独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第35回目は「ペンシルハウスは売れない?」です。
都心でよく見かける細長い家、ペンシルハウス。鉛筆に形がそっくりなソレは、ちょっと狭いけれど利便性が良くて、何より都心に夢の一戸建て!「スゴくいいじゃん!」と買ってみたものの、住んでみてはじめて「あれ?コレって本当にいい選択だったの?」と後悔してしまうことがあります。それも子供が小さいウチなら許容できていたものの、年月が経って子供が思春期ともなると、家族間とはいえプライバシーの問題も出てきます。さすがに手狭と家の売却を検討して気付く「えっ?売れないの?」という現実に困ってしまうなんてことも!
今回の記事では、ペンシルハウスの基本的な特徴を確認し、「なぜ売却が難しいのか?」そして「これからどうすればいいのか?」について分かりやすく解説していきます。後悔から足を止めてしまうより、ここは前向きにより良い解決策を見つけるための一歩を踏み出しましょう!ぜひ最後まで読んでいって下さいね。
ペンシルハウスとは?
「ペンシルハウス」の一番の特徴はその形状。狭い土地に建てられる三角形の屋根と縦に細長い三階建ての家で、まるでエンピツのように見えることから、そう呼ばれます。都心に多いと言われています。土地の値段が高いことから、小さく土地を分けて分譲されたり、相続によって分割されたり、一つひとつの区画の価格を落とすということがあります。よって価格を抑えつつ、一戸建ての夢を都心で叶えられるのが、ペンシルハウスの魅力。
別名を狭小住宅と呼ばれ、15坪(約50㎡)程度以下の敷地に建てられます。それは、都心部の土地価格が高騰している中で、多くの工夫をもって限られた土地を有効活用しています。
まとめると、ペンシルハウスのメリットは以下の通り。
・都心で一戸建てが手に入る
・立地が良く利便性が高い
・リーズナブルな物件価格
ペンシルハウスの問題点!
そんなペンシルハウスには特有の問題点があります。
①隣の家との距離が近い
まずその特性上、敷地いっぱいに建物を立てるために、隣の家との距離が近く、「日当たりが悪い」「プライバシーが保ちづらい」ということになります。そのため、目線を遮り高い位置から光を取り込むように、室内の仕切りを極力作らない工夫をします。そして「生活音が気になる」こともあるでしょう。
②縦に細長い構造である
次に、縦に細長い構造であることで、建築基準法において問題ないとはいえバランスが悪いため「耐震性が低い」ことと、「床面積に占める階段の割合が大きい」上、移動における「階段の上り降りが大変」です。対策として、中二階・中三階を有効活用するスキップフロアにしたり、生活(家事)動線に配慮した間取り設計が重要となります。
③居住スペースが狭い
最後は当然ではありますが、「居住スペースが狭い」ということです。そして「十分な収納がない」とも言えます。これらはデットスペースを限界まで無くす工夫とともに、ミニマニストのような生活スタイルを変えることも大切。
これらは、お子さんがまだ幼い若いファミリー世帯であれば、許容できる問題なのかもしれません。ペンシルハウスを新築購入する多くは、そういった世帯だと思います。
しかし…、
・子供が男女の組み合わせである
・子供が思春期を迎えた
もしくは、
・体に障害を負った
・親世代が高齢になる
といった家族の変化があると、途端に看過できない問題になってしまい、ペンシルハウスを「手放さざるを得ない!」ことになります。
ペンシルハウスは売れない?
ということで、ペンシルハウスの売却を検討し始めると気付いてしまう現実は「ペンシルハウスは売れない?」ことです。実はまだまだペンシルハウスの問題点があります。
④コストが割高
土地が狭いという特性のため、重機が入るスペースはおろか十分な作業スペースもありません。搬入は手作業となり人件費はかさみ、近隣に駐車スペースも確保しなくてはなりません。当然、「建築費が割高」になります。これは「解体時も同様に割高」ということで、近接する隣家に迷惑をかけない、事故を起こさないために、最大限の配慮と細心の注意を払います。
更に隣家との空間はまさに隙間。設備の交換や修繕作業は通常の方法では出来ず手間がかかるため、「作業費も割高」になりがちです。総じてコストが割高と言わざるを得ません!
