独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第18回目は「越境物問題を抱える土地の売却」です。
土地を将来的に売却することを考えたときに、土地の価値を下げる可能性のある「越境物」という言葉をご存知でしょうか?それは簡単に言うと、自らの土地と隣地とをまたがって存在するものを指し、見えない地中にある場合は知らず知らずのうちに当てはまることもあります。そして、それが土地の売却価格や取引に大きな影響を及ぼすことがあるのです!
今回の記事は、どんな土地にも起こりうるので、土地所有者必見です!越境物についての具体的な知識から、土地の売却にどのような影響があるのか、またどのように対処すればいいのかについて、分かりやすく説明します。また解決が難しい場合に、不動産買取業者さんを利用するメリットにも触れますので、良ければ最後までお付き合い下さいませ!
「越境物」とは何か?
「越境物」とは、その名の通り、ある土地から隣の土地へと「越境」しているもののことを指します。これは、建物や境界塀といった地上にあるもの、基礎や埋没した管などの地中にあるもの、さまざまな形で存在します。自らの土地から隣地へ、隣地からこちらへ、入り込んでいる場合もあり、後者は「被越境物」とも言います。
例えば、自らの土地に植えた樹木が大きく成長して、枝葉が隣地に広がってしまった場合が該当します。ただ見えているものが全てではなく、見えていない地中に根が張った部分ももちろん同様に越境物なんですね!
これらの越境物は、知らず知らず意図せずに生じることが多いですが、土地の売却時においては大きな問題になることがあります。そして、都心部では決して他人事ではなく、けっこうな割合で起こりうる問題なんです。
具体的な越境物の例とその特徴!
①樹木
先述した樹木の成長によって枝葉が越境している場合、買主さんが気にされなければ不動産売買への影響は限定的といえます。が、地中にある広がった根については、境界塀などの構造物を破損するリスクもあるため、樹木の種類によっては慎重に判断しなくてはなりません。
②電線
次に、電柱から引き込んだ電線が一部隣地の上空を通っていることがあります。軽微なものならそのままでも大丈夫ですが、新築工事などでの作業や新築建物に影響する場合は、引き込み直すことを条件に交渉する必要があります。
③境界塀
ここから先の越境物に関して、金融機関によっては住宅ローンに影響がでる場合があります。一番ありがちなのが、この境界塀です。境界塀は必ずしも実際の境界線に建っているとは限りません。そもそも線に対して厚みのある塀なのですから、当たり前と言えば当たり前です。
状況により以下に分類。
・塀の所有者は、自ら所有、隣地さんが所有、共有、所有者不明、いずれか
・塀の位置が、自らの土地、隣地さんの土地、またがっている、境界未確定、いずれか
隣地さん所有の塀で、自らの土地に入り込んでいれば、被越境ということですね(所有者不明や境界未確定は、別問題になるので今回は触れません)。また、境界塀の基礎となる部分が、地中で越境している可能性も!
④土留め
隣地との高低差がある場合、擁壁(ようへき)などの土留めが建てられます。基本的に注意点は境界塀と同様です。ただ、土留めは重い土地を支えなくてはならないため、地中の基礎はかなり大きいものなので、地中での越境している可能性は、境界塀よりも高いと考えられます。
⑤建物本体や雨どい等の付属物
地盤沈下や建築当時のミスなど、建物本体が越境することは稀ですが、雨どいや窓の格子、給湯器や室外機、などの特に後付けの設備に意外と多くありがちです。なかでも、足のついたバルコニーなどについては、後述する「覚書」があっても金融機関が住宅ローンを認めてもらえないないケースが!まして、建物本体で地中にある基礎が越境していると、融資は完全に不可となります。
⑥埋設物
最後に埋設物です。地下に埋まっている、例えば給排水管といったもの。今ではありえないことですが、古い建物では接道している道路の本管から引き込んだ管を隣地間で共有することがありました。おそらく手間やコストを抑える目的だったものと思われます。これは見た目には確認できないにも関わらず、金融機関の融資はほぼ受けられません!更には契約後に発覚すれば瑕疵責任が問われます。
越境物が土地の価値を下げる理由とは?
