越境被害を受ける土地の売却はどうする?問題解決には覚書作成が必要!?

独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第65回目は「越境被害を受ける土地の売却」です。

土地の売却を検討している方の中には、隣の土地からの越境被害に悩まされている方もいるのではないでしょうか?「枝葉がこちらに広がって茂っている!」「雨樋いがはみ出していることに気づいた!」など、隣地の建物や樹木といったものが、土地の境界を越えてご自身の土地に侵入してきている場合、不動産価値は低下するばかりか、トラブルを引き起こす可能性すらあります!

この記事では、越境被害を受ける土地にあるリスクの内容や、「不動産売却はどうすればいいの?」について、詳しく解説していきます。特に、「越境物の覚書」作成の必要性にも触れ、スムーズな問題解決を目指すためのポイントを紹介していきます。また、どうにも越境問題が解決しなかった際には、不動産買取を利用して売却するメリットもお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

お困り物件買取事業

越境被害を受ける土地の売却は難しい?

はじめに「越境」とは、「建物といった構造物や樹木などの所有物が、隣地に侵入してしまっている状態」のことで、越境しているものを「越境物」といいます。これらは、目視で確認できるものだけではなくて、塀の基礎や給排水管といった地中に埋まっている場合もあります。そして、隣接する土地からこちら側へ侵入されている「越境被害を受けている状態」のことを「被越境」といいます。

こういった越境による被害を受けた土地は、法的にも実用的にも問題を引き起こします。太い木の根が構造物を傷つけたり、落ち葉が庭に散らかってしまったりする様な分かりやすい実害を被ることもあれば、土地の不動産価値の低下といった経済的な影響を受けることもあります。また、その影響は不動産売却を難しくさせます。

では、不動産売却が難しくなる理由とは何でしょうか?

①買主が住宅ローン融資を受けられない可能性がある
ひとつに、越境被害を受けていると、買主さんが住宅ローンを申請する際に、金融機関がその土地を担保として認めないことがあります。これは、越境という土地の法的問題が解決されていない場合、担保価値が低くなるためです。

②建築確認申請が通らず希望通りの家が建たない
つぎに、越境物の影響で新しい建物の建築確認申請が通らないことがあります。特に、隣地の建物の屋根や塀などの構造物が張り出していると、越境部分を差し引いて建築設計しなくてはならないため、希望通りの家が建たないケースが出てきます。

③瑕疵物件と見なされ避けられる
さいごに、越境被害を受ける土地は瑕疵物件と見なされることが多く、物件を選ぶ買主さんに避けられる傾向にあります。その「瑕疵物件」とは、隠れた欠陥や問題がある物件のことを指していて、買主さんにとっては、後々のトラブルに巻き込まれるリスクを懸念材料となります。

妨害排除請求権とは?行使できないケースも?

ということで、越境被害を受ける土地の所有者さんとしては、越境物なんて早々に排除したいところです。民法において、土地の所有権はとても強い権利とされていて、土地利用の観点からその権利を侵害することは認められていません。ですので、「妨害排除請求権」と言って「土地所有者が自分の土地に対する不法な妨害の排除を請求できる権利」があり、隣地所有者さんに越境物の撤去を求めることができます。

しかし、その権利が行使できない以下のようなケースもあります!

①取得時効が成立している場合
まず、ちょっと納得できないかもしれませんが、20年を越える長期間(越境の事実を認知していなければ10年間)にわたって越境状態が継続している場合、隣地所有者さんは取得時効を主張することができます。これは、越境部分の土地の所有権が隣地所有者さんに移行してしまったことを意味します。

②権利の乱用と見なされる
また、越境状態が軽微であり生活等に影響もない上、撤去が隣地所有者さんにとって過度な負担となる場合、裁判所が権利の乱用(濫用)と見なす可能性があります。この場合、妨害排除請求権を行使することは難しくなります。

③手続きを踏まずに勝手に撤去はできない
さらに、邪魔だからと越境物を無断で撤去すると、逆に訴えられてしまう法的トラブルを引き起こす可能性があります。「自分の土地を不法に侵害しているのだから、排除して当然じゃないか!」と思うかもしれませんが、ここは必ず法律に則った手続きを踏む必要があります。

