火災で事故物件に!?売却するなら「修復orそのまま」どっちが正解?

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第58回目は「火災による事故物件の売却」です。

突然の火災に見舞われ、愛着ある自宅や投資物件が「事故物件」というレッテルが貼られてしまう…。そんな事があれば、その物件の所有者さんは大きなショックを受けるんだと思います。大切にしてきた家が、一瞬にしてその価値を問われる事態に直面すると、「どう対処したらいい?」「売却するときに影響は?」途方に暮れてしまいますね。

この記事では、お持ちの物件が火災によって事故物件となった所有者さんに向けて、直面するであろう疑問や不安を一つひとつ丁寧に解きほぐしていきます。また、物件の売却するなら、「修復してからの方がいいのか?」それとも「そのままの方がいいのか?」どっちが正解なのか。そして、どういった点に注意すれば、安心して物件を手放すことができるのかについて、ポイントをおさえてご紹介していきます。大事なことは、焦らずじっくりと情報を集め、ご自身にとって最適な選択をすることです。この記事を通じて、あなたの不安を少しでも和らげ、一歩前に進むための手助けになれば幸いです!

お困り物件買取事業

火災で事故物件に!?その定義と物件への影響

火災によって事故物件になってしまった物件は、その後の処理に大きな配慮が必要です。心身ともに大きな打撃を受けた後、どのように冷静かつ適切な対応をしていけばいいのでしょうか?そのためには「火災による事故物件」の定義から知っておきましょう。

まず、そもそも事故物件とは何か?
物件内(もしくは共用部)で…、
・自殺や殺人、孤独死といった人の死
・事件や事故、自然災害の発生
これらが起こった物件を指します。

火災による事故物件とは、火災によって死亡者や重傷者が出たことの他、全焼や半焼など建物に大きなダメージを受けた場合も該当します。物件へのダメージの種類によって以下のような分類ができます。
・物理的:直接的な焼損、消火時の水濡れ、煤(すす)の付着など、見た目でも明らかで修復が必要
・心理的:火災の詳細が公知の事実となり、心理的抵抗感を引き起こす
・経済的:修復費用の増大や修復不可、物理的・心理的抵抗感により不動産市場価格が低下する

もし、火災のよる事故物件を売却するなら、買主さんに対して以下のような告知義務が発生します。
・死亡者や重傷者が出ている
・焼損面積や建物へのダメージの度合い
・煤や焦げ臭が顕著で除去できない場合

ただし、このあたり個々の主観で、どこまでを重要と捉えるかはケースバイケース。ご自身が「重要でない(正直出来ることなら隠したい心情がある)」と判断しても、買主さんが重要な事項と捉えることもあります。ですので、知っている(把握している)ことは、小さいことから大きいことまで告知すべきです!なぜなら、告知義務を遵守することは、後のトラブルを防ぎ、買主さんの権利を保護するのみならず、ひいてはご自身を守るためでもあるからです。

火災による事故物件の市場価値への影響とは?

このように火災による事故物件は、不動産市場においてはマイナス要因にしかなりません。ここでは、市場価値への影響という観点からポイントを深堀りします。

ちょっと重複する点もありますが、市場価値が低下する要因をまとめます。

①物理的損傷
先述のとおり、火災は建物の構造自体にダメージを与えます。壁や天井に焦げ跡が残る、配管や電気系統が破壊されるなど、修復するには高額な費用がかかります。これらの損傷は直接的に物件の価値を下げる要因となります。

②焦げ臭の影響
次に、目には見えないものの、火災後の物件には焦げ臭が残ります。その臭いを完全に除去するのは非常に困難と言われています。不快な臭いは潜在的な買い手に強い抵抗感を与えることが多く、それが価値減少に繋がります。

③心理的影響
そして、特に火災によって死亡事故になった場合、それは心理的瑕疵(かし)として大きく影響します。事故の規模や世間の認知度によっては、長期間にわたって抵抗感が持続する可能性があります。SNS時代の昨今ではそれが顕著です。

では、それらの要因が、不動産市場における物件への扱いに影響するのでしょうか?

