
独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第112回目は「雨漏りした家の売却」です。
相続した実家、「建物の古さが気になってきたけれど、とりあえず住めているから…」と、特に修繕もせずにやり過ごしている人、いませんか?ただ、そうこうしているうちに、着実に家は傷んでいきます。中でも「雨漏り」は、木造住宅の老朽化における最も危険なサイン!発覚したら放置はNGです。実は、今目に見えている症状以上に、家の内部で深刻な損傷が進んでいるかもしれません。今後もし、不動産売却するなら隠れた瑕疵(キズや欠陥)に注意が必要なんです。
今回の記事では、雨漏りした家を放置してはいけない理由から、隠れた瑕疵のリスク、実践したい対策と老朽化物件の出口戦略までを分かりやすく解説していきます。読み終えれば「自分に合う最善の選択肢」と「今すぐ取るべき行動」がわかります。ぜひ最後まで読んでいってくださいね!
雨漏りが発覚したら放置はNG!

住み慣れた実家、「突然、天井からポタッ…」と雨漏り。どうにも原因が特定できず、悩んでしまうことがあります。インターネット等で調べてみると、雨漏りの調査から実際の修繕工事までには高額な費用がかかることが分かり、行動を起こすことを躊躇してしまうかもしれません。
しかし、「雨漏り」は、木造住宅の老朽化における最も危険なサインです!
雨漏りの主な原因としては、
・屋根材や防水層の劣化や破損:瓦のズレやスレート割れなど
・外壁や窓周辺のコーキング剤の劣化:目地のひび割れや剥離など
・バルコニーの防水切れ:床のふくれや手すり取合い部のひびなど
・給排水管の劣化:配管の老朽化や破損など
・修繕時の施工ミス:TVアンテナ金具から滴下など
といったものがあります。
もし雨漏りが発覚したら、放置はNGです。早急に対処をしなくてはなりません。その理由は以下。
①耐久性への影響
まず、雨漏りによって雨水が構造材に浸み込むと柱や梁などが腐朽し、構造強度が20〜30%低下するケースがあります。耐久性への影響は、放置期間が長いほど被害範囲は広がり、最終的に屋根の全面葺き替えや構造材交換といった、高額工事(100〜200万円超) が必要になるリスクがあります。
②健康被害
つぎに、雨漏りによって家中に広がった湿気は、カビやダニ、細菌が増殖しやすい環境をつくります。アレルギー症状やぜんそく悪化の要因となるほか、結露が常態化すると室内空気の質も低下します。特に小さな子どもや高齢者がいる家庭では、健康被害に及ぶ可能性があり看過できません。
③シロアリと二次被害
そして、雨水で湿った木材はシロアリが好む環境です。(条件によっては)雨漏りを半年程度放置するとシロアリ被害が急拡大し、床下の根太や土台まで食害されることも。主要構造部でスカスカになってしまえば、家の自然倒壊もあり得ます。それを防ぐための駆除+構造補修には100万〜150万円かかる事例もあり、雨漏りの二次被害のコストは予想以上に高額です。
雨漏りした家の売却には隠れた瑕疵に注意が必要!
また、目に見える問題以上に、雨漏りした家には構造・設備・機能面で複合的にトラブルを抱えていることが多いと言われています。
・雨漏りの原因が単一箇所ではないことが多い
・構造の複数部位で経年劣化が同時進行する
・設備や機能面にも影響が及ぶ
このように、複数の要因が重なることで症状は複雑化していきます。
一概に「雨漏り」としたとしても、どこに隠れた瑕疵(キズや欠陥)があってもおかしくはなく、雨漏りした家の売却時には注意が必要です。それは、隠れた瑕疵に気が付かずに(知らずに)売却したとしても、「契約不適合責任」に問われる可能性があるからです。
契約不適合責任とは、「(不動産物件を)引き渡し後に契約内容に合わない想定外の欠陥(隠れた瑕疵)が見つかった場合でも売主が責任を負う仕組み」です。買主さんは、
・追完請求(無償で直してほしい)
・代金減額請求(修理費分を値引いてほしい)
・損害賠償請求(不適合によって生じた損害を返してほしい)
・契約解除(取り引き自体を無かったことにしてほしい)
といった権利を行使できます。
これらの請求期限は原則「引き渡し後1年」ですが、売主側に故意・重過失があると延長された判例もあり、隠れた瑕疵の「告知漏れ=高額賠償のリスク」と覚えておきましょう。
雨漏りした家の売却が難しい理由とは?
