独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい”お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする”お困り物件”コラム、第45回目は「空き家法改正の影響とその対応策」です。
「相続空き家、放置していませんか?」と聞かれると、ドキッとする方はいませんか?例えその家に住んでいなくとも、その管理や活用に関する責任は残っているハズです。現在、日本では空き家の問題が深刻化しており、それに対処するために、最近になって「空家等対策特別措置法(通称「空家法」)」が改正の運びに…。それは令和5年12月に施行され、空き家所有者さんに新たな責務と対応策を求めています!そうなると「今後、あの空き家への影響は?」「不利益を避けるためにはどうしたら…?」などと、様々な不安が出てくるのだと思います。
この記事では、その改正された空家法の概要と、相続不動産への影響と直面する問題点、さらにはそれらの問題への対応策について、分かりやすく解説していきます。まさかの不利益を避けるためには、空家法への理解が不可欠です。ぜひ最後まで読んでいってくださいね!
空き家問題とは?
まず、そもそも「空き家問題」とは何なのでしょうか?日本では、使用されていない空き家の数が年々増加しており、これによって地域の防災、景観、衛生、そして防犯上、様々な問題が生じています。その放置された空き家は、地域コミュニティーに負の影響を与えるばかりか、犯罪の温床になることもあり、地域全体の安全性や魅力を損なう要因となっています。
その中でも、周辺住民の安全を脅かしかねない空き家を「特定空家」と呼んでいます。それは以下のような空き家を指しています。
・建物に著しい老朽化や損傷があり、建物倒壊の恐れがある
・ゴミの不法投棄などにより、衛生上の害が生じる恐れがある
・地域の治安や景観を悪化させる可能性がある
・その他周辺の生活環境保全を図るために不適切である
日本では、そんな特定空家を含めた空き家が過去20年で約1.9倍増加!この増加傾向は今後も続くと予想されていて、日本全国で社会問題化しており、その対策が求められました。そこで制定されたのが、平成26年(2015年)の「空家等対策特別措置法」、通称「空家法」でした。この法律は、空き家の所有者さんに適正な管理を義務付け、特定空家に対する各自治体の指導や命令を可能にし、空き家バンクなどの活用を促進することを目的としています。
令和5年12月施行の空き家法改正って?
しかし、以前からこの法律には限界点も指摘されていました。特に、空き家の所有者さんに対する具体的な管理基準の不足や、各自治体の指導や勧告が十分に機能していないという問題が浮き彫りになっており、実効性のある空き家対策が取られにくい状況が生じているとされました。
こうした状況を背景に、空き家の適切な管理や有効活用、建物除却などに対する法的な対応の必要性が、さらに高まっています。中でも、特定空家への対応に限界が見られることから、より包括的な対策が求められているワケなんです!
では、これまでの空家法と今回の改正法では、何が違うのでしょうか?その大きな流れとして、「除却等のさらなる促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の有効活用や適切な管理を総合的に強化する」ことにあります。…と、何だか分かるような分からないような、って感じですので、以下に詳しくご説明。
改正法のポイントは以下の3本柱!
①空き家活用の拡大
・「空家等活用促進区域」を創設し、用途変更や建替え等を促進。例えば、建築不可物件のネックになっている「接道義務(幅員4m以上の道路に土地間口が2m以上接しなくてはならない)」。それが安全確保を前提に、再建築や改修の特例が認められたり、用途規制の変更や緩和が認められる可能性もあります。
・所有者不在の空き家の処分を行う「財産管理人」の選定を、各市区町村が裁判所に請求することを可能に!
・「空家等管理活用支援法人」の創設で、各自治体や土地建物所有者さんへのサポート体制を整えられます。
②管理の確保
・放置すれば特定空家になる恐れがある空き家を「管理不全空家」とし、それに対して各市区町村が指導・勧告できます。勧告されると敷地に関わる「住宅用地特例(固定資産税の1/6の減額特例)」は解除!(ちなみに、「特定空家」では指導・勧告に加え、命令・代執行まで可能になります)
・各市区町村によって、所有者さんに代わって建物管理を行う「管理不全建物管理人」の選定や、電力会社等に所有者情報の提供要請ができるように!
③特定空家の除却等
・緊急時には命令からの猶予を待たずに代執行できる「緊急代執行制度」の創設や、所有者不在の際でも財産差し押さえできる「代執行費用の徴収円滑化」が図れます。
・各市区町村が裁判所に、先述の「財産管理人」の専任を請求し、修繕や処分を実施できるように!
