独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第46回目は「改正空き家法の活用促進区域とは?」です。
令和5年12月、「空家等対策特別措置法」いわゆる「空き家法」が改正・施行され、テレビニュースになってます。「管理不全空家への優遇措置が解除される」とか、「特定空家への行政処分が円滑化!」とか、それは「分かっちゃいるけど億劫で放置」してきた空き家の所有さんからすると、気が気でない言葉が踊っています。ただ、この法改正、もしかすると、これまで扱いに困っていた空き家の、問題解決への糸口を見つけるキッカケになるかもしれません!そのポイントは「空家等活用促進区域」です。
今回の記事では、改正空き家法に盛り込まれた施策のうち、新しく創設された「空家等活用促進区域」に絞って、分かりやすく解説していきます。一歩先、重荷から開放された世界には、きっと開けた青い空が広がっているハズ!ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
空き家問題の現状と法改正の背景とは?
まず、日本の空き家問題の現状。日本では年々深刻化しており、この20年間で「居住目的のない空き家」の数は1.9倍に増加しています。
その内訳として…、
・一戸建てが7割を占め、その多くは木造
・7割が昭和55年以前の旧耐震基準の建築物
・老朽化著しい(腐朽・破損あり)ものは3割
となるワケですが、実はその多くは手入れ次第では有効活用できる余地があったりします。
にも関わらず、実際にはこれら空き家の利活用はできていない現状にあります。当然、利用せずに放置すれば、モノはいつかは朽ちていきます。老朽化の進んだ空き家は、多くの問題をかかえ、周辺地域へと悪影響を与えることになります。
・防災性の低下(倒壊や火災のおそれなど)
・防犯性の低下(不法侵入や不法占拠、犯罪の誘発)
・衛生の悪化(悪臭の発生やゴミの不法投棄など)
・景観の悪化(樹枝の越境や風景が悪くなるなど)
旧法の課題とは?
これらを受けて、平成27年に施行されたのが、「空家等対策特別措置法」いわゆる「空き家法」でした。その中で大きなポイントなのが、「特定空家等に対する措置」です。
「特定空家」とは、国土交通省では以下に定義しています。
①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
②著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
と、しています。
その「特定空家等に対する措置」として、特定空家に指定されると、固定資産税の減免措置が解除。市区町村は空き家所有者さんに対して、助言や指導、勧告や命令が可能になり、修繕や樹木の伐採といった措置、最終的には建物の除却といった行政代執行もできるようにもなりました。
以来、着実に取り組みが進む一方で、課題が見えてきました。
・空き家が集中する地域に重点的に対策できないか?
・空き家活用の障壁となる規制を緩和できないか?
・特定空家になる前にどうにか対処できないか?
・空家所有者への管理責任の強化はできないか?
などなど…。
改正法の取り組みとは?
これらを踏まえて、改正「空き家法」が令和5年12月施行され、「特定空家になってからの対応では遅すぎる!」問題に、メスを入れたんですね!その大きなポイントとしては、「一般の空家」と「特定空家」との間に、「管理不全空家」を定義したところにあります。この「管理不全空家」に指定されてしまうと、「特定空家同様、管理不全空家への減免措置が解除される(固定資産税が上がる)」とニュースになっているワケです。
この改正「空き家法」では、
①空家の「活用拡大」
②管理不全空家を含めた「管理の確保(悪化防止)」
③「特定空家の除却等」の円滑化
といった3本柱で対応を強化するものとしています。当然、空家所有者さんの責務を強化する趣旨もあるんですね!
空家活用促進区域の創設とその背景とは?
