別居中でも共有持分だけは売却できる?同意なしで揉めずに現金化する進め方

独自のノウハウにより、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、他の不動産会社では取り扱いづらい「お困り物件」を解決に導いてきた、不動産・用地開発のスペシャリスト・株式会社エスエイアシストがお届けする「お困り物件コラム」。第168回目は「別居中の共有持分の売却」です。

「別居中で共有名義の家に相手が住み続けている」「話し合いも進まず、名義も財産も宙ぶらりんのまま…」そんな状況に悩んでいませんか?結論から言うと、家全体は相手の同意なしには売れませんが、自分の共有持分だけなら単独で売却できます。ただし、進め方や売り先を誤ると、かえって相手と揉めてしまうかもしれません。

今回の記事では、別居中に共有持分を売却する仕組みと注意点、(できるだけ)揉めずに現金化する進め方とタイミングまでを整理します。読み終えれば、今何から動けばよいかが見えてくるハズです。ぜひ最後までお付き合いください。

お困り物件買取事業

別居中でも共有持分だけは同意なしで売却できる

今は夫婦共働きの世帯は多く、ペアローンを組むケースも増えてきました。ただ、仲が良い時期は良いですが、それから仲違いをするようになったとき、その家の扱いは一気に難しくなります。それは、夫婦間での共有名義になるからです。

そもそも「共有持分」とは「一つの不動産を複数人で持つときの、各自の権利の割合」を指します。夫婦で2分の1ずつ、といった形です。家そのものを物理的に分けるのではなく、権利の割合を持ち合っている状態をいいます。

こういった共有名義の不動産は、「家全体」と「自分の持分」で扱いが大きく分かれます。ここを切り分けて考えると、複雑に絡み合った状況がほどけていきます。

①家全体を売るには共有者全員の同意が必要
まず、家という一つの不動産をまるごと売る場合、共有者全員の合意が要ります。共有物全体を売却(処分)したり、大きな変更を加えたりするには、他の共有者の同意が必要と定められているためです(民法第251条)。もし、別居中の相手が売却に反対していれば、家全体の売却手続きは前に進みません。

②自分の共有持分だけなら単独で売れる
一方、自分が持っている「共有持分」だけを売ることは、相手の同意なしにできます。所有者は自分の財産を自由に処分できると定められており(民法第206条)、持分はそれぞれの共有者にとって自分自身の財産だからです。

別居中は、相手の同意を待つほど時間だけが過ぎていきます。自分の持分なら相手の返事を待たずに動けるという点を、まず押さえておきましょう。

なぜ別居中の共有名義はこじれる?

とはいえ、共有持分の売却を実行するのに二の足を踏んでしまう人が多いのではないでしょうか?ただ、別居中の共有名義をそのままにしておくと、時間の経過とともに負担が偏っていきます。

①相手に話し合いに応じてもらえない
「子供を転校させたくない」「住み替えたくない」などといった理由で、相手が家に住み続け、売却の相談に応じないケースは少なくありません。家全体は同意がなければ動かせないため、話が止まったまま膠着してしまいます。

②費用の負担が一方に偏る
片方だけが住んでいる状態でも、固定資産税や管理費、住宅ローンなどの支払いは、別居後もどちらかが負担し続けることになりがちです。負担が偏ったまま放置すると、後から過去の立て替え分を一括請求されて揉めるなど、離婚時の清算がこじれる火種になります。

③名義を放置するほど清算が難しくなる
そして、そのまま年月が経つと、相手と連絡が取りにくくなったり、関係がこじれたりして、あとからの整理が一段と難しくなります。住宅ローンが残る家では、名義を相手へ移すにも金融機関(債権者)の承諾が必要な場合が多く、残債が価格を上回るオーバーローンでは、分けられる価値が残らないこともあります。

別居が長引くほど、金銭の負担も感情のもつれも積み上がっていきます。だからこそ、早い段階で選択肢を知っておくことに意味があります。

共有持分を売却した「その後」に起きること

その中にあって、最も見落とされやすい点があります。共有持分の売却は「売って終わり」ではありません。売ったあとに起きることまで見ておく必要があります。

①買主は相手の「新たな共有者」になる
自分の共有持分を第三者に売ると、当然ながらその買主が相手(配偶者)の新しい共有者になります。相手からすれば、ある日を境に、見知らぬ相手と家を共有する状態になるわけです。

②協議が調わなければ裁判所での分割に進む
その新しい共有者と相手の話し合いがまとまらないとき、共有者はいつでも共有物の分割を請求でき、協議が調わなければ裁判所に分割を求められます(民法第256条・第258条)。

