独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第37回目は「再建築不可物件の使い道」です。
相続した都心の土地が、まさかの「再建築不可」と言われ、新しく建物を建てることができないと知り、「えっ?これまで何の問題もなくこの家で暮らしていたのに、どうして?」と驚かれる方もいるかもしれません。それは、今現に建っている家の新築当初から比べ、現行の法令が厳しく変化してきたことに原因があります。実はなかなか多くの物件が該当していたりして、特に珍しいケースではないんです。今巷で騒がれる空き家問題の大きな要因の一つとして、社会問題化しているほどなんですね!
まあ、それはそうとして、今この記事を読まれている「あなた」としては、古い家の建つ土地の今後の利活用について、途方に暮れているのではないでしょうか?「建て替えできない再建築不可物件の使い道を知りたい!」と思っているハズです(切実…)。
というワケでこの記事では、再建築不可物件とは何なのか?に触れつつ、その具体的な活用方法や、再建築「可能」にするアプローチ方法についてもご紹介します。また、でもそれでも、どうしても活用できないと言うのなら、物件売却も視野にお話ししていきますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね!
再建築不可物件とは?
相続後の都心の家を新しく家を、新しく建て替えようと考えた際に、まさかの「再建築不可」と言われることがあります。何とも寝耳に水で、さぞ驚かれることでしょう。でも、実は都心部において、それほど珍しいものでもないんです。
「再建築不可物件」とは、文字どおり、既存の建物を取り壊して更地にした場合に、新しく建物を建てることができない土地を指します。土地に何らかの問題があり、建築基準法に基づく基準を満たせないために、建築許可が下りない状態です。それは、土地の形状が「十分な避難や緊急車両の経路が確保できていない」ことが、主な原因。
「接道義務」という言葉があります。それは、「建物を建てる敷地に、建築基準法で定める道路に2m以上接しなければならない義務」です。再建築不可物件は、この義務を果たしていないんです。
とは言え、「これまでずっと何の問題もなく住んでいたのに、何でこんなことに?」と思いますよね?その理由は以下にあります。
・関連法令が、過去に幾度となく法改正され、厳しくなった
・新築当初から、そもそも法令を違反した建築であった
要するに「現状建っている建物は仕方ないとして、次建てる時には今の法令を守ってね」と言っているワケなんですね!
ただ、何でもかんでも、好きなように建物を建てられることを防ぐ反面、一方でその副作用として、新たに建物を建てられない土地が長く放置されることが起こり得ます。それが、空き家問題を社会的に深刻化させているとも言われます。
売却しようにも物件価格は低くなるか、全く売れないか、よって土地の流動性は低く、一切利活用されない土地も散見されることになるワケです。そうして再建築不可物件が、その問題の大きな一つの要因になっていて、国においてもそれは問題視されています。
土地の利活用が促進されるように、法規制の緩和といった対策も立てられています。ご自身所有の不動産物件が、それによってどういった影響があるのか知ることも、今後のポイントになってきます!
再建築不可物件はデメリットたくさん?
では、そんな再建築不可物件は、所有者である「あなた」にとって、何かメリットがあるのでしょうか?答えは…、ほぼ「NO」です。正直メリットらしいメリットはありません。あえて言うなら「固定資産税などが安い」こと…、なんですが、裏を返せば「土地の評価額が低いから安い!」とも言えるんです。「えっ?それってメリット?」なのかなー?となっちゃいますね!
一方で、デメリットはと言うと、たくさんあります(泣)。
①再建築ができない
これは先述のとおり。再建築ができない、これが最も明らかなデメリット!その土地には、使用価値の薄れていく古い建物が残り、最悪は老朽化して廃墟になります。万が一、各自治体から「倒壊等著しく保安上危険、衛生上有害、地域の景観を損なっている」として「特定空き家」に指定されると、税金の優遇措置すらなくなります。
②建築確認申請が必要なリフォームも不可
であるなら、フルリフォームをしたいところです。が、この時も建築確認申請が必要な増築・改築は不可です。ただ、例外として木造2階立ての延床面積500㎡以下の建物なら、大規模修繕は可能となります。しかしそれでも、再建築不可物件の特性上、例えば「道路から敷地が遠い」「重機が入れられない」などで、作業コストがかかるため、リフォーム業者さんも嫌がる傾向にあります。当然、受けてくれても、リフォーム費用は割高になります!
③災害時のリスクが高い
また、これも先述しましたが、土地の形状が「十分な避難や緊急車両の経路が確保できていない」ワケですから、災害時のリスクが高いことになります。まして、古い家は耐震性も低いので、地震時には倒壊してしまうかもしれませんし、古い木造なら火災のリスクも高いでしょう。
④更地になれば活用方法は限定され、固定資産税などは上がる
そして、更地になれば新しく建物を建てられないばかりか、活用方法はより限定されます。さらに固定資産税などの税金が上がってしまいます。建物がなくなり利活用できないとなれば、ただただお金を失っていくだけ…。
⑤不動産売却が難しい
というワケで、総じて土地としての人気はありません。当然、買い手さんは見つかりにくいので、不動産売却が非常に難しいです。もっと言うと、運良く購入希望者が出たとしても、再建築不可物件は担保価値が低いので、金融機関が住宅ローンを、著しく通さない可能性があります。
再建築不可物件を再建築できるようにする方法?