①価値の相対的評価
火災による事故物件は、同等の非事故物件と比較して、20%〜50%の価格減少が見込まれます。これは、損傷の程度、修復後の状態、地域性にも依存します。地域性について補足すると、火災が起こりやすい都市部では人間関係が希薄で印象に残りにくいことに対して、滅多に火災の起こらない(人口密集していない)地域では、人間関係が密接で強く印象が残りやすいという側面もあります。後者の方が火災の詳細が買主さんに知られやすく、告知事項の検討は慎重にすべきです。

②修復後の再評価
もし、軽度な焼損であれば修復工事をすることで、不動産価値を回復させることも可能です。しかし、深刻な損傷の場合は、修復費用は高額になるため、費用対効果の判断を専門家さんと検討することが重要になります。一方で、修復がそもそもで不可能なケースでは、解体して更地にした方がよいのかもしれません。ただ、解体費用も高額ですし、万が一すぐに買い手さんが見つからなかった時は、固定資産税の軽額措置が受けられなくなるリスクもあります。

③扱いの難しさ
さらに、火災による事故物件は、一般の物件の扱いよりも難しいため、敬遠する不動産業者さんも出てくるかと思います。それまでの同様な物件の売買実績やノウハウが重要で、事故物件に特化した不動産業者さんによる取り扱いの方が安心できます。専門的な評価や適切なマーケティングを通じて、最適な買い手さんを見つける必要があるからです。

ホームインスペクションの実施とその重要性!

ここまで読んできて気付くことは、「正しく物件の評価をする」ことが大切だとわかります。そこで重要となってくるのは、「ホームインスペクション」です。

ホームインスペクションとは、住宅診断士といった専門家さんが、物件の詳細を調査することを指します。この調査では、建物の構造から設備、外壁や屋根、内装といった目に見えるものだけでなく、見えない部分まで徹底的にチェックされます。火災による事故物件の場合、隠れた損傷や修繕が必要な箇所が存在する可能性が高いので、これらを明らかにすることが重要です。

なぜ、ホームインスペクションが必要なのか、まとめると以下。
・潜在的な問題の早期発見:修繕の必要箇所の把握のみならず、安全上の問題を未然に防ぐ
・売買価格の適正化:物件の状態を正確に把握することで、適正な市場価値を知り公平な取引を促進
・情報公開による信頼構築:調査結果を公開することで、トラブル防止と信頼関係構築に寄与
・修繕計画の策定:調査結果をもとに、必要な修繕を把握し修繕費用の予算を決めやすい

また、ホームインスペクションを受ける際の注意点として、以下を挙げます。
・信頼できる専門家を選ぶ:資格と実績を持つ専門家を選ぶことで正確な調査結果を得ることが出来る
・調査内容を確認する:調査が全体的に行われているか、重要ポイントが網羅されているか
・報告書の内容を理解する:リスクや対策を理解するためにも、不明点は確認する

ホームインスペクションは、一見すると余計な出費や手間に感じられるかもしれません。しかし、火災による事故物件の場合、とりわけ見えない損傷や将来のリスクを正確に理解することが、リフォームや売却の成功のカギになります。

火災による事故物件の不動産価値を上げるポイント!

というワケで、ホームインスペクションで物件の状態を正確に把握できたなら、次はそれを踏まえて「どうしたら火災による事故物件の不動産価値を上げられるのか?」、その方法について。

そこで今一度確認してほしいことは、正しい告知を怠ったらどうなるのか?をよくよく理解することが大切ですね!それは「契約不適合責任」です。簡単に言うと「売買契約に対して、記載内容の違いや不備(不適合)について、売主が責任を負う」こと。

具体的には以下。
・追完請求:物件の瑕疵を修補することを請求する
・代金減額請求:瑕疵によって低下した価値分を代金から減額請求する
・催告解除:瑕疵の修補を催告(正式な通知を行うこと)しても売主が応じない際には契約解除する
・無催告解除:特に重大な瑕疵では催告なしに契約解除する
・損害賠償請求:瑕疵により損害を受けたときは売主に損害賠償を請求する

これらの権利を買主さんは持っているということです。事故物件の所有者さんにすれば厳しい責任なのかもしれませんが、逆を言えば、火災による事故物件の不動産価値を上げるポイントは以下と言えます!

