アスベスト含有物件でも売却は可能!調査の要否と説明義務の注意点!

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第103回目は「アスベスト含有物件の売却」です。

アスベストは丈夫で耐火性・断熱性などに優れており、しかも安価なため、過去に「奇跡の鉱物」と言われ、健康被害が問題視されるようになるまで多くの建物に使用されてきました。そのため、「古い物件だけど、アスベストが使われていたらちゃんと売却できる?」と心配される物件所有者さんは多いです。その結論から言うと、アスベスト含有物件でも売却は可能です!ただし、使用調査や説明義務などについての注意点があり、売却価格にも影響してくることがあります。

そこで今回の記事では、アスベスト含有物件の売却に際して、「どんな義務があるのか」「どうすればトラブルなく手放せるのか」、そして売却方法に至るまで、わかりやすく解説していきます。安心の不動産取引ができるように、ぜひ最後まで読んでいってくださいね!

お困り物件買取事業

アスベスト含有物件とは?

まず、そもそも「アスベスト」とは、「石綿(いしわた・せきめん)」とも呼ばれ、「耐火性・防音性・断熱性・耐薬品性などに優れた天然に産出される繊維状鉱物」で、後に健康被害が報告され問題が浮き彫りになるまで「奇跡の鉱物」とすら言われていたほどです。

そのため、1970年代〜1990年代前半を中心に、日本中の建築物の屋根材、天井、壁、床材、配管の保温材などさまざまな部位に使用されていました。このように汎用性の高い建材であり、一般住宅から工場、学校、ビルに至るまで、あらゆる建物に採用されていたのです。

しかしこのアスベスト、深刻な健康被害を起こします。とても細かく軽く目に見えない形で空気中を浮遊するため、誤って吸引されてしまうと肺に入り込んで蓄積し、20〜40年以上の長い潜伏期間を経て中皮腫や肺がんなどの重大な病気を引き起こすとされています。これは、原因や問題が発覚するのは超長期の将来であるという難しさがあります。

そんなアスベストを含有する建材を使用した不動産物件を、一般に「アスベスト含有物件」と呼ぶことがあります。使用が全面的に禁止されるようになった2006年以前に建てられた建物には、こうした物件が残っている可能性があります。

なお、アスベスト含有物件であっても、通常の生活を送る上で健康被害が出るわけではありません。「行政も生活に支障がない範囲では問題視していない」とも言い換えられます。ただし、リフォームや解体といった工事をしようとするなら話は別です。アスベストを含む建材を破壊・除去する際に、微細な繊維が空気中に飛散する恐れがあるからです。

アスベスト含有物件でも売却は可能!ただし法規制は影響か?

そうなると気になるのが、「アスベスト含有物件でも本当に売れるのか?」という点です。結論から言えば、不動産売却は可能であり、法律上の制限はありません。

ただし、2022年4月に施行された「改正大気汚染防止法」では、以下のような厳格な規制が導入されました。
・アスベスト除去作業:専門業者による工程管理・報告義務・防護措置などが必須であり、違反時には罰則が科せられる
・事前調査報告書の作成義務:解体前や改修前に有資格者によるアスベスト事前調査を実施し、報告と保存をする義務がある

さらには、2023年10月以降は「建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者による調査が義務化されています。

これらの規制により、アスベスト含有物件における工事の遅延はもちろん工事費用が大幅に高くなる場合があります。万が一、解体作業中に想定外のアスベスト使用が発覚すれば、当初の工事費用の見積もりよりも大きく上回る恐れもあります。

当然ながら、アスベストの除去や建物の解体を買主側で実施してもらう場合、買主さんからのアスベストへの対応を織り込んでの価格交渉が入ることが想定され、売却価格の値下げを余儀なくされるような影響が出てきます。

アスベスト使用が疑われる物件の売却に関する使用調査の要否は?

