【事例あり】収益物件の利回りが低いと売れない?築古・私道沿いでも売る方法

独自のノウハウにより、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、他の不動産会社では取り扱いづらい「お困り物件」を解決に導いてきた、不動産・用地開発のスペシャリスト・株式会社エスエイアシストがお届けする「お困り物件コラム」。第166回目は「収益物件の利回りが低いと売れない?」です。

「利回りは思ったほど低くないはずなのに問い合わせが一件も入らない」「仲介業者からは値下げを勧められるものの納得がいかない」収益物件を売りに出したオーナーからは、そうした声がよく聞かれます。
結論から言うと、売れない原因の多くは売主の努力不足ではありません。買主の側に資金を用意しにくい事情や、実際の利回りが分かりにくい問題などがあるためです。

今回の記事では、収益物件が売れにくい理由と、値下げを繰り返して時間を失う前に選べる出口を整理します。実際に、私道に囲まれた築古の難あり一棟収益物件を数か月で買い取った事例もご紹介します。最後まで読んでもらえれば、原因の正体が明確になり次の一手は決めやすくなります。ぜひお付き合いください。

お困り物件買取事業

収益物件の利回りと価格は裏表の関係にある

まず、収益物件の売却の話に入る前に、押さえておきたい前提があります。「なぜ売れないのか?」という答えを知るために、ここでは判断の土台となる考え方を確認します。

①買主は募集図面の利回りをそのまま信じない
利回りは、その物件が一年間に生む収益を価格で割って求めた数字です。ただし買主は、募集図面に載った数字をそのまま受け取りません。自分で経費を洗い直し、手元に残る割合を計算してから判断します。売主にとっては「いくらで売れるか」の話でも、買主にとっては「手元に何パーセント残るか」の話になるわけです。

②表面利回りと実質利回りは意味が違う
一口に利回りと言っても、「表面利回り」と「実質利回り」の2つがあります。前者は家賃収入だけで計算したもので、募集図面に載るのはこちらです。後者は表面利回りから管理費や修繕費、固定資産税といった経費を差し引いたもので、買主が最終的な判断材料とするのはこちらになります。経費が重いほど実質利回りは低下し、築古の物件ほど修繕費の影響を受けやすくなります。

③売却希望額を上げるほど買主の目に映る利回りは下がる
そのため、売主が「これだけは確保したい」と価格を積み上げると、買主の計算上は利回りが下がります。売主の希望と買主の評価は、裏表の関係になっているわけです。

④建物には法定耐用年数という線引きがある
もう一つ押さえておきたいのが、建物の構造ごとに税務上の法定耐用年数が定められている点です。鉄筋コンクリート造の住宅用は47年、木造は22年とされています。本来は減価償却を計算するための年数ですが、建物の残り時間を測る公的な目安としても参照されています。

このように、価格の話と利回りの話は切り離せません。この前提を持ったうえで、本題である「なぜ売れないのか」を見ていきます。

収益物件が売れない本当の理由は買主の融資にある

では、価格を下げれば解決するのかというと、そう単純ではありません。売れない状態が続く背景には、売主の手の届かないところにある事情が絡んでいます。

①買主の多くは借入を前提にしている
まず、投資用の一棟物件を買う人の多くは、金融機関からの借入を組み合わせて購入します。物件そのものを気に入っても、資金の調達ができなければ話は進みません。つまり買主が何人いるかではなく、「買える」買主が何人いるかが問題になります。

②融資の環境そのものが変わってきている
加えて、金融庁が実施した投資用不動産向け融資の調査によると、融資の実行額は2017年3月期をピークに減少しています。あわせて、金融機関における事業リスクの評価や、借り手に対するリスク説明について、改善の余地があると指摘されました。貸す側が慎重になっている流れは、買主の資金調達に直接影響します。

③確認事項が多い物件ほど検討が進みにくい
さらに、「検査済証(工事の完了検査に合格したことを証する書面)」がない建物では、建築基準法への適合状況を確かめる現況調査が必要になります。また、私道に接する土地であれば、通行に関する権利関係を確かめなくてはなりません。買主にとっては、購入を決める前に片づけるべき確認事項が増えることになります。

