事故物件の告知義務は重要?
人の死の告知ガイドラインは不動産価値にどう影響?

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい”お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする”お困り物件”コラム、第52回目は「事故物件の告知義務ルール」についてです。
事件や事故、または特殊清掃しなくてはならないほどの、人の死に関わる「事故物件」と聞くと、多くの人が不安を感じますね。特に、親から相続した不動産が事故物件であった場合、その後の対処法に悩む人も少なくありません。そして「具体的にどのような状況が事故物件とされるのか…?」、それを知った上で「どう対処すればいいのか…?」という点について、分かりにくいのも実情です。

今回の記事では、事故物件の告知義務について、国土交通省が策定した「人の死の告知ガイドライン」とその背景にも触れつつ、法的根拠や告知範囲、それが不動産価値にどう影響するのかについて、詳しく解説していきます。ぜひ最後まで読んでいってくださいね!

お困り物件買取事業

事故物件とは?

事故物件とその告知義務についての理解は、不動産取引において極めて重要です。多くの人からすれば、「心理的な嫌悪感が伴うもの…」と直感的に感じるでしょうから難しい取引。まずは、具体的に事故物件とは、どんな状況のことなのかお話します。

事故物件とは、その物件内で人の死に関わる(自殺や殺人不自然死など)重大な事件や事故などが発生した、不動産物件のことを指します。また、自然死や不慮の事故によったものでも、遺体を放置されたことによって、腐敗臭や害虫の発生、建物設備への汚損や損傷を伴った物件も該当します。

これら隠れた欠陥を瑕疵(かし)と言いますが、以下のような分類ができます。

①心理的瑕疵
ひとつに、心理的瑕疵があり、これは人が忌避(きひ)する心理に基づいた、見えない欠陥です。この点、個人的価値観、宗教観、過去の経験などに依存しますし、判断基準はごく主観的。

②物理的瑕疵
次に、物理的瑕疵です。専門業者さんによる、死体や体液・血液、腐敗臭の清掃・消毒といった特殊清掃が必要とされた場合、ときに建物構造や設備が腐食させるときがあります。清掃では完全には除去に至らないなんてことも!

事故物件の告知義務は重要?

では、事故物件の告知義務は不動産取引において、何故そんなに重要なのでしょうか?売主さんにしてみれば、「都合の悪いことで不利になるなら、言わなければ分からないんじゃない?」と思ってしまい、伝えたくないのかもしれません。

でも、答えは重要です!民法上では「善良な信義則」という条文が定められています。それは「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行われなくてはならない」という大原則です。これが示すのは、事故物件の告知義務において、買主さんに対して誠実な対応をしなくてはなりませんし、隠れた事実も包み隠さず告知する義務があることを意味します。告知することは、買主さんに十分な情報提供をして、合理的な判断を行えるよう保証するためにも、また、不動産取引の透明性を保ち、後のトラブルを避ける上にも、大変重要です。

そして、仲介する宅建業者さんによる事故物件の有無についての調査は、売主さん(はたまた貸主)に対して、過去に発生した「人の死」に関する事案について、告知書への記載を求めることだけです。それで調査義務を果たしたことになります。要するに宅建業者さんは、積極的・能動的に調査することは、基本的にありません。ということは告知において、「売主さんには高い倫理観が求められる」ワケです。

であるので万が一、告知義務を怠った結果、買主さん(はたまた借主)が、後に事故物件であることを知った場合、契約解除や損害賠償請求、悪質と判断されれば最悪は詐欺罪に問われる可能性すらあるということは、肝に銘じましょう。

人の死の告知ガイドラインとは?

と、そこへ聞こえてくる心の声。「倫理観だ、告知義務だ、言うけれど、素人にはどこまで伝えるべきか判断もつかない!」と。そうなんです。実は最近まで告知の範囲は曖昧で定まっておらず、専門家である宅建業者さんによっても対応はマチマチでした。過去、事故物件について一律の告知基準がなくて、事実を知った買主さんの損害賠償請求や、孤独死を恐れた高齢者さんの賃貸入居拒否など、トラブルが頻発していました。

それを受けて、国土交通省が取引の公正性と透明性を高めるために、2021年10月に策定したのが、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関わるガイドライン(以下、告知ガイドライン)」です。そこで、宅地建物業者さんが買主さん(または借主)に告知すべき事項を明確化したのです。

告知ガイドラインのポイントは以下にまとめられます。

①告知義務が必要な事案
・自殺や他殺や不自然死(死亡確認が病院であっても同様)
・人体に悪影響のある汚染履歴
・嫌悪的な使用履歴
・遺体腐敗などによる特殊清掃やリフォーム
・集合住宅内の普段利用するエリアの事件事故

②告知義務が不要な事案
・自然死や病死
・不慮の事故死
・近隣住戸や集合住宅内の普段利用しないエリアの事件事故

③告知義務の範囲
・発生期日
・発生場所
・死因
・特殊清掃やリフォームの有無

④故人のプライバシーに配慮する
・故人(その親族)のプライバシーを尊重した必要最低限の情報のみ扱う

⑤告知義務の期間
・売買契約では期間の明確な言及はなし
・賃貸契約では過去3年以内の期間(「一組でも入居すれが告知義務はなくなる」は都市伝説)
・事件性や社会的影響が大きい事案は期間に関わらず告知

⑥買主(借主)に問われた場合
・死因(自然死など含む)や期間を問わず事実に基づいて正確に回答

⑦告知の方法と時期
・契約締結前の出来るだけ早めに口頭に頼らず書面による告知

補足として、今回の告知ガイドラインにおいても保留となった点は以下。
・前面道路での事件事故
・建て替え前の事件事故
・売買契約における告知期間

このように告知ガイドラインによって、判断基準の軸が分かりやすくなったことは、理解して頂けると思います!

