独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第62回目は「ゴミ屋敷の相続」です。
ゴミ屋敷の相続は、多くの人々にとって負担であり、困ってしまう遺産です。家主である被相続人さんが自宅内に大量に持ち込んで、処分することなく(もしくは処分ができずに)亡くなってしまった場合、遺産とともにご近所トラブルなどといった諸問題も遺されるケースも少なくありません。相続後に「どう処分すればいいのかわからない!」と頭を抱え、「相続放棄がいいかも?」と考えるかもしれません。でも待ってください。安易に相続放棄するコトはおすすめしません!
今回の記事では、そんな困ってしまうゴミ屋敷の相続について、「どう相続手続きを進めるのか?」「相続放棄のメリット・デメリット」「仲介はおすすめしない理由」などの解説をしていきます。そして、現状のまま不動産買取業者さんへ売却する方法を選んだほうが良いケースについても、お話していきたいと思います。どうぞ最後までお付き合いくださいませ!
ゴミ屋敷の相続手続きとは?
一般に不動産を相続する際、まず最初に行うべきは相続手続きです。遺産分割協議書の作成、相続登記
をしていきますが、万が一相続不動産がゴミ屋敷だった場合、そう簡単にはいかなくなります。
以下にゴミ屋敷を相続する際の注意点を挙げます。
①遺産分割協議に必要な調査が困難
まずゴミ屋敷では、物が散乱しているため、遺産分割協議に必要な調査が困難です。預金通帳、権利関係の書類…、何がどこにあるのか分からず、重要書類や価値のある物品を見つけるのが大変!また、家の老朽化度合いなど、状況・状態を正確に把握することもままならず、協議がスムーズに進まないことがあります。
②隣接所有者とのトラブルを抱える
次に、ゴミ屋敷は管理が行き届いていないため、隣地との境界が未確定だったり、隣地に飛び出す越境物があったりする可能性が高いです。これらは隣地所有者さんの協力なしでは解決は困難です。にも関わらず、多くの場合の関係性は最悪!長年に渡ってゴミによって悩まされ続けたであろう隣地所有者さんとのトラブルを抱え、その関係修復には手間も時間もかかります。
③ゴミ処理や特殊清掃の費用がかかる
最後にゴミ処分には、多大な費用がかかります。廃棄専門の業者さんに依頼する必要があり、その費用は高額であることが一般的です。万が一、被相続人さんが孤独死の憂き目にあい、遺体発見が遅れた場合は、特殊清掃が必要になることもあります。それら費用は相続財産の中から支払われることも多いとは思いますが、大きな負担になるでしょう。
これら諸々を処理しながら、相続手続きを進めるワケです。ポイントは以下です。
①遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書は、相続人全員が相続財産をどう分けるかを決定する文書です。これには、全員の合意が必要で、特にゴミ屋敷のような問題物件の場合、協議が難航することもあります。合意が得られたら、遺産分割協議書を公正証書として作成することが推奨されます。
②相続登記
そうした協議をもとに、相続登記は所有者移転を法務局に届け出る手続きです。これにより、ゴミ屋敷の所有者が正式に相続人さんへと引き継がれることになります。この登記手続きを怠ると、後々のトラブルの原因となっていきます。特に、最近の法改正によって相続登記が義務化され、正しく行わないと罰則が科せられることがありますので、迅速に手続きを進めることが一層重要になりました。
③相続放棄の選択肢
その一連の流れで、ゴミ屋敷の相続に負担を感じるのであれば、相続放棄という選択肢もあります。相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申請します。ゴミ屋敷からの負担はなくなりますが、管理責任が全くなくなるワケではありませんし、その他の相続財産も全て放棄することになるので注意が必要です。
相続放棄のメリット・デメリット!
相続放棄…、ゴミ屋敷を相続するくらいなら、考えたくなると思います。では、もう少し相続放棄に関して深堀りしてみましょう。メリット・デメリットにはどんなものが考えられるでしょうか?
