独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい”お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする”お困り物件”コラム、第50回目は「敷地設定で再建築可能にする」です。
法定道路と十分に敷地が接しておらず、再建築ができない土地をお持ちの方。「建て替えもできない」「不動産価値が低くて売却もできない」となると、それは深刻な悩みだと思います。そうなんです、建築基準法により、敷地が一定の条件を満たさなければ、再建築はできないんですよね。そこで、「敷地設定」という手法を用いることで、この問題を解決する糸口を見いだせるかもしれません。
敷地設定とは、隣地の一部を一時的に自己の敷地とみなし、建築確認申請をするプロセスです。この方法によって、建築基準法で求められる接道義務を満たすことができ、再建築を可能にすることができます!
この記事では、敷地設定によって建築基準法上の接道義務をクリアし、再建築可能にして不動産としての価値を上げる方法について、分かりやすく解説します。ご自身の土地を再建築不可の状況から脱却させ、潜在的な価値を最大限に引き出しましょう!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ!
敷地設定とは?接道義務の基本理解!
この「敷地設定」とは、建物の建て替えや大規模改修を行う際に、建築基準法に定められた「接道義務を満たすため隣地さんの土地(他人地)の一部を自己の敷地とみなし、建築確認申請をする法的手段」です。
「再建築不可物件」というものがありますね?それは、その土地の形や広さなどの問題から、法定道路に十分に敷地が接していないことで「接道義務」を満たせず、建築基準法上で再建築が認めてもらえない物件のことです。こういった土地には以下のような問題点があります。
・不動産としての価値が低い
・金融機関の融資を受けにくい
・法的制約により利用方法に制限がある
そんな再建築不可物件でも、敷地設定をして建築基準法の要件を満たすことができれば、「再建築可能にできるかも!」というワケです。
では、そもそもその要件である接道義務とは何なのでしょうか?接道義務とは、「敷地が幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接しなければならない」という法律の規定です。これがクリアできなければ、新しく建て替えることはできません。
接道義務を満たして再建築可能にする方法は、今回の話題である敷地設定の他に、以下のようなものもあります。
・隣地の一部を購入もしくは借りる
・ただし書き道路(特例)を認めてもらう
・セットバックにより前面道路を広げる
といった方法もありますが、ハードルは高く、
・恒久的解決ではないことがある
・高額なお金がかかる
・建築できる土地が小さくなる
などのデメリットがあります。
それぞれ良し悪しがあるワケで、敷地設定も同様ですが、可能ならハードルは低め。
敷地設定のメリット・デメリット!
では、そのあたりを深掘りします。敷地設定によって接道義務をクリアし、不動産の再建築の可能性と価値を高める方法には、メリットとデメリットがあります。
敷地設定のメリットは以下のようなもの。
①コストが安い
ひとつにコレ。隣地さんの土地の一部を、買うにせよ借りるにせよお金がかかります。また、セットバックして前面道路の幅員を広げるにしても、工事費の出費が発生します。一方で、敷地設定ならこれらの出費はなく、コストが安くすみます。
②有効宅地面積が減らない
もうひとつに、先述したセットバックのように敷地のラインを後退させると、有効宅地面積が減ってしまいますが、敷地設定では減るということもありません。
では、「デメリットは?」というと、コレに尽きます。「敷地設定する土地に住む隣地さんとのトラブルに注意」すること!
とは言え、実のところ建築基準法の条文においては、「自身の土地にしか建物を建ててはいけない」といった文々は書かれていません。であるので、理屈上は敷地設定によって、勝手に隣地さんの土地を自らの土地とみなして、建築確認申請したとしても建築確認はおりてしまいます。建築基準法上で違法でなければ、「隣地さんの同意は不要だ!」ということになります。
ただ、だからといって、倫理的に問題がないかは別問題。隣地さんからすれば「自分の土地を勝手に利用して建て替えをしている!」と怒ったとしても無理はないでしょう。しっかりと同意をもらい必要な手続きを行えば、何の問題もなかったかもしれないのに、万が一訴えられてしまうと、以降の工事が止まったり、刑事罰にもなりかねません。それは日頃から、しっかりとコミュニケーションをとり、良好な関係作りが大切だということですね。
また、もし今、隣地さんからの同意を得られたとしても、将来的な相続や売却によって隣地所有者さんが変わった場合、口約束レベルだと心許ないことになります。合意したものが無効にならないための対策が重要となってきます。
敷地設定で接道義務をクリアする具体的方法!
