独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第92回目は「共有物分割請求と不動産売却」です。
離婚後、共有名義の不動産の扱いに悩んでいませんか?元配偶者さんが住み続けている家のローンを、住んでいない自分も払い続ける…、「子供のためだから仕方ないと思っていたけど、不満が溜まってきた!」なんてことがあります。この不公平感をどうにかしたいにも、どう解決すればいいか分からない、という人は少なくありません。
例えば、「不動産の共有状態を解消したいけれど、共有者から同意を得られない」というよくあるケースがあります。そんなときは、法的手段の「共有物分割請求」を活用することで、不動産を売却し、新たな一歩を踏み出す道が開けます。
今回の記事では、共有物分割請求の基本や具体的な不動産売却の注意点をとおして、離婚後の最適な不動産の処分方法を判断できるように解説していきます。不動産に詳しくない方でも安心して読み進められる内容としていきますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね!
不動産をペアローンで買った理由と離婚後の不満!
本題に入る前に確認ですが、なぜペアローンを選んだのでしょうか?「ペアローン」とは、「夫婦それぞれが独立した住宅ローンを組むことで、収入を合算して高額な不動産を購入できる仕組み」です。それは、同一家計内におけるダブルローンですね!
多くの夫婦がこの方法を選ぶ理由は、特には以下のようなもの。
・住宅価格の高騰:都市部の住宅価格が近年高騰しており、単独では手が届かない物件を購入する手段として
・共働き世帯が多い:二人分の融資がうけられれば、より条件の良い物件を購入できる
・ローン制度の充実:需要の高まったペアローンに対応する制度を増やしている
しかし、年間婚姻件数の30%程度は離婚するといわれる時代。結婚当初の夫婦にしてみれば「まさかウチらが離婚なんてしない」と思っていたハズです。10年一昔とはいいますが、数年経って状況や価値観が変わることは少なくありません。不仲になって離婚することもあるワケです。
ところが、離婚後に問題が浮き彫りになります。当然、住宅ローンの支払いは止まりません!別居、離婚と、一方は家を出ることになりますが、債務超過の問題があったり、子供の生活環境を優先したりと、さまざまな事情で不動産売却を選択しない場合があります。
元配偶者さんがそのまま自宅に住み続けるケースでは、出た側に以下のような不満が生じることが多いです。
・ローン支払いの不公平感:住んでいない家のローンを払い続けることに不公平と感じる
・資産活用が制限:不動産を活用したり現金化して別の資産に回せない
・負担の大きさ:精神的、経済的なつながりが離婚後も続き、再スタートが切れない
「売却の同意がえられない?」共有名義不動産と共有物分割とは?
もう少し深掘りしましょう。そもそもペアローンは、「夫婦二人で融資を受けて共有名義の不動産をもつ」ということです。
そして、「共有名義不動産」とは、「一つの不動産を二人以上の複数人で所有者として登記している状態」であり、それぞれは不動産全体に対する割合に応じて権利を持ちます。これを「共有持分」と呼びます。その特徴として、「その不動産の重要な変更や処分には、原則として共有者全体の同意が必要である」こと。
もし、共有者さんの間で関係悪化やトラブルがあると、以下のような問題点が発生します。
・不動産売却の停滞:同意がなければ売却できず、手放したいと思っていても手が出せない
・管理コストの増加:利用していなくても税金や住宅ローンの支払いは続く
・資産価値の低下:トラブルを抱えた不動産をあえて選ぶ買主はいない
そこで、不動産における「共有物分割」という「不動産の共有名義を解消し、共有者それぞれが単独所有に移行したり、不動産を売却して現金化するための手段」があります。具体的な共有物分割の方法は次の3つです。
①現物分割
ひとつは、物理的に不動産を分ける方法です。例えば、大きな土地を複数区画に分割し、それぞれを共有者が所有するようにします。ただし、建物は分割することはできませんし、狭い土地や区分マンションでも、現物分割は現実的ではありません。
②代償分割
2つ目に、一人が不動産全体を取得し、他の共有者さんには金銭で補償する方法です。要するに不動産全体を一人の単独名義にするワケです。不動産では、現実的な解決策として利用されることが多いものの、不動産を取得する側が金銭的な負担を負わなければなりません。
③換価分割
3つ目に、不動産を売却し、その売却代金を共有者間で分配する方法です。これは、全員が納得のうえで売却を進められるなら有効で、市場価格での売却が可能。であるので、公平な結果が得られやすいのです。ただし、債務超過や(後に解説する)競売にかけられる場合は、別の問題が生じます。
共有物分割請求とは?
