風致地区の土地が売れない!法規制理解と売却成功への道しるべを解説!

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決へ導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第123回目は「風致地区の土地が売れない」です。

相続や住み替えで風致地区の古家付き土地を持ち、「規制がキツくて売れない!」と悩んでいませんか?風致地区は自然環境や景観を守るための制度であり、建築や色彩、緑地率などの厳しい制限があります。ただ、法規制を理解し、視点を変えた戦略を立てて土地の魅力を示すことで、不動産売却は十分に可能です!

今回の記事では、風致地区の土地の「売却成功の道しるべ」と銘打って、売れない理由とリスク、不動産仲介と買取の使い分けまで、具体的に解説していきます。その魅力についても、きっと再発見できるかもしれません。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

お困り物件買取事業

風致地区の土地の規制を理解する!

はじめに、「風致地区」とは、都市計画法に定められた地域地区の一つで、「都市の風致(自然環境や景観のおもむき)を維持・回復することを目的に指定される区域」のことです。

この区域内では、建築・造成・樹木伐採・外構の変更など多くの行為が原則として許可制となります。そのため、各自治体の条例や審査基準に基づいて個別に審査されます。なお、自治体ごとに基準・運用が異なるため、所管課へ確認が必要。

風致地区の主な目的は以下のようなものがあります。
・自然的景観や緑量が保全された静かで快適な住環境を維持する
・建築物と街並みとの統一感と調和を図る
・採光や通風および景観の抜け、防災性を高める

そんな風致地区の土地には、開発行為に厳しい規制が存在していて、例えば、
・建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)の上限引き下げ
・壁面後退距離の確保(例:道路境界から建物までの距離2m以上)
・緑地率の確保(例:敷地面積の10%以上を緑地として確保)
・建物の高さや形態の制限(例:低層域での高さ上限、屋根形状の指定)
・外壁や屋根の色彩基準(色彩を周辺景観と調和させる)
・造成や樹木伐採および工作物設置も許可対象
などと詳細に定められていて、派手な原色を避ける色彩基準、敷地面積に応じた緑地配分などを守る必要があります。

なお、補足として数値規制や審査期間など地域差が大きく、各自治体に異なるため、必ず確認をします。

風致地区の土地が売れない理由とは?

これらの事情があるために、どうしても買い手さんが見つかりにくい現実があります。次に、「風致地区の土地が売れない!」理由を、具体的に挙げます。

①設計自由度が低い
まず、建ぺい率の上限引き下げや建築物の高さ・形態の制限によって建物のボリュームが抑えられ、計画可能な延べ床面積(各階の床面積の合計)や階数が限定されます。また、外壁・屋根の色彩基準や壁面後退距離(敷地境界と建物との空間)の確保が求められるため、建物配置や外観デザインの選択肢が狭まり、駐車場位置や庭の取り方にも影響が及びます。

②許可手続きへの不安
つぎに、何が許可対象で、どの図面が必要か、どれくらいの期間で審査が終わるのかが分かりづらい点がハードル。建築構造、宅地の造成、木竹の伐採、工作物設置などが許可対象となり、申請には多くの図面類の提出が求められます。また、審査期間は自治体差があり、計画内容によって引渡し時期が読みにくい点も不安につながります。

③既存不適格物件である可能性
そして、建築時は適法でも現行基準では適合しない「既存不適格物件」に該当するケースがあるため、増改築や用途変更時の対応に不安を覚える買い手さんは少なくありません。この既存不適格自体は違反ではありませんが、増改築の制約や担保価値の低下、適合化の可否や緩和の適用範囲の説明が不可欠です。

④コストや工期への懸
さらに、買い手さんにとって、規制遵守のために発生する追加コストのイメージが起きがちです。具体的には、緑地率確保のための植栽費用や維持費、指定された色彩・素材の採用による外壁・屋根の費用増、壁面後退や緑地確保に伴う造成費、図面の描き直しや事前協議・調査費、工期が延びる可能性などが挙げられます。

⑤買い手が限定される
さいごに、自然環境や静けさを好む層には響く一方で、利便性や自由度を最優先する層には刺さりにくく、需要母数が小さくなりがちです。それに加えて、(先述の通り)一般的な物件よりもコストが高かったり、融資条件が厳しくなったりすると、なおさら敬遠されるかもしれません。結果として、一般流通での滞留や価格交渉の長期化につながります。

「売れないから」と風致地区の土地を放置するリスク!