そうなると、2006年以前に建てられていてアスベスト使用が疑われる物件に関しては、「売却前に調査が法律上の義務では無いのだから、調査を実施しなければよいのでは?」と思ってしまいそうです。

しかし、そんな簡単なことではありません。アスベスト使用が疑われる物件に関する調査の要否を決めるポイントは以下があります。

①建築時期と部位から判断する
はじめに、アスベスト規制は段階的に強化されてきました。
・1975年:5重量%を超える吹き付けアスベスト原則禁止
・1987年:労働安全衛生法改正と一部含有建材の使用禁止
・1995年:茶石綿と青石綿の全面禁止
・2004年:1重量%を超える含有建材10品目の製造や使用禁止
・2006年:労働安全衛生法再改正と0.1重量%を超える含有建材の使用禁止
・2012年:一部製品の猶予措置の撤廃による日本国内完全禁止
これらの建築時期にともなう使用禁止の経緯とともに、屋根材・外壁・天井・配管の保温材など、アスベストがよく使われた部位の建材であるかどうかも調査判断の大きな手がかりになります。

②工事履歴の有無を確認する
また、当該物件において過去に改修や補修工事が行われており、その際にアスベスト除去作業が行われていれば、現在の状態ではアスベストは含まれていない可能性もあります。リフォーム履歴や建築図面、業者さんからの報告書などを確認しておくと判断しやすくなります。

③売却後のトラブルを避けたいかどうか
さらに、仮に調査を実施せずに売却した場合、後から「アスベストが含まれていた」と買主さんから指摘されることがあります。契約不適合責任といって「当該契約において契約内容通りでなかった(不適合であった)場合の賠償責任」を問われるリスクがあります。そうしたリスクを避けるために、調査を実施して事前に情報を開示しておくことが、円滑かつ安心な取引につながります。

つまり、「調査の義務がないからやらない」ではなく、「将来のトラブルを避けるためにやっておくべきかどうか」という視点が重要です。

そんな調査費用の相場は、建物の規模や部位数、地域にもよるものの、数万〜十数万円程度です。万が一を考えると、決して高すぎる金額とは言えないのではないでしょうか?安心して売却を進めるための保険と考えて、調査の実施を前向きに検討すべきかと思います。

買主への説明義務の注意点!

ともあれ、不動産売却時には買主さんへの説明義務は発生します。アスベストについての説明の注意点は以下のようなものがあります。

①アスベスト使用の有無
ひとつに、「建物にアスベストが使われているかどうか」について、その有無など把握している情報はすべて告知・説明する必要があります。これは、たとえ部分的にでも、です。それらを伏せておくことは避けるべきです。

②アスベスト調査未実施の場合
つぎに、繰り返しになりますが、調査自体は義務ではありません。もし、アスベスト調査を未実施であった場合でも、その旨を明確に伝える必要があります。「調査をしていない=アスベスト未使用」とはならないため、「不明です」と正直に伝え、その理由も併せて説明しましょう。説明不足が、後のトラブルの原因になるケースがあります。

③説明の証拠を残す
そして、口頭だけの説明では、後々「言った」「言わない」の争いになるリスクがあります。必ず重要事項説明書や媒介契約書などの書面に、説明内容をきちんと記載しておくことが大切です。可能であれば、不動産業者さんや調査業者さんと協力し、調査結果の報告書や説明履歴も併せて保管しておくと安心です。

とは言え、買主さんに説明するということは、アスベスト含有(の疑いのある)物件は敬遠されることに他なりません。売却活動が長期間になるかもしれませんし、そもそも買い手が見つからないケースもあることは、覚悟しなくてはなりませんね。

売却活動に手間や不安を感じるなら不動産買取も!

ここまで、アスベスト含有物件の不動産売却にあたり、買主さんに対して取るべき対策について解説してきたワケです。要するに「不動産仲介を通じて、少しでも高く物件売却をしたい!」という考えがあってのことになります。

でももし、アスベスト含有物件の売却活動について手間だと感じたり、不安に感じたりするような場合には、「不動産買取」という方法も選択肢として考えられます。

不動産買取を利用して業者さんに直接売却するのであれば、どうしても市場価格より20〜30%程度低く価格設定されることになる場合はありますが、一方で以下のようなメリットがあります。

