独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第33回目は「相続(予定?)空き家の売却」です。
空き家を相続した、あるいはこれから相続する可能性のあるあなたへ!
「親不在の空き家、放置している…」
「管理が大変だけど、何から手を付けていいのか…」
そんな悩みを抱えていませんか?
日本は空き家大国!増加傾向にある空き家の問題は、これからの日本の大きな課題のひとつになっています。それは、個人の私たちにとっても同じで、空き家の放置は「百害あって一利なし!」。では、空き家を有効活用するにはどうしたらいいのでしょうか?
そしてそれは相続する前、親が元気にしているウチに考えるべきことかもしれません。「えっ?縁起でもない!生前にそんな話しをするなんて親不孝だ!」とお怒りになりますか?「相続」はときに「争続」と言われます。その理由の一つに、被相続人となる親御さんの気持ちを親族間で共有できていないことがあります。親御さんは亡くなる直前、まともに相談する余裕も体力もないことの方が多いです。生前に親御さんの意向を確認し大切な家族が争うことを無いようにすることは、本当に親不孝でしょうか?
今回の記事では、「相続(予定?)空き家の手放しガイド!」と銘打って、相続する前にも後にも役に立つお話をしたいと思います。ぜひ最後までお付き合い下さいませ!
空き家問題の現状とは?
それでははじめに、空き家問題が深刻化している日本、その現状と背景とは一体どこにあるか、お話ししたいと思います。
空き家の増加の主な原因は以下の通りです。
①建物の老朽化
一つに、修繕をはじめとする管理が怠られ、時間の経過とともに建物が老朽化し、居住に適さなくなることで空き家になる場合があります。人が住まなくなった家というのは、急速に劣化していくといわれ、放置されてしまうとまさに廃墟と化します。
②人口減少
次に、日本で高齢化や少子化が叫ばれるようになって久しいですが、その影響で特に地方では空き家が目立ち始めています。住宅の需要は減少し、空き家が増加するのは必然の結果かもしれません。
③高額な解体費用と税金
一方で、都市部は需要があって問題なさそう…ですが、必ずしもそうではありません。一般に更地であれば買い手さんが見つかりやすいと言われます。しかし、更地にするには高額な建物の解体費用を先出ししなくてはなりませんし、更地にしてしまえば固定資産税などの税金額が跳ね上がってしまいます。
④税制優遇措置のタイミングを逃す
その税金について付け加えると、税制優遇措置のタイミングを逃したり、条件が合わず適用できなかったりすることで、売却の際の負担が増えてしまうこともあります。
⑤相続の問題
さらには、相続の問題に関するもの。
・何らかの事情で相続手続きが未完了の場合、所有権の移転が確定せず、売却や解体の話しが進められないことがあります。
・複数の相続人による共有相続の場合、全ての相続人の合意が得られないと何も実行できません。意見の相違や協議の遅延が生じることで、手続きが難航することがあります。この点、被相続人(亡くなった人)である親御さんの意向を生前の確認できなかった場合が多いです。
空き家問題の社会的な影響とリスクとは?
続いて、空き家の増加による社会的な影響とリスクについて。
①治安の悪化
空き家は犯罪の温床になりえます。不法侵入や不法占拠、放火や窃盗などのリスクが高まります。
②衛生環境の悪化
また、雑草や樹木が生い茂ったり、小動物や害虫が住みついたり、そしてゴミの不法投棄を助長したりします。悪臭などの発生源ともなれば、近隣の衛生環境の悪化を招きます。
③防災の観点
そんな状態であれば、空き家は災害時の危険の源になるかもしれません。放置された建物の倒壊や、火災を拡大させてしまうリスクもあります。
④地域経済への影響
最後に、景観の悪化です。長く放置された空き家は見た目も悪く、近隣の景観や価値を下げる恐れもあります。行政としては介入を余儀なくされ、管理や撤去に費用がかかることもあり、財政負担や地域経済への影響も軽視できません。
空き家放置は負のスパイラル!
と、ここまでは大きな視点のお話しでした。ここでは、個別的な部分にフォーカスします!
空き家を持つこと…、それは案外大きな負担になってしまうことがあります。維持管理のためのコストや、固定資産税などの税金は継続的な出費となり、経済的な負担は刻々と重みを増していきます。
また、相続がまさに「争続」となり、共有相続人間の関係性の悪化で、その活用方法について意見が割れ、暗礁に乗り上げる…。そうこうしているうちに優遇税制を受けるタイミングを逃して、時間が経過して放置家屋は老朽化していく…。地域環境への懸念から近隣住人さんとの悩みも増える…。何か起きたら賠償責任の問題からも逃れられない…。行政代執行による撤去が行われれば、その請求は高額…。まさに負のスパイラル。当人からすれば、目を背けたくなる気持ちになるのも、想像に難くないものです。
そうなる前にぜひ前向きに、空き家の活用方法を模索しましょう!