そんな現実を突きつけられると、中には「売れないから」と半ば諦めて、風致地区の土地や建物を放置する所有者さんも出てきます。まともに利活用していない土地や建物は、多岐にわたるリスクが発生しかねません。

・固定資産税や維持管理費などの費用を垂れ流し、機会損失が膨らむ
・老朽化や倒木・越境で近隣トラブルに発展する可能性がある
・雨漏りや害獣侵入、不法侵入や投棄など衛生・治安の悪化を招く
・景観悪化で周辺の印象が下がり、将来の売却条件にも悪影響が及ぶ
・長期空家化で内部劣化が進み、解体や是正コストが増大する

この状態が長期間続くと、法的な問題も噴出することがあります。「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称、空き家法)」では、適切な管理が行われていない空家は「管理不全空家等」と認定され、行政は介入して管理を促す指導が入ります。

さらに、その中でも特に周辺地域への悪影響を及ぼすリスクがあるとされると「特定空家等」に認定される可能性があります。いずれにせよ、行政による勧告にいたると、住宅用地特例(固定資産税の課税標準の軽減)の適用外となる場合があります。

それによって優遇税制が受けられなくなれば、(一般的に)固定資産税は6倍、都市計画税は3倍の税金を収めなければならなくなり、結果として負担が増えるため、「放置」は最も避けたい選択肢です。

風致地区の環境価値を売却戦略に活かす!

人はついついネガティブでマイナスな部分にばかり目がいきがち。ただ、風致地区の土地への見方を変えれば、ときに魅力や強みになる場合があります。規制が厳しい分、実はメリットもあるんです。

たとえば、風致地区の土地のメリットは以下。
・将来にわたり一定の緑量や景観が維持され、日照・通風など生活の質が確保されやすい
・壁面後退により建物間の距離が保たれ、プライバシーが担保されやすい
・厳しい基準で街並みが整い、長期的な資産価値の安定が期待できる
・計画次第で庭空間の快適性が高まる
・自然環境と調和した住環境を求める層に、独自の価値を訴求できる

重要なのは、風致地区=建築不可ではないという点です。基準に適合した計画を整えれば、建替え・増改築は可能。制度は「自由度の制約」でもあると同時に「住環境品質の約束」でもあり、静けさ・緑量・眺望といった不動産価値を長期的に守る仕組みだと理解すれば、前向きな考えができるのではないでしょうか?

その風致地区の環境価値に共感できる買い手さんに向けて、売却戦略に活かすことができれば、内見前から「安心・具体像・手間感」を伝えられ、価格以外の評価軸で選ばれやすくなります。

風致地区の土地を売るための事前準備とは?

では、実際に風致地区の土地を売却活動していくにあたり、売るための事前準備をしていきます。下記の3つの観点で整理してみました。

①条例等も加味した制限内容の棚卸し
・風致地区の条例等は各自治体ごとに違いがあるため、必ず確認し許可要否を一枚に整理する
・重なり指定(景観地区、歴史まちづくり、自然公園等)がないかも確認し、優先関係や主となる審査窓口を把握する
・標準処理期間の目安(例:14〜30日)と、延長があり得るケース(樹木保存、擁壁、隣地配慮などの追加調査等)をメモにまとめる

②ホームインスペクションと契約不適合責任への理解
・既存住宅がある場合はホームインスペクション(建物状況調査)を実施し、雨漏り・劣化・設備状況を可視化する
・「既存不適格」と「違反建築物」を区別し、増改築時の適合化・緩和の可否、是正の要否を整理する
・境界や越境、擁壁や排水など、法令内外の実務リスクも確認する
・売主の契約不適合責任(契約内容との相違に対する責任)の範囲を確認し、告知範囲の明確化と隠れた瑕疵(かし:欠陥)への対処も検討する

③商品化資料の作成と許認可等の工程の確認
・案内図、配置図、立面図、断面図、緑化計画図、色彩パレット案、求積図、現況写真を揃え、許認可への道筋を明示する
・「通る」想定プラン(配置・外観・植栽)と維持管理の目安(剪定時期・回数など)を提供することで、暮らし方のイメージも示す
・事前相談の記録、申請〜審査〜引渡しのタイムライン、費用概算(申請・造園・外構等)を工程表に落とし込む

風致地区の土地の売却成功への道しるべを解説!

さいごに、所有する風致地区の土地をどう売るのが適切か判断していきます。ご自身にあった判断の軸を定め、売却方法を使い分けることが成功への道しるべになります。まず、「価格・期間・手間・確実性」の優先順位を決め、仲介と買取のいずれが目標達成に合うかを見極めることが重要。

①不動産仲介の選択肢とメリット・デメリット
ひとつに、一般市場で公開して、広く募集・内見・交渉を重ねる仲介があります。風致許可の前提条件(壁面後退・緑地率・色彩などの総合的観点)の適用基準を資料で示し、売買契約には「風致許可取得を停止条件」とする条項や、造園・外構・色彩調整の具体案を明記して不確実性を下げることが大切です。

