埋蔵文化財がある土地の売却は難しい?仲介と買取の最適解とは!?

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第131回目は「埋蔵文化財の可能性がある土地の売却」です。

相続した土地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」と知り、「普通に売却できるのか?」「費用負担はあるの?」といった不安を抱えていませんか?実は、こうしたお悩みを持つ土地の所有者さんは少なくないんです。

今回の記事では、埋蔵文化財包蔵地の基礎知識から、売却が難しい理由、そして具体的な対策までを解説していきます。最後まで読んでもらえれば、売却への不安が消え、ご自身の状況に合った最適な一歩が見えてくるハズです。

お困り物件買取事業

そもそも「埋蔵文化財包蔵地」とは?

まず、「文化財(土器、古墳、住居跡などの遺跡)が地中に埋もれている土地」を「埋蔵文化財包蔵地」といいます。また、文化財保護法に基づき「掘れば文化財が出土する可能性があることが広く知られている土地」は、「周知の埋蔵文化財包蔵地」とされ、それらは全国で約46万箇所もの場所(地域)に及ぶため、決して珍しいものではありません。

所有する土地が該当するかどうかは、各自治体の教育委員会が管理する「遺跡地図」や「遺跡台帳」で確認することが可能です。ここで大切なことは、周知の埋蔵文化財包蔵地とは、あくまで「可能性がある」という状態を示しており、必ずしも文化財が発見されるワケではないということ。

とは言えこの可能性こそが、土地の売却活動において注意すべき点となります。法的には、この地域内で建物の建築や宅地造成などといった掘削工事を行う際には、工事着手の60日前までに各教育委員会への届出が義務付けられています(文化財保護法第93条)。

この届出後、教育委員会が試掘調査や工事の際の立会などを指示する場合があり、法律上の制約を受けるため、売却前にその状況を正確に把握しておくことが重要です。

埋蔵文化財がある土地の売却が難しい4つの問題点!

つぎに、埋蔵文化財の可能性のある土地が抱える問題点を整理します。

①発掘調査費用の不確実性
もし本格的な発掘調査が必要と判断された場合、その費用は原則として買主さんの負担となります(当該自治体によって条件は異なる)。費用がいくらかかるのか、そもそも発生するのかが事前に確定しにくいという不確実性が、買主さんにとって大きな購入リスクと映ります。

②工期遅延への買主心理
その調査には数ヶ月単位の時間がかかることもあり、その間は工事に着手できません。もしくは、未調査で工事着工後に発覚したときのリスクは甚大。特に、新居の建築や事業計画など、スケジュールが決まっている買主さんにとって、予測できない工期の遅れは致命的な問題になりかねません。

③建築が制限される可能性
また、調査の結果、極めて重要な遺構(動かすことのできない構造物の遺跡)が見つかった場合、その部分を避けて建物を建てるように指導されるなど、建築プランに制限がかかることがあります。買主さんが思い描いていた通りの建物を建てられない可能性があることも、敬遠される理由のひとつです。

④告知義務と説明責任
そして、土地の売主さんや仲介する不動産会社には、宅地建物取引業法に基づき、その土地が(周知の)埋蔵文化財包蔵地であることを買主さんに必ず説明する「告知義務」があります。この説明を怠ると、後々「契約不適合責任」を問われるなど、深刻なトラブルに発展する恐れがあるのです。

これらの問題が、埋蔵文化財の可能性のある土地の売却が難しい原因です。

問題を把握せずに売却を進めるとどうなる?

これらの問題を把握しないまま、一般的な土地と同じように売却活動を進めてしまうと、売主さんにとって予期せぬ事態を招く恐れがあります。

①売却価格の下落
第一に、買主さんは先ほど挙げた費用や工期遅延のリスクを懸念します。そのため、そのリスク分を価格から差し引く形で、相場よりも大幅な値引きを要求されるケースが少なくありません。

②売却活動の長期化
買い手候補が現れても、埋蔵文化財のリスクを説明すると購入を見送られてしまうことが続くかもしれません。そうなると、土地がなかなか売れない「塩漬け」状態に陥りがちです。その間も固定資産税などの維持費はかかり続けることになります。

③契約不適合責任を問われる
万が一、告知義務を果たさずに売却し、引き渡し後に買主さんの工事で遺跡が見つかった場合、工事がストップすることになります。その想定をしていなかった買主さんから契約不適合責任(契約内容と実際の状況が異なった際の売主責任)を問われ、調査費用や工期遅延による損害賠償を請求されるなど、深刻な金銭トラブルに発展する可能性があります。

このように、適切な知識と対策なしに売却活動を進めると、経済的な損失のみならず、精神的な負担も大きくなるリスクがあるんです。

発掘調査費用は誰が負担するのが原則?