それでは、敷地設定で接道義務をクリアする具体的方法に入ります。
①隣地所有者との同意書を作成する
まず敷地設定では、先述のとおり隣地さんの明確な同意は、もはや必要不可欠!敷地設定を行う前に、隣地さんとの話し合いを重ね、同意書を作成し、両者の合意を文書化することが大切です。
その同意書には、敷地設定の期間、範囲、必要な場合は敷地利用料、境界確定方法などを明記します。署名・捺印も忘れずに。誤解の余地をなくすために、分かりやすい言葉で明確に記述しますが、必要な場合は専門家に相談し、法的に問題がないか確認します。
②各自治体の条例にも注意する
また、建築基準法には基づいていても、各自治体によっては、敷地設定に関する条例が異なる場合があります。敷地設定を行う前に、お住まいの自治体の条例を確認し、遵守することが重要です。条例では、敷地設定の条件、期間、敷地利用料の上限などが定められているかもしれません。これらを熟知して敷地設定が認められるように準備します。
③手続きの流れ
それでは、実際に敷地設定をして建て替える際の、手続きの流れを解説します。
・敷地設定における建て替えに精通した建築士を選ぶ
・隣地所有者との合意は早期に完了させて同意書を取り交わす
・敷地設定を反映させた図面の作成をする
・建築確認申請をして承認されれば建築確認済証が交付される
・建て替え完了後の完了検査を受け検査済証が交付される
敷地設定は、適切な専門家と協力しながら進めることが重要です。
再建築可能にすれば不動産価値が上がる!でも無理なら?
こうして敷地設定を成功させて、再建築が可能にすることができれば、住宅以外にも活用の幅が広がり、不動産価値が上がることにも繋がります。それは、建て替えてこれからも便利に暮らせるとともに、将来的には相場通りの売却をする上でも安心感があります。
でも、です。隣地さんとの人間関係がうまく行かず、土地の一部購入や借りることはおろか、今回の敷地設定の同意を得ることすら無理なら、「どうすればいいのやら…」と頭を抱えそうです。再建築不可物件は、不動産市場での価値が著しく低下します。住宅ローンといった融資も難しく、当然、買い手さんも見つけにくいものです。
そんな時は以下の方法で有効活用します。
①現状の建物を活かす
まずは、現状の建物を活かしてリフォームやリノベーションをすることで、新たな価値を生み出します。再建築不可物件は一度更地にしてしまうと建物は建てられませんが、条件にもよるものの、一部を残して新築に近い状態にすることは可能です。そのまま住むのはもちろん、カフェやレストラン、シェアハウス、民泊として貸し出すなど、多様な活用方法が考えられます。
②各自治体の支援をもらう
次に、空き家の活用に関して、各自治体による支援や相談窓口が設けられていることがあります。最近は空き家法の改正などもあり、注目が集まっています。例えば、有名なものでは「空き家バンク」がありますね。
③隣地所有者に売却する
そして、隣地さんに土地を売却する方法もあります。「だから人間関係がこじれてて…」と思うかもしれませんが、隣地さんに「今より大きな家を建てたい」などといったニーズがあれば、話は別。または、一緒に売却したいかもしれません。一般に敷地が大きくなれば、価値も上がるからです。ここは第三者の専門家さんを通して打診してもいいかもしれません。
④不動産買取業者に売却する
最後に、どうにもならない時の最終手段です。不動産買取業者さんに直接売却する方法です。買取業者さんはそうして購入した土地に、付加価値をつけて転売するため、その特性上そこまで高く買い取ることはできません。どうしても相場よりも売却額は低くなります。
それでも、実績とノウハウがある買取業者さんであれば、少しでも高く買い取ってくれるハズなので、業者選びは超重要です!
良い買取業者さんを選べば、メリットは大きいです。
・即買取で即現金化できる
・直接取引で仲介手数料がかからない
・現状のまま買取してもらえる
敷地設定で接道義務がクリアできず、再建築不可物件の扱いに困ったら検討してみましょう!