メリット:相場に近い、またはニッチ需要に合致すれば高値が期待できる他、買主のこだわり(庭・色彩・素材)を取り入れた計画で満足度が高まりやすい

デメリット:許可要否や設計制約の説明や調整に時間がかかり、販売期間が読みにくく、買主対応など売主の手間が大きい上、成約後も契約不適合責任を負うリスクが残りやすい

②不動産買取の選択肢とメリット・デメリット
もうひとつに、不動産買取業者が直接買い取る方法。風致地区物件に詳しい専門業者であれば、申請から調整までパッケージで引き受ける体制が整っていることが多く、現況のまま短期の取り引きで進めやすいのが特徴です。

メリット:短期間で現金化でき、ローン不承認等の不確実性も小さく、現況引渡し対応で手間や時間を最小化できる

デメリット:市場相場より価格が控えめになりやすく、業者の経験差で査定や工程の質にばらつきが出る可能性がある

特に下記のような状況なら買取を優先するのが賢明かもしれません。
・長期空家化で管理不全の兆候があり、特定空家等リスクや税優遇の喪失を早期に避けたい
・相続直後で片付け・申請・造園等の手配に時間が割けず、早期の現金化が必要
・越境や擁壁、既存不適格など論点が多く、一般買主への説明が重い
・遠方に居住していたり、転勤や介護等で現地対応が難しく、ワンストップで任せたい
・市場での滞留や価格交渉の長期化を避け、確実に売り切ることを優先したい

このような不動産買取は、「価格最優先で高く売る」戦略ではなく、「確実・短期・低負担で売り切る」戦略です。風致地区という特性を踏まえると、時間・手間・税リスクの三つを抑えられる点で、合理的な選択になる場面が多くあります。

まとめ

今回の記事では、風致地区の土地の「売却成功の道しるべ」と銘打って、売れない理由とリスク、不動産仲介と買取の使い分けまで、具体的に解説しました。

はじめに、「風致地区」とは、都市計画法に定められた地域地区の一つで、「都市の風致(自然環境や景観のおもむき)を維持・回復することを目的に指定される区域」を指します。この区域内では、多くの開発行為が原則として許可制となり、自治体ごとに基準・運用が異なるため、所管課へ確認が必要。

主な目的は、「景観の保全・住環境や安全の維持・街並みとの調和」を図るものであり、派手な原色を避ける色彩基準、敷地面積に応じた緑地配分など、開発行為に厳しい規制があります。

これらの事情によって、「風致地区の土地が売れない!」言われます。
①設計自由度が低い
②許可手続きへの不安
③既存不適格物件である可能性
④コストや工期への懸念
⑤買い手が限定される

「売れないから」と半ば諦めてしまうと、「費用や機会損失が膨らむ・近隣トラブルの可能性・衛生や治安の悪化・売却条件にも悪影響・解体や是正コストが増大」など、多岐にわたるリスクが発生しかねません。

この状態が長期間続くと、「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称、空き家法)」において、「管理不全空家等」と認定される可能性があります。特に周辺地域への悪影響が及ぶと「特定空家等」とされ、行政が介入して管理を促す指導、行政による勧告にいたると、住宅用地の特例(優遇税制)の適用外となる場合があります。

ただ、規制が厳しい分、見方を変えれば魅力や強みが多く、「景観維持や生活の質が確保される・プライバシーが担保される・長期的な資産価値の安定・庭空間の快適性が高まる・住環境の良さを求める層に価値訴求できる」などのメリットがあります。

重要なのは、風致地区=建築不可ではないので、静けさ・緑量・眺望といった不動産価値を長期的に守る仕組みだと理解する点です。それを、売却戦略に活かせば、「安心・具体像・手間感」という価格以外の評価軸で選ばれやすくなるでしょう。

では、売却活動にあたり、事前準備として下記のように整理してみました。
①条例等も加味した制限内容の棚卸し
②ホームインスペクションと契約不適合責任への理解
③商品化資料の作成と許認可等の工程の確認

さいごに、売却方法(仲介か買取か)を使い分けることが成功への道しるべとなります!「価格・期間・手間・確実性」の優先順位を判断軸に定めましょう。

①不動産仲介のメリット・デメリット
メリット:相場に近い売却価格に期待できる
デメリット:販売期間が読みにくく手間が大きい上、売主が契約不適合責任を負うリスクが高い

②不動産買取のメリット・デメリット
メリット:短期間で現金化でき、不確実性も小さく、手間や時間を最小化できる
デメリット:市場相場より売却価格が低く、業者によりばらつきが出る可能性

特に下記のような状況なら買取を優先するのが賢明かもしれません。
・特定空家等リスクや税優遇解除を避けたい
・相続直後で時間が割けず、早期の現金化が必要
・論点が多く一般買主への説明が重い
・現地対応が難しくワンストップで任せたい
・売却活動の長期化を避け確実性を優先したい

このような不動産買取は、風致地区という特性を踏まえると、時間・手間・税リスクの三つを抑えられる点で合理的であると言えます!

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