
独自のノウハウとアイデアを結集して入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”でも、ひと手間かけることで土地や建物の持つ価値を最大化して解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシスト(SAA)がお届けする“お困り物件”Blogです。
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今回は生産緑地について解説します。
そもそも生産緑地とは?
生産緑地とは都市計画で定められた農地などで一定の条件を満たすと固定資産税や相続税などの税務上の優遇を受けられる土地のことを指します。税制優遇措置を受けることが出来る一方で宅地としての利用が禁止されており、建築などの行為が制限されてしまいます。
生産緑地が定められた背景
まずは生産緑地が定められた背景について説明します。そもそも、高度経済成長期やバブルの時代に大都市を中心に人口が増加したため宅地不足が深刻になり、政府が都市部の農地を宅地へ転換するよう促しました。宅地と農地では本来固定資産税などの課税額が異なりますが、宅地への転換を促すため、農地と宅地の課税評価を同じにすることとしました。宅地化する土地は増えたものの地価の高騰は止まることはない一方で税負担の公平性が強く求められた結果、宅地化する農地と保存する農地を区分するため生産緑地が定めれました。
生産緑地のメリットとデメリット
この章では生産緑地に指定された際のメリットとデメリットについて解説します。
メリット
生産緑地に指定されると「市街化区域においても固定資産税が農地課税となる」「相続税が猶予される」といったメリットがあります。通常、約10年以内に市街地化が図られる市街化区域農地では固定資産税の納税額が宅地評価並みの額になり納税額が高くなる傾向にありますが、生産緑地の指定を受けると大幅に減額することができます。また、相続税においても土地の評価が高いと高額になってしまい、農地継承が難しくなってしまいますが生産緑地に指定されると相続税の猶予制度が適用され、農地価格のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続性が一定の要件のもと一定期間猶予され、相続人が農業経営を相続した時に相続税額の納税が免除されます。
デメリット
一方で、「営農と農地管理が義務付けられる」「売却できない」「建造物の建築が難しい」といったデメリットもあります。1つめの営農と農地の義務に関しては、営農をやめた場合相続税の猶予も取り消されることがあるため、生産緑地として指定を受けると営農を継続しなければいけません。2つめの売却できないという内容については、一度生産緑地に指定されると当然ながら宅地化して売却出来ないだけでなく、農地として農家に売却することもできません。そうなると農業以外の方法で利益を生み出すことが非常に難しくなります。3つめの建築に関しては営農に関して必要な施設目や農業の継続に資する施設であれば市区町村の許可を受けた上で建築することは可能ですが、原則として建造物の新築はできない決まりとなります。
生産緑地の指定を解除する条件
生産緑地にはメリットも、デメリットがありますが以下の条件にあてはまる場合は解除することができます。
・生産緑地の指定から30年が経過する
・所有者が死亡する
・営農者の怪我や病気により継続が困難になる
これらの条件を満たし、生産緑地の指定を解除するためには、まず市区町村へ買取の申し出をする必要があります。市区町村が必要と判断した場合は買取られ、その時点での時価が支払われます。市区町村が買取りをしなかった場合は農林漁業に従事した人への斡旋が行われますが、それでも買主が現れない場合は買取の申し出から3か月が経過することで生産緑地の指定が解除されます。このとき農地としてしか利用できなかった土地の制限がなくなるため宅地への転用も可能になります。
生産緑地の2022年問題
少し前の話ではありますが2022年問題として、1992年に指定された多くの生産緑地が30年経過の要件を満たし、売却され地価が下がるとの憶測がありました。結果としては政府がこの問題に対し税制優遇措置の延長などの施策を追加したため、生産緑地の8割が10年間の税制優遇措置を選択することとなったため、地価が暴落するといったことはありませんでした。しかしながら少子高齢化などでの跡継ぎ問題などもあるため、必ずしも生産緑地のまま土地を所有し続けるとは限りません。そのため、地価が下がり売りづらくなる前に相続などで生産緑地を譲渡された方などは早い段階で売却を検討するのも一つの手段となります。弊社ではそのような土地も買取することができますので、是非ご相談ください。
まとめ
今回の記事では生産緑地について解説してきました。
一般的に取り扱いづらい不動産になりますが、売り方を工夫したり専門買取業者へ依頼することで売却することが出来ます。弊社では今までに蓄積してきた経験やノウハウを活かし、売却することができますので、売却がしづらい物件においても買取が可能になります。このような物件の扱いに悩まれている不動産業者だけでなく、土地を相続した依頼者から相談を受けた不動産物件の売買に馴染みのない弁護士さんまで、査定のみのご連絡でも構いませんので是非弊社へお気軽にお問い合わせください!
