定期借地権の地主にとってのメリットとデメリットとは?
不動産の相続と売却の戦略!

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする”お困り物件”コラム、第54回目は「地主にとっての定期借地権」です。
地主さんにとって「定期借地権」は、大切な土地を賢く利用し安定的な収益を確保する、悪くない選択です。日本では、通常であれば借主さん保護の観点から、その権利が強くなりがちです。なかなか土地を返してもらえなくて「思うように土地活用ができない!」と言う地主さんも多いワケですが、その点、一定期間自身の土地を他人に貸し出し、期間が満了すればその土地は自然に手元に戻ってくる仕組みは、長期的な土地活用と価値を高めることにも期待できます。

ただし、全てにおいてメリットばかりかというと、そうではありません。定期借地権には、注意すべきデメリットも多く存在するんです!特に、定期借地権の契約期間も半ばを過ぎて、将来的に不動産の相続や売却を考え始めた地主さんにとっては、その戦略を考えることは最重要課題なのかもしれませんね!

この記事では、定期借地権を過去に契約した地主さんに向けて、改めて定期借地権とは何か、その魅力と注意点を再確認する機会を提供します!今後も安心の土地活用をするために、さらには先々のライフステージの変化に慌てることがないようにするためにも、ぜひ最後までお付き合いくださいね!

定期借地権とは?

「定期借地権」は、地主さんが一定期間、土地を他人に貸し出すことができる権利です。これにより、所有の土地を有効活用しながら、期間満了時には自動的に土地を取り戻すことが可能になります。定義としては、契約期間は通常30〜50年とされ、この期間内に借主さんは土地を利用することができます。

このシステムの背景には、土地の有効活用と土地所有者の権利保護のバランスを取る意図があります。というのも、日本の不動産市場では長らく「借地人保護」が重要視されてきました。旧借地借家法下では、借主さんの権利が強く保護される傾向にあり、土地の返還を求める地主さんの立場は比較的弱いものでした。特に「普通」借地権の場合、借主さんは事実上は長期(半永久的)にわたって土地を使用することができ、地主さんが自由に土地を活用することが困難であるケースが多く見受けられました。

このような状況の中で、新法借地借家法に定期借地権が導入されたことで、地主さんの立場が改善されました。新法では、地主さんと借主さん双方の合意のもとで契約の期間を明確に設定することができ、より柔軟な土地利用が可能になるように制度を整備しました。この改正により、地主さんは土地の計画的な利用や再開発がしやすくなったのです。

定期借地権のメリットを軽めにまとめると以下の通り。
有効活用:土地を活用して安定収入が得られる
計画性:契約満了後の土地利用の目処がたつ
税金対策:固定資産税の軽減(更地利用は除く)
相続対策:土地の相続税評価額が低くなる傾向がある

借地権と底地権の関係性とは?

と、ここで定期借地権の地主さんにとってのメリット・デメリットについてお話する前に、少しだけそれに関係する内容をひとつ。

そもそも借地権付きの土地には、「底地権」と「借地権」という2つの権利が存在し、底地権はその土地(底地)の所有権のことを指しますが、不動産市場では相場より安く取り引きされる土地(権利)となります。何故なら、2つの権利を合わせてはじめて一般的に完全な所有権とみなされるからです。

また、借地権をもつ借主さんは、その土地の使用料である地代を払い、固定資産税などは底地権者である地主さんが払うことになります。そして、相続においては底地権を承継することになりますが、相続税評価額ではその持ち分(底地割合)によって決まるため、相続税は安くなります。

さらに売却において、借主さんは借地権を地主さんに許可や承諾料を払ってはじめて取り引きできる一方で、地主さんは借主さんの意向に関係なく取引が可能となります。

定期借地権の種類と地主にとってのメリット・デメリット!

では、話を戻してさらに深堀りします。定期借地権は大きく分けて3つのカテゴリーに分類され、それぞれが特定の条件下において異なる特性をもちます。以下に、それぞれの定期借地権の種類と概要、地主にとってのメリット・デメリットについてまとめます。

①一般定期借地権
まずは一般定期借地権について。これは借地期間を50年以上にする条件として、
・契約の更新不可
・再建築による期間延長も不可
・期間満了時に更地にして返還

