独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第41回目は「不動産売却に環境的瑕疵は影響するのか?」です。
所有する不動産物件を売却しようと考えたとき、「周辺の環境にちょっとした心配のタネがあるんだけど、コレって影響するのかな?」って、不安に感じていませんか?「近くに、あの反社の事務所が…」とか、「夜中に時々うるさい音が…」とか、そういったものは「環境的瑕疵」として扱われます。しかし、具体的にどういったものが該当するのかは、案外曖昧。「そもそもそれを伝える告知義務はあるのか?」それもよく分かりませんよね!
今回の記事では、不動産売却の隠れた落とし穴とも言える環境的瑕疵って何なのか、それに伴う告知義務はあるのか、もし告知しなかったらどうなるのか、その対処法はどうすべきか、などなどについて解説していきます。間違った情報や誤解によって行動しては、後で大きなトラブルの原因になることも!安心して不動産取引をするためにも、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
不動産売却の隠れた落とし穴!環境的瑕疵って何?
まず、「瑕疵」という言葉は、一般的に欠陥や不具合を指す言葉ですが、「環境的」と頭につくと、どういう意味になるのでしょうか?
「環境的瑕疵」とは、不動産の売買において物件の周辺環境が、何らかの理由によって不快感や嫌悪感を及ぼすような状況を指します。言い換えれば、物件自体ではなく、その周りに関連する問題です。
ちょっと抽象的でピンとこないかもしれません。具体的にあげると…
・反社会的勢力や風俗店、パチンコ店などが近くに存在する
・火葬場や葬儀場、墓地が近隣にある
・路上や近隣からの騒音や振動が強い
・工場からの悪臭や、土地の汚染が疑われる
・綺麗だった風景が、新たに建てられるビルにより悪化しそうである
・自然災害の危険性が高い場所である
・近隣とのトラブルや過去の履歴がある
などなどで、これらは一例に過ぎませんが、環境的瑕疵は不動産売却の隠れた落とし穴の一つ!影響がでる可能性があるので、決して軽視はできないものと言えます。
環境的瑕疵に告知義務はあるの?
「えっ、でも物件自体には問題がないんだったら、そんな印象悪くする周辺環境なんて言わなくていいんじゃない?」と思うかもしれませんが、不動産売却の際には売主さんには買主さんに対して、物件のアレコレを伝える「告知義務」があるんです。それには環境的瑕疵ももちろん含まれます!
不動産における「告知義務」とは、「売主が買主に対して物件に関する情報を正確かつ完全に提供する義務」のこと。「コレを言ったら物件を買ってくれなさそう…」だからと、都合の悪い内容を隠したり誤魔化したり、そんなことをしたらフェアな取引にはなりません。
この告知義務は、環境的瑕疵のみならず、
・心理的瑕疵(例:過去の事件・事故・自殺による人の死)
・物理的瑕疵(例:建物の損傷や雨漏り)
・法的瑕疵(例:建築基準法の則らない建築物)
といった多岐にわたります。
これらは、売主であるあなたの責任なだけでなく、その依頼を受けた業者さんの責任でもあります。その理由は、告知義務の根拠が「宅地建物取引業法」にあるためです。この法律は、不動産取引を公正に進めるためのルールを定めているもので、この中に「売主は、物件に関する情報を正確かつ完全に提供すること」と明記されています。宅建建物取引業法を遵守しなければ、最悪は売主として法的なリスクを負うことを、肝に銘じておかないといけません。適切な情報提供は、信頼関係構築になりますから、ここは正直に!
告知すべき環境的瑕疵をどうやって確認する?
では、告知すべき環境的瑕疵をどうやって確認すればいいでしょうか?それは、これまで生活してきたご自身がよく分かっているはずです。まずはその洗い出しをしてみましょう!
そのステップはこんな感じです。
①物件の周辺を歩いてみる
そう言われてポンポン思いつくワケではないので、物件の周辺を一度歩いて見ることをオススメします。ゴミ屋敷や放置空き家、近隣に困った人は一人や二人は居ると思います。工場や火葬場などの施設、悪臭や騒音を出したりしていませんか?ハザードマップを見直してみたり、危険な箇所はありませんか?などなど、歩いてみると忘れていた事を思い出したり、気付くこともあったりします。
②近隣住人や店舗に話を聞く
また、気の置けない近隣のお友達や、よく使う店舗従業員さんなどに、雑談混じりに聞いてみるのもいいですね。ご自身では全く気にしないものでも、人からすると「めっちゃ気になる!」と捉え方が違うこともあります。もしくは最近の近隣トラブルなど、知らない情報を知るキッカケになるかも!
