擁壁のある土地を売却するためには?安全性確保や隣地トラブル回避を解説!

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第83回目は「擁壁(ようへき)のある土地の売却」です。

擁壁のある土地を所有している方にとって、その管理や売却に関する悩みは尽きません。特に擁壁が老朽化してくると、修繕費用が大きな負担になる上、一般的な土地よりも売却が難しくなってしまいます。また、ときに隣地との境界において所有権や越境の問題などがあると、さらに扱いが複雑で、不動産市場で買い手を見つけるのは難しくなると言えるでしょう。もし今後、擁壁のある土地の売却を考えるなら、擁壁の安全性の確保や隣地とのトラブルを回避することが重要です。

今回の記事では、擁壁の問題点を確認し、適切に対策を講じることでスムーズに土地を売却するためのポイントを解説します。そして、不動産買取の利用などの選択肢を検討し、安心して土地を手放す方法についてもお話しますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね!

お困り物件買取事業

擁壁のある土地の種類と特徴とは?

まず、「擁壁のある土地」とは「傾斜地における土地を支え崩壊を防ぐ重要な構造物である擁壁がある土地のこと」を指します。その擁壁には以下の種類があります。

①コンクリート製擁壁
ひとつに、耐久性と強度に優れ、住宅地などで広く使用されるコンクリート製擁壁があります。施工には高い技術が必要ですが、安全性が高くて、長期間にわたって安定した土留め効果を発揮します。

②ブロック積み擁壁
つぎに、比較的手軽に施工でき、コストを抑えたい場合に適しているブロック積み擁壁。やや耐久性が劣るため、特に大雨などで土圧がかかる場合には、適切な補強が必要になります。長期間の使用においては耐久性に不安があります。

③石積み製擁壁
さらに、自然石を積み上げた景観に優れる石積み製擁壁があります。耐久性も高く、自然な景観と調和しやすいため、美観を重視するエリアで多く使用されていますが、施工には職人の技術と時間を要します。また、石積みの間に空間があることで水はけも良く、排水性に優れる点が特徴。

④積み増し擁壁
さいごに、既存の擁壁の高さを増すために、上に積み増しする工法で積み増し擁壁というものもあります。この工法は、既存の擁壁を活用するためコスト削減できますが、地震などの外的要因によるリスクが高く、適切な補強工事が必要です。ただし、そもそも危険性があり、法令に違反している可能性があります。

擁壁のある土地が売れにくい理由とは?

では、擁壁のある土地は不動産市場においての価値はどの程度あるのでしょうか?一般に「売れにくい」とされていますが、その理由は以下のような事情があるからです。

①高さ2mを超える擁壁
はじめに、高さ2mを超える擁壁がある場合は、法的制約や条件が厳しくなる点があります。
・建築基準法において建築確認申請が必要になる
・規模の大きい擁壁設置にかかる費用が高額になる
・図面等の書類作成と提出が求められ審査に合格しなくてはならない

②法令不遵守の可能性
つぎに、特に古い擁壁の場合、現在の法令に対して不遵守、もしくは適合していない可能性があります。
・現在の建築基準を満たしていない(既存不適格)
・公に認められた証明である検査済証がなく安全性が担保できない
・規定内の材質ではない可能性がある

③老朽化による建て替えの必要性
そして、明らかに老朽化している擁壁であれば、建て替えの必要性があります。
・崩落などの危険性が高い
・建て替えや補修が必要であり追加コストがかかるのが明白である

④維持管理の負担
さらに、そもそも擁壁がある土地である以上、将来的にサイクルコストがかかってしまいます。
・定期的な点検や補修が必要であり維持管理の負担が大きい
・長期的な費用負担を考慮した計画を立てなくてはならない

これらの理由により、擁壁のある土地は一般的に売れにくくなるワケです。

擁壁の劣化と倒壊リスクとは?