これらの越境物が土地の価値を下げる理由を考えるにあたって、その買主さんの視点を持たなくてはなりません。買主さんにとっても越境物は大問題です。
①住宅ローンの融資が受けられない
まず、住宅ローンの融資が受けられない可能性があります。金融機関は不動産を担保にしますが、越境物があると担保価値を下げるリスクとなります。先述の通り、建物の基礎や土留め、埋設物などでは、融資が難しくなります。
②建築確認申請が通らない
次に、建築確認申請が通らないこともあります。とくに新築を考えている買主さんにとっては、越境物により建物の位置や形状が希望通りにならない場合があります。新築するにあたり、有効な敷地面積として算入できないからです。
③将来的な隣地所有者とのトラブルリスクがある
そして最後に、将来的な隣地所有者さんとのトラブルリスクがあることです。越境物の存在は、所有権を巡るトラブルの火種になり得ます。十分な隣地さんとの交渉のないまま引き継がれ、既成事実の積み重ねにより土地の一部を失う可能性すらあります。
これらを踏まえて、土地の所有者さんは越境物が土地の価値を下げる理由を理解して、どう考えなくてはならないかというと、
・多くの買主さんは越境物の問題のある土地を避けることを理解しなくてはならない
・越境物の処理に多大なコストを払い解決しなくてはならない
・法的な影響を鑑みて他人任せにしないように知識をつけなくてはならない
・隣地所有者と良い関係作りをしなくてはならない
・越境物に問題がある土地は相場価格よりも「安くなる・売却できない」と自覚しなくてはならない
ということで、「めっちゃ大変!」なワケですが、「でもウチには関係無いでしょ?」と思ったのではないでしょうか?ただ、先述の通り、都心部における特に古い土地には、知らず知らずの潜在的な問題として、なかなかあり得る話しだったりします。
越境物の確認ポイントとは?
それゆえに、売却前に…いえ、売却するかもしれない将来のために、自らの土地の越境物の確認を今しておくことが大切!そのポイントをいくつか紹介します。
①境界確認
境界位置を正確に把握します。それを示す境界標が見つからない、不明確な場合は、専門の土地家屋調査士さんや測量士さんに依頼することも考えます。
②構造物の確認
建物(その付属物)や境界塀などが隣地に越境してないか、電線が上空で越境してないか、所有権も含めて確認します。また、給排水管や基礎などの目視で確認できない地中については、専門家に意見を求めます。
③樹木の確認
樹木の枝葉が隣地に広がってないか、根が構造物に干渉していないか、樹木の種類や特徴については、樹木の専門家に相談します。
④隣地との関係
最後は番外編ですが、可能であれば、隣地の所有者さんとの関係を良好に保つことも大切です。相談しやすい関係を維持することで、もし越境物が見つかった場合の解決がスムーズに進みやすくなります。
「覚書」の重要性
と、ここまで越境物の特徴と影響、その確認ポイントのお話しをしてきましたが、「越境物を見つけたんだけど、どうしたらいいの?」となりますよね。
その具体策が「覚書(おぼえがき)」となります。その重要性と併せて解説します!
越境物が見つかった場合、隣地の所有者さんと話し合いをして、その合意を取り付けます。その内容を「覚書」としてまとめておくことが、極めて大切です。
「覚書」は将来的なトラブルを防ぐための一種の保険。越境物の種類や位置、形状、サイズなど具体的な詳細情報、お互いの合意内容、それに両者の署名・押印をします。さらに、可能であれば公証人による公正証書にすることで、証拠力が増し、より安心感が得られます。
一見、面倒な手続きに感じるかもしれませんが、これによって未来の自分と買主さんを守ることができます。土地の売却をスムーズに、そして安心して進めるために、ぜひ覚書作成の重要性を忘れないでくださいね!
不動産買取業者を利用するメリット
ただ、です!万が一、どうにも隣地さんとの解決が難しい場合や、にも関わらず土地の売却を急いでいる場合、そんな時はどうすればいいのでしょうか?
ひとつの解決策として、「不動産買取業者さんを利用する!」ことがあります!
もちろん、不動産買取業者さんを利用するなら、一般的な売却と比べて買取価格が安くなる可能性はあることは覚えておいて下さい。それは、越境物の問題解決にかかる時間やコストを考慮した結果だからです。
それでも、不動産買取業者さんなら、売主さんと直接取引となるため、売却プロセスもスムーズです。そして、越境物に対する相談やサポートも行ってくれたり、買取後に時間をかけて越境物の問題を解決する企業体力と知識がある業者さんであれば、少しでも高めの価格を提示してくれることがあります!問題解決が難しく、すぐにでも売却したいと考えている方にとっては、価格面のデメリットを補って余りあるメリットを得られるのではないでしょうか?