人の死の告知ガイドラインは不動産価値にどう影響する?

ここまでお話してきた通り、不動産取引において透明性や公正性は最も重要な要素です。その中で告知ガイドラインは、不動産価値にどう影響するのでしょうか。想定しうるものを3つにまとめてみます。

①基準が明確になり分かりやすく(価格形成の適正化)
まずひとつに、告知ガイドラインによって、事故物件に関する告知の基準が明確になりました。売主さん・買主さん双方にとって分かりやすい環境が整ったということです。これは、心理的瑕疵がある物件に関する情報が透明化されたことを意味し、買主さんは納得の上で適正価格での購入が可能になります。結果として、物件価格の過剰な下落を防ぎ、より公正な価格形成の適正化が促進されるのではないでしょうか?

②不動産取引のリスクの評価がしやすく(不動産市場の活性化)
次に、事故物件の詳細な告知により、購入前に物件のリスクを正確に評価できるようになりました。これは、買主さんが心理的瑕疵を理解し、それを踏まえた上での判断が可能となることを意味します。明確な情報提供は買主さんの不安を軽減し、事故物件に対する偏見を減少させることができます。その結果、事故物件を含む不動産市場全体の活性化が期待できますね!

③将来的なトラブルを避けやすく(納得感ある取引)
さいごに、適切な告知は、将来的に発生する可能性のあるトラブルを、未然に防ぐ助けになります。買主さんが事前に物件を理解し、納得して購入することで、その後の「知らなかった」リスクを減らせます。また、売主さんもしっかりと告知義務を果たすことで、後日のクレームや訴訟リスクを避けることができますね。このように双方にとって納得感のある取引に繋がります。

どうでしょう?事故物件は告知ガイドラインによって、解決への道筋はつけられたとはいえ、なかなか難しい不動産なのだと思います。もし不安に思うようでしたら、私たちエスエイアシストのような不動産買取業者に、お声掛けいただくのも一つですね!

まとめ

今回の記事では、事故物件の告知義務について、国土交通省が策定した「人の死の告知ガイドライン」とその背景にも触れつつ、法的根拠や告知範囲、それが不動産価値にどう影響するのかについて、詳しく解説してきました。

「事故物件」とは、その物件内で人の死に関わる重大な事件や事故などが発生した不動産物件のことを指します。また、事件性はなくとも、遺体放置による建物設備への汚損や損傷を伴った物件も該当します。

これらを隠れた欠陥を瑕疵(かし)と言います。
①心理的瑕疵:忌避(きひ)する心理に基づいた、見えない欠陥。
②物理的瑕疵:遺体の腐敗による建物構造や設備の腐食に対する特殊清掃やリフォーム。

事故物件の告知義務は、不動産取引において重要です。
民法上では「善良な信義則」という条文で「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行われなくてはならない」という大原則があります。
・買主さんに対して隠れた事実も包み隠さず告知する義務がある
・買主さんに十分な情報提供をして合理的な判断を行えるよう保証する
・不動産取引の透明性を保つことで後のトラブルを避ける

そして、仲介する宅建業者さんによる事故物件の調査は、売主さんに対して告知書への記載を求めるのみ。積極的・能動的に調査することは基本的にありませんので、「売主さんには高い倫理観が求められる」ワケです。

万が一告知義務を怠ると、契約解除や損害賠償請求、最悪は詐欺罪に問われる可能性があるということは、肝に銘じましょう。
さらに、実は最近まで告知の範囲は曖昧で、事故物件について一律の告知基準がなく、トラブルが頻発しています。

それを受けて、国土交通省が2021年10月に策定したのが、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関わるガイドライン」で、宅地建物業者さんが買主さんに告知すべき事項を明確化しました。

告知ガイドラインのポイントは以下にまとめられます。
①告知義務が必要な事案
②告知義務が不要な事案
③告知義務の範囲
④故人(その親族)のプライバシーに配慮
⑤告知義務の期間
⑥買主(借主)に問われた場合
⑦告知の方法と時期
ただ補足として、今回保留となった点は以下。
・前面道路での事件事故
・建て替え前の事件事故

不動産取引では透明性や公正性は最も重要な要素です。その中で告知ガイドラインは、不動産価値にどう影響するか3つにまとめます。
①基準が明確になり分かりやすく(価格形成の適正化)
②不動産取引のリスクの評価がしやすく(不動産市場の活性化)
③将来的なトラブルを避けやすく(納得感ある取引)

というワケで、事故物件は告知ガイドラインによって、解決への道筋がつけられました。ただ、難しい物件であるのは間違いありません。

私たちエスエイアシストでは、今回の事故物件のような”訳あり物件”のご相談を、数々と解決してきた実績があります。ほかの不動産会社で難色を示されてしまった物件をお持ちの方は、ものは試しとぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。

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