値下げで利回りを上げるのは、売主が自分の判断でできる数少ない手段です。しかし、買える買主の数そのものを増やす力はありません。ここが、価格を下げて利回りを高く見せても、反響が戻らない理由です。

利回りが低い収益物件を売れないまま持ち続けるリスク

一方で、「売れないなら当面は持ち続ければよい」と考える方もいます。ただし保有を続けることにも、相応の負担が伴います。

①貸主としての義務は売却活動中も続く
民法では、「賃貸人は賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています。たとえ売りに出している最中であっても、この立場が軽くなるわけではありません。設備の故障や不具合が起きれば、そのつど対応が求められます。

②空室が出れば収益は目減りする
また、入居者が退去すれば家賃収入は減り、原状回復などの修繕にも費用がかかります。収益が下がれば、買主や金融機関から見た評価も下がります。売却を待つあいだに、物件の見え方が悪くなっていく可能性があるということです。

③時間の経過は条件を改善しない
そして、築年数が積み上がれば老朽化も進みます。買主が融資を組みにくいという条件は、待っているあいだに自然と解消されるものではありません。むしろ選択肢は少しずつ狭まっていきます。

待つこと自体が誤りなのではなく、保有を続ける時間とその間に生じる負担を見比べたうえで、待つだけの理由があるかどうかを判断することが分かれ目になります。

【買取事例】私道に囲まれた築古一棟を数か月で売却

ここでは、私道に面した築古の物件を、ご相談から数か月で売却できた弊社の買取事例についてご紹介します。

利回りの低い収益物件は売れないのでは、と不安を抱える方は少なくありません。今回ご相談くださった売主さんも、まさにその一人でした。特に一棟の物件は買い手が限られ、条件が重なると売却が長引きがちです。

対象は、店舗と住居が入った鉄筋コンクリート造3階建ての一棟物件です。2方向を私道に囲まれた角地で、築年数は50年を超えていました。再建築は可能な土地です。

売主さんが最初に口にされたのは、私道の所有者との協議や、入居者の立ち退きへの気の重さでした。話がこじれそうな相手とのやり取りは、「できれば避けたい」。そんな心境だったそうです。

加えて悩ましかったのが、利回りの低さでした。賃貸を続けても収益が伸びにくく、この先も持ち続けるべきか迷っていたそうです。一方で私道に接する物件は評価されにくく、いざ売ろうとしても価格が伸び悩みやすい事情もありました。

そこで私たちは、契約不適合責任を免責とする形での買取をご提案しました。入居中の賃貸借契約はそのまま引き継ぎ、現況のまま購入する方法です。

協議の相手となった私道の所有者は、ご自身も不動産に携わる方でした。そのため話が通じやすい一方で、共同で事業を進めてはどうかというお話が出る場面もありました。立場が違えば、見えているものも違います。こちらの計画を一方的に通すのではなく、相手のお考えを伺いながら、時間をかけて話し合いを重ねました。

あわせて、私道や隣地の所有者とも協議を重ね、周辺をまとめて一団の土地として活かせるよう計画を立てていきました。一件ずつ事情が異なりますから、話が前に進む日もあれば、止まる日もあります。

近隣の関係を壊さずにまとめていく作業は、地味ですが欠かせない工程です。相手の立場も尊重しながら話を進めるうちに、売主さんの表情も少しずつやわらいでいきました。

一方で、立ち退きの調整は簡単には進みませんでした。入居者の生活がかかる話ですから、こちらの都合だけで動かせるものではありません。最終的には専門家の力を借りる形となり、この点はかなり苦戦しました。正直に申し上げれば、想定よりも時間を要した部分です。

それでも初回のご相談から3か月ほどで、無事に売却まで進みました。売れないのではと気を揉んでいた収益物件を手放せたとき、売主さんは肩の荷が下りたご様子でした。

利回りが低い物件や、私道が絡む物件は、売れにくいと感じられるかもしれません。ひとりで気を揉むより、買取という出口を知るだけで、心が軽くなることもあります。似たようなお困りごとがありましたら、一度ご相談いただければと思います。

