不動産売却で自然死の告知義務はある?心理的瑕疵は市場価格にどう影響?

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい”お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする”お困り物件”コラム、第73回目は「不動産売却時に自然死は告知すべきか?」です。

実家で一人暮らしの親御さんが思いがけずに自然死で亡くなってしまい、その結果、その実家を相続するということがあります。ただ、生活基盤は別にあり実家を活用する予定はないと不動産売却を考えたとき、「自然死って告知義務はあるのかな?」と悩むかもしれませんね?いわゆる「心理的瑕疵物件」と見なされたら、市場価値にどう影響するのかは、気になるところでしょう。

この記事では、不動産売却時において自然死は告知義務すべきなのか、そしてもし心理的瑕疵のある物件と見なされたとき市場価格にどう影響するのか、それらについて詳しく解説していきます。今後住むことはないとは言え、思い出の詰まった実家。大切に次の所有者さんに引き継ぐためにも、ぜひ最後まで読んでいってくださいね!

お困り物件買取事業

まず、不動産売買における告知義務とは、「売主さんが買主さんに対して、瑕疵(隠れた欠陥)を含めた物件の状態について、正確な情報を伝える法的な義務(責任)」のことを指します。この義務を果たすことは、買主さんが正しい情報のもとに物件の購入を決定する上で、大変重要なことになります。

告知義務の重要性を具体的に示すと以下。
・契約の公平性
・トラブルの防止
・信義則(信頼を裏切らないためのルール)上の説明義務

また、告知すべき瑕疵とは4つ。
・物理的瑕疵:物件の物理的な欠陥で生活に支障をきたすもの
・環境的瑕疵:物件周辺環境に問題があるもの
・心理的瑕疵:心理的な嫌悪感をともなうもの
・法律的瑕疵:建築基準法や都市計画法などの法的制限があるもの

これらの瑕疵を物件が抱えているのに関わらず、不動産売買契約時に告知義務を怠ると、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。具体的には、売買契約後に瑕疵が発覚した場合、買主さんから契約不適合責任を問われることがあります。

契約不適合責任では、売買契約において引き渡された不動産が契約内容に適合しない場合に、売主さんは以下の責任を負うことになります。
・追完請求:物件の補修や改修を求められる
・減額請求:売買代金の減額を求められる
・契約解除:契約の解除を求められる
・損害賠償請求:損害賠償を求められる

であるので、しっかりと告知義務を果たすべきです。

心理的瑕疵は市場価格にどう影響する?

では、今回で注目するものは「心理的瑕疵」なのですが、先述したものをより詳しくお話すると、不動産取引において多くの場合に、物理的には何の問題もないにも関わらず、過去にその場所で人が亡くなった事実(殺人や自殺他)などが原因で、買主さんや借主さんに心理的な抵抗感や嫌悪感を与える状態を指します。物理的な欠陥とは異なり、その物件に対して抱く心理的な問題や欠陥ということになります。

気になるのは「心理的瑕疵は市場価格にどう影響する?」ということでしょう。それは以下のような大きな影響を与えます。

①売却価格の下落
ひとつに、心理的瑕疵には多くの人が抵抗感を抱くため、一般的な物件よりも大幅に市場価格が下がることが多いです。具体的な影響の程度は内容によります。
・自殺の場合:市場価格より10〜30%程度下落し、特に発生場所や遺体発見の遅れが影響
・殺人の場合:市場価格より30〜50%程度下落し、特に事件内容や世間の認知状況が影響
・比較的軽微な場合:市場価格より〜10%程度下落、特に遺体発見の遅れが影響

②売却活動期間の長期化
つぎに、心理的瑕疵のある物件は、買主さんが見つかるまで売却期間の長期化を覚悟しなくてはなりません。そもそも避けられることもあれば、検討するにしても慎重になるため、通常よりも時間がかかります。このため、早急に物件の処分を考えるなら、希望売却価格を大幅に下げる必要があるかもしれません。

③物件の特徴や状況による違い
そして、物件の特徴や状況によっても、影響の違いが出てきます。地域住民さんとの関係によっては、悪い噂が広がってしまうこともあれば、都心部の隣の住人さんのことすら知らないということもあります。また、駅近の好立地などでは「心理的瑕疵なんて気にしない!」ような買主さんもいるでしょう。

④対策による違い
さらに、心理的瑕疵がある物件でも、対策次第でその影響に違いが出ることもあります。例えば、リフォームやクリーニングを行ったり、そもそも建物を解体してしまうことで、物件を魅力的に見せて買主さんの心理的抵抗感を減らすのです。もしくは、過去の出来事をオープンにして、誠実に対応することで信頼を得ることも、ひとつの対策です。

⑤専門家の判断や買主の個別性
さいごに、心理的瑕疵の影響は、専門家さんの判断や買主さんの個別性にも大きく依存します。住宅診断により正確な評価をしてもらうことや、情報の見せ方の上手さなどもあると思われます。また、買主さんによっても心理的瑕疵に対する感じ方が異なるため、個別のニーズに合わせた対応が求められます。

不動産売却で自然死の告知義務はあるのか?

