
独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第106回目は「古民家の活用」です。
「実家の古民家を相続したけれど住むことがない」「一人暮らしだった親が高齢者施設へ入所になった」といった理由で、築50年以上になる実家の古民家が空き家になるケースがあります。そんな古民家の中には、魅力的な雰囲気をもつ木造建築物も多く存在します。ただ、現代の建築基準法とは整合しないことも多く、耐震性が不足していたり、断熱・防音性能が低かったりとするなんてことも。それによって、活用すべきか売却すべきかで迷い「とりあえず置いておこう」と問題を先送りにしていると、今度は管理が行き届かずに放置リスクが高まってしまうことにもなります。
今回の記事では、古民家を空き家のまま放置するとどうなってしまうのか、活用か売却かで後悔しない選択をするための判断基準について、詳しく解説していきます。もう自身が暮らすことは無いにせよ、愛着のある実家である古民家を大切に扱いたいと願われるなら、ぜひ最後まで読んでいってほしいと思います!
古民家が相続や親の施設入所で空き家になったら?

はじめに「古民家」とは、一般的に「築50年以上の伝統的な木造住宅」を指します。今注目のワード「レトロ」な雰囲気を持つ、昔ながらの日本家屋です。その中には、昭和25年以前に建てられた、柱や梁に太い無垢材を使い、金物を使わない「伝統的な木組み工法」で建てられた建物があります。
その古さが価値に変わるケースもある反面で、現代の建築基準法と整合しない部分があるときには、耐震性の不足や断熱性能の低さ、バリアフリー未対応といった問題も抱えています。
そんな古民家が相続や親の施設入所に伴って空き家になってしまうと、住む人がいなくなり定期的な手入れもされずに放置され、景観の悪化や建物の劣化が進みやすくなります。
自身は独立して別に家を持っていたり、生活の基盤が別の地域にある場合、たとえ昔暮らした愛着のある古民家であったとしても、物理的にも精神的にも「今すぐ何かをしよう」という行動にはなりにくいかもしれません。しかし、「時間が経つほど状態は悪化し、選択肢は狭まっていく」という現実があります。
古民家を放置するとどうなる?空き家問題と法改正の影響!
では、具体的に「古民家を放置したらどうなるのか?」について解説します。「とりあえず保有しておこう」「まだ壊れてないし…」とそのままにしている古民家、空き家に対する法的・社会的リスクが急速に高まっています
古民家に限らず「空き家問題」は、この日本において社会問題化しており、空き家率の上昇により景観や防災・治安に悪影響を及ぼすとされています。特に以下のようなリスクが挙げられます。
・建物が老朽化して倒壊や崩壊による近隣住人への不安や損害
・庭が荒れ雑草や樹木の繁茂による害虫や害獣の発生
・不法投棄や放火、不審者の侵入などによる防犯リスク
・周囲の地価や景観への悪影響や災害リスク
こう言うと、「そんなの地方や田舎の問題でしょ?」と感じるかもしれませんが、実は首都圏・その近郊でも、空き家率は上昇しており、住宅密集地でのトラブルが増えています。
そのため、2023年(令和5年)の「空家等対策特別措置法」の改正により、以下のような点が対策強化されました。
・「特定空家」の前段階に新たに「管理不全空家」という区分が新設され早い段階の行政が指導可能になった
・悪影響著しい「特定空家」として勧告を受けると固定資産税の優遇措置(6分の1)が解除される
・命令違反には過料や最終的には行政代執行(強制解体)となり、その費用の請求をされる
これまでの「特定空家」だけでなく、「その一歩手前」でも行政が対処できる仕組みが整ったことで、「何もしていないで放置」は危険な選択になりつつあるのです。
古民家の活用事例5選!
