液状化した土地売却のリアル!価値大幅下落と法的トラブルの回避術!

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第117回目は「液状化した土地の売却」です。

過去に液状化した土地を相続したが、「売却価格が大幅に下落するらしい」「ちゃんと告知しなければトラブルになる?」と不安を抱えていませんか?確かに、液状化履歴のある土地は相場より半額以上下落する例があり、告知義務を怠れば損害賠償を問われる恐れもあります。とはいえ、ハザードマップでリスクを把握し、契約不適合責任(契約内容と実態があっていないときの責任)を回避する手順を踏めば、納得できる価格で安全に売却することは十分可能です。

今回の記事を読めば、液状化した土地売却のリアルから、不動産価値の大幅下落と法的トラブルの回避術、資産を手放す安全かつ安心な手順が見えてきます。ぜひ最後までお付き合いください!

お困り物件買取事業

「液状化とは?」ハザードマップと軟弱地盤!

まず、そもそも「液状化」とは、「地震の強い揺れによって砂地盤が緩み、一時的に泥状になる現象」であり、地下水位の高い埋立地などの軟弱地盤で起こりやすいものです。

そんな液状化によって引き起こされる被害には、
・建物の沈下や傾斜
・道路の亀裂や陥没
・地中マンホールの浮上
・地中から砂や水が吹き出す(噴砂現象)
・地盤が横ずれする(側方流動)
などが起こります。

たとえ現状は液状化の被害にあっていないとしても、下記のような立地の土地はリスクが高いので注意が必要です。
・海岸平野・三角州(河口部で砂が堆積した平坦地)
・旧河道や後背低地(かつて河川だった低湿地帯)
・人工埋立地や干拓地(海・沼を盛土で造成した区域)

所有している土地が、今後の液状化リスクが高いか確認する方法は以下。
・国土交通省「重ねるハザードマップ」で液状化危険度を色分けチェックする
・地形区分に基づく液状化発生傾向図で地形ごとの発生率を把握する
・地歴(古地図・旧地名)を調べ、過去の河川跡や沼地かどうか確認する

「液状化した土地の価値は大幅下落!?」土地売却のリアル!

それを踏まえて、過去に液状化の被害にあった土地は、健全な土地に比べ不動産価値は大幅に下落する可能性があります(ただし、時間の経過とともに回復する傾向も示唆されている)。また、再液状化に備えた地盤改良や告知義務への対応コストが発生する恐れがあります。金融機関が担保評価を低く見積もるためローン審査が厳しくなり、取引期間が長期化する点もデメリットです。

ちなみにですが…、一般的に過去に液状化の被害にあった土地は、地盤が引き締まるため、再度の液状化はしにくくなるという見方も一部あります(十分は実証はなし)。しかしだからといって、「過去にあったから今後も液状化の被害に遭わない!」という保証はありませんし、被害にあった事実は市場における買い手さんの心象を悪くすることは避けられないでしょう。

具体的に不動産価格が大幅下落する大きな理由は以下。

①再液状化リスクが嫌われる
ひとつに、同じ地盤で再び液状化が起こる報告例があり、買主さんは潜在的な修繕コストや再液状化リスクを嫌います。国交省のガイダンスでも再液状化を想定した対策を推奨しています。

②担保評価に影響する
つぎに、金融機関は地盤リスクを担保評価に反映し、危険度が高い土地は融資比率を下げる、または融資そのものを見送るケースがあります。その結果として売却価格に響きます。

③地盤改良などの費用がかかる
そして、買主が将来負担する地盤改良コストを差し引くため、提示価格が大幅に下がりやすくなります。例えば、比較的安価な「表層改良」で30〜90万円といった費用がかかるのが一般的です。

これが液状化した土地売却のリアルです。価格下落の幅を最小限に抑えるには、ハザード情報の開示と地盤調査データを示し、リスクを客観視してもらうことが第一歩となります。

「液状化リスクが法的トラブルに!」契約不適合責任と告知義務とは?