もし、修繕や建て替えの費用が捻出できず住み続けられないのであれば、不動産売却が大きな選択肢の一つになります。しかし、雨漏りした家は買い手さんが見つかりにくい物件と言えます。売却が難しい理由は、以下のようなリスクがあるために敬遠されるからです。
①売主への信用リスク
そもそも、売主さんが雨漏りに限らず建物を管理出来ていない姿勢に問題があります。それは買主さんに「信用出来ない!」と思わせるリスクとなります。「雨漏りを放置している=管理姿勢が甘い」との印象を与え「他の瑕疵も隠しているのでは?」と警戒されるのです。それによって買主さんが取り引き途中で離脱したり、現地確認が増えて販売期間が長期化しやすくなる恐れも!
②見た目と健康リスク
つぎに、天井のシミ・クロス剝がれ・カビ臭は、内覧時の第一印象で大きなマイナスとなります。見た目はもちろん「健康的に暮らせるのか?」と不安にさせます。特に小さな子どもや高齢者を抱える買主さんは健康志向が強く、購入候補から外しやすいポイントとなるでしょう。
③その他の劣化リスク
さらに、先述のとおり雨漏りは屋根や壁の一部劣化ではなく、構造材・断熱材・配線・給排水管まで影響があり、構造材の腐朽、断熱材の結露、電気配線の漏電、給排水管のサビ詰まりなど、目に見えない箇所に波及します。そのため買主さんは、追加費用の不安を価格交渉にぶつけ、大幅な値引きを要求してきます。
雨漏りした家を売却するための対策とは?

では、どのように対策していけば良いでしょうか?雨漏り物件をできるだけ有利に、しかもトラブルなく売却するためには「現状を正確に把握し、それを裏付ける資料とともに誠実に開示する」ことが原則です。
ここでは、雨漏りした家を安心して売却するための対策を紹介します。
①建物状況調査(ホームインスペクション)を実施する
まず、専門家が屋根・外壁・小屋裏・床下まで建物状況調査を実施します。雨漏りの原因と被害範囲を客観的な「数値と写真」で可視化・把握するのです。調査結果は、買主さんへの説明資料・瑕疵保険の加入・補助金申請にも使えます。そして、信頼性も高められるため、調査費用に対する効果は高いものです。なお、原則として売主側の建物状況調査は義務ではありません
②各種資料を整理する
つぎに、雨漏り箇所や過去の修繕履歴、領収書や保証書、想定される工事の見積書などの写真や書類といった、各種書類を整理しておきます。修繕前後の状態や工事内容を明確にすることで、買主さんの不安を軽減できるとともに、情報が出揃っている物件と判断されやすくなり、値引き交渉が論理的な範囲に収まります。
③各自治体の補助金を活用する
また、自治体による(先述の)建物状況調査費用や修繕費用、住宅リフォームに対する補助金制度があります。自治体独自の助成もあり、積極的に相談・活用することで自己負担を抑えながらも、物件の価値を高めることができます。この点、自治体ごとに対象や上限が異なるので必ず事前確認を。
④瑕疵保険に加入する
さらに、不動産売却前に「既存住宅売買瑕疵保険」へ加入することを検討します。それによって、万が一でも売却後に隠れた瑕疵が発覚したとしても、一定期間において補修費用が補償されます。買主さんには安心材料になり、成約率が上がるうえ値引き幅も縮小します。
⑤告知義務を徹底する
さいごに、雨漏りやそれに起因する不具合は「物理的瑕疵」に該当するため、修繕の有無を問わずに告知義務を徹底します。雨漏りの発生時期・二次被害の有無などを書面で詳細に開示し、買主さんとの信頼関係を築けるようにすることが大切。売却後の損害賠償請求や契約解除のリスクを最小化しましょう!
雨漏りした家の5つの出口戦略!
これらの対策をした上で、雨漏りした家のような老朽化物件の状況に合わせて、出口戦略を検討しましょう!売主さんとしては、「できるだけ出費を抑え、早く・安全に手放したい」という思いが強いはずです。
そこで、5つの具体策を「費用感とリスク」のバランスに絞ってご紹介します。
①建物状況調査だけ実施して現状有姿で売却
ひとつに、大規模な修繕は行わず、建物状況調査だけ実施して現状有姿(ありのまま)で売却する方法です。5〜7万円で住宅診断だけ受け、その内容とリスクを買主さんに正直に伝えます。費用を抑えつつ、早期に売却活動を始めたい人向き。
ただし、買主さんは修理費を見積るため、大幅な値引きを求められやすいです。
②最小限の修繕をしてから売却
つぎに、原因箇所が屋根の一部などに限られているなら、10〜30万円程度で部分補修を済ませ、「修繕済み物件」として売り出すこともできます。最小限の修繕でコストを抑えつつ、大幅な値引き交渉を防げる可能性があります。
ただし、修繕費は先出しする必要があり、気付かない部分で瑕疵が残るリスクも!