「とは言え、古民家を活用するにはどうしたらいいの?」と疑問が出ると思います。古民家は単に古いだけでなく、その古民家が地域の歴史や文化を伝える要素を持っている場合があります。活用事例はいくつかありますが、それぞれメリット・デメリットを押さえましょう。
①賃貸物件として活用
一番オーソドックスな方法は、古民家をリフォームして賃貸住宅として貸し出すことです。レトロな雰囲気での暮らしを好む人や、自由なDIYを認めることで、それを楽しみたい人に需要があります。
メリット:
・継続的な家賃収入が得られる
・人が住むことで家屋の劣化を防ぎ、資産価値を保てる
デメリット:
・リフォーム費用や管理の手間がかかる
・入居者トラブルや空室リスクもある
②宿泊施設として活用
つぎに、近年人気の「古民家民泊」。宿泊施設として活用することで、インバウンド需要を取り込んだり、非日常体験を求める旅行者さんに魅力的な体験を提供できます。
メリット:
・賃貸に比べて収益性が高くなる可能性がある
・地域活性化にもつながる
デメリット:
・旅館業法の許可申請が必要
・定期的な清掃や運営管理が必要
③飲食店や小売店として活用
また、古民家の雰囲気を生かしたカフェや蕎麦屋、和風レストランなど飲食店として、もしくは小売店やショップへの転用も増えています。自身で運用しても良いし、テナントとして貸し出しすることも可能です。
メリット:
・古民家としての空間の魅力を活かしたブランディングが可能
・退去時の原状回復は一般的に借主責任となる
デメリット:
・飲食業の場合、許可申請や改装費が高額になることも
・立地条件や集客力に左右され、テナントの入居付けが困難なこともある
④コミュニティースペースとして活用
さらには、コミュニティースペースとしての活用も考えられます。地域住民が集まるサロンや多目的スペース、子ども食堂などへの転用にも注目されています。
メリット:
・周辺地域に貢献でき、社会資源を得ることもできる
・行政から補助金が出ることもある
デメリット:
・収益性は期待しにくい
・管理運営の担い手が必要
⑤観光施設として活用
さいごに、周辺地域のブランド力や観光資源とともに、観光施設として活用する方法です。伝統工芸の体験場や古民家資料館など、周辺地域との相乗効果を高め観光に資する形を取ります。
メリット:
・補助金や助成金の対象となる可能性あり
・周辺地域の観光資源と連携しやすい
デメリット:
・運営に人手が必要
・収益が季節や観光客数に左右される
「活用と売却で迷う!」後悔しない選択をするための判断基準とは?

これらの活用方法は、地域性や建物の状態、法律的な制限などによって左右されやすく、それなりのリスクは伴います。成功を約束されるワケではないので「活用すべきか、売却すべきか…」と迷ってしまうのは当然のことです。そんなときに、あとで後悔しないための判断基準はないのでしょうか?
見極めるためのチェックポイントを以下に挙げます。
①古民家の状態を確認する
まずは、建物自体の状態を客観的に確認しましょう。主要構造部に深刻な劣化がある場合、補修費用が高額になる可能性があります。場合によっては耐震診断を受けて、耐震補強が必要かどうかの判断が必要になります。
特に昭和56年5月以前に建てられた建物は旧耐震基準に基づいているため、現行の基準を満たしていないケースも!構造的な安全性が低い場合は、活用よりも売却の方が現実的です。
②立地と市場ニーズを調べる
その古民家の立地と市場ニーズも大切な判断基準です。アクセスが不便な立地では、商業活用は難しい反面、観光地の近くや人気の商業施設などがあるならば、宿泊施設や飲食店として活用できるチャンスがあります。
また、古民家のある地域の自治体が土地活用事業を積極的に行っているならば、活用の幅が広がることも。需要のある場所かどうかを市場調査しておくことは非常に有効です。
③必要なコストと補助金の有無を確認する
また、リフォームや耐震補強には数十万円〜数百万円のコストがかかります。ただ自治体によっては、それら費用の一部を支援する補助金を用意している場合もあるので、制度の有無を確認しましょう。もしも補助金が活用できるなら、工事費用の負担が大きく変わります。
④誰が運用に関与できるかどうか
そもそも仮に活用するにしても、その運用に誰が関与出来るのかも大切なポイント。自身で管理・運営するのか、誰かに貸すのか、地域と連携して活用してもらうのか…。
特に実際に住んでいる場所から離れた古民家である場合、遠方からの管理は非常に大変です。自分たちがどの程度まで関わる余力があるのか、冷静に見極めましょう。
⑤将来的な税金や法的リスクも考える
先述した通り、古民家を空き家のまま長期間放置すれば、固定資産税の負担が大きくなるうえ、「管理不全空家」や「特定空家」として指定される法的リスクも高まります。判断に迷って放置するくらいなら、相続後早い段階での売却を考えたほうがいいです。
と言うのも、空き家の売却には、「被相続人(亡くなった人)の居住用財産を売ったときの特例」、いわゆる「空き家特例」があるからです。これは、相続や遺贈によって得た不動産の売却による譲渡所得のうち3000万円を控除するというもの。相続人さんの数や要件、適用期限があるので、税制面でのメリットも踏まえて判断していきましょう。
古民家を売却するためには?