③どこに売るかで揉め方が変わる
こうした共有者間で対立するような展開になるかどうかは、どの買主(業者)に売るかで大きく左右されます。もし買主が、相手への配慮を欠いた進め方をするようであれば、かえって元夫婦間の対立も深めてしまうこともあります。

別居中は相手と冷静に話しづらいものです。それだけに、売り先の選び方が、その後の平穏を大きく左右します。

「共有持分の売却と税金」損しないタイミング

また、具体的な売り方を考える前に、別居中ならではの「時間」と「税」の関係を押さえておきましょう。

①財産分与の請求には期限がある
一つ目に、離婚に伴う「財産分与(離婚に伴い夫婦が婚姻生活で築いた財産を公平に分ける制度)」について、家庭裁判所へ請求できるのは、離婚した日の翌日から5年までです。別居から離婚までが長引くほど、その先の請求期限も意識しておきたいところです。なお、直近の法改正により、令和8年4月1日より前に離婚した場合は、経過措置として2年が期限になります。

②住まなくなった家でも一定期間内であれば控除は消えない
二つ目に、「居住用不動産の3,000万円特別控除」は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、使える余地があります。この期限は住まなくなった日から数えるため、別居が長引くほど、使える猶予は静かに削られていきます。

ただし、夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外のため、離婚が成立する前に配偶者へ売ると使えません。逆に言えば、離婚成立後であれば控除を使える可能性があります。

③渡す側ともらう側で課税が違う
三つ目に、財産分与で不動産を渡した側には、原則として譲渡所得税がかかります。反対に、財産をもらった側には、通常、贈与税はかかりません。自分の持分を相手に渡すのか、相手の持分をもらうのかによって税金の扱いが変わる点には注意が必要です。

税の細かな計算にひとりで頭を悩ませるより、期限だけ頭に置いておくほうが現実的です。売却と清算のタイミングは、不動産査定とあわせて相談すると、一度で整理できます。

揉めずに共有持分を売却して現金化する進め方

では、売却と税金のタイミングを押さえたら、順序を踏んで対立を最小限にしながら、自分の持分を現金化していきます。

①住宅ローンと抵当権を確認する
はじめに、住宅ローンや抵当権が残っていないかを確認します。ローン残高や抵当権の状況によっては、売却の進め方や受け取れる金額に影響することがあります。共有持分だけの売却でも個別の事情で扱いが変わるため、事前に金融機関や専門家へ相談しておきましょう。

②相手への打診から専門業者へ
次に、相手に自身の持分の買い取りを打診します。相手が単独名義にしたいと望む場合は、円満に進みやすいものです。応じてもらえない、あるいは連絡が取れないときは、共有持分のようなお困り案件を専門に扱う買取業者に相談します。

③話し合えないときの公的な窓口
さらに、当事者だけで話し合えないときは、公的な手続きも使えます。離婚前の別居中は、「夫婦関係調整調停(離婚)」の中で財産分与を話し合えます。離婚後に協議が調わない場合は、「財産分与請求調停」を利用します。

別居中で相手と直接話しづらいときほど、手順と相談先を先に知っておくと、落ち着いて動けます。

共有持分買取という選択肢と業者選びの勘どころ

最後に、「相手と直接やり取りができない」「自分の判断で前に進めたい」といった人に向いている選択肢をお伝えします。それが、「共有持分の買取」です。

ここで、多くの方が抱く不安に先に触れておきます。「自分の持分を売ったら、相手に迷惑がかかるのではないか」という気持ちです。共有持分の売却は、相手の同意も費用の負担も求めませんが、その売却先が、相手の立場を一切考えないようでは困ります。

その点、実績のある業者であれば、相手へ配慮しながら打診を進めるため、相手の暮らしをいきなり脅かしたり、急な裁判に発展したりするわけではありません。その判断が「薄情な選択ではない」と知っておいてください。

①早く現金化できるが売却価格は低い傾向にある
まず、共有持分買取は相手の同意がなくても、すぐに現金化でき、周囲に知られずに進めやすい方法です。ただし、買取業者は他の共有者からも持分を買い取り、完全な所有権(単独名義)にしてから売却して利益を得る仕組みのため、一般の売却に比べて価格が低い傾向にある点は、正直にお伝えしておきます。

②業者選びで結果が変わる
また、共有持分の買取は、専門性が高い分野です。実績の少ない業者に依頼すると、相手への対応を誤り、結果的にトラブルになることもあります。「揉めずに」現金化するには、買取実績やノウハウが豊富で、相手への配慮まで含めて慎重に進められる業者を選ぶことが決め手になります。