⑤希望する建物にならない
そして、ペンシルハウスは「独自性のある個性が強い設計」であるが故に、買い手さんの希望する建物ではない場合が多いといえます。また、いずれ建て替えたいとなったとして「将来的に建築基準が厳しくなるリスク」があります。
・日照権を確保する北側斜線
・道路の採光や通風を確保する道路斜線制限
・用途地域の変化
これらのような法律が厳格化すれば、居住スペースがさらに狭くなったり、最悪は住宅の新築ができない可能性すらあります。
⑥評価額が低い
一般的に土地の広さは利用用途の広さです。利用用途の広い土地は評価額も高くなります。その他、特有の問題点の多さからペンシルハウスは「評価額が低くなりがち」です。それは市場価格にも影響してしまうので、金融機関としては「担保価値が見込めない」となり、買い手さんとっては「住宅ローンを組むのが難しい」となります。一括購入できる人は稀ですし、そもそもそんな資金力があればペンシルハウスを選びません。
総じて「ペンシルハウスは売れない」ということになります!
後悔するより前向きに解決策を見つけよう!
そんなこんなで、ずずーんと重い気持ちになり、ともすれば「ペンシルハウスなんて買わなければ良かった…」と後悔の念に駆られるなんてことも!ただ、後悔するより前向きに解決策を見つけていきましょう。ここでは、そんな具体的なアプローチを紹介します。
①今後も住み続けるか?
まず、当然今後も住み続けるという選択があります。ポイントは以下。
・一定の我慢をすれば住み続けられるのか?
・そもそも身体的な難しさが伴うのか?
②売却か?投資物件として活用か?
その上で、売却するのか、それとも投資物件として活用するのかを決めます。幸いペンシルハウスは、立地や個性的な造り、借りるのであれば世代によっては一定のニーズがあります。自分が不要なものであっても、フリマサイトでは必要として購入する人がいるのと同じですね!そのポイントは以下です。
・売却によって負債は残らないか?それを吸収できる経済力はあるのか?
・家賃収入は見込めるのか?収支はプラスが見込めるのか?
③修繕や改修が必要か?
つぎに、物件の状態をよく観察します。家は時間の経過や使用によって劣化していきます。例えば給湯器は一般的に10年もすると交換なんて言われます。また、見える部分だけでなく、屋根の防水機能などの見えない部分にも問題があるかもしれません。グレードにもよりますし、その修繕や改修が必要なのかどうかは、やっぱりケースバイケース。
・修繕や改修によって住みやすくなるのか?予算はあるのか?
・投資物件ならば最低限かけるべき修繕や改修は何か?
・売却ならば修繕や改修がそもそも必要か?費用対効果はどうか?
ペンシルハウス売却方法3選!
と、ここまできて「やっぱり売却するのが最善!」となるなら、ここからは要チェックです!以下、3つの売却方法をご紹介します。
①隣地所有者に売却
これはもうダメ元です(笑)!隣地所有者さんに、購入意思があるのかどうか、聞くだけ聞いてみます。土地というのは、広さに応じて使用価値は高まります。「お金さえあれば」と頭に付きますが、悪い話ではないはず。「そろそろ建て替えを検討していた」なんてこともあるかもしれませんし、「ウチも売却を考えていた」とあれば、一緒に売却することで思わぬ瀑益が出せるかも!ただ、人間関係のムズかしさや、周囲に売却の意向が知られてしまいます。また、価格交渉をスムーズにいかせるためにも、しっかりと相場を調べていきます。
②不動産仲介業者に売ってもらう
つぎに、不動産仲介業者さんに依頼して売ってもらうことです。彼らはその地域の市場価格をよく知っており、最適な価格での売却が期待できます。また、ペンシルハウスはその特性上、借りたい人はいたりします。投資用としての売却も考えられるかも!その分、高額な仲介手数料が発生するので、そのコストもちゃんと考慮します。
ただし、その提示されてきた価格が適正価格だったとして、あなたが納得できるかは別問題です。また、この業者選びを間違うと大変なことになります。買い手も自社で見つけて手数料を二重取りするために、情報を囲い込むようなグレーな手法には注意です。広く広告してくれずに時間がかかったり、利益が相反してしまいます。まして、素人にはその状況の判別がムズかしいため、無用な時間や心労を負うこともあり得ます。
③不動産買取業者に買い取ってもらう
最後に、不動産買取業者さんに買い取ってもらう方法です。彼らは買い取ったペンシルハウスに手間をかけ、付加価値をつけて再販したり賃貸に出したりして、利益を出します。そのため、相場価格よりも安く買い取られることを覚悟しなくてはなりません。また、どの買取業者さんでもいいワケではなく、狭小住宅の扱いが得意である必要があります。
ただ、一方でメリットは小さくありません!
