底地の相続でトラブルが起こりやすい!困る前にやるべき5つの対策

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい”お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする”お困り物件”コラム、第3回目は底地物件です。「底地」って何だ?土地はつまり地面なんだからみんな底にある土地じゃないか!?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「親から資産相続の話があって初めてそれを知った!」という方は多く、この「底地」の相続や売買時にはトラブルが起こりやすいもの。では、底地で困る前にやるべき対策はどんなものがあるでしょうか?

お困り物件買取事業

底地と借地とは?

そもそも「底地」には対となる言葉があってそれが「借地」です。一つ土地があればそこには必ず所有者と使用者がいるため、土地を貸している地主さんから見てその土地は「底地」、一方で土地を借りている借地人さんから見てその土地は「借地」といいます。そして地主さんは土地に建物を建てて使用することを借地人さんに認めることで地代をもらう「底地権」を持ち、借地人さんは地代などを払うことで建物を建てて土地を使うことができる「借地権」を持っているというわけです。

ちなみに、固定資産税などは地主さんが払い、借地人さんは地主さんに地代のほか、20年に一度の更新料、建て替え時にはその承諾料を払うというのが慣例です。

底地の相続はトラブルが起こりやすい

日本では、土地を借りる側である借地人さんの立場を法律で強く保証しており、建物がなくなり更地になるなど、よほどのことがない限り土地を借り続けられることになっています。特に1992年の法改正以前に結ばれた契約においてはこれが顕著で、この点が地主さんにとって「底地の相続はトラブルが起こりやすい」と言われる所以と言えます。では、底地の相続において具体的にはどんな問題があるでしょうか?

①地主さんは自由に土地が使えない

まず、地主さんは借地人さんの建て替える意向があった際にそれを拒否することはできないため、建物がそこにある限り自由に土地が使えないということになります。この観点からすると地主さんにとってのメリットは、借地人さんが第三者に借地権を売却するにはまずは地主さんに買取りの意向を確認しなくてはならない「介入権」がありつつも、地主さんは借地人さんの意向に関係なく底地権の売却が可能なところとなります。

②底地権の売却額は安い

ただ、いくら自由に売却できるといっても一般に底地権の売却額は低いと言われています。更地の評価額は100%の所有権に対して借地権+底地権でも70〜80%にしかならず、地域によって違う権利割合も加味すると30%にも満たないかもしれません。まして、どれだけ安かろうとリスクが高いため嫌がられ、買い手が付きにくいということがあります。

③土地の収益性が低い

しかも地主さんがもらえる地代はかなり安い金額になってしまうことは実際多く、「ずっと借地のままでいい、その方が得」と考える借地人さんもいるかと思われます。言い換えると地主さんからすれば「一度貸したら二度と返ってこない収益性の低い土地」と言っても過言ではないのです。

④相続税の課税対象になる

さらに言えば、底地権は相続税の課税対象になり、更地価格の3割に対して相続税がかかります。それにも関わらず、借地人からもらえる金額は低めになってしまうのですから、相続しても元が取れないじゃないか!回収しきれないよ、と頭を抱えてしまう方は多いのです。

⑤借地人さんとのトラブルになりやすい

このように地主さんにデメリットが多く、借地人さんにとってはメリットばかりかと言うとそうでもありません。それは地代を代々何十年も払ったとしてもその土地を自分のものにならないばかりか、結果、総額で言えば「すでに周辺の相場価格以上を支払っていた!」なんてこともあるわけです。まして、先述した通り第三者への売却には地主の許可がいる上、借地権の売却価格も相場よりもかなり低いし売れにくいのが実情。実際に売却する際には測量もしなくてはならないので地主さんの協力は必要不可欠です。

こうして見ると、「底地」と「借地」には利権が複雑に絡み合っていて、地主さんと借地人さんがトラブルになってしまいやすいと言うのも、想像に難くないのではないでしょうか?

底地の相続で困る前にやるべき5つの対策とは?

もしもそうした地主さんと借地人さんが解決していないトラブルを抱えたまま、地主さんが亡くなってしまい底地の相続をするような事態が発生してしまうと、より権利関係が複雑になるため、さらに解決するのが難しくなってしまいます。ここからはそんな底地の相続で困る前にやるべき対策を5つ紹介します!

