独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい”お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする”お困り物件”コラム、第49回目は「旧耐震基準のマンション売却」です。
親から相続したマンションが旧耐震基準で建てられていると知った時、多くの方が抱くであろう不安。それは、旧耐震基準のマンションは、建築当時はその基準通り建てられていたとはいえ、現在では地震に対する耐震性能が不十分であるとされているからですね。日本は地震大国。過去には阪神淡路大震災において、倒壊したマンションの映像に衝撃を覚えたハズです。「相続したはいいケド、今後も老朽化していくこのマンション、改修?売却?どうすべきが正しいのだろう?」所有者さんとして直面していく課題ですね。
今回の記事では、旧耐震基準のマンションの売却を検討されている方に向けて、そのリスク管理と耐震改修の必要性や、市場での不動産価値の現実から不動産業者さんによる買取を最適に思う理由まで、分かりやすく解説していきます。ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
旧耐震基準マンションとは?
1981年6月1日を境に日本の建築基準法は大きく変わりました、それまでに建築確認申請された建物(実際に完成する竣工とはタイムラグがあります)は「旧耐震基準」と呼ばれ、現在では地震リスクに対して、十分な耐震性を持っていない可能性があるとされています。一方で「新耐震基準」はより厳格な基準を設け、地震に強い建物の建築を義務付けています。
「旧耐震基準のマンションは耐震性の面で不安…」、ソレを裏付ける形になったのが、1995年1月17日に発生した「阪神・淡路大震災」でしょう。堅固との印象があったハズのビルが倒壊した様は、世間に大きな衝撃を与えました。旧耐震基準の建物は、ひと度大きな地震が起こると、重大な被害を受ける可能性があることが明らかになったワケです。
ただ、震度6〜7の地震が来たからといって、倒壊まで至るマンションは稀ではありますし、地盤の良し悪しによる影響が大きい場合もあります。とは言え、旧耐震基準のマンションは、新耐震基準に比べて建物の安全性に課題を抱えているため、物件を探す買主さんや投資家さんからは敬遠されがちです!そのため、不動産市場では価値が低くなりがちで、売却や賃貸の際に不利になります。
また、その所有者さんにとっては、旧耐震基準マンションの維持管理は大きな負担になります。建物の老朽化が進むにつれ、その修繕費用が増加するだけではなく、工作物責任や賃貸借契約上の安全配慮義務違反など、法的責任のリスクも高まります。
旧耐震基準マンションのリスク管理!
では、その法的責任について、少し触れます。
①工作物責任
まず、「工作物責任」とは何なのか?具体的には、建物や土地などの工作物によって第三者に損害が発生した場合、その工作物の占有者さん、または所有者さんが負う責任を指します。旧耐震基準マンションにおいて、地震によって建物や設備の故障や事故が起こり、死傷者が出たり他人の財産への損害を与えてしまうと、損害賠償責任を問われる可能性があります。
②安全配慮義務
また、特に賃貸マンションのオーナーであれば、入居者さんに対する「安全配慮義務」を負っています。この義務は、賃貸借契約に基づき、賃貸人さんが貸借人さんの生命や財産を保護するために、必要な安全措置を講じる責任です。その必要な措置を怠ったことで被害が拡大すれば、工作物責任と同様に損害賠償責任を負わなくてはなりません。
旧耐震基準マンションの不動産価値を保つには?
このように、旧耐震基準マンションの所有者さんが直面するリスクは多岐にわたります。
・地震発生時の損壊や倒壊リスク
・損害賠償などの法的責任リスク
・修繕および改修の費用や市場価値の低下による経済的リスク
これらのリスクを適切に管理し、必要に応じて「計画的な修繕を行う」「耐震改修を行う」などの対策を講じることが重要です。
旧耐震基準マンションの不動産価値を保つには?
そんなリスクを抱えた旧耐震基準マンションの、不動産価値を保つにはどうすれば良いのでしょうか?
