境界未確定の不動産は売却できない?トラブルを回避する解決策とは?

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい”お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする”お困り物件”コラム、第6回目は「境界未確定」です。

「境界未確定」の不動産とは、古くから隣地との境界が曖昧で未確定のままの不動産のことです。その不動産を売却する際にはトラブルを招いてしまうリスクがあるため、境界未確定の不動産は担保価値が著しく低いと言われています。
「そんなことあるの?」と思われるかもしれませんが、昭和以前の不動産売買では意外と多いものなんですね!もしかすると、あなたの土地も人ごとではないかもしれません。ここで「ドキッ!」としてしまうなら、ご自分の不動産の境界の確認方法と、もし未確定であったときの具体的な解決策、そして弊社の買取り実例までお話ししていきますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

お困り物件買取事業

境界未確定の不動産とは?

「境界未確定」の不動産とは、何らかの事情によって隣地との境界(境い目)が曖昧であり、古くから未確定のままの不動産のことです。よく言われるのは、昭和以前の不動産売買において、当時担当した土地家屋調査士の権限のみで計測・作成された測量図に、その不動産の所有者と隣地所有者の確認印もないといったケースがあります。

もし、不動産を売却するといった時には、売り主は買い主に対して隣地との境界を明確に提示する「境界明示義務」があります。ただ、これは法律で規定されているわけではなくて、境界未確定のままでも売却自体は可能です。とは言え、不動産の引渡し後にトラブルを招いてしまうリスクがあり、思いもよらぬ賠償を請求されないとも限りません。

また、境界未確定の不動産は、金融機関としても万が一の現金化がしづらいので、担保価値が著しく低く設定されがちであり、買い手にとっては住宅ローンも組みづらいことも相まって売却価格も低くなる傾向にあります。

その不動産の境界には種類がありまして、
①隣地所有者との境界
一つに「民民(みんみん)境界」があり、隣地所有者との境界となります。複数の隣地と接している場合は、それぞれとの境界を確定しておかなくてはなりません。
②公道との境界
そしてもう一つは「官民(かんみん)境界」です。各地方自治体が所有している公道との境界を指します。土地に建物を建てる際には、建築基準法で規定される接道義務(幅員4m以上の道路に土地が間口2m以上接さなければならない義務)を果たさなければなりませんが、そもそも境界が未確定であると新築することが出来ません。

「うちは大丈夫?」境界を確認するには?

そんな境界未確定の状況であっても、ふだん生活している分には何の問題もなくて意識する機会もありませんし、そもそも自らの家の土地にそんな問題があるとも知らないなんてことも起きうるわけです。いつしか事情により不動産を売却しようと検討すると、はじめて「青天の霹靂!潜在的問題が噴出!」とそんなことになり兼ねないんですね!

「うちは大丈夫?」と不安を感じたり、はたまた実際の売却時にそれに直面したときに、不動産の境界を確認するにはどうしたらいいでしょうか?

①境界(筆界)確認書を確認する

まずやるべきは、手元に「境界(筆界)確認書」があるかを確認することです。「境界(筆界)確認書」とは、隣地との不動産との境界をはっきりさせるために、測量(境界確定測量)を行い、結果確定した境界を証明する書類です。一般的に境界確定測量をしている不動産には、境界のポイントとして金属プレートやコンクリート杭といった境界標が埋め込まれています。ただし、何らかの事情でそれが撤去されている事象もあるので注意が必要です。

②測量図を確認する

また、測量図があるか確認します。測量図には数種あり、あれば安心して売買できる最上位は「確定測量図(境界確定図面)」といい、測量後に全ての隣地所有者の立会いを経て境界確定して署名捺印したものです。
次に「地積測量図」があり、法務局に申請書類として保管されており、誰でも取り寄せられますが、昭和以前のものでは当時の測量技術の問題や取り決めが曖昧なこともあり、誤差が大きい図面と言えます。
最後に「現況測量図」があります。これについては参考程度とみてください。隣地所有者の立会がなかったり、現況を測っただけだったり、署名捺印もなかったりもします。

③境界塀や越境物を確認する

そして、問題になりがちなのが、境界塀や越境物です。土地の境目として境界塀は分かりやすいと思うかもしれませんが、塀には厚みがありどこに境界があるのか分かりません。自らの土地の内側なのか外側なのか、はたまた真ん中なのか、塀の所有者はどちらなのか共有なのか、調べないと分からない場合もあります。また、境界を超える樹木や構造物といった越境物をどうするのかといった問題もあります。

境界トラブルを回避する解決策とは?

