土壌汚染の土地を売却したい!浄化工事の費用対効果と3つの出口とは?

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第122回目は「土壌汚染の土地売却」です。

昔は工場として活用していた土地を相続したとき、「土壌汚染があるかもしれない…、ちゃんと売れるのだろうか?」と、土地の売却に不安を感じていませんか。結論から言うと、法律に沿った確認と必要な土壌汚染調査、適切な売買契約を踏めば、土壌汚染の可能性のある土地でも安全に売却できます。

今回の記事では、土壌汚染対策法の要点、告知義務や契約不適合責任の注意点、浄化工事の費用対効果、それらを踏まえた三つの出口をわかりやすく解説します。読んでもらえれば、これからの道筋が見えてくるハズです。ぜひ最後までお付き合いくださいね!

お困り物件買取事業

土壌汚染の土地売却と土壌汚染対策法とは?

はじめに「土壌汚染」とは、「土の中に鉛・六価クロム(強い酸化性で有害)・ヒ素(微量は自然に存在する毒素)・ベンゼン(発がん性の指摘あり溶剤)などの有害物質が基準を超えて存在し、人の健康に影響を及ぼすおそれがある状態」のことです。

土壌汚染の可能性のある土地を売却したいと考えるなら、まずは土地の地歴を押さえる必要があります。例えば、
・登記簿や航空写真などで過去の用途や操業履歴を確認する
・敷地内外の地中タンクや排水経路、埋設物や残置物の有無を確認する
・ガソリンスタンドや金属加工など有害物質を扱う施設の履歴を確認する

もし所有の土地に土壌汚染のリスクが高いのであれば、法的にも影響があります。それは、「土壌汚染対策法」というもので、「土壌汚染による人への健康被害を防ぐ」ための法律です。土壌の汚染状況の把握と汚染除去などの措置を講じるための仕組み。この法律によって、
・要措置区域(健康リスクがあり措置が必要)
・形質変更時要届出区域(工事で土を動かす際に届出が必要)
といった指定を受ければ、いずれも取引・利用計画に影響します。

不動産売買においては、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明で、区域指定の有無や土壌汚染の可能性に関する情報を適切に開示する必要があります。

土壌汚染の土地売却の壁と契約不適合責任!

では、より具体的に土壌汚染の可能性のある土地売却の壁とも言うべき点を挙げてみます。

①事前にかかる費用の見通しが立ちにくい
第一の壁は、調査の範囲や深さ、対象物質、採取孔(調査などの目的で掘られた穴)の本数、さらに採用する工法によって費用が大きく変わるため、売却に向けた事前にかかる費用の見通しが立ちにくいことです。

②融資へのハードルが高い
第二の壁は、土壌汚染のリスクから、金融機関の担保評価が保守的になりやすく、一般の買主さんがローンを組みにくいことです。開発や住宅用途ほど厳格な基準が求められるため、現金買いの事業者など買い手が限られるケースもあります。

③契約不適合責任を負うリスクがある
そして第三の壁が、引渡し後に想定外の汚染が見つかった場合の契約不適合責任(契約内容と実際が違う場合に負う責任)のリスクです。以前の「瑕疵担保責任」と違い、注意を払っても気付けなかった「隠れた欠陥」であっても、売主さんに責任が残ります。

とくに土壌汚染の可能性のある土地には、契約不適合責任が噴出しやすい傾向にあり、万が一責任を問われれば以下のような問題が起こります。
・契約の白紙化(解除)や価格の見直し(減額)
・除去などの追加工事費や調査費の負担請求
・引渡し遅延や用途制限に伴う損害賠償請求
・再販や利用までの機会損失や評判リスクの顕在化

これらは、売主さんにとって大きなリスク!

土地の段階的な土壌汚染調査!

