
独自のノウハウにより、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、他の不動産会社が取り扱いづらい「お困り物件」を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト・株式会社エスエイアシストがお届けする「お困り物件コラム」。第135回目は「不動産の即時買取」です。
不動産を相続したものの、事故物件や再建築不可、近隣トラブルなどを抱えた「お困り物件」であったとき、「このまま持ち続けるのは不安だけれど、どう売ればいいか分からない」といった悩みを抱えていませんか?ただ放置すれば、維持管理費がかさみ続けるばかりか、近隣との関係性にも影響が出かねません。
そこで今回の記事では、そんなお困り物件を手放す手段となり得る不動産の即時買取とは何か、仲介や買取保証との違い、3大メリットとデメリット、注意点を意識しながら後悔しない手放し方に至るまで、分かりやすく解説していきます。読んでもらえれば、きっと「自分の物件は即時買取に向いているのか」「どのような買取業者に相談すればいいか」が具体的にイメージできるハズ!ぜひ最後までお付き合いください。
【不動産の即時買取とは?】仲介や買取保証の違い

はじめに、不動産の「即時買取」を理解するためには、「不動産仲介」との違いを整理するとイメージしやすくなります。
「不動産仲介」は、不動産売却をする際の一般的な方法であり、不動産業者が売主さんに代わって広告やポータルサイトの掲載、内覧対応などを実施して買主さんを探す仕組みです。それによって売買契約が成立したときに、業者は売主さん(場合によっては買主さんも)から仲介手数料を受け取ります。
一方で「即時買取」は、不動産業者そのものが買主として、売主さんから直接買取する方法です。一般的には、通常売主さんが負うべきリスク(欠陥への責任・修繕への可否・販売期間など)を、業者が肩代わりしてくれます。
この違いから、不動産仲介では「市場でより高く売却するか」が重視され、広告宣伝や内覧、買主交渉といった売却活動が必要になり時間がかかります。対して即時買取では、不動産業者が再販を前提に自ら査定し、仕入れ値として買取価格を提示するため、市場価格よりも低くなる代わりに、短時間で現金化しやすいという特徴があります。
その上で「買取保証」とは、仲介と即時買取の中間的な方法です。一定期間仲介で売却活動を行い、売れなかった場合に不動産業者が買い取るという仕組みです。
買取保証は「高い売却価格を狙いつつ、売れなくても一定期間には売却が確約される」ので、一見して仲介と即時買取のいいとこ取りのように感じます。しかし、悪徳業者からすれば「一定期間過ぎれば買い叩ける」ことになるので、注意が必要です。
くれぐれも業者選びは慎重に、期間中の売却活動の実態に目を光らせておくことが重要です。専任媒介契約(売却活動を1社に一任する)に基づく「指定流通機構(レインズ)への登録義務」や「売却活動状況の中間報告義務」を確認し、業者が誠実に業務を行っているかチェックしなければなりません。
「お困り物件を売るなら?」不動産の即時買取の3大メリット!
つぎに、所有の不動産が「お困り物件」ならば、不動産の即時買取に向いています。お困り物件とは、「事故物件、再建築不可物件、はたまた近隣トラブルなどを抱えていて、売却しようにも買い手探しが難しい物件」のこと。
そんな市場ニーズが低くても、安心して取り引きができる即時買取の特に大きなメリットを3つ解説します。
①即現金化と維持費負担の解消
即時買取の最大の魅力は、契約から現金化までの早さです。仲介では買主探しに数ヶ月を要し、その間も固定資産税や管理費といった維持費の負担が続きます。しかし、即時買取なら「最短数日〜1週間程度で契約、1か月弱で決済が可能」で、すぐに現金を手にすることができ、費用負担以上に精神的な不安を最短で解消できます。
②契約不適合責任を免責できる
また、老朽化した空き家のようなお困り物件の場合、引渡し後に雨漏りや主要な構造の欠陥が見つかるリスクが高くなります。個人間の仲介では売主さんがこの契約不適合責任(契約内容と違う欠陥への責任)を負うのが原則ですが、即時買取では買取業者が買主となるため、売主の責任を免責または限定する契約ができます。これにより、売却後のトラブルを気にすることなく安心して手放せるワケです。
③現状のままでの引き渡しが可能
さらに、即時買取では残置物の撤去や老朽化した箇所の修繕・解体などを気にすることなく、現状のままでの引き渡しが可能です。買取業者が再販を前提に査定しますが、撤去や簡易清掃の費用を買取価格に織り込んで対応してもらえるので、手出し資金や手間が不要になります。
このように即時買取は、「早さ」と「確実さ」、そして売却後の「安心さ」を重視する、お困り物件の所有者さんにとって有効な選択肢です。
不動産の即時買取のデメリット!