・所有者さんへの「報告徴収権(調査のために資料の提出を求める権限)」を各市区町村に付与。状態の把握を容易にして、勧告・命令等を円滑に出来るようになります。
相続不動産への影響とは!?
それでは、これらによって何が変わるのか、「もっと具体的に相続した空き家への影響とは何?」と思われると思いますので、もうちょっと噛み砕いてお話してみますね。
①管理不全空家への新たな対応
今回の空家法改正では、一般の空き家と特定空家の間に、もうワンステップ「管理不全空家」が導入されるワケです。これは、周辺地域に悪影響を及ぼす従来の特定空家に加えて、”そうなる前”の管理が十分に行われていない空き家に焦点を当てています。
要するに、「特定空家”化”を未然に防止するために、早期介入できるようにする!」ということ。各市区町村は、その管理不全空家の所有者さんに、管理指針に基づいた「指導」ができるようになります。そして「指導」の上でもなお状態改善が認められなければ、「勧告」を与えることもできます。「勧告」を受けた所有者さんは、当該空き家に係る固定資産税等の住宅用地特例が解除、税金の軽減がなくなります!
②特定空家への措置を円滑化
それでも放置されて「特定空家」になってしまった空き家。これまでは、各市区町村が代執行により特定空家を管理・処分をする際には、倒壊の恐れのある緊急時でさえ、多くの手続きが必要な状態でした。また、各市区町村から所有者さんへの強制力が弱く、管理状況の把握や建物の除却等に絡む費用の徴収も難しい場合もありました。
その問題を今回の法改正では、特定空家への措置を円滑化するため、各市区町村に報告徴収権(行政が特定事項の調査のため、関係者に対して情報を求める権限)を付与。情報収集も取りやすくなり、命令等の手続きを省略した迅速な対応が可能になりました。さらには、空き家所有者さんの財産差し押さえといった、強制的な費用徴収も出来るように!
ともあれ、空き家所有者さんにおかれましては、「空き家を放置するのではなく、適切な管理や活用に向けて、自助努力が必要になる!」ということなのだと思います。
空き家の再生と地域の活性化へ!
と、ここまで読んで、相続空き家の扱いに困っている立場からすれば、「住宅用地特例が使えなくて、固定資産税があがるの?」とか、「問答無用で空き家を除却されて、高額費用を請求されるかも?」とか、不安な気持ちにもなりますよね。ただ、見方を変えると違った景色が見えるかも!この法改正を前向きに捉えるためにも、もう少し深堀りしてみたいと思います。
先述の「空家等活用促進区域」の目的は、空き家を単なる「問題」ではなく「資源」として捉え、その再生と地域の活性化に結びつけることです。空き家を有効活用して、地域の魅力向上や経済の活性化に貢献できるようにするもの。この区域内では、空き家の所有者さんや地域住民、各市区町村が一体となって、空き家の活用方法を模索し、新たな取り組みを進めることが期待されます。
区域内では、空き家のある土地の用途変更や建替えを促進するための支援策が導入され、これにより古くなった建物を改修や取り壊しをして、住宅のみならず商業施設や公共施設などに生まれ変わらせることが可能になります。これらの措置を通して、その空き家は新たな価値創造の源泉となり、ひいては相続空き家の所有者さんにとっても、今後の選択肢を広げる可能性にも繋がるのかもしれません!
「この空き家、どうしたらいい?」法改正への対応策!
では、これらを踏まえて、今度「この空き家、どうしたらいい?」のか、法改正への対応策を具体的にご提案!
①所有空き家の状況の確認と管理をする
「遠方にある空き家で管理できないし、使い道もない…」「とても使える状態でなく管理は億劫…」という理由で、これまで正直見て見ぬフリをしてしまっている方。これからは、放置はかなりのリスクです!まずすべきは、所有空き家の状況の確認と管理をすることから。少なくとも管理不全空家・特定空家に指定されることを防止しなくてはなりません。具体的には、定期点検、必要な修繕の実施、不法占拠の防止措置、などが挙げられます。
②各市区町村における空き家支援策を確認する
その上で、各市区町村における空き家支援策を確認します。所有の土地が空家等活用促進区域に指定されたり、この法改正を契機に大きく支援策が変わる可能性もあります。「昔はいい情報を得られなかった…」とそんな場合でも、とりあえずは改めて聞いてみるのもアリです。また、相続不動産まわりの税金控除や特例、その可否、空き家バンクなどの利用などについても漏らさずにチェック!