そんな共有物分割というのは、不動産に対する共有持分を持つ人が、その共有状態を解消することを考えたとき、他の共有者さんへ対応を求めることができます。それを「共有物分割請求」といいます。共有物分割請求は、民法で定められた基本的な権利として、共有持分があれば誰でも請求が可能です。
ただ、法的に認められた権利とはいえ、「共有物分割協議」を行うことで、まずは当事者(共有者)間で話し合いをすることが必要になります。法的な手段でなくとも、合意が得られればそれが一番。これで解決するなら、
・迅速性:共有者間で同意が得られれば、短期間で分割や売却が可能
・費用負担がない:裁判費用や弁護士費用がかからない
・感情的負担が軽減:裁判を避けることで、共有者間の関係悪化を防ぎやすい
しかし、感情的な対立や意見の不一致から協議が成立しない場合ももちろんあります。感情的になってしまえば、話は平行線…。
なかなかうまくいかないときには、早い段階で弁護士さんに頼むこともアリだと思われます。弁護士費用に数万円〜数十万円がかかり、通常は訴訟にならなければ不要ですが、必要第三者の関与によって、感情的になりやすい共有者間の話し合いを円滑に進めたり、同意事項をまとめた「共有物分割協議」の作成や、専門的な立場から適切な法的手続きの選択肢を提示してもらうこともできます。
弁護士さんに依頼するメリットは、特に以下のような場面。
・公平な協議ができる
・書類作成や手続き進行の代行
・共有者間の交渉を第三者として代行
・調停、訴訟に発展した場合の代理人業務
そして何より、お子様がいる場合は、決定的な関係性の決裂は避けたいところではありますね!
「調停…訴訟…」費用や時間への不安は尽きない!
共有物分割請求には、(先述した)協議、調停、訴訟の3つのステップがあります
まずは、共有物分割請求協議で、共有者間の合意(同意)が得られず対立する場合、家庭裁判所に調停を申し立て、調停委員さんの仲介を受けて合意形成を目指します。それに至るには、協議をした(求めた)事実が必要になるため、もし膝を突き合わせて話し合いが出来ていないケースでも、協議実施を求めた証拠として、相手方に内容証明郵便を送ることが大切です。
「調停」は、家庭裁判所で行う手続きで、調停委員さんが間に入って話し合いをサポートします。第三者の客観的な意見が加わるため、協議よりも解決の可能性が高まります。
・費用:調停申立費用は数千円程度で比較的低コスト
・期間:数カ月程度で解決するケースが多い
・第三者の仲介:調停委員が中立的な立場で話し合いを進める
合意が成立すれば、調停調書が作成され、法的効力を持つことになります。
調停に進んでもどうにもならないケースになると、「共有物分割請求訴訟」に発展します。この訴訟では裁判所が分割方法を決定します。
・費用:弁護士費用や訴訟費用が加わり、合計数十万円から100万円以上かかる
・期間:解決までに1〜2年以上かかるケースも珍しくない
・裁判所判断:分割方法が裁判所に委ねられるため、共有者の希望と異なる場合もある
この訴訟によって競売の決定がなされてしまうと、市場価格よりも低い価格で売却される可能性が高くなり、共有者全員にとって損失になります。まして長引くことで精神的・経済的な負担が大きく、共有者さんの費用や時間を失うことへの不安は尽きないものと思われます!
そして、お子様の今後の学費にも影響がでることが懸念されるので、訴訟は避けたいのが正直なところですね。
離婚後の最適な不動産の処分方法とは?
さいごに、ペアローンを組んだ夫婦の、離婚後の最適な不動産の処分方法を考えていきます。状況に応じた選択肢の、それぞれの方法とメリット・デメリットを整理します。
①不動産仲介による売却
最も理想的な方法は、両者納得の上で不動産仲介を利用する方法です。適正価格での売却が期待でき、次の新生活の資金としても有効活用できます。
デメリット:
・共有者間の合意が得られなければ進められない
・市場で買主を見つけるための時間がかかる場合がある
・修繕やクリーニングなど、費用がかかることがある
②ローン残債が残る(債務超過)場合の任意売却
つぎに、同意が得られて売却が決まっても、ローン残債が残っている、いわゆる債務超過のケースがあります。金融機関と交渉して任意売却を行う方法となります。
デメリット:
・金融機関の承諾が必要なため、手続きが複雑になることや、希望が通らないことがある
・借金だけが残る可能性がある
・市場価格よりも低い金額での売却になる
③持分売却のみの不動産買取による売却
もしくは、共有持分のみを不動産買取で売却する方法。共有者間で合意が得られず、共有不動産全体を売却できない場合でも、資産を迅速に現金化できる有効な選択肢です。
デメリット:
・利益を求める買主のみへの売却に限定される
・利益を求める買主と残った共有者は、一般的に敵対関係になる
・上記2点から、共有者間の関係決裂は決定的になる(子供との関係性にも問題が生じる)
④競売回避するための不動産買取による任意売却
さらに、関係がこじれて競売が決まった場合でも、不動産買取なら競売前に任意売却を行うことが可能です。競売は任意売却より更に大幅に低い価格で売却されるため、回避することが重要です。また、競売よりは条件が良くなり、早めの解決が見込めるため、共有者間で意見が一致しやすいでしょう。