これら特約を設定して、契約書は公正証書で行われる必要があります。また、用途は居住用・事業用を問わないものです。

そのメリットとして、
・長期間の安定収入を得られる
・建物の建築や解体費用の負担がない
・相続税評価額が低い
・更地返還により土地の利活用がしやすい

一方でデメリットとして、
・(裏を返せば)超長期間において土地が利用できない
・借主の転貸や譲渡による問題が発生しやすい

②事業用定期借地権
つぎに、事業用定期借地権です。主に事業用の建物(居住用は除く)の所有を目的にしています。契約期間は10年以上50年未満とし、更新や建物買取請求権は、契約期間や契約によって異なります。契約は必ず公正証書でしなくてはなりません。30年以上の期間設定であれば、一般定期借地権同様の特約や建物買取請求権も可能となり、活用の自由度は高いものです。

そのメリットとしては、
・高い地代の設定が可能でより高い収益が見込める
・比較的短い期間設定ができる
・契約の自由度が高い

デメリットとしては、
・自由度が高いだけに判断が難しい
・借地人の事業撤退リスクがある
・契約の更新や建物の買取請求に応じる必要がでる場合がある

③建物譲渡特約付借地権
最後にコレです。建物譲渡特約付借地権とは、契約から30年以上経過後に、地主さんが借主さんの建物を相当の対価で買い取ることを約束するものです。特に書面化しなくても可能とされていますが、将来的な紛争予防のためにも、書面による契約にすることが必要とされます。

そのメリットとして、
・契約終了時に建物を買い取る権利がある
・相続税評価額が低い
・貸借人が希望すればそのまま賃貸収入が得られる

一方のデメリットとして、
・建物が老朽化している可能性がある
・買い取りをしなければ借地権が消滅しないことが考えられる
・返還後の土地利用に制限がでる可能性がある

契約満了期限に近づくと不動産価値はどう変わる?

先述した通り定期借地権には、地主のもつ底地権と、借主さんがもつ借地権があるとお伝えしました。では、定期借地権の契約期間も半ばを過ぎ、契約満了が近づくと、この関係にはどんな変化が起こるのかを考えて見たいと思います。

①底地権の市場価値は上昇する
まず、定期借地権の期間満了が近づくと底地権の市場価値は上昇が見込めます。その理由は以下が考えられます。
・土地利用の自由度がでる
・再開発や新規開発の可能性が広がる
・相続や売却に柔軟性が生まれる

②借地権の市場価値が低下する
一方で、反対に借主さんのもつ借地権の市場価値が低下していきます。その理由は以下。
・土地の使用権が消滅する
・契約更新は原則不可である(再契約には不確実性がある)
・修繕や改修の判断が困難になる
・借地権の売却が難しくなる

これらから、相対的に借主さんの立場が厳しくなっていくのかもしれませんね。地主さんとして「足元を見る」という悪い考え方ではなく、良いコミュニケーションをとって双方が納得感のある未来を得られるように、どうすべきかを考えるのがいいのではないでしょうか。
そう考えると、期限前の早い段階で双方の良きタイミングに、定期借地権の契約解除も一つの選択肢としてあるのかもしれません。

定期借地権付き不動産の相続と売却の戦略!

最後に、地主さんにとっての定期借地権付不動産の相続と売却の戦略として、どう考えたらいいかを解説します!

相続における注意点は以下。

①権利移転の手続き
まず、定期借地権付き底地権の相続は、単に土地を受け継ぐだけでなく、それに付随する権利の移転も伴います。相続人が複数の場合は、どのように底地権を分配するか事前に話し合い、合意形成を目指します。家族を巻き込んでの終活はご自身が積極的に!

②評価の複雑性
次に、相続税の算定にあたり、定期借地権の残存期間やその他の条件が、底地権の評価に大きく影響します。正確な評価には、地域の市場動向や土地の利用可能性など、多角的な視点からの検討が必要です。素人判断せず、ここは専門家さんに相談すべきです。
その上で不動産売却の戦略も検討もしておきます。契約の残存期間やライフステージの変化、借地人さんとの関係性などを考慮して、選択肢は以下のようなものがあります。

①底地権を売却する
ライフステージの変化により、契約期間満了を待てそうにない場合は、底地権の売却を検討します。当然、不動産市場での価格は期待できません。ただ、借地人さんに直接売却するなら、想定よりも高く売れる場合があります。借地人さんが、これからもそこに住み続けたい意向があり、資金に問題がなく、関係性が良好であれば、良い選択肢の一つになり得ます。

②借地人とともに底地権と借地権を同時売却する
また、借地人さんとの利害が一致するならば、借地人とともに底地権と借地権を同時売却するのもアリかもしれません。先述の通り、2つの権利が合わされば「完全な所有権」となります。相場どおりの売却が可能になります。

③契約期間満了をもって売却する
そして、時間が許すのであれば、地主さんにとってのベストタイミングは、契約期間満了をもって売却することです。土地はもちろん更地であり、新たな条件のもとで売り出す絶好の機会となります。注意点といえば、借地人さんの建物解体の手続きが進まない、もしくは老朽化した建物だけが残ってしまった、などです。

定期借地権付きの底地権は、不動産に詳しくないと判断が難しい場面が出てきます。不安に思うことがあるのであれば、定期借地権や底地権に詳しい業者さんや専門家さんに相談することから始めてみませんか?