建物に価値が残っているならリフォームして賃貸物件として運用する、売却するなら維持管理の手間や責任から開放されるのはもちろん、現金化することで新たな資産運用の幅も広がります!
そう、やる気になりさえすれば、何かしらの解決策が見えてきます。ここからはその具体的な行動指針をお示ししたいと思います。
「空き家を売りたいならどうする?」生前に売却 or 相続後に売却!
もし、あなたが相続前であって、今から問題意識をもってこの記事を読まれているのでしたら、ここは超重要です!一方で、すでに相続後なのであれば、流し読みして頂いてOKです。
空き家を手放すタイミングは、それぞれの家族の状況によって、最適な選択が異なります。ここでは、生前に売却する場合と、相続後に売却する場合の、メリット・デメリットについてお話ししたいと思います。
そもそもですが、家を相続することを前提に、生前に相続の話題を出すことは「親不孝ではないか!!」と感じるのかもしれません。しかしです。これから先にある相続のことを考えることは、家族全員の心の平穏や経済的な安定、何より被相続人である親御さんの意思・意向を尊重したいと願ってのことです。それは、逆に言うなら最高の親孝行であると考えます。家族間の「争続」を未然に防ぎ、スムーズに遺産を継承できる道筋をつくることは、親御さんにとっても大切なことなのではないでしょうか?
生前に関係する優遇税制は以下の通り。
①居住用財産の3000万円特別控除
親御さんが一人で住んでいる自宅の売却益から3000万円を控除できる特例です。
(計算式)物件売却価格−(物件購入価格+売却時諸費用)−3000=課税所得
課税所得×税率=所得税
・物件購入価格(取得費)が不明であれば、物件売却価格の5%。
・老人ホームに入った時などは、いつでも自宅に戻れる状況を保ち、入所から3年後の年末まで。
・親御さんが認知症を発症していないこと(ただし、大変手間だが成年後見制度で対処できる)。
・生前に現金資産ができるメリットがある反面、最終的にはそこに相続税がかかる。
・同居親族がいる場合は適用できない反面、その親族が相続後にその自宅で独居であるなら、この特別控除と下記「10年超所有の低減税率」も使える(別居の法定相続人は下記の②は使えない)。
②10年超所有の低減税率
住んでいる自宅を10年以上所有していれば、更に低い税率となります。
(計算式)上記所得税×低減税率=実際に納税する所得税
相続後に関係する優遇税制は以下。
③相続空き家の3000万円特別控除
相続後「更地にするか耐震リフォームを前提」として、売却益から3000万円を控除できる特例です。
・計算式は①の特別控除と同様。
その上で…、
・集合住宅の建物ではないこと。
・不動産売却価格は1億円以下であること。
・旧耐震基準で建築された建物であること。
・相続開始直前まで被相続人がその建物で独居であったこと。
・不動産売却相手は第三者であること。
・土地・建物はセットで相続していること。
・共有相続人全員が賛同すること。
さらに、空き家を「放置」するとこの特別控除を受けられません。
・相続発生から3年以上経っている。
・更地にしてから1年以上経っている。
見て分かる通り、生前に対して相続後の適用条件は厳しいことが分かりますね!ただし、一方で認められれば法定相続人全員に適用できます(令和6年以降は一部条件の改定あり)。
このように最適解は各家庭によってケースバイケース。まして、相続後には親御さんの意思を知ることは叶いません。個々の空き家対策はぜひ親御さんがご健在のウチに!
相続(予定?)物件手放しガイド!
それでは、相続(予定?)物件手放しガイドといきましょう!何度も言いますが、個々の家庭の条件はケースバイケース。売却を考え始めたタイミングもバラバラなので、よく話し合って折り合いを付けて下さいね!
その上で、次のステップへと進めていきます。
まずはご自身なりに市場相場を把握します。その後、依頼業者さんを選定し販売戦略を練って、売却活動へ。そして、買い手さんを探して交渉し、売買契約締結後に引き渡しを経て、最後に確定申告は忘れずに!していきます。
まずは、売却価格を決める諸条件とは何でしょう?