③所有空き家の活用方法を検討する
これらにより、所有空き家の状況や支援策の把握ができたら、「じゃ、実際のところどうするか?」空き家の活用方法を検討します。「リフォーム」や「賃貸運営」、もしくは「建替え」や「建物を解体」するなら、高額な持ち出し資金が大きな問題になります。「不動産売却」であれば、市場相場の把握と数社への相見積もしなくてはなりませんし、土地建物の状況次第では、依頼した業者さんから断られるケースもあります。
④不動産買取業者への売却も検討する
ここまで対応策を話してきて何ではありますが、「管理はムリ!」「良い支援は引き出せなかった…」「需要がなくて買い手がみつからない!」という以前に、「そもそも億劫だから空き家を放置している…」んですよね。ならば、不動産買取業者への売却も検討してみましょう。
・空き家の現状そのままでも買取が可能
・買取業者との直接取引で迅速に空き家の管理責任から開放される
などのメリットもあります。
そう言うと、「えっ?以前に買取業者に買取を断られたんだけど?」という方もいるかもしれません。ただそれは、その不動産買取業者さんの実力不足だっただけかもしれません!要するに、あなたの土地建物に付加価値を付けて再販する能力が、その業者さんになかったワケです。
ですので、諦めずに他の実力のある不動産買取業者さんを探してみて下さい。きっと買取実績とノウハウが豊富な業者さんが見つけられるハズ!?
…と書いている私たちも「エスエイアシスト」という不動産買取業者ですので、ご連絡いただければ、全力サポートいたします!
まとめ
この記事では、その改正された空家法の概要と、相続不動産への影響と直面する問題点、さらにはそれらの問題への対応策について、分かりやすく解説してきました!ココで最後にまとめます。
まず、そもそも「空き家問題」とは、日本では、様々な問題を抱え使用されず放置された空き家の数が、年々増加しており問題になっています。その中でも、周辺住民の安全を脅かしかねない空き家を「特定空家」と呼んでいます。
そこで制定されたのが、平成26年(2015年)の「空家等対策特別措置法」、通称「空家法」で、空き家の所有者さんに適正な管理を義務付け、特定空家に対する各自治体の指導や命令を可能にし、空き家バンクなどの活用を促進することを目的としています。
しかし、空き家所有者さんに対する具体的な管理基準の不足や、各自治体の指導や勧告が十分に機能せず、実効性のある空き家対策が取られにくい状況が生じており、中でも、特定空家への対応に限界が見られることから、より包括的な対策が求められています。
今回の空家法の改正法では、大きな流れとして、「除却等のさらなる促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の有効活用や、適切な管理を総合的に強化する」ことにあります。
改正法のポイントは以下の3本柱!
①「空家等活用促進区域」を創設など空き家活用の拡大をする
②新たに「管理不全空家」を設定し管理の確保をする
③「緊急代執行制度」や「代執行費用の徴収円滑化」で特定空家の処分をスムーズにする
その上で、相続した空き家への影響とは何か?
①管理不全空家への新たな対応により、各市区町村が早期介入できるようになる
②特定空家への措置円滑化のため、各市区町村に報告徴収権を付与でき、命令等の手続きを省略した迅速な対応を可能にし、強制的な費用徴収も出来るように!
ただ、法改正を前向きに捉えることもできます。
法改正のひとつ「空家等活用促進区域」の目的は、空き家を単なる「問題」ではなく「資源」として捉え、空き家を有効活用して、地域の魅力向上や経済の活性化に貢献できるようにするもの。空き家のある土地の用途変更や建替えを促進するための支援策が導入され、住宅のみならず商業施設や公共施設などに生まれ変わらせることが可能になります。ひいては相続空き家の所有者さんにとっても、今後の選択肢を広げる可能性にも繋がるのかもしれません!
では、これらを踏まえて、法改正への対応策を具体的にご提案!
①所有空き家の状況の確認と管理をする
②各市区町村の空き家支援策を確認する
③所有空き家の活用方法を検討する
とは言え、上記を難しい(億劫)と感じるなら…
④不動産買取業者への売却も検討する
・空き家の現状そのままでも買取が可能
・買取業者との直接取引で、迅速に空き家の管理責任から開放される
などのメリットもあります。
あなたの土地建物に付加価値を付けて再販する能力をもつ、実力のある不動産買取業者さんを、諦めずに探してみて下さい。
私たちエスエイアシストでは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう”訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。扱いに困ってしまった老朽化した空き家を放置してはいけません。ほかの不動産業者さんで難色を示されてしまった物件をお持ちの方でも、ものは試しとぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。