独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい”お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする”お困り物件”コラム、第47回目は「法的瑕疵物件の不動産売却」です。
既存不適格建築物や違法建築物、土地の権利などの瑕疵がある物件、いわゆる「法的瑕疵物件」の所有者さん、不安を抱えていませんか?もし今後、不動産売却を考えるなら、法的瑕疵は皆さんにとっての大きな負担になり得ます!しかし、適切な知識と対策があれば、これらの問題も克服できるかもしれません。
今回の記事では、法的瑕疵物件の基本的な理解、契約不適合責任(瑕疵担保責任)とその影響から不動産売却に至るまで、分かりやすく解説していきます。ポイントは、リスク管理と法的対策の重要性。そして、それによって安心は得られるのか?ぜひ最後まで読んでいってくださいね!
法的瑕疵物件とは?
はじめに、「法的瑕疵物件」とは、どういった物件なのでしょうか?それは、建築基準法や都市計画法、消防法など、さまざまな法律において違反のある不動産のこと。それには、建築当時は問題なかったものが、法改正によって基準に合わなくなってしまったり(既存不適格建築物)、そもそも悪徳業者によって違法に建築されてしまったものもあります。また、権利関係や土地自体に問題がある場合もあります。このような物件は売却や利用において、さまざまな制限がされる可能性があり、特別な注意が必要になります。
法的瑕疵物件には、大きく分けて以下の4つの種類があります。
①建築基準法違反物件
まず、建築基準法違反。建築物には、安全性や防火、衛生の確保などをしなくてはならない定めがあります。建ぺい率(敷地に対して建築物が占める割合)や容積率(敷地に対して建築物の延床面積の割合)の違反、耐震強度などの構造上の問題や、火災の危険性といった、さまざまな問題を抱えている可能性があります。
②都市計画法違反物件
次に、土地の利用には都市の健全な発展と秩序を守ることが求められます。都市計画法違反物件は、土地の使用用途や建築物の規模などに関する都市計画法に違反している物件のことを指します。
③消防法違反物件
そして、消防法です。火災の予防や延焼防止、避難経路の確保などを目的とした法律です。この消防法に違反した物件は、火災が発生した場合に被害を拡大させる可能性があります。
④その他
最後に、土地の権利関係に問題を抱えている場合や、公害物質によって汚染された土地である場合など、その他上記以外の法律に違反する物件もあります。
こういった法的瑕疵のある物件では、
・再建築の制限や使用用途の制限がある可能性がある
・不動産を売却しにくく市場価格が低下する
・銀行からの融資が受けにくくなる
・行政からの指導や改善命令を受ける可能性がある
などといった問題があります。
契約不適合責任とその影響!
と、ここで法的瑕疵物件を売却する際の重要キーワードがあります。それは「契約不適合責任」!過去、「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、2020年4月1日に施行された民法改正によって、制度及び用語が変更されました。この改正により、売主さんの責任範囲が明確化され、買主さんの権利が強化されることとなったワケです。
その契約不適合責任では、目的物が契約内容に適合することが要件となります。売主さんは買主さんに対して、契約成立時に物件(目的物)が契約通りであったことを保証する責任を負います。もし、その物件が要件を満たしていない場合、買主さんは以下の請求を行うことができます。
・追完請求(補修・交換・不足の補充)
・代金減額請求
・損害賠償請求(故意もしくは過失があった場合)
・契約の解除
その他、契約不適合責任におけるポイントは以下。
・請求期限:契約不適合を知った日から1年以内に通知、5年以内に請求
・消滅時効:契約不適合を知った日から5年間、または引き渡しから10年間
・売主の告知義務:隠れた瑕疵(注意を払わなければ見つけにくい欠陥)も責任対象
売主さんは、これらの買主さんの権利に応じる義務があるので、特に法的瑕疵物件であれば、不動産売却におけるリスクはより増大します。したがって、売主さんは事前にそのリスクを把握し、適切な対策を講じることが不可欠です。
リスク管理と法的対策で安心は得られる?
では、その上で法的瑕疵物件を売却しようとするなら、リスク管理と法的対策を適切に検討・実行することで、契約不適合責任を問われるリスクを軽減することが重要です。それによって、将来的な安心を得られるのだと思います。
リスク管理には、以下のステップで行うといいです。
①瑕疵の内容を把握する
まずは、そもそも物件にどのような法的瑕疵があるのか把握します。建築基準法や都市計画法などの現行の法律内容を確認したり、専門家に相談します。ここでこれまで気が付かなかった問題が出ることもあります。よく調べて、瑕疵の具体的な種類や内容を確認します。また、隠れた瑕疵にも責任はありますので、「知らぬが仏」「臭いものに蓋」ではなく、しっかりと現状を直視します!
②瑕疵のリスクを評価する
瑕疵の種類や内容を把握したら、次にそのリスクを評価します。瑕疵が重大な場合や、改善・是正が困難な場合などは、通常の不動産売却は難しい可能性もあります。
③法的対策を検討する
瑕疵のリスクを評価できたら、最後に法的対策を通じて何ができるのか検討します。是正対策・保証対策・告知対策のいずれか、または組み合わせて実行していきます。具体的には後述します。
④買主と交渉する
それら全てを材料に、買主さんと交渉!瑕疵の種類や内容、是正の可否、保証の有無などの合意を得ます。契約不適合責任は、言うなれば「契約書に書いてあることが全て」なので、ココで瑕疵をきっちりと盛り込めれば、安心は得られます!