①計画的な大規模修繕
ひとつに、計画的な大規模修繕が大切です。これは、旧耐震なのか新耐震なのかは関係ないお話ですね。大規模修繕によって、建物や設備の経年劣化を防ぎ、建物の寿命を延ばすことになります。大規模修繕とは、マンションの共用部分や設備をまとめて工事をすることです。鉄筋コンクリートでは、発生したクラック(割れ目・亀裂)から、雨水が侵入すると、中の鉄筋を腐食させてしまいます。外壁の補修や屋上の防水工事などによって、外壁等の劣化を防ぎ耐震性を向上させるのみならず、見た目や機能性についても良い影響を与えます。
①耐震診断と耐震改修
次に、大規模修繕とその一環として行われるのが、耐震診断と耐震改修。まずは耐震診断によって、旧耐震基準マンションの現状を把握し、適切な耐震改修を行います。
・壁や柱の補強により建物の基本構造を強化する
・筋交い(斜め材)の増設で地震の揺れに対する建物の抵抗力を高める
・免震装置の設置により地震のエネルギーを逸らして軽減する
これらの耐震改修の工事をすることで、安全性を高めることに寄与することができます。
③自治体の助成制度を活用
そして多くの自治体では、そんな旧耐震基準マンションの耐震改修をするために、さまざまな助成制度を設けています。これらの制度を利用することで、工事にかかる費用の負担を軽減できます。助成制度の具体例としては以下のものがあります。
・耐震診断費用の助成
・耐震改修費用の助成
・借入金の利子の一部を助成
また、そんな助成を受けるためには、各自治体の定める条件を満たす必要があります。例えば以下のような条件があります。
・1981年5月31日以前に着工している
・建築基準法に基づく耐震基準に適合している
・違法建築ではないこと
これらは各自治体によって違いがあるので確認を!
助成により費用負担を軽減し、維持管理を徹底、安全性を高めることで、結果として旧耐震基準マンションの不動産価値を保つことに繋がります!
旧耐震マンションの不動産価値の現実!
実は、旧耐震基準マンションの立地は、駅近のような魅力的な土地が多かったりします。40〜50年前というのは今ほど駅前の建物は過密ではなく、当時のマンションの多くはそんな良い立地に建てられていたからです。であるので、もし耐震改修を含めた大規模改修が成された旧耐震基準マンションは、ヘタなマンションなんかより不動産価値は高いのかもしれません。
そう、「適切な耐震改修が行われていれば…」です。言うまでもないかもしれませんが、例え自治体からの助成があったとて、耐震改修の費用は大変な高額なので、それが大きなハードルとなります。
旧耐震基準マンションの不動産価値が決まる要素として、
・立地の魅力度
・築年数と維持状態
・間取りや設備の現代性
・修繕の履歴
・耐震診断結果の明示
・既存不適格(現法の基準には適合しない)物件かどうか
・耐震改修済みかどうか
ということになり、「耐震改修をすれば相場並になるが高額費用がかかる」し、「耐震改修しなければ相場より低い価格になる」んですね
そして、「耐震改修しないと不動産担保の価値が出ない」ので、買主さんは融資を受けることが難しくなります。
さらに、売主さんが買主さんに対して物件の状態を正確に伝え、隠れた欠陥がないことを保証しなくてはならない「契約不適合責任」への賠償リスクも高まります。
これらが、旧耐震基準マンションの不動産価値の現実です!
旧耐震基準マンションの売却は買取が最適か?
ということで、仲介による売却なら売却価格の最大化が狙えますが、耐震改修が重要な上、時間や手間がかかることや、契約不適合責任を負う覚悟をしなければなりません。
一方で、買取による売却のデメリットとしては、価格面において大きく割を食う可能性があります。ただ、メリットは多くあります。
・スピーディーな売却が可能
・不動産市場の変動に左右されず確実に売却
・仲介手数料がかからない
・直接取引で契約手続きが簡略化
・契約不適合責任が免除される
多くの旧耐震基準マンション所有者さんの売却には、買取が最適です!