そのため、土壌汚染の可能性のある土地売却を考えるなら、土壌汚染調査が全てのスタートになります。多くの場合、調査(簡易調査から詳細調査まで、数十万円〜百万円以上の費用感)は段階的に進めることになります。

①フェーズ1:地歴・資料調査
まず、登記簿・古地図・航空写真、周辺の操業履歴、危険物施設の許可台帳、タンク・ピット(配管や設備を通すための穴や空間)・排水ラインなどの情報を収集し、想定される汚染物質と範囲の仮説を立てます。ここで採取孔の位置や分析項目を絞ることで、次段階のムダ撃ちを防ぎます。

②フェーズ2:サンプリング調査
つぎに、表層土・ボーリングコア(円筒状の地質サンプル)・地下水を採取し、基準超過の有無や濃度・分布を把握します。建物配置や雨水・汚水系統の流れも踏まえ、暴露経路(人体への接触ルート)を整理します。結果に応じて、追加孔や別深度の再確認(さらに深く調査)を行います。

③フェーズ3:詳細調査・対策計画
さいごに、外縁やホットスポット(汚染の集中している場所)を確定し、対策工法(掘削除去・被覆や盛土・封じ込め・地下水の遮水など)と工期・概算費用を検討します。影響を最小にする仮設計画や、搬出や処分先の確保、行政への相談や届出の段取りもここで整えます。

これらによって、所有の土地に「土壌汚染がある!」と現実のものとしてハッキリとしたのなら、地質を改善する浄化工事や封じ込めといった対策が必要になるケースが殆ど。当然、工事費用がかかってきますし、多くの場合売主負担となるでしょう。

後述しますが、例えば、被覆や封じ込めによって「暴露経路を断つ」工法は、健康リスクを許容基準内に収めつつ費用を抑える現実的な選択になります。一方で、住宅分譲といった、より清浄な地盤が求められる用途であれば、掘削除去が選ばれることもあります。

大切なのは調査の目的を「値引きの材料づくり」ではなく「合意形成の土台づくり」と位置づけるコトが不動産売却のポイントとなります。

土壌汚染の土地を放置する3つのリスク!

先述の通り、土壌汚染の可能性のある土地売却の難しさは、先行きの費用の見通しの不透明感からくるもの。土地の土壌汚染の現実を突きつけられたにも関わらず、「よく分からないから」「費用の捻出ができない」と言って、その対処を先送りすると、以下の3つのリスクを負うことになりかねません!

①経済的リスク
ひとつに、固定資産税や維持管理などのコストが積み上がる経済的リスクがあります。まして、将来の売却タイミングを逃すと手取りが目減りすることにもなります。調査・浄化の着手が遅れるほど、見積りのブレや追加対応の可能性が高まり、結果として総コストが増えがちです。

②法的リスク
また、区域指定や届出が必要な土地で手続きを怠ると、是正や工事中断が生じるおそれがあり、命令違反や虚偽報告等の法定事由に該当すると罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金等)の対象となることがあります。万が一、売却後に想定外の汚染が判明すれば、契約不適合責任の追及につながり、二重の負担が生じます。

③機会損失リスク
さらに、こちらの検討が長期化しているうちにも、地価・金利・再開発など外部環境は動きます。検討が長期化するほど市場からの関心が薄れ、同じ物件でも条件が悪化する場合があります。他方、「負」動産として利活用できなければ、ご自身の機会損失になるとも言えるでしょう。

こうしたリスクは、行動するコトで押さえられる可能性が高まります。不安の元凶は「分からない」コトから生まれるのでしょう。たとえ分からなくとも順番に可視化すれば、買い手側も判断しやすくなり、価格交渉の根拠が増えて結果的に有利に進みます。

「契約書なし・土壌汚染あり」70坪の相続工場を再生した事例!

では、具体的な対策のお話をする前に、弊社での「契約書なし・土壌汚染あり」悩みを抱えた70坪の相続工場を再生した事例を紹介します!

「突然相続することになった父の工場だが、契約書のない借り主と家賃交渉がこじれてしまい、しかも土壌汚染の疑いまである。どうしたらいいのか…」。ご相談に来られたB様ご家族は、こう肩を落としていらっしゃいました。

問題は二つ。

ひとつは賃貸借契約書が存在しないため、「被相続人との口約束から相場とかけ離れた家賃値下げを借り主に主張されていた」こと。

もうひとつは、「工場敷地から汚染物質が検出される可能性があった」こと。

いずれも専門知識と時間、そして費用がかかるハードルで、B様は売却自体を諦めかけていました。 そこで弊社は、現況そのままの一括買取を提案しました。

まずは買取後、法的根拠に基づいて借り主様と粘り強く交渉。立退料と引換えに6カ月での明け渡しに合意を取り付けました。 続いて建物を解体し、信頼できる専門業者さんと連携して汚染土を入れ替え。行政への浄化計画届出から完了報告までをワンストップで実施しました。