まとめ
というワケで、今回の記事では、敷地設定によって建築基準法上の接道義務をクリアし、再建築可能にして不動産としての価値を上げる方法について、分かりやすく解説してきました。
この「敷地設定」とは、建物の建て替えを行う際に、「接道義務を満たすため隣地さんの土地(他人地)の一部を自己の敷地とみなし、建築確認申請をする法的手段」です。
「再建築不可物件」は、「接道義務」を満たせず、再建築が認めてもらえない物件のことで、以下のような問題点があります。
・不動産としての価値が低い
・金融機関の融資を受けにくい
・法的制約により利用方法に制限がある
そんな再建築不可物件でも、敷地設定をすることで再建築可能にすることができます。
では、そもそも接道義務とは、「敷地が幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接しなければならない」という法律の規定です。これがクリアできなければ、新しく建て替えることはできません。
接道義務を満たして再建築可能にする方法は、
・隣地の一部を購入もしくは借りる
・ただし書き道路(特例)を認めてもらう
・セットバックにより前面道路を広げる
といった方法もありますが、ハードルは高いです。
一方で、敷地設定によって接道義務をクリアするには、ややハードルが低いものの、メリットとデメリットがあります。
敷地設定のメリットは以下のようなもの。
①コストが安い
②有効宅地面積が減らない
では、デメリットは「敷地設定する土地に住む隣地さんとのトラブルに注意」すること!ですが、実のところ建築基準法では、敷地設定のための隣地さんの同意は不要です。
ただ、倫理的に問題がないかは別問題で、「自分の土地を勝手に利用して建て替えをしている!」と万が一訴えられてしまうと、刑事罰にもなりかねません。そのため日頃から、良好な関係作りが大切だということです。
また、隣地さんからの同意を得られたとしても、将来的な相続や売却によって隣地所有者さんが変わった場合に無効にならないための対策が重要となってきます。
敷地設定で接道義務をクリアする具体的方法。
①隣地所有者との同意書を作成する
敷地設定では、敷地設定を行う前に同意書を作成し、両者の合意を文書化することが大切で、その同意書は分かりやすい言葉で明確に記述し、必要な場合は専門家に相談し、法的に問題がないか確認します。
②各自治体の条例にも注意する
各自治体によっては、敷地設定に関する条例が異なる場合があり、これらを熟知して敷地設定が認められるように準備します。
③手続きの流れ
敷地設定に精通した建築士を選び、隣地所有者と早期に同意書を取り交わし、敷地設定を反映させた図面の作成をする。建築確認申請をして建築確認済証が交付され、建て替え完了後に検査済証が交付されます。
敷地設定は、適切な専門家と協力しながら進めることが重要です。
こうして敷地設定で再建築可能にすることができれば、不動産価値が上がります。建て替えて暮らせるとともに、将来的な売却にも安心感があります。
でも、隣地さんとの敷地設定の同意を得ることすら無理なら、再建築不可物件は、不動産市場での価値が著しく低下し、融資も難しく、買い手さんも見つけにくいものです。
そんな時は以下の方法で有効活用します。
①現状の建物を活かす
②各自治体の支援をもらう
③隣地所有者に売却する
④不動産買取業者に売却する
不動産買取業者さんは、購入した土地に付加価値をつけて転売するため、その特性上そこまで高く買い取ることはできず、相場よりも売却額は低くなります。それでも、実績とノウハウがある買取業者さんであれば、少しでも高く買い取ってくれるハズなので、業者選びは超重要です!
良い買取業者さんを選べば、メリットは大きいです。
・即買取で即現金化できる
・直接取引で仲介手数料がかからない
・現状のまま買取してもらえる
再建築不可物件の扱いに困ったら検討してみましょう!
私たちスエイアシストは、これまで困ってしまう”訳あり物件”のご相談を数々と解決してきました。手前味噌で恐縮ですが、実績とノウハウがある「不動産買取業者」と自負しています。もし、ほかの不動産業者さんで難色を示されてしまった物件をお持ちの方は、ものは試しとぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。