③リフォーム済み物件として売却
そして、雨漏り以外にも老朽化が目立つ場合、屋根・外壁・内装・設備を一新して「リフォーム済み物件」として高値の売却を狙う方法もあります。見た目にも新築同様になり、幅広い買主さんにアピールできます。
ただし、工期が長い上、かけた費用が回収できない可能性があります。
④解体して更地で売却
さらに、修繕やリフォームでは追いつかないほど老朽化著しいのなら、建物を取り壊して更地として売る方法があります。更地なら建物状態に左右されず、瑕疵の不安もなく、純粋に土地の価値のみで評価してもらえます。
ただし、解体費用は高額な上、固定資産税の優遇措置はなくなります。
⑤不動産買取で現状のまま売却
もし、時間もお金もかけずに済ませたいなら、不動産買取で業者さんに現状のまま売却することも検討します。契約不適合責任を免責にしてもらうこともできるため、隠れた瑕疵に不安を感じることもありません。
ただし、市場相場より売却価格が安くなることは理解しておきましょう。
雨漏りした家の売却をするなら、不動産買取を利用するメリットは他にもあります。
・最短1〜2 週間で現金化でき、早期に雨漏りのある家から解放される
・調査・修繕・不要品処分まで追加費用ゼロで、まとめて業者が引き受けてくれる
・確実な直接取引で、次の生活の見通しがたちやすい
これらの出口戦略から、資金・時間・リスク許容度に合う方法を選ぶことが大切です。特に「早く確実に、しかも賠償リスクなく手放したい」方には、不動産買取が最も現実的な選択肢となります。
まとめ
今回の記事では、雨漏りした家を放置してはいけない理由から、出口戦略までを分かりやすく解説していきました。
住み慣れた実家の雨漏りと、調査から修繕工事の高額費用に悩んでしまうことがあります。雨漏りの主な原因としては、「屋根材や防水層の劣化や破損・外壁や窓周辺のコーキング剤の劣化・バルコニーの防水切れ・給排水管の劣化・修繕時の施工ミス」といったものがあります。
もし雨漏りが発覚したら、放置はNGです。その理由は以下。
①耐久性への影響
②健康被害
③シロアリと二次被害
また、雨漏りした家は構造・設備・機能面で複合的にトラブルを抱え、症状は複雑化していきます。一概に「雨漏り」としても、どこに隠れた瑕疵があってもおかしくはなく、売却時には注意が必要です。
隠れた瑕疵に気が付かずに売却すると、「契約不適合責任(契約内容に合わない欠陥について売主が責任を負う仕組み」に問われ、「追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除」される可能性があります。隠れた瑕疵の「告知漏れ=高額賠償のリスク」と言えます。
もし、修繕や建て替えの費用が捻出できないのであれば、不動産売却が大きな選択肢の一つになりますが、以下のようなリスクを買主さんが感じるため売却が難しいです。
①売主への信用リスク
②見た目と健康リスク
③その他の劣化リスク
トラブルなく売却するためには「現状を正確に把握し、それを裏付ける資料とともに誠実に開示する」ことが原則であり、そのための対策は以下。
①建物状況調査(ホームインスペクション)を実施する
②各種資料を整理する
③各自治体の補助金を活用する
④瑕疵保険に加入する
⑤告知義務を徹底する
これらの対策をした上で、老朽化物件の出口戦略は以下の5つ。
①建物状況調査だけ実施して現状有姿で売却
②最小限の修繕をしてから売却
③リフォーム済み物件として売却
④解体して更地で売却
⑤不動産買取で現状のまま売却
雨漏りした家の売却をするなら、不動産買取を利用すると以下のようなメリットがあります。
・現状のまま売却できる
・契約不適合責任を免責される可能性がある
・最短 1〜2 週間で現金化でき、早期に雨漏りのある家から開放される
・調査・修繕・不要品処分まで追加費用ゼロで、まとめて業者が引き受けてくれる
・確実な直接取引で、次の生活の見通しがたちやすい
これらの出口戦略から、資金・時間・リスク許容度に合う方法を選ぶことが大切です。特に「早く確実に、しかも賠償リスクなく手放したい」方には、不動産買取が最も現実的な選択肢となります。
私たちエスエイアシストも不動産買取業者のひとつです。入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。ぜひ他社さんと比較して頂ければと思います。難しい物件をお持ちでお困りの方は、一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。