とは言え、この不動産の即時買取を選択する際には、デメリットを正確に理解しておくことが重要です。
①売却価格は市場相場の6〜8割になる
まず、不動産仲介による売却に比べて、一般的に即時買取の価格が低くなるのは事実。これは、買取業者が再販までにかかるリフォーム・解体費用、販売経費、そして不測の事態に備えるリスクを織り込むためです。市場で広く買主さんを探す仲介と比較して、市場相場の6〜8割程度の手取り金額になる傾向にあることは理解しておくべきです。
②買取を断られる場合がある
また、即時買取は一般の買主さんから敬遠される物件でも対応できるのが強みですが、すべての物件が買い取られるわけではありません。あまりに再販の見込みが立たない、法的あるいは技術的な問題が解決が困難な場合には、買取を断られる場合もあります。
③買取業者の選定が難しい
そして、即時買取の価格は、その業者の得意なエリアや物件の種類、再販のノウハウによって差が生じます。複数社の査定を依頼して比較しても、「提示価格が妥当かどうか」を判断するのが難しい場合があります。お困り物件の買取に実績があり、査定の根拠が明確で信頼感のある業者を選ぶことが大切です。
即時買取は価格の側面だけを見るなら、「不動産仲介」に譲る点もあることも理解してください。その上で、先述のメリットで得られるコスト削減額やリスク回避の価値とのバランスを見つつ、比較検討を進めましょう。
不動産の即時買取を利用する際の注意点!

そこで、即時買取を利用する際に考慮すべき具体的な注意点を確認していきます。営業担当者の説明を鵜呑みにするのではなく、書面で細部までご自身で確認することが、その後のトラブルを回避する鍵となります。
①契約不適合責任の免責範囲を確認する
まず、即時買取を利用したからといって、契約不適合責任が必ず免責になるとは限りません。大切なことは、即時買取の契約書に「契約不適合責任の免責」が明確に記載されているかを確認することです。注意すべきは、「免責される範囲が限定されている」場合や、「特約として売主さんの責任が残る」部分がないかを細部までチェックする必要があります。ただし、売主さんが知っている瑕疵(欠陥)を故意に告げなかった場合はその限りではありません。告知義務は確実に履行しましょう。
②決済期日と残置物や費用の扱いを明確にする
つぎに、契約書に「想定通りの決済期日が明記されている」か、「残置物の撤去や簡易清掃などの費用の扱いが売主負担になっていないか」を確認しましょう。もし、これらが売主さん負担になっているようなら、提示された買取価格がそのコストを十分に相殺しているかを厳しく確認します。特に、口頭での約束は後々のトラブルの元となる可能性があるため、条件はすべて書面化するのが鉄則です。
③買取後の業者による再販体制もチェックする
さらに、一見すると売主さんには関係なさそうな点で、「買取後の業者による再販体制もチェックする」ことも有用です。業者によっては、買取後に「インスペクション(住宅診断)」や「既存住宅売買瑕疵保険」を実施する体制を整えているところがあります。売主さん自身の責任が免責されるのはもちろん、買主さんの安心も担保できる仕組みがある業者は、信頼できる判断基準のひとつになります。
これらを実施すれば、即時買取の内容をより知った上で話を進められるので、納得感のある不動産売却へと繋がるハズです。
【境界未確定・狭小地の不動産でも即時買取】相談後1か月で成約した事例
ここで、実際に弊社での買取事例をご紹介します。