まとめ

この記事では、定期借地権を過去に契約した地主さんに向けて、改めて定期借地権とは何か、その魅力と注意点を再確認する機会になるよう解説させていただきました。

「定期借地権」とは、地主さんが一定期間、土地を他人に貸し出すことで、所有の土地を有効活用しながら、期間満了時には自動的に土地を取り戻すことができます。
旧借地借家法下では、借主さんの権利が強く保護される傾向にあり、土地の返還を求める地主さんの立場は比較的弱かったものを、新法に定期借地権が導入されたことで、地主さんの立場が改善され、契約の期間を明確に設定することができ、より柔軟な土地利用が可能になりました。

借地権付きの土地には、「底地権」と「借地権」という2つの権利が存在し、底地権はその土地(底地)の所有権のことを指し、固定資産税などは底地権者である地主さんが払い、借地権は、その土地の使用料である地代を払うことになります。
さらに売却においては、借主さんは借地権を地主さんに許可や承諾料を払う必要がある一方で、地主さんは借主さんの意向に関係なく取引が可能となります。

定期借地権は大きく分けて3つのカテゴリーに分類され、それぞれの地主にとってのメリット・デメリットについてまとめます。

①一般定期借地権
・契約の更新不可
・再建築による期間延長も不可
・期間満了時に更地にして返還
・借地期間を50年以上。
・契約書は公正証書
・用途は居住用・事業用を問いません。
メリットとして、
・長期間の安定収入を得られる
・建物の建築や解体費用の負担がない
・相続税評価額が低い
・更地返還により土地の利活用がしやすい
デメリットとして、
・(裏を返せば)超長期間において土地が利用できない
・借主の転貸や譲渡による問題が発生しやすい

②事業用定期借地権
・主に事業用の建物(居住用は除く)の所有を目的
・契約期間は10年以上50年未満
・更新や建物買取請求権は契約期間や契約によって異なる
・契約は必ず公正証書
・30年以上であれば一般同様の特約や建物買取請求権も可能
メリットとして、
・高い地代の設定が可能でより高い収益が見込める
・比較的短い期間設定ができる
・契約の自由度が高い
デメリットとして、
・自由度が高いだけに判断が難しい
・借地人の事業撤退リスクがある
・契約の更新や建物の買取請求に応じる必要がでる場合がある

③建物譲渡特約付借地権
・契約期間は30年以上
・契約満了時に地主が建物を相当の対価で買い取ることを約束する
・契約は書面化は不要だが紛争予防のため契約書作成が望ましい
メリットとして、
・契約終了時に建物を買い取る権利がある
・相続税評価額が低い
・貸借人が希望すればそのまま賃貸収入が得られる
デメリットとして、
・建物が老朽化している可能性がある
・買い取りをしなければ借地権が消滅しないことが考えられる
・返還後の土地利用に制限がでる可能性がある

定期借地権の契約期間も半ばを過ぎ、契約満了期限に近づくと不動産価値は変化します。

①底地権の市場価値は上昇する
・土地利用の自由度がでる
・再開発や新規開発の可能性が広がる
・相続や売却に柔軟性が生まれる
②借地権の市場価値が低下する
・土地の使用権が消滅する
・契約更新は原則不可である(再契約には不確実性がある)
・修繕や改修の判断が困難になる
・借地権の売却が難しくなる

このように相対的に借主さんの立場が厳しくなります。地主さんとして期限前の早い段階で定期借地権の契約解除も一つの選択肢としてあるのかもしれません。

地主さんにとっての定期借地権付不動産の相続における注意点は以下。
①権利移転の手続き
②評価の複雑性

その上で不動産売却の戦略として、選択肢は以下。
①底地権を売却する
ライフステージの変化により、契約期間満了を待てそうにない場合は、底地権の売却を検討します。不動産市場での売却、もしくは借地人さんに直接売却する方法もあります。
②借地人とともに底地権と借地権を同時売却する
借地人さんとの利害が一致するならば、借地人とともに底地権と借地権を同時売却することで相場どおりの売却が可能。
③契約期間満了をもって売却する
土地はもちろん更地であり、新たな条件のもとで売り出す絶好の機会。

定期借地権付きの底地権の扱いに不安に思うことがあるのであれば、定期借地権や底地権に詳しい業者さんや専門家さんに相談しましょう。

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