相続放棄のメリットは以下。
①ゴミ屋敷の負担から開放される
まず、ゴミ屋敷の定期的な清掃や修繕にかかる時間や手間、維持管理やゴミ処分の費用を心配せずにすみ、精神的な負担から開放されます。
②相続税の納付不要である
もちろん相続しないのですから、相続税を納める必要がなくなります。納付するための資金がなければ他から用意しなくてはならなくなるので、それがないのは大きい!
③負の遺産を受けずにすむ
また、相続はプラスの遺産だけではなく、負の遺産もあります。放棄してしまえば、借金や債務を相続することもなく、返済の不安はありません。
一方で、相続放棄のデメリットは以下。
①他の相続財産も放棄しなければならない
まずひとつに、相続放棄するものはゴミ屋敷や負の遺産だけでなく、資産価値のある財産も手放さなければなりません。
②自己判断でゴミ処分をすると放棄できなくなる
また、「単純承認」について。ゴミの中に資産価値のある遺品を自己判断で処分してしまうと、放棄できなくなる場合があります。それは、被相続人さんの相続財産を無条件で相続したと判断されるからです。
③他の相続人とのトラブルになる可能性がある
さらに、相談なく勝手に相続放棄をしたことで、他の相続人さんとの間でトラブルになる可能性があります。何故なら、負担を押し付ける形になるので、関係悪化が懸念されます。
④ゴミ屋敷の管理責任は残る
そしてたとえ相続放棄したとしても、ゴミ屋敷の管理責任が残ります。完全に開放されるワケではなく、近隣住人さんといった周囲に配慮が必要ですし、場合によっては賠償責任を負うことも!
⑤相続財産管理人の選任が必要である
ですので、ゴミ屋敷を含む財産を完全に放棄するためには、家庭裁判所に相続財産管理人さんを選任してもらう必要があります。ただ、手続きが煩雑で時間がかかる上、報酬などに使われる高額な予納金を支払わなければなりません。
このように、ゴミ屋敷を相続放棄したとしたとしても、一定の管理責任と事故などあった際の賠償責任だけが残り、相続財産管理人さんを選任するにも高額な資金と完全に手放せるまでの期間は長期になります。
なので!安易な相続放棄はおすすめしません!キッチリとプラスの遺産とマイナスの遺産を秤にかけ、冷静な判断と適正な対処をすることで、手残りを多くすることも可能です!
不動産仲介で売却するにはリスクも?
では、ゴミ屋敷を売却するためにはどうするべきか?当然、仲介によって不動産市場に出すことで売却価格は高くなるでしょう。しかし、そもそもの売却活動の前に多くのハードルがあります。
①ゴミ処理・清掃
まず、ゴミ屋敷のゴミの処分を行います。専門の廃棄業者さんに依頼することで、効果的な処分ができます。費用として、一般的に一㎡あたり1万円〜3万円程度が相場とされ、家全体で50〜150万円。
②特殊清掃
次に、孤独死によって遺体発見が遅れた場合、特殊清掃が必要です。専門業者さんによって、消毒・消臭や除菌を行います。衛生的に安全な状態にするために、費用は30〜50万円程度をかけます。
③境界確定測量
3つ目に、隣地との境界をハッキリさせないと、売却は難しくなること。隣地所有者さんとの境界トラブルを回避するためには、測量士さんによる境界確定測量をしなくてはなりません。費用相場は、50〜100万円。
④越境物の撤去
さらに、その境界から隣地へハミ出した越境物の撤去をする必要もあります。張り出した樹木や、庇や雨樋の構造物、塀の基礎のような地中にあるものもあります。隣地所有者さんとの協議により撤去しますが、内容によって高額になることも!
⑤リフォームか解体か?