これらのリスクや工事費用を売却価格に上乗せすれば、割高感が出て買主さんが見つかりにくくなります。とは言え、地盤改良せずに売るなら、値引き交渉につながるもの…。

正直なところ、できれば「液状化リスクを伝えたくない…」と感じる人も少なくありません。

しかし、液状化するリスクやその可能性自体は法定説明項目(不動産取引における重要事項説明で必ず説明しなければならない項目)ではないものの、実際に過去に液状化した事実があれば「土地が通常有すべき性能を欠く欠陥=瑕疵(かし)」として告知義務が生じます。もし、適切に告知義務を果たさなければ、法的トラブルに発展し、買主さんから「契約不適合責任」を問われることになります。

この「契約不適合責任」とは、売買の目的物が契約内容と適合しない場合に買主さんが、
・追完(補修など)請求
・代金減額請求
・損害賠償請求
・契約解除
を選択できる制度です。土地の液状化は「品質」に関わる欠陥として責任追及の対象になり得ます。

過去に告知義務違反が争点となった判例では…、
・東京地裁 2014.10.8:海岸埋立地の液状化「可能性」だけでは瑕疵否定、予見可能性も否定され、告知義務は立地の常識で判断されることを示す
・東京地裁 2014.10.31:宅建業者が液状化対策を説明せず販売し、不法行為も認められ賠償命令
・福岡地裁 2018.2.14:不同沈下を隠した売主に約5,800 万円の損害賠償
・大分地裁 2021.10.27:液状化懸念を説明しなかった仲介業者に説明義務違反を認定

これらの判例から分かることは、「リスクを知りながら隠すと高額賠償の可能性がある」一方で、「立地特性として買主側が予見可能なら瑕疵と認められにくい」ということになります。

ただし、たとえ「過去に履歴がない」もしくは「予見可能」だとしても、ハザードマップで液状化のリスクがある土地であれば、重要事項説明で買主さんに情報提供することが望ましいとされています。2020年の宅建業法施行規則改正で「水害ハザードマップ所在地説明が義務化」され、液状化を含む地盤リスクの情報開示も実務上求められる流れが強まっているためです。

さらに、国交省の液状化対策ガイダンスでも、「再液状化の可能性を見込み、地盤改良や情報開示を行うべき」と明記しています。

「液状化した土地売却できるの?」価値大幅下落と法的トラブルの回避術!

ということで、法的義務を踏まえ「買主側の思考を先回りした」積極的かつ誠意ある説明を果たすことが大切。しかし、過去に液状化した土地、もしくは液状化のリスクが高いことを伝えて、「本当に土地売却できるの?」と不安になるかもしれません。

ここでは、価格下落を抑えながら法的トラブルを回避しつつ、買主さんの信頼を得て安心・安全に土地売却する3つの方法を紹介します。

①ハザードマップや地盤調査による正確な現状把握
先述の通り、まずは国交省の「重ねるハザードマップ」で所有地を検索し、液状化危険度を色分け確認します。続いて「地形区分に基づく液状化発生傾向図」で該当地形の発生率をチェックすると、周辺より危険度が高いか低いかを客観視できます。
たとえ危険度が高い表示でも即改良が必要とは限らないため、
・簡易スクリューウエイト試験(8〜10万円)
・ボーリング調査(20〜30万円)
といった調査でN値(地盤の強度や締まり具合の指標)と地下水位を数値化しレポートを取得すれば、買主さんの不安軽減と値引き抑制につながります。

②液状化リスク低減策の提案と実施
つぎに、もし調査でリスクが高いと判明したら、地盤改良を検討。
・表層地盤改良工法で30〜90万円(坪単価1〜3万円)
・柱状改良工法で100〜150万円(坪単価3〜5万円)
国交省のガイダンスは地下水位低下工法(地下水位を人為的に下げる)や格子状地中壁工法(液状化しやすい地盤を格子状の壁で囲い込む)など、液状化の発生を抑制し、被害を軽減するための対策を多様に紹介しています。
「この土地は改良済み(可能であれば保証を付帯)」「対策費用は◯◯万円」など、対策費用の見積もりや、将来のリスク低減効果を資料として示せば、買主さんがローン審査で提出する際の安心材料になり、価格下落を最小限に抑えられます。

③当該地域の市場分析と適切な価格設定
液状化リスクを考慮した上で、
・当該地域の市場動向(公示地価・近隣成約事例)
・競合物件の価格
・現況引き渡しなら想定補強費
を調査し、適切な価格設定をします。原価法(不動産の再調達原価から減価償却などを差し引いて評価)などの鑑定評価手法を活用し、過度な値下げは避けつつ、根拠ある価格を提示することができれば信頼につながります。買主さんに納得感が得られ、結果的に値引き交渉を避けられます。

つまり、「リスクを見える化して包み隠さず共有し、必要なら地盤改良工事の実施と将来的なリスク低減効果を示し、合理的な価格の提示をする」ことが、結果的に「価格下落を最小限に抑え、法的トラブルを未然に防ぐ」最善な回避術となります。

「仲介と買取はどっちが正解?」自分にあった選択肢!

