空中越境(屋根・電線)問題がある不動産のトラブルとは?

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい”お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする”お困り物件”コラム、第44回目は「越境トラブルのある不動産の売却」です。

あなたがこれまで何の問題もなく暮らしてきた土地、実は気付いていなかった「越境問題」が潜んでいるかもしれません。越境とは、簡単に言えば所有物が隣地にハミ出している状態を指します。このような状態は、所有権の侵害や法的トラブルを引き起こす可能性があり、特に不動産を売却しようとする時には、様々な問題を引き起こす原因になります。

今回の記事では、「越境問題がある不動産に起こり得るトラブルとは何か?」「それらが不動産売却時に与える影響とは?」、そして「そういった問題をどう解決していけばよいのか?」について、詳しく解説していきます。これから不動産売却を検討していて、ご自身の土地建物に何かしらの問題はないのか不安に感じているのなら、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

お困り物件買取事業

越境とは?

まず、「越境」とは、ご自身の所有する建物(とその付属物)・構造物や植栽などが、隣接する土地にハミ出している状態を指します。そして、越境しているものを「越境物」と呼びます。逆に隣地からご自身の土地にハミ出してきている場合は「被越境」「被越境物」といいます。

あるとき、もし被越境物があると知ったとしても、基本的には勝手に撤去することはできません。「土地を侵害されているのに、どうして?」と思うかもしれませんが、隣地所有者さんと協議もせず、一方的に撤去するのはヤメましょう。関係を悪くする可能性があるばかりか、損害賠償請求されることすらあるんです!お気をつけて。

越境物には例えば以下のようなものがあります。
・樹木
・ブロック塀(境界塀)や土留め
・インフラ設備
・建物の一部やその付属物
などなど。

気にすべき観点は以下となります。
①一部の勝手に撤去できるものでも協議する
たとえば、樹木の枝葉は勝手に剪定できないけれど、根っこ部分はご自身の判断で切っても大丈夫だったりします。でも、です。本当に勝手に切ってしまえば、それでは隣地所有者さんとの関係を悪くしてしまい、今後の交渉に悪影響がでるのは必至。必ず話し合いましょう。

②越境物の所有権ははっきりしているのか
次に「そもそもその越境物、誰のものでしょうか?」ということがあります。例えば、土地と土地の間にある境界塀です。ご自身のものなのか、お隣さんのものなのか、はたまた共有で所有するものなのか、古いものであればあるほど意外と曖昧なものです。

③地中はどうなっているか分かりにくい
最後に、地中にある埋設物がどうなっているか分かりにくいこと。給排水管や土留めの基礎など、新築当時の図面などあれば分かろうものですが、完全に把握するのは難しいかもしれません。

そもそも土地の境界が未確定?

というワケで、このあと「越境トラブル」についてお話していきますが、その前に確認です。

越境が起きる前提には、「土地と土地の間の境界がはっきりしている」ことがあります。実はココにも落とし穴!古くからの土地では、そもそも「境界未確定」の土地であったりします。現地に土地の境目を表す「境界標」が埋め込まれていない場合、かなり疑わしいのです。ご自宅に「境界確認書」や「確定測量図」がないのなら、正式な登記もされていないかもしれません。たとえ古い測量図があったとしても、今と比べて当時の測量技術は劣っていて、正確ではないこともあります。

そもそも土地の境界が未確定の場合、正しく測量し関係各位との合意を得て土地の境界を確定する「境界立会」などの手続きが必要になる上、不動産売却において大きな問題になります。「買主さんに対する義務を果たせない」「再建築不可物件になる」「違法建築になってしまう可能性がある」などによって、損害賠償リスクや売却価格の低下にも繋がるので、留意してください。

詳細は他のコラムでも紹介しているので、そちらも読んでいただけると幸いです!

越境問題のある不動産のトラブルとは?

それでは、話を戻します。
越境問題のある不動産のトラブルには、どんなものがあるのでしょうか?越境が引き起こすトラブルを紹介します。

①越境による隣地所有者からの賠償請求リスク

ご自身の所有物が越境していた場合、隣地所有者さんとの間での法的紛争を引き起こすリスクが伴います。越境によってその権利を侵害したとされるとき、損害賠償を求められることがあります。また、越境物の撤去や移動には、手間も費用もかかることになります。

②被越境による取得時効の成立で土地を失う
一方で、逆に隣地からの被越境を受けた場合、時には土地の一部を失うリスクも伴います。それは、隣地所有者さんが所有物を越境させ、あなたご自身の土地の一部を長年にわたって使用し続けたとき、その部分についての「取得時効」が成立することがあります。隣地所有者さんが善意無過失(事実に気付いていない)であれば10年間、例え知っていながら使用していても20年間で、所有権が移動してしまいます。

③人間関係が悪化する可能性がある
そして、当然と言えば当然ですが、越境問題が発覚すると、隣地所有者さんとの人間関係は悪化する可能性が高いです。まして越境物の撤去が難しい場合なら尚更です。もし、不動産売買の話が進んでいる中、問題解決が一向に話が進まないとなれば、穏やかな気持ちではいられないでしょう。

越境問題が不動産売却時に与える影響を知りたい!