このように再建築不可物件にはデメリットがたくさんあるので、不動産市場では価値が低いんです。ただ、諦めるには早い!ココからは再建築できるようにする方法についてお話しします。キーワードは先述した「接道義務」で、それをクリアするアプローチです。
その方法の一つに、隣地所有者さんとの取引をすることで、「土地の接道間口を大きくする」ものがあります。
①隣地の土地の一部を借りる
まずは、隣地の土地の一部を借りることで、接道義務を果たす方法です。隣地所有者さんと貸借契約を結ぶので、その期間や更新料、解約条件などをしっかりと確認します。ただ、この方法は「あくまでも借りているだけ」なので、根本的な解決策にはなりません。
②隣地の土地の一部を購入する
ですので、根本的な解決を目指したいと思うなら、借りるのではなくて、隣地の土地の一部を購入することで、接道義務を果たします。これには当然ですが、高額な土地購入資金が必要となります。
③隣地の土地の一部を等価交換する
「ならば、お金をかけない方法を!」ってことで、自らの土地の一部と隣地の土地の一部を等価交換する方法で、接道義務を果たします。こちらの問題は、自らの土地にある程度の広さが必要なことがあります。ある程度の整形地が確保できなければ、建物はそもそも建てられず本末転倒になります。
…なかなか難しいですよね!というワケで次に、土地の利活用が促進されるための法規制の緩和を利用する対策といきましょう。そんな建築基準法における特例や例外規定についてお話しします。コレを利用することで、再建築が許可されるケースがあるんです!
それは、接道する道路の問題を解決するアプローチ!
①みなし道路(建築基準法42条2項2号道路)
はじめに、この「みなし道路」の認定を受けること。幅員が1.8m以上4m未満の道路について、条件として「再建築時に所有する土地の一部をセットバックすることで、幅員4mの確保」を約束をします。そのため、土地の利用面積が減少します。
②位置指定道路(建築基準法42条1項5号道路)
次に、接道する私道を「位置指定道路」の認定をもらうことで、建築基準法上の道路にしてしまう方法もあります。特定行政庁から認めてもらえるように、「私道を幅員4mに拡張するためにセットバック」「私道の出口付近に隅切りを作る」など、私道の共同所有者全員の同意と協力が必要不可欠なだけでなく、工事その他全てが完了してはじめて可能となる方法!…難しい!!
③ただし書き道路(建築基準法43条2項2号許可)
最後は、この「ただし書き道路」で、上記の位置指定道路が条件的に難しいとなったときの救済措置としてあります。あくまで「位置指定道路」と目指した上で、どうにもならない際の例外規定となります。…なので、その私道を「将来的には建築基準法上の道路に整備する」同意を、私道の共同所有者全員からもらえれば許可がでる可能性があります。
「どうにもならない!」時の再建築不可物件の使い道が知りたい!
と、ここまでやってみてもなお再建築可能に「どうにもならない!」となった時には、勿論その先の「再建築不可物件の使い道が知りたい!」ですよね。持っている土地を、ただの空き家ないし、ただの空き地にしないための、活用法を模索します。
①やっぱりリフォームして住む!
どうにもならなくても、思い出の詰まった大切な家。「やっぱり住み続けたい!」そんな気持ち、分かります!再建築不可でも、リフォームやリノベーションで、今の家を綺麗に生まれ変わらせることは「可能」です。外観を新しくしたり、中をモダンにアレンジしたり、まるで新築のような気分を楽しむことができるかもしれません。
②賃貸物件にする
とは言え、事情があってそのまま住むことが出来ない場合もありますね!立地が良いことも多い再建築不可物件、リノベーションを施して賃貸物件にすることで、収益を上げる可能性もあります。ご自分で住むワケではないので、過不足ない程度にお金をかけて、損益分岐点を超えられるか慎重に検討しましょう。特に、終の棲家を求めない若い世帯をターゲットにすれば、人気がでるかも?
③更地にして活用する
そして、もうこれは最終手段です。更地にして駐輪場や資材置き場、はたまた太陽光発電施設としての活用が考えられます。駅近立地なら駐輪場としての需要はありますし、太陽光発電はエコロジーの観点から地域貢献になるかもしれません。最悪でも固定資産税をペイできれば…、ですが、個人的にはオススメしません!と言うのも、一度でも事業利用をしてしまうと、売却時の譲渡控除の制度が使えなくなるからです。できることなら、目先の利益にだけ注目するのは避けたいところ。
再建築不可物件を活用出来ないなら売却を!