と、大変前置きが長くなってしまいましたが、今回の記事テーマ「空家活用促進区域」の話になります(汗)。この空家等活用促進区域は、上記の3本柱のうち、「空家の活用拡大」にあたります。
その背景として、空き家問題が特に顕在化しているのは「中心市街地」「密集住宅市街地」「郊外住宅団地」に集中していることにあります。そんな拠点となる地域に空き家が集積するとなれば、その地域の本来の機能が低下するおそれが!また、そういった地域の空き家活用には、建築基準法等の規制がネックになると言えるんです。
そのことから、これからの空き家対策には、「空き家を個別の点として捉えるのではなく、地域全体の面として捉えることが重要」とされたんですね。改正「空き家法」の空家等活用促進区域創設の目的は、空き家の集中する特定の地域で、空き家の有効活用を促進し、地域全体の活性化を図ることにあります。
具体的には、市区町村が中心市街地や地域再生拠点などの区域のうち、空き家の分布や活用の状況等からみて、空き家の活用が必要と認める特定区域を、空家等活用促進区域として指定し、空き家の活用指針を策定します。この指針に基づき、空き家の建替え・改修や用途変更が促進されるような規制の合理化が行われます。
空家等活用促進区域における規制の合理化とは?
では、空家等活用促進区域における規制の合理化について、注目すべきは以下をあげます。
①接道規制の合理化
一つに、接道規制の合理化です。それは建築基準法上の「接道義務(災害時等の安全確保を目的に、建替にはその敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなくてはならない)」のため、空き家の建替えができないことがあります。いわゆる「建築不可物件」で利活用が進まないのですが、その規制を緩和する動きがあります。
安全性や必要性を考慮して、特定地域における建築物の要件を設定します。例えば、燃えにくい構造や避難者の少ない建築物などが考えられます。
②用途規制の合理化
もう一つに、用途規制の合理化があります。通常、都市計画法において用途地域に応じて、建築できる建物の種類に制限があります。それによって都市においては、住居・商業・工業といった土地利用の違いや、建物の規模の違いなどにあった環境を守り、効率的な機能を保つことができます。
その機能を阻害しないような適用要件に適合するなら、用途変更を容易にすることができるよう合理化します。例えば古民家カフェなどに用途を変更して利活用する、なんてこともできるかもしれません。
これらはこれまでも、個別に特定行政庁や建築審査会に許可を得られるケースもありました。しかし、手間や手続きの煩雑さや、許可がそもそも受けられるか分からないといった予見しにくいのが課題でした。
それが、空家等活用促進区域に指定された地域は、市区町村が各所と協議の上、適用要件などの活用指針に規定して、空き家のスムーズな利活用に繋がるワケです。
所有空き家の問題解決への糸口に!
というワケで、「もしかしたら、自分の空き家も利活用に繋がるかも!」と思えたのではないでしょうか?
ただ、この空家等活用促進区域における空き家の活用指針に、これらの合理化に向けた適用要件を盛り込むかは、実は各市区町村の任意です。まして、ご自身の所有空き家の地域が、空家等活用促進区域になるのかも未知数です。
とは言え、それ以外の市区町村の空き家支援策にも、空き家の除却や改修に関わる補助金制度、空き家バンクなどのマッチング支援制度、税制優遇措置、など多くものを用意しています。
一方で、空き家対策について国が本腰を入れてきたのは、確かのようです。「放置空き家をなんとかしたい」所有者さんと、「空き家問題を解決して土地を利活用したい」国、方向性は一緒なんです。今、その波が来ています!