そんな越境問題を抱えたまま不動産売却の話を進めた場合、それが与える影響は大きなものとなります。特に以下の点に注意です。

①買い手が見つかりにくくなる
越境問題がある不動産は、買い手さんが見つかりにくい傾向にあります。通常の物件に比べて、買い手さんは多くのリスクを引き継ぐことになるので、敢えて選ばないということです。例えば、将来的な隣地さんとのトラブルによって、越境物の撤去費用やコミュニケーションコストを払うことが懸念されるからです。そのため、不動産に対する魅力は減少し、不動産市場での競争力は低下します。

②買い手の住宅ローンが通りにくい
当然、金融機関さんにしても、越境問題が将来的な法的トラブルや価値の低下に繋がることはリスクです。担保価値に影響を及ぼす要因には非常に敏感であり、買い手の住宅ローンの審査は自ずと厳しく通りにくいものとなります。

③思うような規模の建物を建てられない
さらに、被越境部分の土地は、建築確認申請時に有効な土地面積として認められないため、思うような規模の建物を建てられないことになります。例え机上の審査である建築確認申請が通ったとして、現地で完了検査の際に被越境が発覚するようなことになると、取り返しのつかない大変なことになります。新しい家が既に建っている中、隣地所有者さんと交渉をするとなると、立場は著しく弱くなってしまいます。

④不動産売買の契約解除や損害賠償のリスク
もし、売買契約後に越境問題が発覚し、不動産の状態が契約時に提示された内容と異なると判断されれば、不動産売買の契約解除をされるリスクがあります。その結果、最悪は損害賠償責任を問われることに繋がる恐れすらあります。

越境問題のトラブルを解決するには?

では、どうするのか?不動産売却の大きな足枷となる越境問題トラブル。適切な手段を講じることで、解決の道筋を立てられるかもしれません!

やるべきことは以下です。

①境界未確定なら境界を確定する

越境問題の解決の第一歩は、境界を明確にすることから始まります。これは専門の測量士に依頼し、正確な土地の境界を確定します。曖昧にしていいことはありません。そこがはっきりしなければ、それが越境しているものなのか、そもそもハッキリしません。当事者間で越境の事実を確認するためには、非常に大切なことです。それにより、隣地所有者さんとの紛争を未然に防ぎ、不動産の価値を適切に評価することができます。

②越境物は取り除く

そして、確認された越境物は可能な限り撤去します。例えば、樹木の剪定、インフラ設備の移設、といったものです。トラブルの元を取り除ければ、スムーズな不動産売却に役立ちます。

とは言え、建物の一部などの越境であれば、そうそう撤去ができない場合もあります。そんなときは、隣地所有者さんと十分な協議を行い、相互の合意のもとで解決策を模索し、円満に解決することが大切です。例えば以下の対応をします

①越境部分を隣地所有者と売買する

越境させてしまっているなら、その部分のみを買取ます。逆に被越境であれば、その部分のみを隣地所有者さんに買い取ってもらいます。土地面積の変化や持ち出しの資金が必要ですが、それが呑めるのであれば、法的な紛争を避けるための実用的な選択肢になります。

②覚書を作成する

しかし、隣地所有者さんとの協議で、撤去も不動産売買も難しいとあれば、「越境物の覚書」を作成します。越境物をめぐる約束事を書面に残すということ。協議がうまくいかないからと放置するのは、絶対にNGです。何故なら、無用な紛争や不動産売却時の買い手さんからの安心感を与える意味でも重要ですが、先述のとおり、被越境であれば取得時効の成立によって土地が奪われてしまうこともあるからです。

越境物の覚書に記載する内容は次の通り。
・越境物の事実確認とその詳細を記載
・将来的な建て替え時に撤去する旨と取得時効の主張をしないことを記載
・現状の越境による使用を承認する旨を記載
・当覚書を不動産売却や相続の後の所有者に継承する旨を記載

「越境問題を解決できない!?」時の不動産売却方法!