③物件の過去の履歴や事件を確認する
ここまでやるかは意見が分かれるところではありますが、事故物件検索サイトや図書館・自治体などで、地域の履歴や過去の事件などを確認する方法も!ただ、信ぴょう性の問題や手間暇の問題もありますので、気にし過ぎ、やり過ぎ、には注意です。気になったらチェックする程度で。
これらの情報をまとめたら、不動産売却を依頼する業者さんに相談してみましょう。情報は何でもかんでも買主さんに伝えればいいワケではありません。無用に不安を煽っては、売却が進まなくなってしまいますから…。というワケで、専門家の立場から情報の取捨選択をしてもらいましょう!場合によっては、専門的な調査を提案してくれるかもしれません。長年の経験と知識から、的確に判断してもらえれば、売却時のトラブルや不安の軽減にもなるハズです。
告知しなかったらどうなる?リスクを知ろう!
そんな環境的瑕疵、問題があったとして、ちゃんと告知しなかったらどうなるのでしょうか?そこには、予想以上のリスクがあるので、知っておきましょう。
そのキーワードは「契約不適合責任」です。これは、これまで「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものが、民法改正により契約責任について明確にして再構成されたもの。「契約書に告知すべきことをちゃんと書いてある」ことが重要です。契約時に気付かなかった「隠れた瑕疵」のみならず、その物件を保有する目的として大切な機能に問題があれば、責任を問われることとなります。
具体的なリスクは以下。
①履行の追完請求
一つ目は、「履行の追完請求」です。問題のある部分を、契約通りに直して引き渡すように請求されます。それには、修理や交換などを無償で行わなくてはなりません。ただし、環境的瑕疵において、多くは対外的なものなので、出来る範囲は限られます。
②代金の減額請求
であるので、あるとすれば、2つ目の「代金の減額請求」になるかなと。その状態が改善されない、良くなる見込みがないのであれば、不適合の程度に応じて、代金の減額を求められる可能性があります。
③損害賠償請求
そして3つ目は、「損害賠償請求」です。告知しなかった結果、買主さんが被害を被った場合は、かかった金額の賠償を求められます。さらに上記①②と併せて行われることも!
④契約解除
さらに4つ目。それらの請求を売主さん側が適切に対処しなかった場合、売買契約を解除され、代金の返還を求められることになります。
環境的瑕疵があった場合の影響と対処法!
再度いいますが、環境的瑕疵があった場合であっても、告知するかどうかの基準は曖昧です。ご自身的にも専門家的にも、その事象によっても、判断は分かれると思います。しかし、分かっていることは、売却を依頼する不動産業者さんには、包み隠さず知っている情報を渡すことです(信頼のおける業者さん前提ですが…)!例えば、契約が進んでいるなかで、「えっ?そんなこと聞いてませんよ…(汗)」と業者さんからツッコミが入れられるようでは、大変困ります。
兎にも角にも、ご自身の知っている情報と、専門家としての知見や経験を併せて、告知するかどうかを決めていきます。
もちろん、環境的瑕疵の次第によっては、残念ながら売却価格に影響する可能性が高くあります。「騒音が多い」「嫌悪感のある施設がある」など分かりやすいものであれば購入希望者は減りますし、価格交渉が不利になることも考えられます。ただし、その影響の範囲は、瑕疵の内容やその地域の需要、はたまた買主さんの気持ちにもよるので、一概には言えません。
対処法として、まずは買主さんとのファーストコンタクトの際に、情報を正確に伝え、信頼構築をしていくことが大切。実際の物件見学や交渉時に明確に伝えることで、後のトラブルの原因となることを防げるばかりか、「信頼に足る売主さんだ!」と思って貰えれば、スムーズに話が進むことも大いにあります。話し合いの中で、買主さんの飲み込める条件や、実施可能な改善策なども見い出せることもあります。