最後に、建物の老朽化具合によっては、現況のままで売却を考えられるかもしれません。しかし、構造の痛みがすすんでいれば、リフォームをするか、解体して更地にするか、判断しなくてはなりません。規模にもよりますが、いずれにしても100万円〜500万円という高額な工事費用がかかります。
「売れるか売れないか分からないのに、こんなに先出しするの?」と思うのが普通ですね。ゴミ屋敷を不動産仲介で売却するにはリスクがある、ということだと思います。
相続放棄するより現況のまま不動産買取業者へ売却する!
何度も言いますが、不動産は仲介の方がトータルで手残りは多くなります。ただ、売れるか売れないか不安に思いながら、売却活動を長く続けるのは、かなりの負担!ここに、売却価格が市場価格の60〜70%程度になってしまっても、不動産買取を選択する理由があるんですね。
具体的には以下のようなメリットになります。
①ゴミのある現況のまま買い取る
まず、不動産買取業者さんは、ゴミが残った現況のままでも買い取ってくれます。ゴミの処理や清掃、境界未確定といった法的問題も関係なく、手間や費用を省くことができます
②契約不適合責任を問われない
つぎに、一般の買い手さんに売却した場合には、契約不適合責任(瑕疵責任)を問われることがありますが、買取業者さん相手なら免責してくれます。
③近隣住人とのトラブルも気にしないですむ
3つ目に、買取業者さんは専門知識を持っているため、近隣住人さんとのトラブルを抱えていても、相続人さんが直接交渉する必要がなくなります。
④買取業者との直接取引で仲介手数料がかからない
4つ目に、買取業者さんとの直接取引であるため、仲介手数料が不要。取引におけるコストも削減できます。
⑤迅速な現金化ができる
さいごに、買取業者さんとの取引さえまとまれば、短期間で迅速な現金化が可能です。現金は遺産分割が容易であるため、相続税やその他の支払いに必要な資金をすぐに確保できます。
これらのメリットから、不動産買取はゴミ屋敷の相続によって困ってしまう状況から、より早く精神的な負担から開放できるんですね!
まとめ
今回の記事では、困ってしまうゴミ屋敷の相続について、どう相続手続きを進めていくのか解説をしていきました。
相続不動産がゴミ屋敷のとき、相続する際の注意点は以下。
①遺産分割協議に必要な調査が困難
②隣接所有者とのトラブルを抱える
③ゴミ処理や特殊清掃の費用がかかる
これら諸々を処理しながら、相続手続きを進めるポイントは以下。
①遺産分割協議書の作成をする
②相続登記を行う
③相続放棄を検討する
相続放棄のメリットは以下。
①ゴミ屋敷の負担から開放される
②相続税の納付不要
③負の遺産を受けずにすむ
一方で、相続放棄のデメリットは以下。
①他の相続財産も放棄しなくてはならない
②自己判断でゴミ処分をすると放棄できなくなる
③他の相続人とのトラブルになる可能性がある
④ゴミ屋敷の管理責任は残る
⑤相続財産管理人の選任が必要である
このように、ゴミ屋敷を相続放棄したとしたとしても、一定の管理責任と賠償責任だけが残り、相続財産管理人さんを選任するにも高額な資金と手間がかかります。そのため、安易な相続放棄はおすすめしません!
ゴミ屋敷でも仲介によれば、売却価格は高くなりますが、売却活動の前には多くのハードルがあります。
①ゴミ処理・清掃
②特殊清掃
③境界確定測量
④越境物の撤去
⑤リフォームか解体か?
売れるか売れないか分からないのに、先出ししなくてはならないので、ゴミ屋敷を不動産仲介で売却するにはリスクがあります。
売却価格が市場価格の60〜70%程度になってしまっても、不動産買取を選択する理由として、以下のようなメリットがあります。
①ゴミのある現況のまま買い取る
②契約不適合責任を問われない
③近隣住人とのトラブルも気にしないですむ
④買取業者との直接取引で仲介手数料がかからない
⑤迅速な現金化ができる
不動産買取はゴミ屋敷の相続によって困ってしまう状況から、より早く精神的な負担から開放できるんです!
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