ご相談いただいたのは、相続をきっかけに売却を希望された木造店舗付き住宅(築50数年)です。この不動産は人気エリアに位置していましたが、土地は17.5坪の狭小地。さらに境界未確定(確定測量なし)という状況であり、一般的な仲介ではなかなか買い手さんが見つからずお困りの様子でした。
加えて、敷地の前面は歩道に面し縁石があるため、車の出入りには歩道切り下げ工事が必要。建物は老朽化しており解体や建て替えにも費用がかかると見られ、「このままでは売れないかもしれない」と悩まれていました。
そこで弊社では、想定される費用とリスクを正直にご説明しました。その上で、「現況のままの不動産でも即時買取が可能です」とお伝えし、手間や費用に不安を感じておられた売主様に安心いただけるよう努めました。境界確定測量・解体など、煩雑な手続きをすべて引き受ける方針を示したことで、「面倒なことをまとめて任せられるなら助かる」とご納得。
結果、ご相談後わずか1か月で成約となりました。
売主様からは「相続してから建て替えも検討して悩んだ土地を、すぐに現金化できて安心した」とお喜びの声をいただきました。その売却代金は、お孫様のご結婚に合わせた新生活の資金として活用されたそうです。
弊社では、狭小地や境界未確定といった条件の難しい不動産でも、「時間をかけずに売りたい」「現況のまま手放したい」という思いに、即時買取でスピーディーに対応いたします。
即時買取で後悔しない不動産の手放し方とは?
では、即時買取を成功させ、後悔しないための具体的な不動産の手放し方とチェックポイントを整理しておきます。ご自身の状況と優先順位を明確にすることが大切です。
①「早さ・確実さ」と「価格」のどちらを優先するか?
まず、お困り物件などの問題のある不動産の維持費や、その不安を抱えている場合は、即時買取の「早さ・確実さ」を優先するのが合理的です。時間に余裕があり「手間をかけてでも高値を目指したい」場合は、買取保証や仲介を検討するなど、優先順位を最初に決めましょう。
②「即時買取」「仲介」「買取保証」の3つを横並びで比較する
つぎに、不動産売却の確実性を高めるため、即時買取を軸に複数社へ査定を依頼し、仲介や買取保証も含めた3つの売却手段を横並びで比較します。手取り額の比較だけでなく、ご自身の状況に照らして各手段のメリットとデメリットも併せて確認してください。
③査定額だけではなく契約条件を比較する
さらに、買取価格の高低だけでなく、契約不適合責任の免責の範囲、残置物の扱い、決済期日、その他の費用など、契約に関わるすべての条件をチェックリスト化して比較検討することが重要です。
④信頼できる業者を選び条件の書面化を徹底する
さいごに、業者の実績や対応の丁寧さを見て信頼できる業者を選びましょう。そして、口頭で確認した契約の条件はすべて書面化し、その書面を徹底して保管することで、後々の認識のズレやトラブルを未然に防ぐことができます。
このように、即時買取は適切なプロセスで進めることで、お困り物件を安心して手放すための強力な選択肢になります。そのメリットを再度まとめると以下。
・買取保証や仲介に比べて圧倒的に早く現金化できる
・お困り物件に対する契約不適合責任を免責または限定できる
・残置物や簡易修繕などの手間をかけず現状のまま売却が可能
・業者との直接取引で仲介手数料の負担がかからない
・内覧対応や広告活動の手間やストレスから解放される
所有するお困り物件は放置せずに、維持費の負担や将来への不安を最短で解消することが重要です。そのためには、信頼できる不動産買取業者を見つけましょう。
修繕積立金不足の解消に向けた合意難での売却法とは?