・早期売却で即現金化できる
・直接取引なので仲介手数料は不要
・修繕や改修が不要で現状そのままでもOK
・契約不適合責任が免責になる
・周囲に売却の意向を知られずにすむ
これらは一長一短ですが、ご自分の状況やニーズに合った方法を選べば、後悔は少なくなるのではないでしょうか?
まとめ
というワケで最後にまとめます!
今回の記事では、ペンシルハウスの基本的な特徴を確認し、「なぜ売却が難しいのか?」そして「これからどうすればいいのか?」について分かりやすく解説してきました。
「ペンシルハウス」とは、狭い土地に建てられる三角形の屋根と縦に細長い三階建ての家のこと。地価が高騰する都心に多く、15坪(約50㎡)程度以下に小さく分けられた土地に建っています。価格を抑えつつ、一戸建ての夢を都心で叶えています。
ペンシルハウスのメリットは以下の通り。
・都心で一戸建てが手に入る
・立地が良く利便性が高い
・リーズナブルな物件価格
そんなペンシルハウスには多くの特有の問題点があります。
①隣の家との距離が近い
・日当たりが悪い
・プライバシーが保ちづらい
・生活音が気になる
②縦に細長い構造である
・耐震性が低い
・床面積に占める階段の割合が大きい
・階段の上り降りが大変
③居住スペースが狭い
・居住スペースが狭い
・十分な収納がない
これらは、お子さんがまだ幼い若いファミリー世帯であれば許容できますが、家族の変化があると、途端に看過できない問題になります。
④土地が狭く各コストが高い
・建築費が割高になる
・解体時も割高になる
・修繕や改修の作業費も割高
⑤希望する建物にならない
・独自性や個性が強い設計で好みが分かれる
・将来的に建築基準が厳しくなるリスクがある
⑥評価額が低い
・土地は狭く評価額が低くなりがち
・金融機関としては担保価値が見込めない
・買い手が住宅ローンを組むのが難しい
総じて「ペンシルハウスは売れない」ということになります!
ペンシルハウスを後悔するより、前向きに解決策を見つける具体的なアプローチを紹介します。
①今後も住み続けるか?
・一定の我慢をすれば住み続けられるのか?
・そもそも身体的な難しさが伴うのか?
②売却か?投資物件として活用か?
・売却によって負債は残らないか?それを吸収できる経済力はあるのか?
・家賃収入は見込めるのか?収支はプラスが見込めるのか?
③修繕や改修が必要か?
・修繕や改修によって住みやすくなるのか?予算はあるのか?
・投資物件ならば最低限かけるべき修繕や改修は何か?
・売却ならばそもそも必要か?費用対効果はどうか?
その上で「やっぱり売却するのが最善!」となるなら、以下。
①隣地所有者に売却
・これまでの人間関係がムズかしく売却意向が周囲に知られる。
・タイミングが良ければ思わぬ瀑益が出せるかも!
②不動産仲介業者に売ってもらう
・地域の市場価格をよく知っており最適な価格での売却が期待できる。
・高額な仲介手数料が発生する。。
・情報を囲い込むようなグレーな手法に注意。
・無用な時間損失や心労を負うこともあり得る。
③不動産買取業者に買い取ってもらう
・彼らも利益を出さなくてはならないため相場価格よりも安い買い取り。
・狭小住宅の扱いが得意な業者を選ばなくてはならない。
・早期売却で即現金化できる。
・直接取引なので仲介手数料は不要。
・修繕や改修が不要で現状そのままでもOK。
・契約不適合責任が免責になる。
・周囲に売却の意向を知られずにすむ。
私たちエスエイアシストでは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。ペンシルハウスといった狭小住宅もそのひとつ!
ノウハウは重要です。ほかの不動産会社ではムズかしくて断られることもあるかもしれません。もしそんなことがあれば、ものは試しとぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!最も大切なのは、後悔するのではなく前向きに行動することです。まずは一歩踏み出してみてくださいね!