では、具体的に「液状化した土地」の売却方法を解説します。仲介と買取、自分にあった選択肢は何でしょう?

①仲介にてそのまま売却
ひとつは、ハザードマップと調査結果を開示したうえで現況のまま市場に不動産仲介で出す方法です。平均3〜6か月ほどかけて買主さんを探すのが一般的で、広告費や仲介手数料が必要になります。
また、契約不適合責任は原則引き渡しから1年は追及される可能性があるため、告知書・重要事項説明書で液状化履歴やリスクを明確に伝え、値引き交渉を見越した価格設定が欠かせません。

②地盤改良工事をして仲介で売却
つぎに、調査でリスクが高いと判明した場合、先述した適切な地盤改良工事をした上で、不動産仲介で売却する方法。可能なら地盤改良後に10〜20年の地盤保証を付帯するとローン審査が通りやすくなる場合があり、相場の8〜9割で成約した事例もあります。
ただし、工事期間と先行資金が必要で、完了確認まで売却を待たなくてはならない点と、費用対効果を考慮する難しさがあると言えます。

③買取にてそのまま売却
さいごに、訳あり物件専門の買取業者さんに直接売却する方法もあります。現況のまま最短3日〜1週間で契約・現金化が可能で、仲介手数料ゼロで内覧・値下げ交渉のストレスもなく、相続登記や測量もワンストップで任せられます。
ただし、売却価格は相場の3〜4割減が目安となります。

とはいえ、「液状化した土地」であれば、買取をしてもらうメリットは他にも。
・販売期間が読めるため資金計画を立てやすい
・地盤改良費用や解体費用を自己負担せずに済む
・契約不適合責任免責となるケースが多い

ご自身の状況に応じて、最適な選択をすることが大切です!

まとめ

今回の記事では、液状化した土地売却のリアルから、不動産価値の大幅下落と法的トラブルの回避術、資産を手放す安全かつ安心な手順について解説してきました。

そもそも「液状化」とは、「地震の強い揺れによって砂地盤が緩み、一時的に泥状になる現象」であり、人工埋立地や三角州などの軟弱地盤で起こりやすく、建物の沈下や傾斜や地中から砂や水が吹き出す等の被害を引き起こします。

所有している土地の今後の液状化リスクは、ハザードマップや液状化発生傾向図、地歴などから確認できます。

過去に液状化した土地は、再液状化に備えた地盤改良や告知義務への対応コストが発生する恐れと、金融機関が担保評価を低く見積もられる傾向です。

具体的に不動産価格が大幅下落する大きな理由は以下。
①再液状化リスクが嫌われる
②担保評価に影響する
③地盤改良などの費用がかかる

これが液状化した土地売却のリアルであり、できれば「液状化リスクを伝えたくない…」と感じる人も少なくありませんが、実際に過去に液状化した事実があれば「欠陥=瑕疵(かし)」として告知義務が生じます。もし、適切に告知義務を果たさなければ、「契約不適合責任」を問われます。

過去に告知義務違反が争点となった判例から分かることは、「リスクを知りながら隠すと高額賠償の可能性がある」一方で、「立地特性として買主側が予見可能なら瑕疵と認められにくい」ですが、重要事項説明で情報提供することが望ましいです。

ただ、「本当に土地売却できるの?」と不安になるかもしれません。価格下落を抑えながら法的トラブルを回避しつつ、買主さんの信頼を得て安心・安全に土地売却する方法は3つ。
①ハザードマップや地盤調査による正確な現状把握
②液状化リスク低減策の提案と実施
③当該地域の市場分析と適切な価格設定

つまり、「リスクを見える化して包み隠さず共有し、必要なら地盤改良工事の実施と将来的なリスク低減効果を示し、合理的な価格の提示をする」ことが、結果的に「価格下落を最小限に抑え、法的トラブルを未然に防ぐ」最善な回避術となります。

では、具体的に「液状化した土地」の売却方法は以下。

①値引き交渉を見越した価格設定で、現況のまま仲介にて売却
②費用対効果を考慮しつつ、地盤改良工事をして仲介で売却
③現況のまま最短で買取にて売却

買取の売却価格は相場の3〜4割減が目安となりますが、「液状化した土地」であればメリットがあります。
・現金化が早い
・交渉ストレスが少ない
・資金計画を立てやすい
・費用を自己負担せずに済む
・契約不適合責任免責が多い

ご自身の状況に応じて、最適な選択をすることが大切です!

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