親御さんが一人暮らししていた実家を、親御さんが亡くなった後に不動産売却を考えるとき、知っておきたいことがあります。

ひとつに「自然死」の定義です。自然死とは、老衰や病気といった自然な原因で亡くなることを指します。一般的には、以下のような状況が自然死に該当します。
・老衰:高齢による身体機能の低下(老化)が原因で自然に亡くなるケース
・病死:癌や心臓病、肺炎など、病気が原因で命を落とすケース

自然死がどういった状況かというと、事件性や外部要因からの影響ではないことが特徴です。例えば、誰かに傷つけられたり事故などではなく、あくまでも自然な身体の変化によるものです。

一方、扱いが自然死との境が分かりにくいもので、不慮の事故死という場合もあります。これは、予期せぬ事故によって亡くなることを指します。自宅内での、転落や転倒、湯船での溺死、誤嚥(ごえん:気道に異物が入る)、火災による焼死などが含まれます。不慮の事故死は自然死とは異なり、外部要因や突発的な出来事によるものです。

つぎに、不動産を売却する際に自然死の告知義務はあるのか、その法的背景や具体的な基準についてお話していきます。

日本の法律では、不動産取引において重要な事実を故意に隠したり、虚偽の情報を伝えたりすることは禁じられています。これは、買主さんが不動産購入の意思決定するにあたって、正しい情報を提供し、公正な取引を確保するためです。物件の状態や過去の出来事が取引価格や購入意欲に大きく影響を与えるため、心理的瑕疵に該当する事象については適切に告知する義務があります。

では、なんらかの基準はあるのでしょうか?国土交通省では、2021年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しており、その内容は不動産取引の透明性向上とトラブル防止を目的にしています。このガイドラインは、継続的な生活の場では心理的影響が大きいため、特に居住用不動産を対象としています。

告知すべき具体的な判断基準としては、以下のような事例について明示しています。

①告知が不要なケース
・老衰や病死といった自然死によるもの
・転倒や溺水、誤嚥などの不慮の事故死によるもの
・集合住宅の普段使用しない共用部分で発生したもの
ただ、告知の不要なケースであっても、買主さんから具体的に質問された場合には、誠実に回答することが望ましいです。例えば、「この物件で過去に亡くなった人はいますか?」と聞かれたのであれば、告知不要なケースであっても正直に答えることが望ましいです。それによって信頼関係が深まれば、その対応が後々のトラブル防止にも繋がり、スムーズな取り引きを実現できます。

②告知が必要なケース
・他殺や自殺によるもの
・死亡の原因が明らかでないもの
・集合住宅の普段よく使う共有部分(ベランダ・エントランスなど)で発生したもの
・遺体発見の遅れによって特殊清掃が必要になったもの

中でも、遺体の発見が遅れたことによって、「遺体の腐敗による悪臭や体液が部屋に染み込んでいる」「感染症のリスクがあるため一般の清掃では不十分である」といった「物理的瑕疵」も併発しているとも言えるワケです。

ただ、それだけではなく…、
・孤独死という状況自体に心理的な負担が伴う
という点は軽視はできないでしょう。

…ちなみにですが、物件の売却にあたって仲介する業者さんによる、過去に生じた死についての調査義務は、売主さんに告知情報を報告書等に記載を求めることまで。通常、業者さんもわざわざ踏み込みませんので、自ら告知すべき内容は伝えなくてはなりません。責任転嫁は一切できないので、心に留めておいてくださいね!

不動産買取を利用するメリット!

というワケで、自然死のように告知が不要なケースであれば、不動産仲介による通常の不動産売却による取り引きによって、市場相場通りに売却益を得ることができます。しかし、自然死でも孤独死や特殊清掃が行われたような告知が必要なケースで、通常の市場での売却が困難な場合や、資金調達を急がなくてはならない場合は、不動産買取を利用することも検討する価値があります。

不動産買取を利用するデメリットとしては、
・売却価格が低くなる:買取業者は再販で利益を得るための価格設定とする
・業者選定に注意が必要:業者の選択肢が少ない中、悪徳業者も存在する

一方で、不動産買取を利用するメリットは、買取業者さんとの直接取引であることがポイントになります。

①現状のままで買取
まず、不動産買取では現状のままでの買取を行ってくれるため、特殊清掃やリフォーム、解体などを行う必要はありません。これにより、手間や時間、費用を大幅に削減できます。