いずれにせよ、多くのコストがかかる上、それぞれ限界はあるように感じます。なので!再建築不可物件を活用できないなら売却して、金銭に交換することが最終的な「使い道」となります。
その方法は以下の通り。
①隣地所有者への売却
はじめにぜひ検討してみてほしいのが、隣地所有者さんへの売却です。先述の「接道間口を広くするための隣地所有者へのアプローチ」の際に、それとなく事前に土地購入意図はあるか聞いておくのもアリですね。一定のニーズが合致すれば「話が早い!」なんてことも!ただ、隣地さんの資金力やタイミングが合うことは稀かもしれません。
②不動産仲介業者を介して売却
「でも、隣地さんとはあんまり関係が良くない…」そんな場合は、不動産仲介業者さんを介して売却します。主に投資物件を探している人がターゲットでしょうか?うまく買い手さんを見つけられれば、概ね相場価格で売却できます。ただし、古い物件であるので、買い手さんに対して契約不適合責任(瑕疵担保責任を含む)が伴います。また、こちらも先述しましたが、住宅ローンが降りないリスクがあるので、なかなか希望者は現れにくいです。当然、売却活動は長期化や売却価格の低下は覚悟すべきですね!
③不動産買取業者へ直接売却
そんな中、「一刻も早く、手放したい!」「不安な気持ちで長くはいたくはない!」などといった切実な思いや事情をお持ちなら、不動産買取業者さんへの直接売却の一択かもしれません。しかし、コレにも問題があって、相場よりも安くなることや、再建築不可物件の扱いが苦手な業者さんがいることも事実。場合によっては取引を断られます。業者選びには十分な注意が必要です。
ただ、その上で良い業者さんに当たれば、メリットはたくさん!
・直接取引で仲介手数料が不要
・契約不適合責任が免除される
・売却活動は短く即現金化できる
というワケで、手前味噌ですが、私たちエスエイアシストもそんな不動産買取業者であり、再建築不可物件の扱いにおいても、実績とノウハウが豊富だったりします(笑)!
まとめ
それではまとめます。
記事では、再建築不可物件とは何なのか?に触れつつ、その具体的な活用方法や、再建築「可能」にするアプローチ方法についてもご紹介し、その上でどうしても「使い道がない!」時の物件売却についてもお話ししています。
「再建築不可物件」とは、文字どおり、既存の建物を取り壊して更地にした場合に、新しく建物を建てることができない土地を指します。土地の形状が「十分な避難や緊急車両の経路が確保できていない」ことで、建築許可が下りない状態です。「接道義務」といって「建物を建てる敷地に、建築基準法で定める道路に2m以上接しなければならない義務」があり、再建築不可物件はこの義務を果たしていません。
何の問題もなく住んでいたのに、何でこんなことになるのか?その理由は以下。
・関連法令が、過去に幾度となく法改正され、厳しくなった
・新築当初から、そもそも法令を違反した建築であった
要するに「現状建っている建物は仕方ないとして、次建てる時には今の法令を守ってね」ということ。
ただ、これは空き家問題を社会的に深刻化させているとも言われ、土地の利活用が促進されるように、法規制の緩和といった対策も立てられています。
では、そんな再建築不可物件のメリットは、「固定資産税などが安い」なんですが、裏を返せば「土地の評価額が低いから安い!」とも言えるんです。
一方で、デメリットは以下。
①再建築ができない
②建築確認申請が必要なリフォームも不可
③災害時のリスクが高い
④更地になれば活用方法は限定され、固定資産税などは上がる
⑤不動産売却が難しい
このように再建築不可物件にはデメリットがたくさんありますが、「接道義務」を果たすための以下を検討することで、再建築可能になる場合もあります。
その方法の一つに、隣地所有者さんとの取引をすることで、「土地の接道間口を大きくする」ものがあります。
①隣地の土地の一部を借りる
②隣地の土地の一部を購入する
③隣地の土地の一部を等価交換する
次の方法として、土地の利活用が促進されるための、法規制の緩和を利用する対策とし、建築基準法における特例や例外規定を利用することで、接道する道路の問題を解決します。
①みなし道路(建築基準法42条2項2号道路)
②位置指定道路(建築基準法42条1項5号道路)
③ただし書き道路(建築基準法43条2項2号許可)
ここまでやって再建築可能にならない時の再建築不可物件の使い道として以下。
①やっぱりリフォームして住む!
②賃貸物件にする
③更地にして活用する
いずれにせよ、多くのコストがかかるのであれば、売却して金銭に交換することが最終的な「使い道」となります。その方法は以下の通り。
①隣地所有者への売却
②不動産仲介業者を介して売却
③不動産買取業者へ直接売却
不動産買取にはメリットはたくさん!
・直接取引で仲介手数料が不要
・契約不適合責任が免除される
・売却活動は短く即現金化できる
エスエイアシストはそんな不動産買取業者のひとつです。これまでも、入居者がいる古いアパートや借地・底地、今回の再建築不可に至るまで、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績とノウハウがあります!
ご対応に苦慮されることがあれば、まずはお試しでも構いませんので、ぜひ一度ご相談ください!お待ちしています。