①立地
最も重要なのは立地です。立地は物件の価値を大きく左右します。駅からの距離や周辺の商業施設、学校や公園や公共施設など、生活に便利な土地は価格アップの要因です。
②土地の形や大きさ
そして、どんなに立地が良くても、土地の形や大きさが悪いと人気は出ません!変形地や崖地、北向きなどはマイナス評価。一方で、再開発の機会や用途転用が可能なら、価値は上がるかも。
③築年数
古い建物でもリフォームや歴史的価値があればプラス評価にもなりますが、老朽化が進んでいると取り壊し費用を考慮しなくてはなりません。
これらの諸条件(特徴)を理解した上で、相場の見極めをして想定の価格設定をしていきます。「この辺りの物件はいくらで売れているのか?」それはインターネット上での不動産物件サイトにて、ご自身の物件の諸条件で検索をかけてみれば、近隣の同じような条件の物件がヒットするハズ!ある程度の期間を費やして定点観察して眺め続けると相場感が養えます。もちろん、専門家さんによる現地調査や査定を受けることで、より正確な価格が出できますが、悪い業者に引っかからないためにも、この点を怠ってはいけません!
次に、売却方法を検討して依頼する業者選定をしていきます。
①各自治体の「空き家バンク」を活用する
まず、空き家といえば知る人ぞ知る「空き家バンク」。各自治体が運営するマッチングサービスです。基本的にはきめ細やかなサービスではなく、物件の案内も交渉も自ら行います。需給のバランスが悪く、売却価格は安くなりやすく、全ての自治体が設置しているわけではありません。
②仲介による売却
一般的にはコレ。不動産業者さんと媒介契約を結び、査定から販売活動を行ってもらいます。広告や内覧を通じて買い手を見つけていきます。売却には時間と手間と忍耐が必要となりますが、概ね相場に近い売却価格になります。
③買取による売却
一方で、不動産業者さんに直接物件を買い取ってもらいます。業者さんの多くは転売して差益を得なくては商売にならないので、相場よりも安い価格での売却になります。その分、手続きは簡単で早期に現金化できる上、例えゴミ屋敷でも現況で引き取ってもらえる場合もあります。
業者選定には、無料の一括査定サイトによって手間なく複数社に査定依頼をするのが良いです。相見積もりを取って納得感ある業者さんを選びます。大差ないなら、その他サービスを比べてみるのもいいでしょう。ただ注意点として、相場よりも高額過ぎる査定なら、それで利用者を釣ろうとする意図がある場合があるので、簡単に飛びつかずに慎重に!
さらに、専門家さんを交えて、本格的に物件の問題を洗い出します。何故なら、相続の空き家物件は古いために、予想だにしない事案が発覚することが!
①権利関係や瑕疵などの問題がないか洗い出し
前提として、その建物が建った時の法律と、今は違うことを認識すべきなんです。そのため、権利関係や瑕疵などの問題がないか洗い出す必要が!例えば、土地でいったら隣地との境界線が曖昧だったり、建物でいったら耐震基準に達していなかったり…、します。
②諸費用及びその他の隠れたコスト
一般的には、登記費用や印紙税、仲介であれば仲介手数料といったところですが、土地建物に問題があれば、測量費や耐震リフォーム費用、はたまた解体費用がかかることも!明確に何がかかるのか、はじめに確認します。
売却活動中は業者さん任せにするのではなく、定期的な状況報告の確認をしたり、他社さんに情報提供して広く営業しているかチェックしたりします。場合によっては業者変更も視野にきっちり牽制していきます。期間は3ヶ月を目処にPDCA(計画・実行・評価・改善)を回します。
で、最後に、晴れて売却できたら確定申告を忘れずに実施します。普段、確定申告をしない人からすると、「敷居が高い!」と感じるかもしれません。各種書類を揃え、譲渡所得税や固定資産税の計算、今回の話しでの優遇税制の活用など、もし不安に思うのであれば、お金を出してでも専門家さんに協力してもらうのも検討します。
と、なかなか大変なことだと思います。ここは一族の未来のため、踏ん張って活動して頂ければと思います。でも、「ちょっとツラいかも…(泣)」となるようでしたら、不動産買取がおススメです。私たちは不動産買取業者なので、ややポジショントーク(笑)かも!ですが。
古い物件というのは、大なり小なり問題があります(放置されたなら尚更)。土地の境界線などで隣地さんとの協議が長引いたり、売却後に瑕疵担保責任の連絡がないか不安になったり、解体などの費用を先出ししなくてはならなかったり、などなどかなりの負担になります。
もちろん買取は相場よりも安い価格になりますが、条件により先出し費用も柔軟に対応でき、現況即時買い取りも可能です。ぜひ前向きにご検討下さいね!