このように、擁壁は長期的にケアをしていかないと、安全性に問題が生じやすいと言えます。であるので、擁壁の劣化が引き起こすリスクについても考慮する必要があります。

擁壁は劣化してしまうと、土壌の圧力に耐えられなくなる危険性があり、ときに大きな地震などの災害が起きると、倒壊のリスクが高まります。例え見た目には変わりがないようでも、ダメージが蓄積されているケースもあるので注意が必要です。万が一、擁壁が倒壊して隣地や道路に被害を与えた場合、賠償責任が生じることもあるので、法令に基づいた安全対策と定期的なメンテナンスが不可欠です。

例えば、擁壁のメンテナンスを怠ると以下のような問題が生じます。

①擁壁のひび割れ
まず、擁壁にひび割れが生じると、構造全体の強度が低下し、崩壊のリスクが高まります。ひび割れは、時間の経過や地震、土圧の変動によって発生することが多く、これを見逃すと損傷の危険性が増すため、早期の補修が重要です。

②水抜きの問題
また、擁壁の背後に水が溜まると土圧が増加して、かかる負担が大きくなり、擁壁が押し出されて損傷してしまうことがあります。こうなってしまうと、最悪の場合倒壊することもあるでしょう。水抜き穴が詰まっている場合は、定期的に清掃し、適切な排水を確保する必要があります。

③擁壁周辺の土壌の動き
そして、擁壁の周辺にある土壌が動くと、擁壁の基礎部分に負担がかかり、ひび割れや倒壊のリスクが高まります。それは、時間の経過とともに、地震や大雨などによる地盤の緩みなどによって、引き起こされることが多いです。

これらは、倒壊の前兆となる場合があるため、こうした兆候を見逃さず、早期に建築士や土木技術者などの専門家に点検を依頼することが重要です。

擁壁の安全性を確保するためには?

となると、ご自身の土地の擁壁は「本当に大丈夫なのか?」と不安になりますよね?擁壁の安全性を確保するためには、まずは現状を把握することが重要となります。各種法令に基づいた安全基準を満たしているかどうかは、専門家に診断してもらうことが必要となるでしょう。

各種法令と擁壁の安全基準については、建築基準法・都市計画法、及び宅地造成等規制法、並びに各自治体のがけ条例において規定されています。特に、高さが2mを超える擁壁については、さらに厳しい基準が適用されるため、これに従った点検と補強をすることが大切です。もし、致命的な欠陥があれば、建て替え工事をしなければどうにもならないケースも出てきます。

各種工事を実施するにあたって、その内容と費用相場は以下の通り。

①建て替え工事
ひとつに、既存の擁壁を完全に撤去し、新しい擁壁を構築する工事があります。安全性に著しい問題がある場合や、補強工事では対応できない場合に選択します。
・内容:既存擁壁の撤去、新規擁壁の設計施工、排水設備の整備
・費用相場:一般的に1㎡あたり5〜15万円程度、高さ2m✕長さ10mであれば100〜300万円程度

②補強工事
つぎに、既存の擁壁を活かしながら、その強度を上げる工事です。比較的軽微な劣化であり、安全性の問題がなければ選択します。
・内容:アンカー工法や表面被覆工法、鉄筋挿入による補強など
・費用相場:(工法によるが)一般的に1㎡あたり3〜8万円程度、高さ2m✕長さ10mであれば60〜160万円程度

③地盤工事
そして、擁壁の基礎となる地盤の強化を行う工事です。地盤の弱さが擁壁の安全性に影響があるときに実施されます。
・内容:地盤改良工事(薬液注入、深層混合処理など)、杭打ち工事
・費用相場:(工法によるが)一般的に1㎡あたり2〜10万円程度、面積で100㎡であれば200〜2000万円程度

ただ、重機が入れられないなどの環境によっては、工事費用が跳ね上がるケースもあるので、よく確認することが大切です。また補足として、不動産売却に際してご自身が工事を行えないにしても、見積もりは取っておくことも重要になります。不動産購入のために、わざわざ見積もりを取って検討する買い手さんは、まずいないからです。検討のテーブルに載せてもらえなければ、話になりません。

これらの工事を行い、検査済証を発行・取得することで、擁壁のある土地でも買い手さんが安心して購入を検討できるようになります。擁壁の安全性を証明することは、土地売却の足がかりになるハズです!

