【ペアローンなのに離婚!?】不動産売却で共有名義人との意見が合わない場合は?

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第63回目は「離婚時のペアローンの不動産物件売却」です。

「家を買ったとき、まさか離婚するとは思ってなかった…」と、ペアローンを組んだ多くの夫婦はそう語るそうです。実は昨今、一緒になる夫婦のうち、三分の一は離婚するなんてデータも!…なかなかの割合ですね。一方で、首都圏の不動産価格はどんどん高騰し、もはや一人の住宅ローンでは希望の物件にはとても手を出せない状況にあります。「それでも理想の家が欲しい」とペアローンを選択することもあろうかと思います。しかし、そんな夫婦が離婚に至った場合、その家の扱いはどうすれば良いのでしょうか?

今回の記事では、ペアローンを利用したものの離婚に直面してしまった夫婦に向けて、考慮すべき選択肢や不動産売却におけるポイント、配偶者である共有名義人さんと意見が合わない場合の対処などについて解説していきます。それによって、これからの新たな生活を少しでもスムーズに始められる一助になれば幸いです。

お困り物件買取事業

ペアローンと離婚時の問題とは?

「ペアローン」とは、自宅不動産を購入する際、夫婦それぞれが一本ずつ住宅ローンを組む方法です。似た言葉で「収入合算」という言葉もありますが、こちらは契約者さん本人の収入に配偶者さんなどの収入を合算して、借入可能額を審査して貰う方法です。あくまでも一本の住宅ローンであり、ペアローンとは違います。

首都圏の住宅価格が高騰している今、希望する住宅を手に入れるには、「なかなか厳しい!」ワケです。ペアローンを利用することで、より大きな借り入れが可能になるため、求める不動産物件を買い求めやすくなるんですね。ですので、現在、若い夫婦を中心に住宅ローン利用者全体の一割程度が利用していて、今後も増加していくのではないかと、予想されています。

ペアローンのメリットをまとめると以下になります。
・借入額を大きくして高額な不動産購入ができる
・夫婦それぞれで団体信用生命保険(団信)に加入できる
・借入額や固定・変動金利などを使い分けるなど柔軟な借入条件の設定ができる
・住宅ローン控除がそれぞれで使える
・売却時の3000万特別控除もそれぞれ使える

このように、より希望に近い自宅を購入できる他、各種有利な制度利用も利用できるので「めっちゃいいじゃん!」と思われるのかもしれません。しかし、「これからもずっと夫婦仲良く過ごせれば…」という条件付きです。ペアローンでは、夫婦が互いの連帯保証人となるため、片方が返済を滞納すればもう片方に返済義務が生じます。離婚時にはその責任をどのように分担するかが問題となります。

以下に離婚時の問題をまとめます。
・名義変更の難しさ:ローンの名義変更は金融機関の承認が必要であり、単独ローンにするには大きな信用力が求められる
・財産分与の難しさ:住宅が共有名義であり、現物資産は財産分与が難しい上、意見も分かれがちである
・連帯保証の問題:離婚後も連帯保証の義務が残り、一方が返済滞納する不安を抱え続ける

「ペアローンなのに離婚!?」そのときの選択肢とは?

では、離婚時のペアローンにおける問題の解消への選択肢として、大きく2つあります。

①どちらかが住み続ける
もし、「子供が中学校を卒業するまでは引っ越したくない」「思い入れのあるこの家を手放したくない」などの考えから、夫婦どちらかが住み続けるなら、住宅ローンを一本化して借り換える方法を選びます。共有名義から、住み続ける側がもう一方の住宅ローンを引き継ぎ、単独名義にしなくてはなりません。当然ですが、二馬力を一馬力にするのですから、より安定した収入や信用力を金融機関さんから求められるのは、言うまでもありませんね!

②不動産売却する
次に、自宅不動産を売却して得たお金で住宅ローンを完済する方法です。売却によって残債を払い切れるなら、後腐れなく離婚できます。が、そうはいかないのがペアローンの怖さなのかもしれません。一馬力では希望の住宅を手に入れられないので、多少無理してでもペアローンを組んででも自宅購入しているという側面があるからです。住宅売却価格と住宅ローン残高との関係を以下のように表現します。
・アンダーローン:住宅売却価格が住宅ローン残高を上回る状態で、売却することでローンを完済でき、売却益も見込める
・オーバーローン:住宅売却価格が住宅ローン残高を下回る状態で、売却してもローンが残り、他から補填しなくてはならない

オーバーローンになってしまうと、通常の不動産売却が難しくなります。その状態で、金融機関さんに相談なくローン返済が滞ったまま放置してしまうと、最悪は競売によって自宅不動産が買い叩かれる事態に!そうならないためには、任意売却への手続きをしていく必要があります。

「任意売却」とは、オーバーローン状態で住宅ローンの返済困難に陥った場合に、金融機関さんの承認を得て自宅を売却し、ローンの一部返済を行うものです。多くは残債が残りますが、無理のない支払計画を立てることができます。

共有名義人と意見が合わない場合は?