そうして、マンションとしての資産価値を高めることができれば、不動産仲介によって一般市場から買い手さんを見つけ、相場通りの売却価格を望むことが可能になります。
とは言え、「管理組合での改善を待っている時間がない…」あるいは「高齢者が多くて積立金増額等の合意形成が絶望的…」など、修繕積立金不足での解消に向けた合意を得ることが難しいケースは多いでしょう。
そんな場合に検討してほしい売却法が、「不動産買取」という選択肢です。「不動産買取」とは、専門業者が直接取引によってその物件を買い取る方法で、一般的な仲介とは根本的に違います。
①問題があっても現状のまま買い取ってもらえる
ひとつ目に、修繕積立金不足の問題や将来のリスク、管理組合の複雑な事情をすべて承知の上で、「現状のまま」買い取ってもらえる点が最大のメリットです。一般の買い手さんのようなリスクを恐れてのキャンセルの心配がありません。
②早期かつ確実にマンションを現金化できる
ふたつ目に、一般の買い手を探す広告期間やローン審査待ちなどが一切不要なため、最短数日~数週間というスピード感で、売買契約から決済(現金化)が可能です。「売れない…」と不安に思う時間や手間が不要です。
③見えていない問題による売却後のトラブルが少ない
みっつ目に、買取の場合は、売主さんが負う契約不適合責任(契約内容にない隠れた不具合に対する責任)が免除されるケースがほとんど。売却が完了した後に、隠れた瑕疵(不具合や欠陥)による損害賠償などのトラブルから解放されます。
もちろん、売却価格は一般の仲介による市場価格と比べると低くなる傾向にはあります。ただ、修繕積立金不足という明確な「売れない」理由を抱え、時間と手間がかかり続ける状況を打開する、最も早く確実で現実的な売却法と言えるでしょう。
まとめ
そこで今回の記事では、不動産の即時買取とは何か、3大メリットとデメリット、後悔しない手放し方に至るまで、分かりやすく解説していきました。
はじめに、「不動産仲介」は、不動産業者が売主さんに代わって広告や内覧対応などを実施して買主さんを探す仕組みです。「市場でより高く売却するか」が重視され、売却活動が必要になり時間がかかります。
一方で「即時買取」は、不動産業者そのものが買主として、売主さんから直接買取する方法です。不動産業者が再販を前提に自ら査定するため、市場価格よりも低くなる代わりに、短時間で現金化しやすいという特徴があります。
その上で「買取保証」とは、仲介と即時買取の中間的な方法です。一定期間仲介で売却活動を行い、売れなかった場合に不動産業者が買い取るという仕組みです。
つぎに、所有の不動産が「お困り物件」ならば、不動産の即時買取に向いています。市場ニーズが低くても、安心して取り引きができる即時買取の大きなメリットは3つ。
①即現金化と維持費負担の解消
②契約不適合責任を免責または限定できる
③現状のままでの引き渡しが可能
このように即時買取は、「早さ」と「確実さ」、そして売却後の「安心さ」を重視する、お困り物件の所有者さんにとって有効な選択肢です。
とは言え、この不動産の即時買取を選択する際には、デメリットがあります。
①売却価格は市場相場の6〜8割になる
②買取を断られる場合がある
③買取業者の選定が難しい
メリットで得られるコスト削減額やリスク回避の価値とデメリットのバランスを見つつ、比較検討を進めましょう。
そこで、即時買取を利用する際に考慮するべき具体的な注意点を確認していきます。
①契約不適合責任の免責範囲を確認する
②決済期日と残置物や費用の扱いを明確にする
③買取後の業者による再販体制もチェックする
これらを実施すれば、即時買取の内容をより知った上で話を進められるので、納得感のある不動産売却へと繋がるハズです。
では、即時買取を成功させ、後悔しないための具体的な不動産の手放し方とチェックポイントを整理しておきます。
①「早さ・確実さ」と「価格」のどちらを優先するか?
②「即時買取」「仲介」「買取保証」の3つを横並びで比較する
③査定額だけではなく契約条件を比較する
④信頼できる業者を選び条件の書面化を徹底する
即時買取はお困り物件を安心して手放すための強力な選択肢であり、そのメリットを再度まとめると以下。
・早く現金化できる
・契約不適合責任を免責または限定できる
・現状のまま売却が可能
・仲介手数料の負担がかからない
・手間やストレスから解放される
所有するお困り物件は放置せずに、信頼できる不動産買取業者を見つけましょう。その候補の一つとして弊社をご検討ください。
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