①修復の範囲と費用対効果を考え価値を上げる
ひとつに、火災による損害に対して、全ての修復が必ずしも経済的な意味を持つワケではありません。まして、火災によって精神的・経済的にもダメージを負った所有者さんが、無闇なリフォームをすることは得策ではないハズです。
・どの修復が必要で、どれが省略可能か、判断する
・修復にかかる費用と、それによって期待できる価値向上を比較検討する(グレードアップも加味)
・市場動向も踏まえ、トレンドや潜在的ニーズを考慮した修復計画を策定する

②適切な告知とディスクロージャー(情報開示)で価値を上げる
その上で、適切な告知とディスクロージャーで価値を上げることが可能です。
・火災事故による物件の詳細や修復の範囲と質、使用材料や業者情報など、全ての情報開示
・それらを文書化して、潜在的な買主がリスクを理解することによる安心材料を提供
・透明性の確保をすることで誠実さをアピールし、買主との信頼構築をする

これらは、将来的なトラブルを回避すること以上に、不動産市場における競争力を保ち、不動産価値の最大化を叶えることとなります!

火災による事故物件を売却するなら「修復orそのまま」どっちが正解!?

ここまで、どちらかというと仲介業者さんを通じて、物件の売却をする方向で話してきました。ただ、選択肢には「そのまま売却する」というものがあります。前提としてホームインスペクションを実施して、物件の状態を正しく把握した上で、火災による事故物件を売却するなら「修復orそのまま」どっちが正解なのでしょうか?それぞれのメリット・デメリットについてお話していきたいと思います。

①修復して売却する
メリット
・修復により、物件の外見と機能が改善され、より高い価格で売却可能
・修復によって火災の痕跡を消せれば、物件の悪いイメージを払拭できる
デメリット
・修復費用がかさむと、売却価格を上回ってしまうリスクがある
・時間と労力がかかり、売却プロセスが遅延するリスクがある
・期待通りに売却できず、投資した修復費用が回収できないリスクがある

②そのまま売却する
メリット
・修復作業を行わないため、迅速に不動産市場に出すことができる
・焼損が軽微な場合、最低限の修復で賃貸に出したい投資家に好まれる可能性がある
・修復不要なら、余計な費用がかからない
デメリット
・修復していないため、市場価値は低く評価される
・居住目的の買い手というより、リノベーションをして転売や運用を目的な層に限定される
・火災の痕跡が残っているため、心理的な抵抗感が大きくなる

その上で、そのまま売却するのであれば、不動産買取による取り引きをオススメします。そのメリットは以下。
・不動産買取業者との直接取り引きで即金性がある
・買い手を探す手間なく、話がまとまれば確実な引き渡し
・仲介手数料など隠れた費用請求がない
・修復や解体が不要で、先出しの費用が発生しない
・瑕疵を折り込んでの取り引きなので、契約不適合責任や法的トラブルが発生しない

一方で、デメリットは市場相場よりもかなり安い買取価格なこと。付加価値をつけて転売や運用をするため、この点はどうにもなりません!ただ、火災のよる事故物件の所有者さんにとって、デメリットを差し引いても余りあるメリットを感じてもらえるハズです。

まとめ

この記事では、火災による事故物件の所有者さんに向けて、疑問や不安、物件の売却するなら「修復」「そのまま」どっちが正解なのか、どういった点に注意すれば、安心して物件を手放すことができるのか、についてお話してきました。