とは言え、ローンを一本化するにせよ、不動産売却するにせよ、いずれにしても共有名義人である配偶者さんの同意は必要不可欠になってきます。しかし、離婚ともなると感情的な対立が伴っていることが多いものです。そもそも意見が合わないとしたなら、どうするべきなのでしょうか?

まず、意見が合わないからと言って問題を先送りにして、離婚後も共有名義とペアローンをそのままにするのは、絶対NGです!何故なら以下のようなリスクが発生するからです。

①共有名義者のどちらかがローンを滞納するリスク
一つに、ペアローンを組むと、夫婦それぞれのローンに対する抵当権が設定されます。そのため、別れて別に暮らそうとも、互いに責任を持って返済を続けなくてはなりません。しかし、一方が退職や病気などによって収入がなくなり、返済が滞る可能性もあります。そんなとき、金融機関から「差し押さえ」の通知が届いて初めて、元パートナーが受託ローンを滞納していたことに気付くケースも少なくありません。最悪の場合には、自宅不動産全体が競売にかけられ、相場よりも安い金額で手放さざるを得なくなることも!

②金融機関との契約違反になるリスク
つぎに、住宅ローンを組むには、自宅として住むことを約束する契約となります。住宅ローンの安い返済利率は、その約束の元で成り立っているからです。住宅ローン契約者以外の方がその家に住むのは、契約違反。そのため、夫婦のどちらも住まなくなったからといって、第三者に貸し出して家賃収入を得る行為はマズいです。もし、そのことが金融機関さんに発覚すると、残債の一括返済を求められるリスクがあります。

③長期的な将来のリスク
最後に、たとえ返済を滞らせることなく返済できたとして、共有名義のまま万が一、どちらかが亡くなってしまった場合には、その共有持分は遺族に相続されることになります。相続されると、共有名義人さんが増える事態になり、共有名義の不動産を売却したいと考えても、全員から同意を得るのは困難になります。結果的に「負の遺産」として、子供や孫にまで迷惑をかけてしまいます。

これらのリスクを踏まえると、共有名義のままやペアローンの維持は論外と言えますし、離婚後にも関係性が続いてしまうことは、精神衛生上もよくありません。ここはしっかりと話し合いを重ね、互いの妥協点を探ることになります。ときに司法書士さんや弁護士さんといった第三者の専門家を入れることで、話し合いが好転することもあります。

ただ、それでもどうしても意見が合わず、話し合いが平行線で「どうにもラチが明かない!」となるなら、「ローンを一本化」したり「一方が住み続ける」のは、基本的に無理です。夫婦間で決定的な溝があるなら、不動産売却が最善と言えるでしょう。

不動産買取業者に調整を担ってもらう!

とは言え、です。売却を拒否されている場合、「自分の共有持分のみを売却してしまえば良い!」と考える方もいるかと思いますが、理論上は可能でも、これは現実的ではありません。何故なら…、
・債権者である金融機関が納得しない
・そもそも買い手が見つからない
・低価格の売却になりローン完済ができない
ということになるからです。

当然ですが、仲介業者さんもそんな案件を引き受けてくれることはまずありません。となると、「それであるなら、共有持分を買い取れないのは買取業者でも一緒だろう!」と言われるかもしれません。実はその通りです(汗)。ただ、不動産買取業者さんを介することで、共有名義人である配偶者さんに、売却への本気度は伝えることができます。

要するに、不動産買取業者さんに、配偶者さんと金融機関さんとの交渉の調整を担ってもらうんです!これは、先述の任意売却になったとしても同じです。

もちろん、一般的に買取による売却では、一般不動産市場における売却よりも低価格になります。それを加味しても大きなメリットがあります。

①交渉力の発揮
はじめに、専門的な知識と経験によって、共有名義人さんへの説明や説得、債権者である金融機関さんとのやり取りなど、不動産売却に向けての交渉をスムーズに勧めることが期待できます。

②迅速な現金化
次に、買取業者さんとの直接取引によって、迅速な現金化が可能です。納得感ある財産分与と離婚後の生活資金の確保、時間的な余裕が生まれます。

③煩雑な手続きの代行
最後に、名義変更や売却手続きなどの煩雑な作業を代行してもらえるため、精神的ストレスを軽減できます。特に離婚後の新たな生活に安心して向き合えます。

このように、不動産買取業者さんと連携することで、共有名義人さんとの意見の不一致がある場合でも適切な方法を選びつつ、金融機関さんとの関係を良好に保つことが可能です。スムーズにペアローンの問題を解決して、新たな生活の一歩を踏み出していきましょう!