それらを踏まえて、不動産を売却時にトラブルを出来る限り回避する解決策についてお話ししたいのですが、その上で抑えておきたい概念があります。

ここまでお話ししてきた「境界」には、「筆界」と「所有者界」という考え方があります。
①筆界
はじめに「筆界(ひっかい)」とは、「公法上の境界」です。それは不動産登記法によって存在するものであり、当事者間の話し合いで勝手に変更できない「一筆の土地の外縁」の線形のことです。
②所有権界
一方で「所有者界」とは、「私法上の境界」です。過去からずっと話し合いによって変化させながら継承されてきて、塀や垣根などで物理的に表せられた線形のことです。

この「筆界」と「所有者界」が一致していれば話しは早いのですが、古くから曖昧なまま継承されてきた土地ではそうもいきません。潜在的なそれらの不一致というのが、多くのトラブルを引き起こす原因になると言えます。「筆界」と「所有者界」の関係性を検証して、その不一致を引き起こした一つひとつを慎重に一致させていく努力が、トラブルを回避するために重要な解決策になります。

具体的な方法を説明しますと、
①境界(筆界)確認書を作成する
・登記簿や地図、地積測量図といった法務局や役所に保管されている資料をもとに測量して、境界点の位置に仮杭を設置する。
・隣地所有者や役所の担当を招き、現地で境界を確認する。
・双方が納得の上で、コンクリートなどの杭で「永久境界標」を設置する。
これらを経て「境界確定図面」と「境界確認書」を作成し、署名捺印をします。

②越境の覚書を締結する
越境には、隣地から越境を受けている場合もあれば、こちらが越境させてしまっている場合もあります。売却するのであれば、撤去などして問題を解消したいところですが、すぐに解消できない場合もあり得ます。
そんな時は「越境の覚書」として、
・その越境は隣地所有者も認識しているのか
・将来越境の解消をする意思はあるか
といったポイントを抑えて締結します。

「隣地所有者との話し合いがまとまらない!?」そんな時の対処法!

と、しかしです。「隣地所有者さんとの話し合いがまとまらない!?」ということもしばしば起こるもので、双方の主張の食い違いや長年の人間関係のもつれなど、さまざまな理由があるかと思います。そんなときの対処方法についても踏み込んでお話しします。

①筆界特定制度を利用する

その不動産を管轄する法務局が間に入り筆界を特定する「筆界特定制度」を利用するというものがあります。この制度は法的な拘束力がないため、事前に隣地所有者間で「その結果には従う」という合意が必要となります。「法的拘束力がないのになぜ利用する?」と思うかもしれませんが、結果がでるまでが比較的早いことがメリットですとなります。

②境界確定訴訟をする

ただ法的拘束力に頼らないといけないケースならば、裁判所に境界の確定を求めることもあります。それが「境界確定訴訟」です。ただし、「境界確定訴訟」は結審するまでに、裁判費用が発生するばかりか、およそ2〜3年もの期間を要します。金銭的・時間的、及び労力を使うばかりか、その間もお隣関係は続くので、心的にも消耗してしまうかもしれません。

③買取り専門不動産会社に売却する

「お隣さんと訴訟なんて嫌だ!」というのが人情でしょうし、または、それ以前に土地家屋調査士さんや測量会社さんといったアテがないという人もいるでしょう。そんな時は、はじめから境界未確定の不動産の扱い経験やノウハウのある買取り専門の不動産会社さんに、話を持っていくというのもアリな選択かと思います。

隣地所有者との境界トラブルのあった不動産の買取り実例!

ここからは弊社エスエイアシストにおける、隣地所有者さんとの境界トラブルのあった不動産の買取り実例(担当者の経験)をご紹介します!