ここで具体的な対応策を解説する前に、調査費用について補足します。というのも、すべての包蔵地が費用を払わねばならないわけではありません。以下に、費用がかかるケースと無償または補助される可能性のあるケースを整理します。

①試掘・確認調査段階
はじめに本格的な調査の前の、文化財の有無や範囲を確認するために行われる小規模な調査について。この段階の調査は、自治体が公費で実施してくれることが多く、売主さんの負担がないケースが一般的です。

②本格発掘が必要になる場合
その試掘の結果、記録保存が必要な重要な遺跡が見つかった場合、本格的な発掘調査へと移行します。この調査費用は、原則として開発行為を行う事業者(土地の買主さん)の負担となります。

③用途・補助制度の影響
ただし、個人が自分の家を建てるなど、営利目的ではない小規模な開発の場合、自治体が調査費用の一部または全額を補助してくれる制度を設けていることがあります(営利目的は原則申請者負担)。

一般に発掘調査費用の相場は比較的小規模の土地で、1㎡あたり 3 万〜10 万円程度の範囲が相場目安と考えられます。ただし、調査規模や期間、面積・遺跡性・密度によって、100万円以上に跳ね上がるケースもあります。

過去事例として例えば、水戸市では包蔵地内で工事を行う際、着工60日前届出を義務化し、試掘調査が必要と判断されれば調査を依頼する仕組みを設けています。その際、発掘調査費用は「原則事業者負担」ですが、個人住宅建築の場合に市が予算範囲で負担する制度も併記されています。

各自治体によって様々なので、不動産売却を考えた際は早期に各自治体に確認しておくことが重要です。

売却の事前にできる5つの具体的対策!

では、埋蔵文化財の可能性のある土地の売却に向けて、具体的対策を以下のように整理します。

①教育委員会への照会
まず最初に行うべきは、自治体の教育委員会など担当窓口への照会です。所有地が包蔵地に該当するか、該当する場合はどのような手続きや注意点があるかを確認しましょう。可能であれば、過去の申請履歴も確認します。

②事前調査の実施
もし、周知の埋蔵文化財包蔵地なのであれば、売却活動を始める前に自治体の協力のもとで試掘・確認調査を実施します。調査によって文化財がないことが確認できれば、買主さんは安心して購入できますし、もし何か見つかってもリスクの程度が明確になります。

③リスク評価を実施
それら調査結果や自治体からの情報を基に、将来発生しうる費用や工期の遅延がどの程度なのか、不動産会社などの専門家にも相談しながら客観的に評価することが大切です。

④説明のための資料化
一連の教育委員会等とのやり取りの記録や調査報告書などを一つのファイルにまとめておきましょう。正確な情報を資料として提示することで、買主さんの信頼を得られ、スムーズな交渉につながります。

⑤告知義務責任の明文化
その上で売買契約を結ぶ際には、万が一契約後に想定外の文化財が発見された場合の費用負担や責任の所在について、契約書の特約条項として明確に定めておきます。これにより、売却後のトラブルを未然に防ぐことができます。

これらの対策を丁寧に行うことで、一見すると売却が難しい埋蔵文化財包蔵地であっても、買主さんの不安を解消し、納得のいく取引を実現できる可能性が高まります。

埋蔵文化財がある土地の売却方法の最適解!

その上で、ご自身の状況に合わせて、埋蔵文化財の可能性のある土地をどう売却することが最適か判断します。

不動産仲介では広く買主さんを探せるため、市場価格に近い高値で売れる可能性があります。しかし、買い手が見つかるまでに時間がかかったり、前述のリスクを理由に大幅な価格交渉を受けたりするデメリットも考慮しなくてはなりません。

一方、不動産買取では、不動産業者が直接取引で土地を買い取る方法です。相場よりも安い売却価格になってしまいますが、仲介のように買主さんを市場から探す必要がなく、条件が合えばすぐに売買契約が成立し、早期に現金化できるのが特徴です。

特に、埋蔵文化財の可能性のある土地の売却においては、大きなメリットがあります。

①迅速な現金化と時間的リスクの排除
ひとつに、買取業者が直接買主となるため、売却活動の期間や手間も不要です。仲介で起こりがちな「いつ売れるか分からない」という不安が長期的に続くリスクを根本からなくせます。すぐに土地を現金化したい方や、維持費の負担から早く解放されたい方にとって、これは大きな利点です。

②調査リスクや行政対応の引き受け
また、専門的な知識を持つ不動産買取業者は、埋蔵文化財包蔵地のリスクを理解した上で購入します。そのため、売却後の発掘調査費用の負担や工期の遅延といった懸念点を引き受けてくれます。売主さんは、煩雑な行政手続きや将来の不確実な費用負担の心配もなくせます。

③契約不適合責任が免責になる可能性
さらに、個人間売買では避けて通れない「契約不適合責任」も、買主が不動産買取業者の場合、この責任を免除する特約を付けて契約することが可能です。これにより、売主さんは土地を引き渡した後に未知の埋蔵文化財の発見だけでなく、その他の隠れた瑕疵(かし:欠陥)についても、損害賠償などを請求されることがありません。

不確実性という大きなリスクを回避し、確実かつ早期に土地を手放せる安心感は、何物にも代えがたいメリットと言えます。

「3つの出口戦略」と買取という最後のカード!

