物理的瑕疵物件の告知義務とは?老朽化は契約不適合責任を問われるのか?

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第80回目は「物理的瑕疵物件の告知義務」です。

長年住んだ大切な家、時の経過とともに「あちこちボロくなったなぁ…」と感じることがありますね。扉の建付けが悪くなったり、基礎部分のヒビ割れが気になったり、はたまた雨漏りの疑いがあったりと、様々な問題が出てきます。そうなると「この家はちゃんと売却できるのだろうか?」と不安になる人も多いのではないでしょうか。特に物理的な欠陥を抱えた物件では、売却時にどこまで告知すべきか、またその責任はどうなるのかは気になるところです。

この記事では、物知的瑕疵物件の告知義務や、どの程度の老朽化が契約不適合責任に問われるのかについて、分かりやすく解説していきます。読めば売却時のリスクを理解し、自信をもって適切な方法を選べるでしょう。ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

お困り物件買取事業

「物理的瑕疵物件」とは、「物件の構造や設備または土地において、物理的な問題や欠陥がある状態」を指します。特に、それによって生活に支障をきたす可能性のある欠陥が問題と言えます。具体的には以下のような例があります。

①建物の物理的瑕疵
・雨漏り
・基礎のひび割れ
・シロアリ被害
・床の傾斜
・上下水道配管の破損
・耐震強度の不足 など…

②土地の物理的瑕疵
・化学物質による土壌汚染
・地盤沈下
・地中の埋設物
・地盤が軟弱で不安定
・自然災害による地形の変化 など…

こういった欠陥を抱える物理的瑕疵物件を売却する場合、売主さんはその事象を事前に買主さんに告知する義務を負っています。これが「告知義務」と呼ばれるもので、不動産取引において非常に重要です。何故なら、その義務を果たさなければトラブルを生み、例え隠れた瑕疵であっても、売主さんは法律上の責任から逃れられないからです。

告知義務と契約不適合責任!

そんな告知義務を怠った場合のリスクについて。キーワードは「契約不適合責任」です。それは端的に言うと、「売買契約のもと、買主に引き渡された不動産が種類・品質・数量に関して、契約内容通りでない場合に、売主が買主に対して負う責任のこと」です。また、一般的に知られる「瑕疵担保責任」は、2020年4月の民法改正により、この契約不適合責任に包含される形へ代わって導入されました。

もし、売主さんがその責任に問われた場合、買主さんの権利は下記のようなものがあります。
・追完請求:補修や代替物の引き渡し
・減額請求:購入代金を減額する
・契約解除請求:売買契約を白紙解除する
・損害賠償請求:被った損害を賠償させる

もちろん、そのような事態を発生させれば、売主さんの信用は失墜します。そして関わる不動産仲介業者さんにも責任が及ぶ場合もあり、関係者全体に影響を与える可能性すらあります。

であるので、売主さんはしっかりと告知義務を果たすことが大切です。物件の状況を正確に把握し、買主さんに誠実に伝えることが不可欠です。そのためには、以下の対応をすることが肝要となります。

①ホームインスペクション(住宅診断)の活用
まず、物件の状態を調べます。「ホームインスペクション」とは、第三者の専門家さんに物件の診断をしてもらいます。建物の基礎や屋根、配管など、素人では見つけにくい欠陥についてもチェックします。
・見えない瑕疵も正確な状況を把握でき、正しいディスクロージャー(情報開示)に役立つ
・買主に安心感を与え、信頼性を高める効果がある

②契約書への記載
つぎに、ホームインスペクションによって見つかった瑕疵を、契約書に明記することで告知義務を果たします。契約内容に物件の詳細情報を含めることは、後々のトラブルを防止できます。
・具体的な瑕疵の説明をする
・今後の修繕の必要性などについても、その内容を記載する

③免責特約の検討
さらに、契約書に免責特約の記載を検討することも一つです。これは、売主さんが一定の責任を免除されるように盛り込む特約です。ただし、前提として買主さんが納得していることが必要となるので、誠実な説明が大切になります。
・契約時トラブルを起こさないために、事前に買主との合意が必須である
・具体的な瑕疵に対する免責の適用範囲の明確化が重要である

建物の老朽化は契約不適合責任を問われるのか?