売り方を決める前に確認しておきたい3つのこと

そこで、出口を選ぶ前にやっておきたい確認があります。現状を整理し、客観的なデータを用いることで、先の判断が進めやすくなります。

①建物の条件を確かめる
まず、構造と築年数を確認します。先述のとおり、法定耐用年数は鉄筋コンクリート造の住宅用が47年、木造が22年です。自分の物件がこの公的な基準のどのあたりに位置するかを知るだけでも、買主や金融機関からどう見えるかを想像しやすくなります。

②権利関係と書類を確かめる
次に、検査済証があるか、前面道路は公道か私道か、私道であれば通行に関する権利関係を確かめる必要があるかを確認します。あわせて、家賃の一覧であるレントロールや、これまでの修繕履歴が整理されているかも見ておきます。これらは買主が融資等の手続きを進める際の確認事項となるため、先回りして把握しておくためです。

③市場の動きを確かめる
さらに、市場の動きを確かめます。国土交通省は不動産価格指数を公表しています。こうした公表データを見て、市場全体の価格の動きの中に自分の物件を置いてみれば、客観視する助けになります。市場が上がっている局面であれば待つ意味もありますが、そうでなければ、能動的に動く必要があるかもしれません。

この3つを揃えることで、感覚ではなく客観的な材料をもとに判断できるようになります。ひとつの目安として、「法定耐用年数を超えている」「検査済証が見当たらない」「前面道路が私道である」のうち2つ以上に当てはまる場合は、仲介での売却が長期化しやすい条件が揃っていると考えられます。ここまで整理できたら、保有を続ける間の負担と見比べながら、いよいよ出口の選び方に進みます。

売りにくい収益物件は条件によって効く手が変わる

ここまでの内容を踏まえて、取り得る選択肢を状況別に整理します。どれが優れているという話ではなく、物件の条件によって効く手が変わる、という整理になります。

①仲介による売却活動を続ける
まず、根気強く不動産仲介による売却活動を続ける判断があります。融資が付きやすい条件が揃っていて、書類も整っている物件であれば、仲介で買主を待つ意味があります。時間はかかりますが、価格の面では有利になりやすい方法です。

②価格を見直す
次に、売却希望価格を見直すことも一つです。相場から明らかに離れていた場合には、価格の調整で反響が戻ることがあります。ただし、買主が融資を受けにくい物件では、値下げをしても買える人の数は増えません。効く場面と効かない場面がある、と押さえておくとよいでしょう。

③買取に切り替える
最後に、不動産買取に切り替える方法です。不動産業者が直接の買主になります。自社の資金で購入するため、金融機関の融資の可否に左右されにくいという特徴があります。
入居者がいる状態でも取引は可能です。賃借人が引渡しなどによって対抗要件を備えている場合、不動産が譲渡されると賃貸人としての地位は譲受人に移るとされています。

一方で、不動産業者は買い取ったあと再販して利益を得ることを前提としているため、仲介による売却と比べて価格は低くなる傾向があります。とはいえ、売主が個人であれば、引き渡した物件が契約の内容に適合しない場合の責任、いわゆる「契約不適合責任」を免責とする特約を結ぶこともできます。

築古であること、私道に接していること、入居者がいることは、買取では前提条件として受け止められます。これは、問題の多い利回りが低い収益物件の所有者にとっては、大きなメリットです。

ただし、売主が不適合を知りながら買主に告げなかった場合には、この特約があっても責任を免れない点には注意が必要です。

どの方法を選ぶかは、物件の条件と、どれだけ時間をかけられるかで変わります。専門家である業者への相談は、依頼を決めるための手続きではなく、判断材料を集めるための手段です。

迷っている段階でこそ、聞いておく意味があります。

まとめ

今回の記事では、収益物件が売れにくい理由と、値下げを繰り返して時間を失う前に選べる出口を整理してきました。

まず、収益物件の売却の話に入る前に、押さえておきたい前提は以下です。
①買主は募集図面の利回りをそのまま信じない
②表面利回りと実質利回りは意味が違う
③売却希望額を上げるほど買主の目に映る利回りは下がる
④建物には法定耐用年数という線引きがある