そうして、更地化と土壌改良を終えた土地は、近隣の再開発需要とマッチし、次の所有者さんとの不動産契約を成立させることができました。

契約書がない賃貸トラブルや土壌汚染問題は、個人で対処するにはハードルが高い課題です。弊社では測量・交渉・環境対策を含む包括買取を行い、オーナー様の手間とリスクを最小化します。

B様は「相続したはいいものの負の遺産だと思っていた工場が、家族の将来資金に変わった」と大変喜ばれていたことが印象的でした。

浄化工事とその費用対効果!

お話を戻しまして…、土壌汚染調査によって所有の土地の土壌汚染が現実のものとなったとき、浄化工事について検討していかなくてはなりません。

浄化工事は「掘削除去して綺麗にする」だけではありません。暴露経路を断って健康リスクを管理するのか、掘削除去によって根本原因を完全に断つのか、土地の将来用途や工期、資金計画で選択が変わります。

浄化工事費(汚染物質の種類や範囲によって数百万円から億単位になる例もある)とその費用対効果を考えるときには、3つの視点を持ちます。
・期待手残り:浄化後に見込める売却価格から工事等のコストを差し引いた実質の手取り額
・直接費や間接費:調査・工事等の直接費に加え、保有コストや工期延伸といった間接費
・用途地域やニーズ:当該地域の想定用途、買い手のニーズや期待水準

その上で、住宅用途のように厳格な基準が求められるのなら、早期に掘削除去を選び、将来の紛争の芽を摘む判断も合理的です。また、売却価格も相場に近くなります。ただし、掘削量や搬出先の確保、工期の確保が必要で、予期せぬ追加汚染が見つかると費用が膨らむリスクもあります。

一方で、早期の現金化や物流・駐車場などの暫定利用が前提なら、被覆や封じ込めと価格調整(売却価格の値引き)の組み合わせが現実的です。ただし、将来の建築や深基礎工事に制約が出たり、管理・点検のコストや区域指定の継続に留意が必要です。

加えて、自治体や公的機関の相談・支援情報も確認しましょう。東京都は土壌汚染の相談窓口や手引きを整備し、手続きの流れや留意点を公開しています。土壌汚染対策と利活用のガイドも公表しているので、意思決定の参考にします。

土壌汚染のある土地の浄化工事とその費用対効果を考えるコトは、その後の売却ルートを決める上で勘所になります!

3つの出口と契約不適合責任の回避法!

これらを踏まえて、土壌汚染の可能性のある土地の最適な出口は3つ。それは個々人の期限、資金、許容リスクで変わります。

①浄化せずに売却する
ひとつに、現況有姿(浄化せずに現況のまま)での売却を基本に、被覆・封じ込めなどの管理と価格調整(売却価格の値引き対応)をセットにします。用途を倉庫・駐車場・資材置場などに限定する提案と相性がよく、短期化・コスト抑制が狙えます。契約書では管理方法や将来工事時の対応、情報開示の範囲を明確にします。

②浄化して売却する
つぎに、掘削除去などの汚染を根本的に除去して、より土地の安全性を高め、買主層を広げて価格の下支えを狙います。土地の価値を上げることで、売却価格を市場相場に近づけます。ただ、調査や工事費用を価格に転嫁できるかは不確実なため、先述の通り費用対効果を慎重に判断する必要があります。

③現況のまま専門の買取業者に売却する
さいごに、浄化工事等はせずに現況のまま専門の不動産買取業者さんに買い取ってもらう方法もあります。売却価格は相場に対して低くなることは否めませんが、スピードと確実性を優先し、調査・工事・残置物撤去などをワンストップで進めるコトが可能です。

どのルートでも、契約不適合責任をめぐる認識合わせが重要なのは、これまで述べた通り。もし、売却後の責任発生という不確実性に不安を感じるのであれば、「契約不適合責任の免責特約」を付けられる場合の多い(ただし、重大な汚染の場合には特約があっても売主責任を問われる可能性はある)ため、不動産買取が最有力候補かもしれません。