そして、法的対策には大きく以下の3種類。
①是正対策
まず、瑕疵を是正して、法令に適合させます。
・既存不適格建築物や違法建築であれば、建物の改修をする
・土地の権利問題は、権利関係を整理する
・再建築不可は、自治体の緩和措置や近隣との交渉で可能な限り解消へ努力する
これらの是正対策を実施できれば、瑕疵問題を完全に解消できるかもしれません。しかし、費用や時間がかかるのは言うまでもありません。
②保証対策
次に、瑕疵担保保険に加入して、瑕疵担保特約付きの売買契約を締結する方法もあります。これなら、万が一賠償問題が発覚しても負担は発生しません。しかし、保険料の負担を飲み込まなくてはならないデメリットがあります。
③告知対策
最後に、先述の通りキッチリと瑕疵を買主さんに告知します。これは買主さんにとっても納得感が得られる上、売主さんとしての責任も全うできます。しかし、当然と言えば当然ですが、その瑕疵が買主さんに受け入れがたいものなら、売却できない可能性があります。そして、売れたとしても売却価格は低くなります。
ということで、法的瑕疵物件の売却で安心を得るためには、「兎にも角にもリスク管理と法的対策が重要!」ということですね!
具体的な法的瑕疵物件の不動産売却方法!
これらを踏まえた上で、法的瑕疵物件を売却する際には、買主さん探しの戦略と価格設定が重要。
①ターゲット層を明確にする
正直なところ、瑕疵の程度にもよりますが、受け入れてくれる買主さんは限られています。一般市場よりも、不動産投資家さんやリノベーション業者さんといった、特定の買い手層をターゲットにする方が良い結果が得られるかもしれません。そのため、適切な広告媒体を選んで、買い手さんに情報を届けることが重要です。
②適切な売却価格の設定をする
また、一般の不動産物件と比べて価格が下がることは覚悟します。もちろん、瑕疵の種類や程度によって、売却価格への影響は大きく異なります。地域相場の動向を把握して、適切な売却価格の設定をします。
③最適な不動産業者の選定をする
そして、仲介にせよ買取にせよ、多くのターゲットに対応できる幅広いネットワークがあり、法的瑕疵物件に関する専門的な知識と経験が豊富な、最適な不動産業者さんの選定をします。
仲介であれば、買取に比べて買主さんさえ見つけられるなら、売却価格の低下を抑えられるかもしれません。とは言え、買主さん探しは難しく時間と手間が多くかかります。
一方で買取であれば、簡易的な手続きで迅速な現金化が可能で、買主さん探しの手間が省けますが、買取業者さんは転売による差益を得なければならないので、売却価格はより低くなってしまいます。
ただし、です!今回の法的瑕疵物件は、その性質上、再三伝えたように契約不適合責任を負うリスクが高い物件ですので、それが免責になる買取を選ぶメリットは非常に大きいと言えますね!
まとめ
今回の記事では、法的瑕疵物件の基本的な理解、契約不適合責任とその影響から不動産売却に至るまで、そのリスク管理と法的対策の重要性と合わせて解説していきました。
「法的瑕疵物件」とは、さまざまな法律において違反のある不動産のこと。それには、既存不適格建築物や違法建築、権利関係や土地自体に問題などでさまざまな制限があり、注意が必要になります。
法的瑕疵物件には、大きく分けて以下の4つの種類があります。
①建築基準法違反物件
②都市計画法違反物件
③消防法違反物件
④その他(土地の権利関係や汚染された土地など)
こういった法的瑕疵のある物件では、再建築や使用用途の制限、市場価格が低下、銀行からの融資が受けにくい、行政からの指導や改善命令を受ける可能性があります。
法的瑕疵物件を売却する際の重要なのは「契約不適合責任」で、不動産売却時に目的物が契約内容に適合することが要件があり、その物件が要件を満たしていない場合、買主さんは以下の請求を行うことができます。
・追完請求(補修・交換・不足の補充)
・代金減額請求
・損害賠償請求(故意もしくは過失があった場合)
・契約の解除
これらは特に法的瑕疵物件であれば、不動産売却におけるリスクは増大します。
そのため、リスク管理と法的対策を適切に検討・実行することで、契約不適合責任を問われるリスクを軽減します。
リスク管理には、以下のステップで行うといいです。
①瑕疵の内容を把握する
②瑕疵のリスクを評価する
③法的対策を検討する
④買主と交渉する
そして、その法的対策には大きく以下の3種類。
①是正対策
②保証対策
③告知対策
法的瑕疵物件の売却で安心を得るためには、リスク管理と法的対策が重要です!
これらを踏まえた上で、法的瑕疵物件を売却する際には、買主さん探しの戦略と価格設定が重要。
①ターゲット層を明確にする
②適切な売却価格の設定をする
③最適な不動産業者の選定をする
そして、仲介にせよ買取にせよ、幅広いネットワークがあり、法的瑕疵物件に関する専門的な知識と経験が豊富な、最適な不動産業者さんの選定をします。
仲介であれば、買取に比べて売却価格の低下を抑えられるかもしれませんが、時間と手間が多くかかります。
一方で買取であれば、簡易的な手続きで迅速な現金化が可能で、買主さん探しの手間が省けますが、売却価格はより低くなってしまいます。
ただし、今回の法的瑕疵物件は、その性質上、契約不適合責任を負うリスクが高い物件ですので、それが免責になる買取を選ぶメリットは非常に大きいと言えますね!
私たちエスエイアシストでは、そんな買取に強い業者です!これまでも困ってしまう”訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。今回のような法的瑕疵物件は対応が難しく、ほかの不動産会社で難色を示されてしまうこともあるかとおもいますが、もしそのような物件をお持ちの方は、ものは試しとぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。