①複数の相続人がいる場合は単独名義にして、地代は適正価格を調べておく

そもそも借地人さんと交渉することを考える前に、地主さん側での親族同士の内輪揉めを防ぐために底地の名義は単独にしておくことが大事です。もちろん所有自体は共有名義でも可能ですが、いらぬ争いに時間を失い借地人どころか身内で関係が悪くなるリスクがあります。
また、明確な指標を持たずに当事者同士の話し合いなどの合意で決まっていた地代が決まっていた場合、その適正価格を調べておくことは、水掛論にならずに借地人さんと客観的に話を進める上で重要になります。ちなみにあくまで慣例程度の基準ですが、地代は固定資産税+都市計画税の3〜5倍が適正値だと言われています。

②底地権を借地人さんに売却することを検討する

そうした上で借地人さんと交渉するとして一番話が早いのは、底地権を借地人さんに売却することです。先述したとおり、それぞれの権利単体では相場よりも大きく見劣りする売却価格も、完全所有権にしてしまえば一気に相場価格になりますし、住宅ローンも使えるようになります。借地人にしてみれば大きなメリットですし、交渉次第では第三者に売却するより高く、底地権を買い取ってもらえるかもしれません。

③底地・借地を同時売却することを検討する

その完全所有権の流れから考えると、底地・借地をあわせて第三者に同時に売却する方法もほぼ相場通りになる可能性があります。この場合、自らの住宅として使っていた借地人なら譲渡益に対する3000万の特別控除も受けられるので、税金面でも有利となります。ただ、地主さんと借地人さんの双方の人生設計のタイミングや相互の合意が必要なので、やや難易度は高いと言えるでしょう。

④土地を分けて価格を明確にして等価交換することを検討する

相互の合意を取るというやり方としては、土地を分けて価格を明確にして等価交換するという方法もありえます。この方法は税金がかからないというメリットがありますが、土地を分割するわけですから土地がある程度広い場合のみ有効な対策となります。

⑤第三者もしくは底地の買取に強い不動産会社に売却も考える

地主さんと借地人さんとの話し合いによって何とかしようとしたとしても、どうにもうまくいかない、交渉が決裂してしまう、そんなこともあるかもしれません。それはこれまでの関係性にもよりますし、関係改善も一朝一夕にはいかないでしょう。ならば、第三者に売却することも検討するという方もいらっしゃいます。この場合、地主さんは借地人さんの許可は必要ありませんので、長期戦を覚悟して時間はかかっても買い手が付くまで粘ることも一つの作戦です。

「とにかく早く売りたい!」と考える地主さんもいらっしゃるかと思います。そんなときは、すぐに買い取ってもらえる底地の買取りに強い不動産会社に売却するというものも選択肢に入ってきますね。一般的には更地価格の10〜15%くらいの買取額になることが多いですが、後々の面倒を考えるとすぐに現金になることのメリットは小さくはありません。私たちエスエイアシストも底地の買取りは積極的に行なっていますので、そもそもどうしたらよいかわからないとか、近所の不動産屋さんに買取りを断られたなどお困りの際はぜひお気軽にご相談ください!

まとめ

「底地」と「借地」は対になる言葉で、土地を貸している地主さんから見てその土地は「底地」、土地を貸すことで地代をもらう権利を「底地権」と言い、一方、土地を借りている借地人さんから見てその土地は「借地」、建物を建てて土地を使うことができる権利を「借地権」と言います。

借地人さんの方が法的に有利になっているため、地主さんにとってこの土地は、
①借地人さんが土地を手放さない限り自由に土地が使えない
②底地権の売却額は安くて買い手がつきにくい
③もらえる地代はかなり安い金額のことも多く収益性が低い
④相続税の課税対象の上その元が取れない
⑥ 利権絡みで借地人さんとのトラブルになりやすい
といったデメリットの多い土地です。

そうした底地の相続で困る前にやるべきこととして、
①交渉を円滑にするため相続人は単独名義にして地代は適正価格を調べておくこと
②底地権を借地人さんに売却することを検討
③もしくは底地・借地を同時売却することを検討
④広い土地なら土地を分けて価格を明確にして等価交換することも検討
⑤どうにもならなければ第三者か底地の買取りに強い不動産会社に売却することも考える
これら対策5つをご紹介しました!

エスエイアシストでは、今回のような人間関係にトラブルが起こりやすい借地・底地、再建築不可など、困ってしまう”訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。今回ご紹介した底地に限らず、ほかの不動産会社で難色を示されてしまった物件をお持ちの方は、ものは試しとぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。

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