これまでの判断を踏まえ、「やはり活用は難しい」と感じた場合は、古民家の売却を検討することになります。その売却方法にはいくつかの選択肢があり、それぞれメリット・デメリットがあるので、自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
①空き家バンクの活用
ひとつに、各自治体が運営する「空き家バンク」に登録・活用することで、古民家を探している人に物件情報を届けることができます。非営利サービスのため、物件登録や掲載、及び仲介手数料が不要で利用できる上、各支援制度との連携もしやすく、補助金制度などとセットで活用することでスムーズな売却につながることもあります。
ただし、空き家バンクは買主さんの多くが一般消費者であり、価格交渉や契約条件のすり合わせなど、個人間での交渉・調整が必要となります。そのため、契約の不備や責任問題には注意。また、一般不動産市場不動産会社に比べて手続きに時間がかかることもあります。
②不動産仲介で売却する
つぎに、不動産仲介による最も一般的な売却方法です。仲介業者さんに依頼し、買主さんを一般不動産市場で探してもらうスタイルで、売却価格も市場に近い金額になる可能性があります。古民家という築年数が古い物件でも、立地が良ければ高値で売れるケースもあるでしょう。
ただし、仲介で売るためには、最低限の清掃や修繕、残置物の処理が必要となることもあります。また、売れるまでに時間がかかる場合もあり、売却活動が長引けば固定資産税や維持費などの負担が続く点も押さえておくべきです。
空き家バンクにせよ仲介にせよ、古民家のような建物では「隠れた瑕疵(かし)」についてのリスクは軽視できません。それが売却後のトラブルの火種になることがあるので、十分留意するべきでしょう。
③不動産買取で売却する
さいごに、不動産業者さんが直接古民家を買い取る方法です。特に、老朽化が激しい、再建築不可、残置物が大量に残っている、相続人同士での協議が難航しているといった「問題を抱えた物件」こそ、買取のメリットは大きくなります。
ただし、買取業者さんは「リノベーション再販」や「土地活用」を前提として、古民家を買い取るため、不動産市場で売却するより価格は低くなります。
不動産買取を利用して古民家を売却する具体的なメリットは以下。
・現状のままで売却ができる(片付けや修繕不要)
・売却までの期間が短く済む(空き家特例の期限が迫るほど有利)
・売却後のトラブルが少ない(瑕疵責任が免除される可能性あり)
このように、時間や手間をかけずに、安心して古民家を手放したい場合には、不動産買取が現実的で有効な選択肢となります。
まとめ
今回の記事では、古民家を空き家のまま放置するリスク、活用と売却の判断基準について、詳しく解説しました。
はじめに「古民家」とは、一般的に「築50年以上のレトロな雰囲気を持つ日本家屋」のことです。その古さに価値がある反面、現代の建築基準法と整合しない問題も抱えており、空き家で放置されてしまうと景観の悪化や建物の劣化が進みやすくなります。
古民家に限らず「空き家問題」は、建物が老朽化し倒壊や崩壊リスク・害虫や害獣の発生リスク・防犯リスク・景観への悪影響や災害リスクなどがあり、社会問題化しています。
地方や田舎のみならず、首都圏・その近郊でも空き家率は上昇しており、住宅密集地でのトラブルが増えているため、2023年(令和5年)の「空家等対策特別措置法」の改正により、以下のような点が対策強化されました。
・新たに「管理不全空家」が新設され早い段階の行政指導可能になった
・悪影響著しい「特定空家」となると税金の優遇措置(6分の1)が解除される
・過料や最終的には行政代執行となり、その費用の請求をされる
そのため、「何もしていないで放置」は危険な選択になりつつあるのです。
古民家の活用事例はいくつかあります。
①賃貸物件として活用
②宿泊施設として活用
③飲食店や小売店として活用
④コミュニティースペースとして活用
⑤観光施設として活用
これらの活用方法は、地域性や建物の状態、法律的な制限などによって左右されやすく、それなりのリスクは伴います。
活用すべきか売却すべきか迷う場合の判断基準は以下。
①古民家の状態を確認する
②立地と市場ニーズを調べる
③必要なコストと補助金の有無を確認する
④誰が運用に関与できるかどうか
⑤将来的な税金や法的リスクも考える
空き家の売却には「空き家の譲渡所得3000万円特別控除」があり、相続人さんの数や要件、適用期限があるので、税制面でのメリットも踏まえて判断していきましょう。
これまでの判断を踏まえ、「やはり活用は難しい」と感じた場合は、古民家の売却を検討することになります。その売却方法にはいくつかの選択肢があります。
①空き家バンクの活用
②不動産仲介で売却する
③不動産買取で売却する
特に、不動産買取を利用して古民家を売却する場合はメリットが大きいです。
・現状のままで売却ができる(片付けや修繕不要)
・売却までの期間が短く済む(空き家特例の期限が迫るほど有利)
・売却後のトラブルが少ない(瑕疵責任が免除される可能性あり)
このように、時間や手間をかけずに、安心して古民家を手放したい場合には、不動産買取が現実的で有効な選択肢となります。
私たちエスエイアシストも不動産買取業者のひとつです。入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。ぜひ他社さんと比較して頂ければと思います。難しい物件をお持ちでお困りの方は、一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。