とは言え、一般の不動産仲介による買主さん探しでは、なかなか難しい場合もあると思います。そんな時は不動産買取業者さんに直接買い取ってもらうことも対処法としてはアリです。特に、用地開発に強い業者さんであれば、住宅にこだわらずに商業用途にすることで、環境的瑕疵の影響を減らすことができます。たとえば、騒音の多い高速道路や幹線道路に面していて、住宅に向かなくてもスーパーには良い立地というケースもあります。
まして、契約不適合責任を免除して、買い取ってくれるかも!しれません。一度、その方向性でも検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ
今回の記事では、不動産売却の隠れた落とし穴とも言える環境的瑕疵ついて解説しました。
「瑕疵」とは、一般的に欠陥や不具合を指す言葉。
「環境的瑕疵」とは、不動産の売買において物件の周辺環境が、何らかの理由によって不快感や嫌悪感を及ぼすような状況を指します。
具体的には…
・反社会的勢力や風俗店、パチンコ店などが近くに存在する
・火葬場や葬儀場、墓地が近隣にある
・路上や近隣からの騒音や振動が強い
・工場からの悪臭や、土地の汚染が疑われる
・綺麗だった風景が、新たに建てられるビルにより悪化しそうである
・自然災害の危険性が高い場所である
・近隣とのトラブルや過去の履歴がある
などなどで、不動産売却に影響する隠れた落とし穴の一つです。
不動産売却の際には、売主さんには買主さんに対して、物件のアレコレを伝える「告知義務」があります。
不動産における「告知義務」とは、「売主が買主に対して物件に関する情報を正確かつ完全に提供する義務」のこと。
この告知義務は、環境的瑕疵・心理的瑕疵・物理的瑕疵・法的瑕疵といった多岐にわたります。
告知義務の根拠は「宅地建物取引業法」にあり、不動産取引を公正に進めるためのルールを定めているもので、この中に「売主は、物件に関する情報を正確かつ完全に提供すること」と明記されています。宅建建物取引業法を遵守しなければ、最悪は売主として法的なリスクを負うことになります。
告知すべき環境的瑕疵をどうやって確認するかは以下。
①物件の周辺を歩いてみる
②近隣住人や店舗に話を聞く
③物件の過去の履歴や事件を確認する
これらの情報を選ばず伝えると、買主さんの不安を無用に煽ってしまうので、専門家の立場から情報の取捨選択をしてもらいます。
そんな環境的瑕疵をちゃんと告知しなかったらリスクがありますが、そのキーワードは「契約不適合責任」です。これは、「契約書に告知すべきことをちゃんと書いてある」ことが重要です。契約時に気付かなかった「隠れた瑕疵」のみならず、その物件を保有する目的として大切な機能に問題があれば、責任を問われることとなります。
その具体的なリスクは以下。
①履行の追完請求
②代金の減額請求
③損害賠償請求
④契約解除
環境的瑕疵があった場合であっても、告知するかどうかの基準は曖昧ですが、売却を依頼する不動産業者さんには、包み隠さず知っている情報を渡すことです。ご自身の知っている情報と、専門家としての知見や経験を併せて、告知するかどうかを決めていきます。
内容次第によっては、残念ながら売却価格に影響する可能性が高くあり、購入希望者は減りますし、価格交渉が不利になることも考えられます。
対処法として、買主さんには情報を正確に伝え、信頼構築をしていくことが大切。実際の物件見学や交渉時に明確に伝えることで、後のトラブルの原因となることを防げるばかりか、「信頼に足る売主さんだ!」と思って貰えれば、スムーズに話が進むことも大いにあります。話し合いの中で、買主さんの飲み込める条件や、実施可能な改善策なども見い出せることもあります。
とは言え、売却がなかなか難しい場合もあると思います。そんな時は不動産買取業者さんに直接買い取ってもらうことも対処法としてはアリです。特に、用地開発に強い業者さんであれば、住宅にこだわらずに商業用途にすることで、環境的瑕疵の影響を減らすことができます。契約不適合責任を免除もしてくれます。
私たちエスエイアシストは、そんな不動産買取業者です。これまで、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。今回のように環境的瑕疵に不安があっても、買い取りが可能ですので、ぜひ一度ご連絡ください!お待ちしています。