では、古くなりボロくなってしまった長年住んだ家を売却するなら、「どの程度から契約不適合責任を問われることになるのだろうか?」と気になるところ。その判断基準を明示するために、まずは具体的な経年劣化と老朽化の定義を確認してみます。

①経年劣化
「経年劣化」とは、「建物が使用されることで自然に生じる変化や劣化」を指します。長年使えば、これは避けられないものですが、通常の使用によってのものであるため、重大な欠陥とは見なされません。その特徴として、
・日常的な使用に伴う自然な変化
・軽微であり生活への影響は小さい
・安全性に問題なく修繕の必要性は低い
例えば、
・壁の色あせ
・床材の擦り傷
・蛇口や配管の小さな錆 など…

②老朽化
一方で「老朽化」とは、「建物や設備が長時間使用されたことで(もしくは放置されたことで)著しく劣化し、建物自体の安全性や機能性に問題が生じている状態」を指します。その特徴として、
・快適性は失われ居住に大きな支障がある
・対応の緊急性が高く修繕や改修が必要な状態
・建物の安全性や生活に深刻な影響がある
例えば、
・屋根の瓦の損傷や防水性能を失っており雨漏りがある
・柱や梁などにシロアリの被害がある
・基礎に損傷があり床が傾斜している など…

まとめると、経年劣化と老朽化の違いは以下のように言えます。
・程度の差:経年劣化は生活に問題ないが、老朽化は生活の質に深刻な影響がある
・対応の緊急性:経年劣化は緊急性が低いが、老朽化は放置すると安全性に関わる
・影響の範囲:経年劣化は外観の変化が見えるものが多いが、老朽化は建物深部の劣化や破損が見られる
・予測可能性:経年劣化はある程度予測ができるが、老朽化は状況に大きく左右され予測が難しい

経年劣化については、買主さんにとっても通常の利用で予想できるものであるため、告知義務は生じないことが多いです。しかし、生活に支障をきたすほどの老朽化に関しては、必ず告知が必要であり、それを怠れば契約不適合責任を問われることになります。

物理的瑕疵物件を売却するための方法!

ということで、まさに告知義務が必要な物理的瑕疵物件を売却するには、どのように不動産売却するのが最善の方法でしょうか?一般的には仲介と買取のどちらかを選ぶことになります。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

①仲介による売却と物理的瑕疵物件の告知義務の対応
仲介による売却では、不動産仲介業者さんが間に入り、市場から買主さんを探してくれます。この場合、物件の瑕疵について告知義務を果たすことで、買主さんに対して正確な情報を提供することが求められます。また、場合によっては、売却活動前に修繕や改修することも必要になるかもしれません。

仲介のメリットとしては以下。
・市場価格での売却:交渉によってより相場通りでの売却が期待できる
・幅広い集客:一般の買主の他、ボロ戸建て投資家など広くアプローチできる
・修繕や改修による魅力の向上:効果的な修繕や改修ができれば、より高額売却も狙える

仲介のデメリットは以下。
・手間や時間がかかる:買主候補に対する内覧対応といった手間や、売却活動の長期化の恐れがある
・値引き交渉が厳しい:物理的瑕疵について足元を見られ、強い値引き交渉を受ける可能性がある
・仲介手数料が必要:売却が成立すると仲介業者への手数料が発生する
・修繕や改修には費用がかかる:修繕や改修したからといって売却できるかは不透明である

②買取による売却と物理的瑕疵物件の告知義務の対応
一方で買取による売却では、市場から買主さんを探すのではなく、不動産買取業者さんとの直接取引になります。事前にホームインスペクション(住宅診断)をしていなくても、業者さん自身の知見で判断ができるため必要はないかもしれません。そういった意味では、可能な限りで詳細を告知すれば十分とも言えますが、対等な交渉をするためには、第三者である専門家さんに別途住宅診断してもらうことを推奨します。

そして、物理的瑕疵物件の問題は、買取業者さんの方でも理解して織り込んで買取判断をしているので、(知りうる重大な情報を隠さないことが前提ですが…)売却後に契約不適合責任を問われる可能性は低くなります!ここは大切なポイントです。

買取のメリットは以下。
・確実で迅速な売却:買主を探す必要なく、早期の売却が可能である
・現況のままでの売却:物理的瑕疵があっても修繕や改修は不要である
・余計な費用がかからない:修繕や改修及び仲介手数料もかけずに売却できる
・柔軟な対応が可能:売却や引き渡しのタイミングの相談ができる

買取のデメリットは以下。
・市場価格より低い売却:買取業者の再販利益を考えると、一般的に買取価格は低くなる
・一部悪徳業者がいる:売主の知識不足をいいことに買い叩く業者が存在するので、相見積もりが重要である
・買取を断られることがある:物件状況や立地から需要が見込めないと断られるケースがある

物理的瑕疵物件は「仲介と買取のどちらが適しているのか?」と、その特性を理解した上で自問自答されてみてください。
・市場相場通りの価格で売りたいのか?
・手間や時間をかけてもいいのか?
・物件は市場で買い手がつくのか?
・費用対効果をどう見るのか?
・売却後のリスクをどう捉えるのか?