まとめ
今回の記事では、空き家を相続した、あるいはこれから相続する可能性のあるあなたへ、「相続(予定?)空き家の手放しガイド!」と銘打って、解説してきました。最後にまとめていきます!
まずは、空き家の増加の主な原因について。
①建物の老朽化
②人口減少
③高額な解体費用と税金
④税制優遇措置のタイミングを逃す
⑤相続の問題
続いて、空き家の増加による社会的な影響とリスクについて。
①治安の悪化
②衛生環境の悪化
③防災の観点
④地域経済への影響
空き家を放置することで…、
・維持管理のためのコスト
・固定資産税などの税金は継続的な出費
・経済的な負担は刻々と重みを増す
だけではありません。
相続がまさに「争続」となり…、
・共有相続人間の関係性の悪化
・活用方法について意見が割れて暗礁に乗り上げる
・優遇税制を受けるタイミングを逃す
・時間が経過して放置家屋は老朽化していく
・地域環境への懸念から近隣住人さんとの悩みも増える
・何か起きたら賠償責任の問題からも逃れられない
・行政代執行による撤去が行われれば高額請求
まさに負のスパイラルに陥ります。
そうなる前にぜひ前向きに、空き家の活用方法を模索しましょう!
また、空き家の問題は相続後だけではなく、親御さんの生前に話しておくことで、より解決がしやすくなります。生前に相続の話題を出すことは、これから先の家族全員の心の平穏や経済的な安定、何より被相続人である親御さんの意思・意向を尊重したいと願っての最高の親孝行であると考えます。
生前に関係する優遇税制は以下の通り。
①居住用財産の3000万円特別控除
親御さんが一人で住んでいる自宅の売却益から3000万円を控除できる特例です。
(計算式)物件売却価格−(物件購入価格+売却時諸費用)−3000=課税所得
課税所得×税率=所得税
②10年超所有の低減税率
住んでいる自宅を10年以上所有していれば、更に低い税率となります。
(計算式)上記所得税×低減税率=実際に納税する所得税
相続後に関係する優遇税制は以下。
③相続空き家の3000万円特別控除
相続後「更地にするか耐震リフォームを前提」として、売却益から3000万円を控除できる特例です。
・計算式は①の特別控除と同様。
その上で…、
・集合住宅の建物ではないこと。
・不動産売却価格は1億円以下であること。
・旧耐震基準で建築された建物であること。
・相続開始直前まで被相続人がその建物で独居であったこと。
・不動産売却相手は第三者であること。
・土地・建物はセットで相続していること。
・共有相続人全員が賛同すること。
さらに、空き家を「放置」するとこの特別控除を受けられません。
・相続発生から3年以上経っている。
・更地にしてから1年以上経っている。
見て分かる通り、生前に対して相続後の適用条件は厳しいことが分かりますね!
以下、相続(予定?)物件手放しガイド!
まずは、売却価格を決める諸条件とは、
①立地
②土地の形や大きさ
③築年数
これらの諸条件(特徴)を理解した上で、インターネット上でご自身の物件の諸条件で検索をかけてみれば、相場感が養えます。
次に、売却方法を検討して依頼する業者選定をしていきます。
①各自治体の「空き家バンク」を活用する
②仲介による売却
③買取による売却
業者選定には、無料の一括査定サイトによって手間なく複数社に査定依頼をします。相見積もりを取って、相場よりも高額過ぎる査定を出す業者に注意しつつ、納得感ある業者さんを選びます。
さらに、専門家さんを交えて、本格的に物件の問題を洗い出します。
①権利関係や瑕疵などの問題がないか洗い出し
②諸費用及びその他の隠れたコスト
売却活動中は定期的な状況報告や広く営業しているかチェックし、場合によっては業者変更も視野に牽制。期間は3ヶ月を目処にPDCAを回します。
最後に、晴れて売却できたら確定申告を忘れずに実施します。
と、なかなか大変なことだと思います。
古い物件というのは、大なり小なり問題があり、売却活動はかなりの負担になります。不動産買い取りであれば、相場よりも安い価格になりますが、条件により先出し費用も柔軟に対応でき、現況即時買い取りも可能です。
私たちエスエイアシストでは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。今回のような古い空き家は、様々な問題を抱えているケースが多いので、そんな実績やノウハウが鍵になってきます。
ものは試しとぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。