大切なことは、一人で抱え込まずに、まずは市区町村に問い合わせをしてみるのがいいと…。今回の空家等活用促進区域の施策を含めた改正空き家法を、所有空き家の問題解決への糸口、キッカケにしてもらえたらと思います。
そして、コレを書いている私たちは、行政ではない不動産買取業者です。市区町村が手を出せない部分をカバーする側面があり、今回の空き家についても買取実績があります。もし、市区町村でいい話が得られなかったとしても、諦めることはありません。他にも解決策はきっとあります!せっかく動き出されたなら、その勢いでコチラにもご相談いただけると幸いです。
まとめ
今回の記事では、改正空き家法に盛り込まれた施策のうち、新しく創設された「空家等活用促進区域」に絞って、解説してきました。
まず、日本の空き家問題の現状。日本では年々深刻化しており、この20年間で「居住目的のない空き家」の数は1.9倍に増加していますが、実はその多くは手入れ次第で有効活用できる余地があります。
にも関わらず、利用せずに放置され老朽化した空き家は、周辺地域へと悪影響を与えます。
・防災性の低下(倒壊や火災のおそれなど)
・防犯性の低下(不法侵入や不法占拠、犯罪の誘発)
・衛生の悪化(悪臭の発生やゴミの不法投棄など)
・景観の悪化(樹枝の越境や風景が悪くなるなど)
これらを受けて、平成27年に施行されたのが、「空家等対策特別措置法」いわゆる「空き家法」で、大きなポイントは「特定空家等に対する措置」。
「特定空家」とは、著しく保安上危険となるおそれ、衛生上有害、景観を損なっている状態であり、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態の空き家です。
その「特定空家等に対する措置」として、固定資産税の減免措置が解除や市区町村による、助言や指導、勧告や命令が可能になり、各種措置、最終的には建物の除却といった行政代執行もできるように。
以来、着実に取り組みが進む一方で、以下が課題でした。
・空き家が集中する地域に重点的に対策
・空き家活用の障壁となる規制を緩和
・特定空家になる前にどうにか対処
・空家所有者への管理責任の強化
これらを踏まえて、改正「空き家法」が令和5年12月施行され、特定空家になる前の対策の強化などをしています。
①空家の「活用拡大」
②管理不全空家を含めた「管理の確保(悪化防止)」
③「特定空家の除却等」の円滑化
といった3本柱で対応を強化するものとしています。
今回の記事テーマ「空家活用促進区域」は、上記の3本柱のうち、「空家の活用拡大」にあたります。
「空家活用促進区域」創設の背景として、空き家問題が特に顕在化しているのは「中心市街地」「密集住宅市街地」「郊外住宅団地」に集中していることにあります。そんな拠点となる地域に空き家が集積するとなれば、その地域の本来の機能が低下するおそれがあるためです。
改正「空き家法」の空家等活用促進区域創設の目的は、空き家の集中する特定の地域で、空き家の有効活用を促進し、地域全体の活性化を図ることにあります。
具体的には、市区町村が中心市街地や地域再生拠点などの区域のうち、空き家の分布や活用の状況等からみて、空き家の活用が必要と認める特定区域を、空家等活用促進区域として指定し、空き家の活用指針を策定します。この指針に基づき、空き家の建替え・改修や用途変更が促進されるような規制の合理化が行われます。
では、空家等活用促進区域における規制の合理化について、注目すべきは以下をあげます。
①接道規制の合理化
②用途規制の合理化
空家等活用促進区域に指定された地域は、市区町村が各所と協議の上、適用要件などの活用指針に規定して、空き家のスムーズな利活用に繋がります。
「もしかしたら、自分の空き家の利活用にも繋がるかも!」と思えたのではないでしょうか?
ただ、この空家等活用促進区域における空き家の活用指針に、これらの合理化に向けた適用要件を盛り込むかは、実は各市区町村の任意です。まして、ご自身の所有空き家の地域が、空家等活用促進区域になるのかも未知数です。
とは言え、それ以外の市区町村の空き家支援策にも、空き家の除却や改修に関わる補助金制度、空き家バンクなどのマッチング支援制度、税制優遇措置、などがあります。
大切なことは、今回の空家等活用促進区域の施策を含めた改正空き家法を、所有空き家の問題解決への糸口、キッカケにしてくれたらと思います。
私たちエスエイアシストでは、今回のような空き家の買取実績のみならず、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきました。ほかの不動産会社で難色を示されてしまった問題のある空き家でも、まずはものは試しとぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。