隣地とのトラブル回避には覚書が重要!

そしてもう一つ。気付きにくい問題であるにも関わらず、発覚すれば大問題になりかねない点があります。それは、擁壁における境界トラブルです。

それは、擁壁の所有権や管理責任が不明確な場合に発生します。擁壁が隣地との境界線上にある、もしくは境界をまたいで設置されているとき、その所有権や管理責任について、隣地所有者さんとの間で認識の相違が生じる可能性があります。万が一、それが土地売却後に表面化すれば、買い手さんから契約不適合責任(目的物が契約内容に適合していない場合の責任)を問われることにもなりかねません!

問題を解決して安心して売却活動をするためにも、また、買い手さんに条件面を承継させるためにも、覚書という正式文書として残すことが大切になります。

覚書を作成するメリットは以下。
・擁壁の所有権を確認する:誰の所有物か確認して将来的な争いを防ぐ
・維持管理の責任を明確にする:点検、修繕、清掃などの維持管理の責任者を明確にする
・擁壁の建て替えや修繕における合意:大規模修繕時の費用負担や工事の実施方法についての合意をとる
・トラブル発生時の対応方法:擁壁に関連するトラブル発生時の対応手順や連絡方法などを定める

覚書を作成することで、隣地所有者さんとの関係を良好に保ち、ひいては土地売却における買い手さんの安心にも繋がります。覚書の作成にあたっては、両者の合意内容を明確かつ具体的に記載し、日付と署名・捺印をしていきます。

擁壁のある土地を売却するには?

ということで、擁壁の安全性が確保でき、隣地所有者さんとのトラブルがなければ、不動産仲介を通じて市場から買い手さんを見つけることも可能です。しかし、擁壁の劣化や法令不遵守その他、これらの諸問題が解決に至らなかった場合は、どうすればよいのでしょうか?

そういった時は、不動産買取を利用することも検討するのも一つの方法です。不動産買取のデメリットとして、市場での売却に比べて売却価格が低くなることがありますが、一方で以下のような不動産買取のメリットがあります。

①現状のままで売却可能
まず、擁壁に問題がある場合でも、現状のまま売却できます。買取業者さんが自社で建て替えや修繕を行うため、ご自身で工事を依頼したりすることなく、時間とコストを節約できます。

②直接取引で売却できる
また、仲介業者さんを通さずに直接取引で売却できるため、仲介手数料がかかりませんし、売却プロセスが簡略化されるので、スピーディーな取引で即現金化ができます。

③売却後のトラブルが少ない
そして、買取業者さんは不動産のプロとして、土地の状態を十分理解した上で買い取るため、売却後に擁壁の問題でトラブルになるリスクは低くなります。それは、契約不適合責任を免責にされることが多いということです。

不動産買取業者さん選びで注意すべきことは、以下の点です。
・信頼と実績:実績があり評判の良い業者を選ぶ
・査定の透明性:査定基準や価格の根拠を明確に説明する
・専門性:擁壁のある土地の特性を理解し適切なアドバイスができる
・迅速さ:迅速かつ丁寧な対応でスムーズな取引ができる
・契約内容が明確:事前に契約内容を明示し質問に対しても誠実に対応する

その他、相見積もりをとって納得感のある買取業者さんを選びます。それによって、安心して擁壁のある土地を手放せるハズです!

まとめ

今回の記事では、擁壁の問題点を確認し、適切に対策を講じることでスムーズに土地を売却するためのポイントを解説していきました。

「擁壁のある土地」とは「傾斜地における土地を支え崩壊を防ぐ重要な構造物である擁壁がある土地のこと」を指します。その擁壁には以下の種類があります。
①コンクリート製擁壁:安全性が高くて耐久性と強度に優れる
②ブロック積み擁壁:やや耐久性が劣るが比較的手軽に施工できる
③石積み製擁壁:耐久性も高く自然な景観と調和しやすいが職人の技術と時間を要する
④積み増し擁壁:コスト低く既存の擁壁の高さを増せるが危険で法令に違反している可能性がある