このように、価格の話と利回りの話は切り離せませんが、売れない状態が続く背景には、買主側の問題もあります。
①買主の多くは借入を前提にしている
②融資の環境そのものが変わってきている
③確認事項が多い物件ほど検討が進みにくい

値下げで利回りを上げることはできますが、買える買主の数そのものを増やす力はないのが、反響が戻らない理由です。

一方で、保有を続けることにも負担が伴います。
①貸主としての義務は売却活動中も続く
②空室が出れば収益は目減りする
③時間の経過は条件を改善しない

待つこと自体が誤りなのではなく、待つだけの理由があるかどうかが分かれ目になります。そこで、出口を選ぶ前にやっておきたい確認があります。
①建物の条件を確かめる
②権利関係と書類を確かめる
③市場の動きを確かめる

これらを踏まえて、取り得る選択肢を整理します。
①仲介による売却活動を続ける
②価格を見直す
③買取に切り替える

不動産買取は業者に再販目的があるため価格は低くなる傾向がありますが、売主が個人であれば「契約不適合責任」を免責とする特約を結ぶこともでき、問題を抱えた収益物件でも手放しやすくなります。ただし、不適合を知りながら買主に告げなかった場合には免責の対象外となる点は、押さえておきましょう。

どの方法を選ぶかは、物件の条件と、どれだけ時間をかけられるかで変わりますので、まずは専門家である業者への相談をおすすめします。

私たちエスエイアシストは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、扱いが難しい「お困り物件」のご相談を数多くサポートしてきました。
「どこに相談すればいいか分からない」「家族に迷惑をかけたくない」と感じている方こそ、ひとりで抱え込まず、まずは現状をお聞かせください。お客様の状況やご希望を踏まえ、無理のない出口プランを一緒に考えます。お困りの物件でお悩みの方は、ぜひエスエイアシストまでご相談ください。

【参考エビデンス・出典】

・金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」
金融機関の投資用不動産向け融資における事業リスク評価や、借り手に対するリスク説明について改善の余地があることを指摘した調査レポートです。貸す側が慎重になっている流れが、買主の資金調達環境(融資の付きにくさ)に影響していることの裏付けとなります。
URL:https://www.fsa.go.jp/news/30/20190328.PDF

・国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
建物の構造や用途ごとに定められた、税務上の法定耐用年数をまとめた資料です。鉄筋コンクリート造(住宅用)は47年、木造は22年などと定められており、建物の公的な基準年数を確認するための根拠となります。
URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

・国土交通省「不動産価格指数」
全国の住宅や商業用不動産の価格動向を指数化して公表しているデータです。個別の物件ではなく、市場全体の価格の動きを客観的なデータで把握し、保有を続けるかどうかの判断材料とするための根拠となります。
URL:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html

・その他、「民法」について複数
民法第606条(賃貸人による修繕等)
民法第605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)
民法第562条(買主の追完請求権)
民法第572条(担保責任を負わない旨の特約)
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

弊社は「ピタットハウス浦和西口店・恵比寿店」としての営業を2026年7月をもって終了し、
「【エスエイアシスト本店(浦和)/東京支店(池袋)】」としてリニューアル営業しております。
過去のブログ内に旧店舗名の表記が残っている箇所がございますが、スタッフや運営会社等に変更はございません。
これまで以上に皆様のニーズに寄り添ったお部屋探し・不動産サポートに努めてまいります。

エスエイアシストなら処分しづらい“お困り物件”を買取ります!

エスエイアシストでは、
古い住宅・アパート・倉庫・工場等を現況のまま
仕入れ、ひと手間掛けてきれいに仕上げた
住宅用地を同業他社に「土地卸し」の形で
販売することを得意としています。
          他社では買取りを断られるようなトラブルを
抱えた物件や、同業の不動産会社から
扱いに困った物件を買取り、
住宅用地として整えることで不動産価値を創出しています!

不動産事業や人材事業などお困りのことがあれば
エスエイアシストにご相談ください!

お問い合わせはこちら

仲介業者様歓迎!

Tel.048-824-0900

問合せフォーム