土壌汚染の可能性のある土地の売却において、不動産買取を利用するメリットは他にも、
・最短で現金化でき、保有コストや機会損失を抑えられる
・業者との直接取引のため仲介手数料もなく、確実性も高い
・調査段階から一括対応でき、オーナーの負担が少ない

たとえば、弊社の無料相談では「調査の要否」「概算の調査費用・浄化費用」「現況買取での手取り見込み」を同時に把握できます。

まとめ

今回の記事では、土壌汚染の可能性のある土地を売却するにあたり、契約不適合責任や浄化工事の費用対効果、三つの出口についてわかりやすく解説していきました。

はじめに「土壌汚染」とは、「土の中に有害物質が基準を超えて存在し、人の健康に影響を及ぼすおそれがある状態」のことです。

土壌汚染の土地を売却するには、「土壌汚染による人への健康被害を防ぐ」ための「土壌汚染対策法」の影響を受け、取引・利用計画に影響します。不動産売買においては、重要事項説明で区域指定の有無や土壌汚染に関する情報を適切に開示する必要があります。

具体的に、土壌汚染の土地売却の壁となるのは以下。
①事前にかかる費用の見通しが立ちにくい
②融資へのハードルが高い
③契約不適合責任を負うリスクがある

とくに土壌汚染の可能性のある土地には、契約不適合責任が噴出しやすい傾向にあり、「契約解除や減額・追加工事費用などの負担請求・損害賠償請求・機会損失や評判リスク」のような問題が起こり得ます。

そのため、土壌汚染の土地売却を考えるなら、土壌汚染調査を段階的に進めることになります。
①フェーズ1:地歴・資料調査
②フェーズ2:サンプリング調査
③フェーズ3:詳細調査・対策計画

これらによって対策が必要になれば、費用は多くの場合、売主負担となります。健康リスクを許容基準内に収めつつ費用を抑える選択か、より清浄な土地にするため掘削除去などを選択します。

大切なのは調査の目的を「値引きの材料づくり」ではなく「合意形成の土台づくり」と位置づけるコトが不動産売却のポイントとなります。

土壌汚染の土地売却には難しさがありますが、とは言え対処を先送りすると以下の3つのリスクを負いかねません!
①経済的リスク
②法的リスク
③機会損失リスク

こうしたリスクは、行動するコトで押さえられる可能性が高まります。問題も順番に可視化すれば、価格交渉の根拠が増えて結果的に有利に進みます。

土壌汚染調査によって土壌汚染が確認され対策が必要であれば、浄化工事について検討していかなくてはなりません。

浄化工事には、暴露経路を断って健康リスクを管理するのか、掘削除去によって根本原因を断つのか、土地の将来用途や工期、資金計画で選択が変わります。

浄化工事とその費用対効果を考えるときには、「期待手残り・直接費や間接費・用途地域やニーズ」の3つの視点を持ちます。

その上で、住宅用途なら早期に掘削除去を選び、売却価格も相場に近くし、将来の紛争の芽を摘む判断も合理的です。ただし、予期せぬ追加汚染が見つかると費用が膨らむリスクもあります。

一方で、早期の現金化や暫定利用が前提なら、被覆や封じ込めと価格調整(売却価格の値引き)の組み合わせが現実的ですが、将来的な管理・点検のコストや区域指定の継続に留意が必要です。

加えて、自治体や公的機関の相談・支援情報も確認し、意思決定の参考にします。費用対効果を考えるコトは、その後の売却ルートを決める上で勘所になります!

これらを踏まえて、個々人の期限、資金、許容リスクにより、土壌汚染の可能性のある土地の最適な出口は3つ。
①浄化せずに売却する
②浄化して売却する
③現況のまま専門の買取業者に売却する

土壌汚染の可能性のある土地の売却において、不動産買取を利用するメリットは多く、
・契約不適合責任の免責特約を付けられることが多い
・最短で現金化でき、保有コストや機会損失を抑えられる
・業者との直接取引のため仲介手数料もなく、確実性も高い
・調査段階から一括対応でき、オーナーの負担が少ない

土壌汚染のある土地の売却を考えるのであれば、ご自身の状況に合わせて慎重に選びましょう。

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