物理的瑕疵物件だとしても大切な資産。ご自分にとっての最善の方法を見つけましょう!

まとめ

この記事では、物理的瑕疵物件の告知義務や、どの程度の老朽化が契約不適合責任に問われるのかについて、分かりやすく解説していきました!

「物理的瑕疵物件」とは、「物件の構造や設備または土地において、物理的な問題や欠陥がある状態」を指します。

①雨漏りやシロアリなどの被害建物の物理的瑕疵
②土壌汚染や地盤沈下などの土地の物理的瑕疵

こういった欠陥を抱える物理的瑕疵物件を売却する場合、売主さんはその事象を事前に買主さんに伝える「告知義務」があり、例え隠れた瑕疵であっても、売主さんは法律上の責任から逃れられません。

そんな告知義務を怠った場合のリスクに「契約不適合責任」があり、「売買契約のもと、買主に引き渡された不動産が種類・品質・数量に関して、契約内容通りでない場合に、売主が買主に対して負う責任のこと」とされます。

もし、売主さんがその責任に問われた場合、下記を負います。
・追完請求
・減額請求
・契約解除請求
・損害賠償請求

そのような事態を発生させれば、売主さんの信用は失墜し、そして関わる不動産仲介業者さんにも責任が及ぶ場合もありますので、しっかりと告知義務を果たすことが大切です。

そのためには、以下の対応をすることが肝要となります。
①ホームインスペクション(住宅診断)の活用
②契約書への記載
③免責特約の検討

どの程度から契約不適合責任を問われるか判断基準を明示するために、まずは具体的な経年劣化と老朽化の定義を確認してみます。

①経年劣化:建物が使用されることで自然に生じる変化や劣化
②老朽化:建物や設備が長時間使用されたことで(もしくは放置されたことで)著しく劣化し、建物自体の安全性や機能性に問題が生じている状態

経年劣化と老朽化の違いは以下のように言えます。
・経年劣化は生活に問題ないが、老朽化は生活の質に深刻な影響がある
・経年劣化は緊急性が低いが、老朽化は放置すると安全性に関わる
・経年劣化は外観の変化が見えるものが多いが、老朽化は建物深部の劣化や破損が見られる
・経年劣化はある程度予測ができるが、老朽化は状況に大きく左右され予測が難しい

経年劣化については告知義務は生じないことが多いものの、生活に支障をきたすほどの老朽化に関しては必ず告知が必要であり、それを怠れば契約不適合責任を問われることになります。

ということで、告知義務が必要な物理的瑕疵物件を売却する最善の方法は、仲介と買取のどちらでしょうか?

①仲介による売却と物理的瑕疵物件の告知義務の対応
仲介による売却では、物件の瑕疵について告知義務を果たすことで、買主さんに対して正確な情報を提供することが求められます。また、売却活動前に修繕や改修することも必要になる場合もあります。
メリットとしては以下。
・市場価格での売却
・幅広い集客
・修繕や改修による魅力の向上で高値になる
デメリットは以下。
・手間や時間がかかる
・値引き交渉が厳しい
・仲介手数料が必要
・修繕や改修には費用がかかる

②買取のよる売却と物理的瑕疵物件の告知義務の対応
買取による売却では、不動産買取業者さんとの直接取引になります。業者さん自身の知見で判断するので、可能な限りで詳細を告知すれば十分とも言えますが、対等な交渉をするためには別途住宅診断してもらうことを推奨します。そして、買取業者さんの方でも問題を理解して織り込んで買取判断をするので、売却後に契約不適合責任を問われる可能性は低くなります。
買取のメリットは以下。
・確実で迅速な売却
・現況のままでの売却
・余計な費用がかからない
・柔軟な対応が可能
買取のデメリットは以下。
・市場価格より低い売却
・一部悪徳業者がいる
・買取を断られることがある

物理的瑕疵物件は、その特性を理解した上で売却判断をしてみてください。
・市場相場通りの価格で売りたいのか?
・手間や時間をかけてもいいのか?
・物件は市場で買い手がつくのか?
・費用対効果をどう見るのか?
・売却後のリスクをどう捉えるのか?

物理的瑕疵物件は最善の方法を見つけて売却しましょう!

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