もし買取を選択されるなら、不動産業者選びがキモになります。
①実績と評判
まずは、長年の実績があり過去の取引で評判が良い業者さんを選びます。インターネットのレビューや評価を参考にします。また、地域性や個別性の強い不動産業界、該当エリアに根ざした業者さんであることも重要です。
②許可番号を確認
次に、業者さんの宅地建物取引業者免許証の許可番号を確認すること。怪しい業者に騙されないように、最低限の安心を担保できます。国土交通省がインターネット上で公開している「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」を活用してください。
③相見積もりを取る
そうして見つけてきた業者さんの数件に、相見積もりを取ります。これによって相場感を養うことにも繋がります。あまりにも安い、もしくは高い見積もりを出してくる業者さんには注意が必要です。
④コミュニケーションを見る
その見積もりを取る過程での査定中にも、業者さんからのコミュニケーションを見ることも大切です。対応が迅速で、質問や不安に対して明確に答えてくれるか。営業担当者レベルでも、ご自身との相性も取引に影響するので、場合によっては担当者さんの交代も考慮します。
⑤買取条件の明確性
最後に、買取条件が分かりやすく記載されていること。不明瞭な点は事前にクリアにします。また、提示された見積もりを細かくチェックして、隠れた諸費用がないか確認します。
これらを通じて、信頼できる業者さんを選びます!
まとめ
今回の記事では、旧耐震基準のマンションの売却を検討されている方に向けて、そのリスク管理と耐震改修の必要性や、市場での不動産価値の現実から不動産業者さんによる買取を最適に思う理由まで、分かりやすく解説していきました。
1981年5月31日までに建築確認申請された建物は「旧耐震基準」で建てられ、十分な耐震性を持っていない可能性があります。
ただ、震度6〜7の地震で倒壊まで至るマンションは稀です。が、旧耐震基準のマンションは、新耐震基準に比べて建物の安全性に課題を抱えているため、不動産市場では価値が低くなりがちで、売却や賃貸の際に不利になります。
また、旧耐震基準マンション所有者さんにとって、その維持管理は大きな負担であり、法的責任のリスクも高まります。
その法的責任には以下があります。
①工作物責任
②安全配慮義務
このように、旧耐震基準マンションの所有者さんが直面するリスクは多岐にわたり、以下のようにまとめられます。
・地震発生時の損壊や倒壊リスク
・損害賠償などの法的責任リスク
・修繕および改修の費用や市場価値の低下による経済的リスク
不動産価値を保つために、これらのリスクを適切に管理し、対策を講じることが重要です。
①計画的な大規模修繕
②耐震診断と耐震改修
③自治体の助成制度を活用
助成により費用負担を軽減し、維持管理を徹底、安全性を高めることで、結果として旧耐震基準マンションの不動産価値を保つことに繋がります!
実は、旧耐震基準マンションの立地は、駅近のような魅力的な土地が多かったりします。適切な耐震改修が行われていれば、不動産価値を高めることも可能です。
旧耐震基準マンションの不動産価値が決まる要素として、
・立地の魅力度
・築年数と維持状態
・間取りや設備の現代性
・修繕の履歴
・耐震診断結果の明示
・既存不適格(現法の基準には適合しない)物件かどうか
・耐震改修済みかどうか
ということになります。
中でも「耐震改修しないと不動産担保の価値が出ない」ので、買主さんは融資を受けることが難しくなりますし、隠れた欠陥がないことを保証しなくてはならない「契約不適合責任」への賠償リスクも高まります。
これらが、旧耐震基準マンションの不動産価値の現実です!
ということで、仲介による売却なら売却価格の最大化が狙えますが、耐震改修が重要な上、時間や手間がかかることや、契約不適合責任を負う覚悟をしなければなりません。
一方で、買取による売却のデメリットとして売却価格が低くなりますが、
・スピーディーな売却が可能
・不動産市場の変動に左右されず確実に売却
・仲介手数料がかからない
・直接取引で契約手続きが簡略化
・契約不適合責任が免除される
ですので、多くの旧耐震基準マンション所有者さんの売却には、買取が最適です!
買取は不動産買取業者さん選びがキモになります。
①実績と評判
②許可番号を確認
③相見積もりを取る
④コミュニケーションを見る
⑤買取条件の明確性
これらを通じて、信頼できる業者さんを選びましょう!
私たちエスエイアシストは、そんな不動産買取業者のひとつです。他の業者さんとの相見積もりを取って頂いても構いませんので、ぜひお試しくださいね!
旧耐震基準マンションはなかなか難しい物件ですので、ほかの不動産会社で難色を示されてしまうこともあると思います。弊社では、これまでも入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう”訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。まずは、ご相談だけでもどうぞ!