さいごに、出口を三択で明確にします。

①隣地所有者へ売却する
もし隣地が更地であったり、小規模な建物が建っていたりする場合、あなたの土地と一体化させることで、より大きな、形の整った土地として活用できる可能性があります。隣地所有者さんにとっては土地の価値を高めるチャンスであり、相場より高値での売却が期待できるケースもあります。

②賃料実績を作って投資家へ売却する
前述の通り、税制上の留意点を理解した上で、駐車場などの賃料実績を築いた後、その土地を「収益物件」として投資家に売却する戦略です。想定利回りが算定しやすくなるため、投資家は事業計画を立てやすく、買い手がつきやすくなります。安定したインカムゲイン(定期的に得られる収益)を求める投資家層にターゲットを絞ってアプローチできます。

③現状のまま不動産買取を利用する
さいごに、不動産買取です。仲介で売却活動をしても買い手が見つからない、あるいは早く現金化したい場合や確実な取引をしたい場合に有効なのが、不動産業者に直接買い取ってもらう方法です。仲介に比べて価格は低くなる傾向がありますが、それを補う大きなメリットがあります。

特に、期間と手間の最小化を最優先する場合、「不動産買取」が最後のカードです。
・手間や資金の手出しを少なく、精神的な負担も軽減できる
・売却後の「契約不適合責任(契約内容と相違があった場合の売主責任)」が免責されることが多く、将来のトラブルを回避できる
・測量や解体などが必要な場合でも、現状のまま引き渡せるケースがほとんど

不動産仲介と同時並行で活動し比べ、期限を決めて最適解を選べば、固定資産税の負担と管理コストを確実に縮小できます。

まとめ

今回の記事では、埋蔵文化財包蔵地の基礎知識から、売却に向けた具体的な対策までを解説していきました。

まず、「文化財が地中に埋もれている土地」を「埋蔵文化財包蔵地」といい、「掘れば文化財が出土する可能性があることが広く知られている土地」を「周知の埋蔵文化財包蔵地」とされており、決して珍しいものではありません。

該当するかは、各教育委員会が管理する「遺跡地図」や「遺跡台帳」で確認することが可能ですが、周知の埋蔵文化財包蔵地であっても、必ずしも文化財が発見されるワケではないです。

法的には、この地域内で宅地造成などの掘削工事を行う際には、工事着手の60日前までに各教育委員会への届出が義務付けられ(文化財保護法第93条)、法律上の制約を受けます。

つぎに、埋蔵文化財の可能性のある土地の売却が難しい原因を整理します。
①発掘調査費用の不確実性
②工期遅延への買主心理
③建築が制限される可能性
④告知義務と説明責任

これらの問題を把握しないまま、売却活動を進めてしまうと、予期せぬリスクを招く恐れがあります。
①売却価格の下落
②売却活動の長期化
③契約不適合責任を問われる

ここで調査費用負担について補足します。
①試掘・確認調査段階は自治体が公費で実施してくれることが多い
②本格発掘が必要になる場合は原則として開発行為を行う事業者負担となる
③ただし、営利目的ではない小規模な場合、自治体が調査費用を補助してくれる制度を設けていることがある

一般に小規模の土地で、1㎡あたり 3 万〜10 万円程度の範囲が相場目安ですが、調査規模や期間、面積・遺跡性・密度によって、100万円以上に跳ね上がるケースもあるので、不動産売却を考えた際は早期に各自治体に確認しておくことが重要です。

では、売却に向けて買主さんの不安を解消するための具体的対策を以下のように整理します。
①教育委員会への照会
②事前調査の実施
③リスク評価を実施
④説明のための資料化
⑤告知義務責任の明文化

その上で、ご自身の状況に合わせて最適な売却方法を判断します。

不動産仲介では、相場に近い高値で売れる可能性がありますが、時間がかかったり、大幅な価格交渉を受けたりするデメリットがあります。

一方、不動産買取では業者との直接取引で、相場よりも安い売却価格になってしまいますが、手間無く早期に現金化できるのが特徴です。

特に、埋蔵文化財の可能性のある土地の売却においては、大きなメリットがあります。
①迅速な現金化と時間的リスクの排除
②調査リスクや行政対応の引き受け
③契約不適合責任が免責になる可能性

不確実性という大きなリスクを回避し、確実かつ早期に土地を手放せます。

私たちエスエイアシストも不動産買取業者のひとつです。入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々解決してきた実績があります。ぜひ他社さんと比較していただければと思います。難しい物件をお持ちでお困りの方は、一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。

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