。そして同様に記された「借地権割合」をさらに乗ずることで、普通借地権の相続評価額が分かります。
計算式にすると、
普通借地権の相続税評価額=自用地評価額✕借地権割合
「ああ、ややこしい!」と眠くなりそうですね(笑)!ですので、定期借地権の相続税評価額は説明しません。契約期限が切られていますので、計算方法はより複雑ですし、その相続税評価額は低くなるものと考えて頂ければ十分です。
借地権付き建物の相続でも小規模宅地等の特例が使える!
というワケで、「借地権付き建物にも相続税がかかるのか?」と重〜い気持ちになる方も少なくないですよね。ひとつの解決策に「小規模宅地等の特例」というものがあります。自宅を相続するのなら一考の価値ありです。
「小規模宅地等の特例」とは、一定の条件を満たすことで相続税評価額を最大80%減額できます。高額な税負担により残された家族が自宅を手放さなくてはならない状況を回避するための制度です。それは被相続人(故人)の住んでいた土地の最大330㎡までの相続税評価額を80%減額します。
特例の適用要件は土地の利用状況や相続人によって異なり、
・被相続人の配偶者が相続する
・被相続人と同居していた相続人が相続する
・上記該当がいない場合に相続前3年間借家住まいの相続人が相続する
また、被相続人が要介護状態で施設等に入居していたとして、その間自宅を賃貸していないことが条件です。
借地権付き建物を売却する!
最後に、「借地権付き建物」の売却についてもお話しします。借地権という複雑な状況であると、不動産価値は低い上に一般的には人気がありません。注意点も多いので慎重な判断が求められます。地主さんとのコミュニケーションがうまくいかない、相続税の納税の目処がたたない、そんな時に検討します。
借地権付き建物の売却方法は主に4つ。
①地主に売却する
②等価交換で借地権と底地の一部を交換し(一部の土地を完全所有権とし)売却する
③仲介業者に依頼して第三者に売却する
④買取業者に売却する
そこで大きな問題になるのが、やっぱり地主さん。何をするにも地主さんの承諾がないことには始まりません。にも関わらず借地権は地主さんとのトラブルは起きやすい関係性にあり、地代の増額(減額)請求・地代不払い・立ち退きを迫られる、などなど。そして売却には譲渡承諾料も発生します。関係改善が難しいなら、第三者の介入も必要かもしれません。
まとめ
というワケで今回は「借地権付き建物」を相続したらどうするか?その活用法から売却までの全てについて、詳しく解説していきました!
そもそも「借地権」とは「建物の所有を目的に一定期間地主(他人)から土地を借りる(利用する)権利」のことで、借地権を持つ権利者を「借地人」。
その対となる「底地権」とはその地主の持つ「土地の所有権」です。借地人さんは土地を利用するにあたって「地代」を払わなくてはなりません。
これらふたつの権利を合わせることで、一般的な土地の「(完全)所有権」となります。
「借地権付き建物」とは、「他人の土地に建てた自分の建物」のこと!
そして借地権は2種類で…、
①地上権
「物権」といって「物に対する権利」のことを指し、強い権利。
②賃借権
「債権」といって「人に対する権利」を指し、相手に対し或る行為をすること(しないこと)を請求できる相対的な権利。
「借地権付き建物」については、ほぼ後者の「賃借権」のことです。
「賃借権」の権利は以下のとおり。
・地主に登記の義務なし
・地主に地代を払う
・譲渡や売買には地主の許可が必要
・権利存続期間は最短で30年
・担保は不可
・抵当権は建物のみ設定可能
「借地権付き建物」には平成4年の借地借家法の改正により、3種類が影響します。
①旧借地権
旧法における借地権です。昔は立場の弱かった借地人の権利を保護する色合いが強く、地主さんからすれば「一度土地を貸すと戻ってこない」と言われるほど!
以下は新法です。
②普通借地権
ほぼ旧借地権を踏襲しています。
③定期借地権
借りる期間を定めて期間終了したら原則的に更地返還しなくてはなりません。
「借地権付き建物」のメリット。
①土地に関わる税金は不要
②借地人に優しい法律
③旧借地権・普通借地権では契約更新が原則
「借地権付き建物」のデメリット。
①物件価格が安い
②住宅ローン融資を受けにくい
③地代がかかる
④土地利用に制約がある
⑤定期借地権では契約更新不可
「借地権付き建物」は相続税がかかります!
借地権がある土地の地価、借地権の内容や経済的利益などを考慮して決定され、普通借地権と定期借地権で評価方式も異なります。
国税庁が毎年発表する「路線価図」に記された相続税や贈与税の算定基準である「相続税路線価」と「借地権割合」をもとに計算します。
計算式にすると、普通借地権の相続税評価額=自用地評価額✕借地権割合
定期借地権の相続税評価額は、契約期限が切られており計算方法はより複雑です。
相続税対策として「小規模宅地等の特例」というものがあります。
「小規模宅地等の特例」とは、一定の条件を満たすことで相続税評価額を最大80%減額できます。高額な税負担により残された家族が自宅を手放さなくてはならない状況を回避するための制度です。それは被相続人(故人)の住んでいた土地の最大330㎡までの相続税評価額を80%減額します。
特例の適用要件は土地の利用状況や相続人によって異なります。
また、被相続人が施設等に入居していた場合、その間自宅を賃貸していないことが条件です。
「借地権付き建物」は、地主さんとのコミュニケーションがうまくいかない、相続税の納税の目処がたたない、そんな時に売却を検討します。
借地権付き建物の売却方法は主に4つ。
①地主に売却する
②等価交換で借地権と底地の一部を交換し売却する
③仲介業者に依頼して第三者に売却する
④買取業者に売却する
「借地権付き建物」は地主さんとのトラブルが起きやすい上、関係改善が難しく問題が長期化すると、精神的に厳しい時も出てくるかもしれません。④番目の不動産買取業者さんなら、直接取引で早期に現金化もできます。
私たちエスエイアシストは、そんな業者のひとつです。地主さんとの交渉は多くの経験が物を言います。弊社ベテランスタッフが誠意をもって対応させて頂きますので、ほかの不動産会社で難色を示されてしまった物件をお持ちの方は、ぜひ一度エスエイアシストにご相談くださいね!