まとめ
ここまで、「越境物」が土地の価値を下げる理由についてお話ししてきました。
「越境物」とは、ある土地から隣の土地へと「越境」しているもののことを指します。これは、地上にあるもの、地中にあるもの、さまざま存在します。
これらは、都心部では決して他人事ではなく、土地の売却時においては大きな問題になることがあります。
では、具体的にいくつかの代表的な例とその特徴をご紹介すると、
①樹木
樹木の成長によって枝葉が越境している場合と、境界塀などの構造物を破損するリスクもある地中にある広がった根である場合があります。
②電線
電柱から引き込んだ電線が上空を通っていることがあります。新築作業や新築建物に影響する場合は、引き込み直す必要があります。
③境界塀
境界塀は必ずしも実際の境界線に建っているとは限りません。塀の所有者・塀の位置が問題となり、境界塀の基礎となる部分が地中で越境している可能性もあります。
④土留め
隣地との高低差がある場合に土留めが建てられます。基本的に注意点は境界塀と同様ですが、重い土地を支える地中の基礎はかなり大きく、地中で越境している可能性は高いです。
⑤建物本体や雨どい等の付属物
雨どいや窓の格子などの特に後付けの設備に多く、足のついたバルコニーや、地中にある基礎が越境していると、住宅ローンは難しくなります。
⑥埋設物
地下に埋まっている給排水管といったもの。古い建物では引き込んだ管を隣地間で共有することがありました。金融機関の融資はほぼ受けられませんし、契約後に発覚すれば瑕疵責任が問われます。
買主さんにとっての越境物は土地に及ぼす影響は、
①住宅ローンの融資が受けられない
越境物があると担保価値を下げるリスクとなります。先述の通り、建物の基礎や土留め、埋設物などでは、融資が難しくなります。
②建築確認申請が通らない
越境物により有効な敷地面積として算入できず、建物の位置や形状が希望通りにならない場合があります。
③将来的な隣地所有者とのトラブルリスクがある
越境物の存在は、所有権を巡るトラブルの火種になり得ます。隣地さんとの交渉のないまま、土地の一部を失う可能性すらあります。
これらを踏まえて、土地の所有者さんは越境物が土地の価値を下げる理由を理解して、
・多くの買主さんは問題のある土地を避けることを理解しなくてはならない
・越境物の処理に多大なコストを払い解決しなくてはならない
・他人任せにせず知識をつけなくてはならない
・隣地所有者と良い関係作りをしなくてはならない
・相場価格よりも「安くなる・売却できない」と自覚しなくてはならない
「ウチは関係無いでしょ?」と言いたいところですが、都心部における土地には知らず知らずの潜在的な問題としてあり得る話なので、売却前に自らの土地の越境物の確認をすることが重要です。
その確認ポイントは、
①境界確認
境界位置が不明確な場合は、専門の土地家屋調査士さんや測量士さんに依頼します。
②構造物の確認
建物や境界塀などが隣地に越境してないか所有権も含めて確認し、目視で確認できない地中については、専門家に意見を求めます。
③樹木の確認
隣地の樹木の枝葉や根が広がっていないか、樹木の種類や特徴については専門家に相談します。
④隣地との関係
隣地の所有者さんとの関係を良好に保ち、相談しやすい関係を維持することで、解決がスムーズに進みやすくなります。
越境物を見つけた時の具体策が「覚書(おぼえがき)」となります。
「覚書」は隣地の所有者さんと合意を取り付け、越境物の種類や位置、形状、サイズなど具体的な詳細情報、お互いの合意内容、それに両者の署名・押印をします。一見面倒ですが、これによって未来の自分と買主さんを守ることができます。
ただ万が一、どうにも隣地さんとの解決が難しい場合や、にも関わらず土地の売却を急いでいる場合、ひとつの解決策として不動産買取業者さんを利用することがあります!
一般的な売却と比べて買取価格が安くなる可能性がありますが、越境物の問題解決にかかる時間やコストを考慮したものですが、
・直接取引となるため、売却プロセスもスムーズ
・越境物に対する相談やサポートが充実
というメリットがあります。
私たちエスエイアシストはそんな不動産買取業者です。
買取後に時間をかけて越境物の問題を解決する企業体力と知識がありますので、少しでも高めの価格を提示してくれることがあります!これまでの蓄積されたノウハウと実績で、価格面のデメリットを補って余りあるメリットをお渡しできると自負しております。
これまで、越境物に問題を抱える土地の買取のみならず、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう”訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります!
ぜひ一度ご相談ください!お待ちしています。