③複雑な事情ほど実績が生きる
さらに、別居や離婚が絡む共有持分は、複雑な事情が入り組みやすいものです。買取実績を公表しているような、こうしたケースに慣れた業者に相談すると、対立を抑えながら出口を組み立てやすくなります。

売れるかどうかよりも、「誰に売るか」で結果が変わります。別居中の共有持分は、ひとりで抱え込むほど選べる道が狭まっていきます。だからこそ、まずは共有持分の買取実績が豊富な業者に、無料査定と相談から始めてみてください。

今いくらで売れるのか、相手とどう進めればよいのかを、査定とあわせて一度に整理できます。そうすることで、相手と直接ぶつからずに、自分のペースで一歩を踏み出せます。

まとめ

今回の記事では、別居中に共有持分を売却する仕組みと、揉めずに手放すための進め方を解説してきました。

そもそも「共有持分」とは「一つの不動産を複数人で持つときの、各自の権利の割合」を指します。こういった共有名義の不動産は、「家全体」と「自分の持分」で扱いが大きく分かれます。
①家全体を売るには共有者全員の同意が必要
②自分の共有持分だけなら単独で売れる

別居中の共有名義の問題には以下のようなものがあります。
①相手に話し合いに応じてもらえない
②費用の負担が一方に偏る
③名義を放置するほど清算が難しくなる

そして、そのまま年月が経つと、相手と連絡が取りにくくなったり、関係がこじれたりして、あとからの整理が一段と難しくなります。

その中にあって、共有持分の売却後のポイントは以下です。
①買主は相手の「新たな共有者」になる
②協議が調わなければ裁判所での分割に進む
③どこに売るかで揉め方が変わる

それだけに、売り先の選び方が、その後の平穏を大きく左右します。また、別居中ならではの「時間」と「税」の関係を押さえておきましょう。
①財産分与の請求には期限がある
②住まなくなった家でも一定期間内であれば控除は消えない
③渡す側ともらう側で課税が違う

税の細かな計算にひとりで頭を悩ませるより、期限だけ頭に置いておくほうが現実的です。売却と清算のタイミングは、不動産査定とあわせて相談すると、一度で整理できます。

では、順序を踏んで対立を最小限にしながら、自分の持分を現金化していきます。
①住宅ローンと抵当権を確認する
②相手への打診から専門業者へ
③話し合えないときの公的な窓口

別居中で「相手と直接やり取りができない」「自分の判断で前に進めたい」といった人に向いているのが、「共有持分の買取」です。
①早く現金化できるが売却価格は低い傾向にある
②業者選びで結果が変わる
③複雑な事情ほど実績が生きる

共有持分の買取は決して「薄情な選択」ではありません。売れるかどうかよりも、「誰に売るか」で結果が変わります。

私たちエスエイアシストは、複雑な事情が絡む共有持分をはじめ、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、扱いが難しい「お困り物件」のご相談を数多くサポートしてきました。
「どこに相談すればいいか分からない」「家族に迷惑をかけたくない」と感じている方こそ、ひとりで抱え込まず、まずは現状をお聞かせください。お客様の状況やご希望を踏まえ、無理のない出口プランを一緒に考えます。お困りの物件でお悩みの方は、ぜひエスエイアシストまでご相談ください。

【参考エビデンス・出典】

・民法(e-Gov法令検索)
共有持分の単独処分(第206条)、共有物の変更・同意(第251条)、共有物分割請求(第256条・第258条)の根拠。
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

・国税庁 タックスアンサー(No.3302・No.3314・No.3114・No.4414)
3,000万円特別控除と売却期限・特別の関係がある人への売却は対象外、財産分与で渡す側の譲渡所得課税・もらう側は原則贈与税なしの根拠。
URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

・裁判所「財産分与請求調停」
財産分与請求の期限(離婚日の翌日から5年・令和8年3月以前の離婚は経過措置2年)、別居中は夫婦関係調整調停を使う点の根拠。
URL:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_04/index.html

・法テラス「ローンが残る住宅の財産分与」
オーバーローンの扱い、名義変更に債権者の承諾が必要な場合が多い点の根拠。
URL:https://www.houterasu.or.jp/site/faq/rikon-bunyo-004.html

・ダーウィン法律事務所「共有持分買取」
実績の少ない業者はトラブルになり得る点、実績豊富な業者を選ぶ重要性の根拠。
URL:https://realestate.darwin-law.jp/topic/1142/

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