事故物件とは、物件内(もしくは共用部)で…、
・自殺や殺人、孤独死といった人の死
・事件や事故、自然災害の発生
これらが起こった物件を指します。

火災による事故物件とは、死亡者や重傷者が出たことの他、全焼や半焼など建物に大きなダメージを受けた場合も該当します。物件へのダメージは、物理的・心理的・経済的に分類ができます。

もし、火災のよる事故物件を売却するなら、買主さんに対して、死亡者や重傷者の有無、焼損規模など、告知義務が発生します。ご自身が「重要でない」と判断しても、買主さんが重要な事項と捉えることもありますので、後のトラブルを防ぐためにも知っていることは全て告知します。

火災による事故物件の市場価値が低下する要因は以下。
①物理的損傷
②焦げ臭の影響
③心理的影響

それらの要因が、不動産市場における物件への扱いに影響するものは以下。
①価値の相対的評価は20%〜50%の価格減少が見込まれる
②修復した場合は再評価されるが解体して更地にした方がよいことがある
③扱いの難しく売買実績やノウハウが重要である

火災による事故物件を売却するためには、住宅診断士といった専門家さんによるホームインスペクションで正しく物件の評価をすることが大切です。火災による事故物件の場合、隠れた損傷や修繕が必要な箇所の存在を明らかにすることが重要です。

なぜ、ホームインスペクションが必要なのか、まとめると以下。
・潜在的な問題の早期発見
・売買価格の適正化
・情報公開による信頼構築
・修繕計画の策定

また、ホームインスペクションを受ける際の注意点は以下。
・信頼できる専門家を選ぶ
・調査内容を確認する
・報告書の内容を理解する

正しい告知を怠たり問題が発覚したら契約不適合責任を負うことになります。
・追完請求
・代金減額請求
・催告解除
・無催告解除
・損害賠償請求

逆に言えば、きっちりやるべきことを実行し、誠実な告知をすることが、不動産価値を上げるポイントといえます。
①修復の範囲と費用対効果を考え価値を上げる
・どの修復が必要で、どれが省略可能か、判断する
・修復にかかる費用と、それによって期待できる価値向上を比較検討する(グレードアップも加味)
・市場動向も踏まえ、トレンドや潜在的ニーズを考慮した修復計画を策定する
②適切な告知とディスクロージャー(情報開示)で価値を上げる
・火災事故による物件の詳細や修復の範囲と質、使用材料や業者情報など、全ての情報開示
・それらを文書化して、潜在的な買主がリスクを理解することによる安心材料を提供
・透明性の確保をすることで誠実さをアピールし、買主との信頼構築をする

これらは、将来的なトラブルを回避すること以上に、不動産市場における競争力を保ち、不動産価値の最大化を叶えることとなります!

物件の状態を正しく把握した上で、火災による事故物件を売却するなら「修復」と「そのまま」どちらがいいか。

①修復して売却する
メリット
・修復によりより高い価格で売却可能
・物件の悪いイメージを払拭できる
デメリット
・修復費用がかさむ
・時間と労力がかかる
・修復費用が回収できない

②そのまま売却する
メリット
・迅速に不動産市場に出すことができる
・焼損が軽微なら投資家に好まれる可能性がある
・余計な費用がかからない
デメリット
・市場価値は低く評価される
・買い手が限定される
・心理的な抵抗感が大きい

その上で、そのまま売却するのであれば、不動産買取をオススメします。
市場相場よりもかなり安い買取価格になる一方で、
・直接取り引きで即金性がある
・買い手を探す手間なく確実な引き渡し
・仲介手数料など費用請求がない
・先出しの費用が発生しない
・契約不適合責任や法的トラブルが発生しない

私たちエスエイアシストでは、不動産買取業者として、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう”訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。中でも、多くの事故物件も取り扱ってきました。ほかの不動産会社で難色を示されてしまった物件をお持ちの方は、ものは試しとぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。

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