擁壁のある土地は一般に「売れにくい」とされていますが、その理由は以下のような事情があるからです。
①高さ2mを超える擁壁:法的制約や条件が厳しくなる点がある
②法令不遵守の可能性:古い擁壁は現在の法令に対して不遵守の可能性がある
③老朽化による建て替えの必要性:明らかに老朽化していれば建て替えの必要性がある
④維持管理の負担:将来的にサイクルコストの負担が大きい

擁壁は劣化してしまうと、土壌の圧力に耐えられなくなる危険性が生じ、大きな地震などの災害が起きると、倒壊のリスクが高まります。万が一、擁壁が倒壊して隣地や道路に被害を与えた場合、賠償責任が生じることもあるので、法令に基づいた安全対策と定期的なメンテナンスが不可欠です。

擁壁のメンテナンスを怠ると以下のような問題が生じます。
①擁壁のひび割れ:構造全体の強度が低下し崩壊のリスクが高まる
②水抜きの問題:水が溜まると土圧が増加して負担が大きくなり損傷するリスクが高まる
③擁壁周辺の土壌の動き:擁壁周辺の土壌が動き基礎部分に負担がかかり倒壊のリスクが高まる
これらは倒壊の前兆となる場合があるため、早期に専門家に点検を依頼することが重要です。

擁壁の安全性を確保するためには、現状を把握し種法令に基づいた安全基準を満たしているかどうか、診断してもらうことが必要です。各種法令並びに各自治体のがけ条例に擁壁の安全基準について規定されています。特に、高さが2mを超える擁壁については、さらに厳しい基準が適用されるため、もし致命的な欠陥があれば建て替え工事が必要なケースも出てきます。

各種工事を実施するにあたって、その内容と費用相場は以下の通り。
①建て替え工事:既存の擁壁を完全に撤去し、新しい擁壁を構築する工事
・内容:既存擁壁の撤去、新規擁壁の設計施工、排水設備の整備
・費用相場:一般的に1㎡あたり5〜15万円程度、高さ2m✕長さ10mであれば100〜300万円程度
②補強工事:既存の擁壁を活かしながら、その強度を上げる工事
・内容:アンカー工法や表面被覆工法、鉄筋挿入による補強など
・費用相場:(工法によるが)一般的に1㎡あたり3〜8万円程度、高さ2m✕長さ10mであれば60〜160万円程度
③地盤工事
擁壁の基礎となる地盤の強化を行う工事
・内容:地盤改良工事(薬液注入、深層混合処理など)、杭打ち工事
・費用相場:(工法によるが)一般的に1㎡あたり2〜10万円程度、面積で100㎡であれば200〜2000万円程度
これらの工事を行い、検査済証を発行・取得することで、買い手さんが安心して購入を検討できます。

擁壁の所有権や管理責任が不明確な場合に、隣地所有者さんとの認識の相違が生じる境界トラブルがあります。安心して売却活動をするために、覚書という正式文書として残すことが大切になります。

覚書を作成するメリットは以下。
・擁壁の所有権を確認にする
・維持管理の責任を明確にする
・擁壁の建て替えや修繕における合意:
・トラブル発生時の対応方法
覚書を作成することで、隣地所有者さんとの関係を良好に保ち、ひいては土地売却における買い手さんの安心にも繋がります。

擁壁の安全性が確保できトラブルもなければ、不動産仲介を通じて市場から買い手さんを見つけることも可能ですが、擁壁の諸問題が解決に至らなかった場合は、不動産買取を利用することも検討するのも一つの方法です。不動産買取のデメリットとして、市場での売却に比べて売却価格が低くなることがありますが、一方で以下のような不動産買取のメリットがあります。
①現状のままで売却可能
②直接取引で売却できる
③売却後のトラブルが少ない

不動産買取業者さん選びで注意すべきことは以下。
・信頼と実績
・査定の透明性
・専門性
・迅速さ
・契約内容が明確
その他、相見積もりをとって納得感のある買取業者さんを選びます。

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