まとめ

今回の記事では、ペアローンを利用したものの離婚に直面してしまった夫婦に向けて、不動産売却において共有名義人さんと意見が合わない場合の対処などについて解説していきました。

「ペアローン」とは、自宅不動産を購入する際、夫婦それぞれで一本ずつ住宅ローンを組む方法です。
首都圏の住宅価格が高騰している今、ペアローンを利用することで、より大きな借り入れが可能になります。

ペアローンのメリットをまとめると以下になります。
・高額な不動産購入ができる
・夫婦それぞれで団信に加入できる
・柔軟な借入条件の設定ができる
・住宅ローン控除がそれぞれで使える
・売却時の3000万特別控除もそれぞれ使える

このように、より希望に近い自宅を購入できるのですが、片方が返済を滞納すればもう片方に返済義務が生じます。離婚時にはその責任をどのように分担するかが問題となります。

以下に離婚時の問題をまとめます。
・名義変更の難しさ
・財産分与の難しさ
・連帯保証の問題

では、離婚時のペアローンにおける問題の解消の選択肢として、大きく2つあります。
①どちらかが住み続ける
住宅ローンを一本化して借り換える方法を選びます。住み続ける側がもう一方の住宅ローンを引き継ぎ、単独名義にしなくてはならないため、より安定した収入や信用力を金融機関さんから求められます。
②不動産売却する
次に、自宅不動産を売却して得たお金で住宅ローンを完済する方法です。住宅売却価格と住宅ローン残高との関係を以下のように表現します。
・アンダーローン:住宅売却価格が住宅ローン残高を上回る状態
・オーバーローン:住宅売却価格が住宅ローン残高を下回る状態

オーバーローンになってしまうと、通常の不動産売却が難しくなります。最悪は競売によって自宅不動産が買い叩かれる事態になるため、任意売却への手続きをしていく必要があります。

「任意売却」とは、オーバーローン状態で住宅ローンの返済困難に陥った場合に、金融機関さんの承認を得て自宅を売却し、ローンの一部返済を行うものです。多くは残債が残りますが、無理のない支払計画を立てることができます。

ローンを一本化するにせよ、不動産売却するにせよ、共有名義人さんの同意は必要になってきます。しかし、離婚によって感情的な対立で意見が合わないとしたなら、どうするべきなのでしょうか?

まず、問題を先送りにして、離婚後も共有名義とペアローンをそのままにすると、以下のようなリスクが発生します。
①共有名義者のどちらかがローンを滞納するリスク
②金融機関との契約違反になるリスク
③長期的な将来のリスク

これらのリスクを踏まえると、問題を放置せずしっかりと話し合いを重ね、互いの妥協点を探ることになります。ときに第三者の専門家を入れることで、話し合いが好転することもあります。

ただ、それでもどうしても意見が合わない場合、「ローンを一本化」したり「一方が住み続ける」のは、基本的に無理です。夫婦間で決定的な溝があるなら、不動産売却が最善と言えるでしょう。

売却を拒否されている場合、自分の共有持分のみを売却と考える方もいるかと思いますが、理論上は可能でも、これは現実的ではありません。何故なら…、
・債権者である金融機関が納得しない
・そもそも買い手が見つからない
・低価格の売却になりローン完済ができない
ということになるからです。

仲介は難しいため、買取で検討します。業者さんを介することで、共有名義人である配偶者さんに、売却への本気度を伝えるとともに、不動産買取業者さんに、配偶者さんと金融機関さんとの交渉の調整を担ってもらうんです!

一般的に買取による売却では、市場における売却よりも低価格になります。それを加味しても大きなメリットがあります。
①交渉力の発揮
②迅速な現金化
③煩雑な手続きの代行

このように、不動産買取業者さんと連携することで、適切な方法を選びつつ、スムーズにペアローンの問題を解決して、新たな生活の一歩を踏み出していきましょう!

私たちエスエイアシストでは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。今回のような、ペアローンの債務整理を伴う不動産売却についての悩みもお聞かせください。ものは試しとぜひ一度エスエイアシストへ!お待ちしています。

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