デメリット:
・仲介による売却よりは価格が低くなる可能性がある
・残債が残らないケースでも金融機関の承諾は必要となる
・買い叩く悪徳業者に注意が必要
いずれのせよ時間に迫られるケースなら、不動産買取がおすすめとなり、以下のようなメリットがあります。
・競売リスク回避:大幅な価格低下を避け、損失を最小限に抑えられる
・迅速な現金化:手続きが迅速に進むため、早期解決と不動産の現金化ができる
・ストレス軽減:業者が調整役となり、共有者間の衝突を和らげる役割を果たす
不動産買取を利用することで、スムーズな解決を目指してください。
まとめ
今回の記事では、共有物分割請求の基本や具体的な不動産売却の注意点をとおして、離婚後の最適な不動産の処分方法を判断できるように解説してきました。
本題に入る前に「ペアローン」とは、「夫婦それぞれが独立した住宅ローンを組むことで、収入を合算して高額な不動産を購入できる仕組み」です。この方法を選ぶ理由は、住宅価格の高騰・共働き世帯が多い・ローン制度の充実。
ところが、不仲となり離婚しても、さまざまな事情で不動産売却を選択せず、住宅ローンの支払いは止まらない場合があり、不公平感・資産活用が制限・負担の大きさにより、自宅を出た側に不満が生じることが多いです。
そもそもペアローンは、「夫婦二人で融資を受けて共有名義の不動産をもつ」ということであり、「共有名義不動産」とは、「一つの不動産を二人以上の複数人で所有者として登記している状態」です。それぞれ不動産全体に対する「共有持分」の権利を持ち、その不動産の重要な変更や処分には、原則として共有者全体の同意が必要になります。
もし、共有者間でトラブルがあると、不動産売却の停滞・管理コストの増加・資産価値の低下のような問題点が発生します。
そこで、「共有物分割」という「不動産の共有名義を解消し、共有者それぞれが単独所有に移行したり、不動産を売却して現金化するための手段」があります。具体的な方法は次の3つ。
①物理的に不動産を分ける「現物分割」
②一人が不動産全体を取得し、他の共有者さんには金銭で補償する「代償分割」
③不動産を売却し、その売却代金を共有者間で分配する「換価分割」
「共有物分割請求」は、民法で定められた基本的な権利として、共有持分を持つ人がその共有状態を解消することを他の共有者さんへ対応を求めること。
しかし、感情的な対立や意見の不一致から協議が成立しない場合は、早い段階で弁護士さんに頼むこともアリ。弁護士費用に数万円〜数十万円がかかり、通常は訴訟にならなければ不要ですが、公平な協議ができる・書類作成や手続き進行の代行・共有者間の交渉を第三者として代行・訴訟に発展した場合の代理人業務から依頼するメリットがあります。
共有物分割請求には、協議(先述)、調停、訴訟の3つのステップがあります。
・共有物分割協議:共有者間で話し合い合意が得る努力が必要になります。
・調停:家庭裁判所で行い、第三者の客観的な意見で協議よりも解決の可能性が高まる
・共有物分割請求訴訟:この訴訟では裁判所が分割方法を決定します。
この訴訟によって競売が決定すると、市場価格よりも低い価格で売却され共有者全員にとって損失となります。
さいごに、ペアローンを組んだ夫婦の離婚後の最適な不動産の処分方法を考えていきます。
①不動産仲介による売却:両者納得の上で不動産仲介を利用する方法で、適正価格での売却で次の新生活の資金としても有効活用できますが、買主を見つけるための時間と修繕やクリーニングなどの費用がかかります。
②ローン残債が残る場合の任意売却:同意が得られて売却が決まっても、ローン残債が残っているケースでは、金融機関の承諾が必要な任意売却を行いますが、希望が通らず借金だけが残る可能性があり、市場価格より低い売却になります。
③持分売却のみの不動産買取による売却:共有者間で合意が得られない際、共有持分のみを不動産買取で売却する方法で、資産を迅速に現金化できる有効な選択肢ですが、利益を求める買主さんへの売却で一般的に残った共有者さんと敵対関係になるため、共有者間の関係決裂が決定的になります(子供との関係性にも問題が生じる)。
④競売回避するための不動産買取による任意売却:大幅に低い価格で売却される競売前に任意売却を行うことができ、競売回避することで条件が良く早めの解決が見込めるため、共有者間で意見が一致しやすいですが、仲介による売却よりは価格が低くなり、金融機関の承諾は必要で買い叩く悪徳業者に注意が必要。
いずれのせよ時間に迫られるケースなら、不動産買取がおすすめで、競売リスク回避・迅速な現金化・ストレス軽減できます。
まずは自分の状況を整理し、どの方法が最適かを考えてみましょう。
私たちエスエイアシストも不動産買取業者のひとつです。入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があり、共有名義不動産の問題解消にも全面的にサポートしています。ぜひ他社さんと比較して頂き、一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。