「数年前、60歳代のご兄妹から、親御さんが亡くなって相続された、ご兄妹も子どもの頃に住んでいた大宮の実家を買い取ってほしいとご依頼がありました。一見、何の問題も無さそうなお話しですが、実は大きな問題を抱えていて、今まで数社の不動産仲介会社に相談したそうですが、全く買い手があがってくれない土地だったのです。
ここで何が問題だったかと言うと、その土地は隣地の方とご兄妹の親御さんとの間で、土地の境界(土地の境目)を巡ってモメていたそうなのです。先述のように土地を売却するには、正確な広さや場所を測る測量を済ませ、隣地との境界を確定しておく必要があります。それらは当事者間だけで行うのではなく、通常は不動産屋さんに相談すれば土地家屋調査士さんを紹介してもらい実施する流れとなります。しかし、このお宅ではご兄妹はもちろん土地家屋調査士さんを通じてお願いしても、隣地の方はどうしても境界確定の署名捺印をしてもらえなかったそうです。
こういったトラブルのある土地は、弊社にとっても多少のリスクはありますので、事情を承知の上での判断として、ご兄妹には相場よりは少し低い買取り金額の提示にはなりました。それでもご兄妹からは「どこにも断られたのに引き受けてくださって、本当にありがとうございます!」との感謝のお言葉を頂きました。
その土地を弊社で買い取った後に隣地にご挨拶させて頂くと、全く問題なく境界確定の署名捺印をして頂けました!(不思議ですね〜)この隣地の方によく話しを聞くと、以前に隣地の方ご自身も同じように必要になって、ご兄弟の親御さんに測量と境界確定のお願いをしたそうですが、ボタンの掛け違いがあったのか何なのか、どうしても境界確定の署名捺印をしてくれなかったそうです。「だから今回も断ったのだけど、所有者が代わったのなら断る理由もないし…」とすんなりとご承諾頂けたのです。こんなにスムーズに話が済むのはレアケースではありますが、皆さんから感謝頂き良い仕事ができました!」

まとめ

「境界未確定」の不動産とは、昭和以前の不動産売買で多く見られた、隣地との境界が曖昧で未確定のままの不動産のことです。その不動産を売却する際、境界未確定のままでも売却自体は可能ですが、不動産の引渡し後にトラブルを招いてしまうリスクがあるため、売り主は買い主に対して隣地との境界を明確に提示する「境界明示義務」を果たすことが重要です。また、境界未確定の不動産は担保価値が著しく低く、買い手にとっては住宅ローンも組みづらくて売却価格も低くなる傾向にあります。

その不動産の境界の種類は、隣地所有者との境界である「民民(みんみん)境界」と、公道との境界「官民(かんみん)境界」があり、それらの境界が未確定でも、ふだん生活している分には何の問題もありません。しかし、いざ不動産を売却しようと検討した時、はじめてそんな潜在的な問題があったことに気づくケースが多くあります。

「うちは大丈夫?」と不安な時に、不動産の境界や問題を確認するには以下の通り。
①境界(筆界)確認書と境界標を確認する。
②測量図である「確定測量図(境界確定図面)」「地積測量図」の署名捺印を確認する。
③境界塀の所有権や越境物の有無を確認する。

不動産を売却時においては、古くから曖昧なまま継承されてきた土地の、不動産登記法上の「筆界(公法上の境界)」と話し合いによって変化させてきた「所有者界(私法上の境界)」の概念がとても重要です。それらの潜在的な不一致というものを、慎重に一致させていくことが、境界トラブルを回避する解決策となります。

具体的な解決策として、
①専門家と当事者立ち会いのもと境界(筆界)確認書を作成する。
②越境物の撤去が難しい時は覚書を締結する。
といったことを行います。

ただし、「隣地所有者さんとの話し合いがまとまらない!?」こともあり得ます。そんな場合は、
①法務局が間に入り筆界を特定する「筆界特定制度」を利用し短期解決を目指す。
②金銭的・時間的・心的な労力をかけ境界確定訴訟により法的に解決する。
といった方法をとりますが、「お隣さんと訴訟なんて嫌だ!」と思うなら、境界未確定の不動産の扱い経験やノウハウのある買取り専門不動産会社に売却するという選択肢があります。

私たちエスエイアシストでは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、数々の困ってしまう”訳あり物件”の実績があります!もちろん、実例のお話しにもあったように、境界未確定の不動産の買取りで感謝して頂くことも多いのです!ほかの不動産会社で難色を示されてしまった物件をお持ちならば、ぜひ一度エスエイアシストにご連絡ください!お待ちしています。

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