②迅速な現金化
つぎに、不動産買取では仲介のように販売活動をすることなく、スピーディーな取り引きが可能です。緊急の資金が必要な場合でも、迅速に現金化することができます。また、相続税の納付といった期限が切られているケースでも、落ち着いて対応ができるようになります。

③手続きの簡便さ
さらに、手続きの簡便さがあります。煩雑な書類作成や手続きの負担を軽減し、プロのサポートを受けながらスムーズに取り引きを進めることができます。

④契約不適合責任は免責
最後に、心理的瑕疵には物理的瑕疵を伴うことがあります。しかし、買取業者さんとの取り引きでは、契約不適合責任を免責とする契約が一般的です。これにより、後々のトラブルや賠償問題を避けることができます。

まとめ

この記事では、不動産売却時において自然死は告知義務すべきなのか、そして市場価格にどう影響するのかについて詳しく解説してきました。

まず、不動産売買における告知義務とは、「売主さんが買主さんに対して、瑕疵(隠れた欠陥)を含めた物件の状態について、正確な情報を伝える法的な義務(責任)」のことを指し、買主さんが意思決定する上で重要です。

この告知義務は、契約の公平性を保ち、後々のトラブルを防止し、信義則上の説明義務を果たすために、大変重要です。また、告知すべき瑕疵とは、物理的瑕疵・環境的瑕疵・心理的瑕疵・法律的瑕疵の4つあります。

そして、不動産売買契約時に告知義務を怠ると、後々契約不適合責任を問われることがあります。それは、売買契約において引き渡された不動産が契約内容に適合しない場合の責任であり、追完請求・減額請求・契約解除・損害賠償請求を求められるため、しっかりと告知義務を果たすべきです。

では、今回で注目する「心理的瑕疵」は、過去にその場所で人が亡くなった事実(殺人や自殺他)などが原因で、買主さんに心理的な抵抗感や嫌悪感を与える状態を指します。物理的な欠陥とは異なり、心理的な問題や欠陥ということになります。

その心理的瑕疵は市場価格に以下のような影響があります。
①売却価格の下落
②売却期間の長期化
③物件の特徴や状況による違い
④対策による違い
⑤専門家の判断や買主の個別性

親御さんが亡くなった後に実家の不動産売却を考えるとき、知っておきたいことがあります。

ひとつに「自然死」があり、老衰や病気といった自然な原因で亡くなることを指し、事件性や外部要因からの影響ではないものです。一方で、「不慮の事故死」があり、自宅内での転落や転倒といった予期せぬ事故によって亡くなることを指し、自然死とは異なり外部要因や突発的な出来事によるものです。

つぎに、告知義務について日本の法律では、不動産取引において重要な事実の隠蔽や虚偽情報を伝えたりすることは禁じられています。これは、正しい情報を提供し公正な取引を確保するためであり、物件の状況は取引価格や購入意欲に影響を与えるため、心理的瑕疵に該当する事象については適切に告知する義務があります。

その判断基準として国土交通省では、2021年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しており、その内容は不動産取引の透明性向上とトラブル防止を目的に以下の事例を明示しています。
①告知が不要なケース
・老衰や病死といった自然死や不慮の事故死によるもの
・集合住宅の普段使用しない共用部分で発生したもの
ただ、告知の不要なケースであっても、買主さんからの質問には誠実に回答します。信頼関係が深まれば、その対応が後々のトラブル防止にも繋がり、スムーズな取り引きを実現できます。
②告知が必要なケース
・他殺や自殺によるものや、死亡の原因が明らかでないもの
・集合住宅の普段よく使う共有部分で発生したもの
・遺体発見の遅れによって特殊清掃が必要になったもの
中でも、遺体の発見が遅れたことによって、「物理的瑕疵」も併発しているケースもあります。

ただ、孤独死という状況自体に心理的な負担が伴うケースでは、自然死であっても軽視はできないのかもしれません。また、物件の売却にあたって仲介業者さんの調査義務は、売主さんに告知情報を報告書等に記載を求めることまでであるため、自ら告知すべき内容は伝えなくてはなりません。

告知が必要なケースで通常の市場での売却が困難な場合や、資金調達を急ぐ場合は、不動産買取を利用することも検討します。

不動産買取を利用するデメリットとしては、
・売却価格が低くなる
・業者選定に注意が必要

一方で、不動産買取を利用するメリットは、買取業者さんとの直接取引であることがポイントになります。
①現状のままで買取
②迅速な現金化
③手続きの簡便さ
④契約不適合責任は免責

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