①面倒な調査や説明が不要
まず、不動産買取業者さんはプロであり、アスベストの有無に関わらず現状のまま買い取ってくれるケースが多くあります。面倒な使用調査はもちろん、買主個人への説明義務などが不要になり、売主さんとしての精神的負担も大幅に軽減されます。

②解体・除去費用の持ち出しがなく即現金化できる
また、アスベストを除去したり、建物を解体したりする場合は、通常よりも工事費用は高額です。売却活動前にアスベストの問題を解消するには、金銭的負担はかなり大きいものになります。こういった費用を売主側で持ち出しする必要がないどころか、買取業者さんとの取引がまとまれば、物件資産を即現金化できます。

③売却後のトラブルリスクが低い
さいごに、個人間の売買に比べて買取業者さんとの取引は、不動産売却後のトラブルが発生リスクが低いため、とても安心感があります。「調査していなかったことが後々問題になった…」といった不安を抱えずに済むのは、買取ならではの強みです。

「アスベストを含有している古い物件だから売れるか不安…」という方は、一度不動産買取業者さんに相談してみましょう!

まとめ

今回の記事では、アスベスト含有物件の売却に際しての知識について、わかりやすく解説していきました。

まず、「アスベスト」とは、「石綿(いしわた・せきめん)」とも呼ばれ、「耐火性・防音性・断熱性・耐薬品性などに優れた天然に産出される繊維状鉱物」で、1970年代〜1990年代前半を中心に、建物の建材としてさまざまな部位に使用されていました。

しかしこのアスベストは、目に見えない形で空気中を浮遊するため、吸引されてしまうと肺に蓄積し、長い潜伏期間を経て中皮腫や肺がんなどの重大な病気を引き起こすとされています。

そんなアスベストを含有する建材を使用した「アスベスト含有物件」は、使用が全面的に禁止された2006年以前に建てられた建物の中に多くあり、解体・除去する際には微細な繊維が空気中に飛散する恐れがあります。

アスベスト含有物件でも不動産売却は可能ですが、2022年4月に施行された「改正大気汚染防止法」では、アスベスト除去作業や事前調査報告書の作成義務などの厳格な規制が導入され、2023年10月以降は「建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者による調査が義務化されたことで、アスベスト含有物件における工事の遅延はもちろん工事費用が大幅に高くなる場合があります。

当然ながら、買主さんからのアスベストへの対応を織り込んでの価格交渉が入ることは想像に難くなく、売却価格に影響します。

そうなると、アスベスト使用が疑われる物件に関しては、調査を実施しなければよいと思うところですが、調査の要否を決めるポイントは以下があります。

①アスベスト規制は段階的に強化されたため建築時期と部位から判断する
②アスベスト除去作業などの工事履歴の有無を確認する
③売却後の契約不適合責任などのトラブルを避けたいかどうか

つまり、「調査の義務がないからやらない」ではなく、「将来のトラブルを避けるためにやっておくべきかどうか」という視点が重要です。

そんな調査費用の相場は、建物の規模や部位数にもよるものの、数万〜十数万円程度であり、万が一を考えると、調査の実施を前向きに検討すべきかと思います。

ともあれ、不動産売却時には買主さんへの説明義務は発生し、注意点は以下。
①アスベスト使用の有無
②アスベスト調査未実施の場合は明確に伝える
③口頭だけ説明だけでなく、重要事項説明書や媒介契約書などの書面に証拠を残す

とは言え、「不動産仲介」を通じて不動産売却するにあたり、アスベスト含有(の疑いのある)物件は買い手さんから敬遠され、売却活動が長期間になったり、そもそも買い手が見つからないケースもあります。

もし、アスベスト含有物件の売却活動について手間だと感じたり、不安に感じたりするような場合には、市場価格より低く設定されることにはなりますが、「不動産買取」という方法も選択肢として考えられます。

メリットは以下。
①面倒な調査や説明が不要
②解体・除去費用の持ち出しがなく即現金化できる
③売却後のトラブルリスクが低い

私たちエスエイアシストもそんな不動産買取業者のひとつです。入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。特別な対応が必要なアスベスト含有物件も同様です。
ぜひ他社さんと比較して頂ければと思います。難しい物件をお持ちでお困りの方は、一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。

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