と、ここまで越境問題トラブルの解決に向けてお話を進めてきたワケですが、「どうにも越境問題を解決できない!?」場合もやっぱりあります。そもそもの境界線が明確に出来ないケースや、隣地所有者さんとの協議が難航するケースでは、売却におけるアプローチを変更する必要があります。

①売却価格が低くなることを覚悟で不動産仲介業者によって売却
ひとつは、売却価格が低くなることを覚悟で不動産仲介業者さんによって売却するということ。越境問題が解決できない以上は、不動産の価値は下がります。しかし、売却自体が不可能というワケではありません。以下のような方法を考慮します。
・買い手に越境の現状を正直かつ正確に伝える
・越境問題を反映させた価格設定に見直す
・専門家にアドバイスを求めて適切な販売戦略を練り直す
その上で、買い手さんはそうそう見つからないので、売却活動は長期化することを念頭に置き、粘り強く対応します。

②不動産買取業者に直接売却する
次に、不動産買取業者さんに直接売却する方法です。買取専門と言えど、リスクのある不動産を高く買ってくれることはありません。ただし、リスクのある不動産を手に入れて付加価値を付けて再販する特性上、営業力を含めた実力のある業者さんであれば、より適正な価格の提示を受けられる可能性もあります。そのため、業者選びは最重要と言っても過言ではありません。
・越境問題を抱えた現状のままでもOK
・直接取引なので仲介手数料は不要で即現金化できる

といったメリットもあるので、長い売却活動にストレスを感じる方であれば、不動産買取は最良な方法かもしれません!

まとめ

それではまとめます!

今回の記事では、「越境問題がある不動産に起こり得るトラブルとは何か?」「それらが不動産売却時に与える影響とは?」、そして「そういった問題をどう解決していけばよいのか?」について、詳しく解説してきました。

まず、「越境」とは、ご自身の所有する建物(とその付属物)・構造物や植栽などが、隣接する土地にハミ出している状態を指します。そして、越境しているものを「越境物」と呼びます。逆に隣地からご自身の土地にハミ出してきている場合は「被越境」「被越境物」といいます。
気にすべき観点は以下となります。
①一部の勝手に撤去できるものでも協議する
②越境物の所有権ははっきりしているのか
③地中はどうなっているか分かりにくい

越境が起きる前提には、「土地と土地の間の境界がはっきりしている」ことがあります。
そもそも土地の境界が未確定の場合、正しく測量し関係各位との合意をする「境界立会」などの手続きが必要になる上、不動産売却において大きな問題になります。損害賠償リスクや売却価格の低下にも繋がるので、留意してください。

越境問題が引き起こすトラブルは以下。
①越境による隣地所有者からの賠償請求リスク
②被越境による取得時効の成立で土地を失う
③人間関係が悪化する可能性がある

そんな越境問題を抱えたまま不動産売却の話を進めた場合の影響は以下の点。
①買い手が見つかりにくくなる
②買い手の住宅ローンが通りにくい
③思うような規模の建物を建てられない
④不動産売買の契約解除や損害賠償のリスク

では、適切な手段を講じることで、越境問題トラブルを解決するための道筋は以下。
①境界未確定なら境界を確定する
②越境物は取り除く
とは言え、撤去ができない越境物は、隣地所有者さんと十分な協議を行い、相互の合意のもとで円満に解決することが大切です。
①越境部分を隣地所有者と売買する
越境なら隣地の一部を購入し、被越境なら買い取ってもらいます。
②覚書を作成する

撤去も不動産売買も難しいとあれば、越境物をめぐる約束事を書面に残す「越境物の覚書」を作成します。
越境物の覚書に記載する内容は次の通り。
・越境物の事実確認とその詳細を記載
・将来的な建て替え時に撤去する旨と取得時効の主張をしないことを記載
・現状の越境による使用を承認する旨を記載
・当覚書を不動産売却や相続の後の所有者に継承する旨を記載

と、ここまできても「どうにも越境問題を解決できない!?」場合は以下で不動産売却を目指します。
①売却価格が低くなることを覚悟で不動産仲介業者によって売却
売却価格が低くなることを覚悟で不動産仲介業者さんによって売却しますが、以下のような方法を考慮します。
・買い手に越境の現状を正直かつ正確に伝える
・越境問題を反映させた価格設定に見直す
・専門家にアドバイスを求めて適切な販売戦略を練り直す
その上で、売却活動は長期化することを念頭に置き、粘り強く対応します。
②不動産買取業者に直接売却する
不動産買取業者さんに直接売却する方法です。リスクのある不動産を手に入れて付加価値を付けて再販する特性上、営業力を含めた実力のある業者さんであれば、より適正な価格の提示を受けられる可能性もあります。
・越境問題を抱えた現状のままでもOK
・直接取引なので仲介手数料は不要で即現金化できる
といったメリットもあるので、長い売却活動にストレスを感じる方であれば、不動産買取は最良な方法かもしれません!

エスエイアシストはそんな不動産買取業者です。これまでにも今回の「越境問題」を抱えた不動産をはじめ、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう”訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。きっと最良のお手伝いができるものと自負しております!

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