④撤去には手間も費用もかかりすぐには対応できない
さいごに、隣地所有者さんにとって重要だったり堅固だったりする構造物が越境している場合、撤去には時間も費用もかかるため、すぐに対応できないケースもあります。

越境被害を放置したまま売却するリスク

では、もし越境問題の解決がうまく進まず、その越境被害を放置したまま不動産売却をしようとしたとき、どんなリスクがあるのでしょうか?以下にまとめます。

①市場価値の低下
そもそも越境被害を受けている状況は、隣地所有者さんとの隣人トラブルを抱えた物件です。当然、買主さんは不安に思い、そんなトラブルは避けたいと考えます。さらには、金融機関からの評価も低く、住宅ローンの融資も受けづらいワケです。不動産市場で人気の出ない中でも検討してくれる買主さんがいたとしても、越境問題の解決への手間や費用を見積もれば、その分を価格から引くような交渉をされてくることでしょう。総じて、物件の市場価格は低下します。

②売却活動が長期化
当然ながら、買主さんから避けられ人気のない物件は、売却活動が長期化します。広告や仲介コストが増加するので、不動産仲介業者さんとしてはさらに値下げの提案をして、少しでも早期に売却しようとしてきます。しかし、売主さんの心情としてはそれを受け入れることはなかなか難しいハズです。そうして不動産市場に物件情報が出続けると、売れ残り感が強くなり、さらに売れにくくなる負のスパイラルへ!

③契約不適合責任を問われる
そんな中、「早く売りたい!」と気がはやると、越境被害を受けていることなど「買主さんには伝えたくない!」と考えてしまうのも人情というものでしょう。しかし万が一、越境問題について買主さんへの告知義務を怠るようなことがあれば、物件売却後にトラブルに発展して、契約不適合責任を問われる可能性が出てきてしまいます。売却価格の減額や損害賠償請求をされたり、最悪は訴訟リスクすらあり得ます。

越境問題解決に覚書作成は必要!?

となると、「それじゃやっぱり、越境問題を解決しないと物件を売ることが出来ないじゃないか!」と諦めムードが漂いそうなものですが、そこはやりようはあるんですね!それが、「越境物の覚書」です。簡単に言えば、「越境物問題を解決するための合意書」といったものです。

越境物の覚書は、越境物の扱いについて条件面を明文化することで、隣地所有者さんとのトラブルを防ぐ目的があります。また、先述したような所有権の取得時効を中断させる効果もあります。取り交わした内容は、売却後の買主さんへと引き継がれることになるので、買主さんの物件購入にあたっての大きな安心材料となるのは言うまでもありませんね!ですので、越境問題解決に覚書作成は必要です。

覚書の作成手順としては以下。

①境界確定の測量を行う
まず、土地家屋調査士さんに依頼して、正確な土地の境界測量を行います。実は、古くからの土地の多くは、境界が曖昧なケースがほとんどだからです。塀などがあって何となく境界があるように感じるかもしれませんが、決して精密に分けているワケではないんです。であるので、現地で測量を行い、各関係者立ち会いのもと境界が確定させるのです。

②越境物を特定しその解消方法について協議する
この測量結果によって、どの部分が越境しているか明確になるので、越境物を特定することができます。その上で、その越境物の解消方法について協議するのです。撤去できるものは撤去し、その他の解決策についても話し合います。その際には、双方が納得できるラインを見つけることが重要。

③越境物の覚書を作成する
そうして、双方が合意した内容をもとに、正式な覚書を作成していきます。覚書には、決まったフォーマットはないので、以下の内容を盛り込みます。
・覚書作成日
・越境物が境界を越境している事実
・撤去方法や撤去費用の負担者
・撤去のタイミングや猶予(建て替え時など)
・違反時の対処方法
・土地の売却時には新たな所有者に覚書を継承する
・双方の署名捺印
これらを専門家さんのアドバイスのもとで作成します。

越境被害問題が解決しなかったときは不動産買取!

しかし、ときに越境物の撤去どころか覚書の協議にすら、「隣地所有者さんの理解も協力も得られない!」となったら、物件売却は諦めるしかないのでしょうか?いえいえ、そんなふうに越境被害問題が解決しなかったときは不動産買取です!

不動産買取業者さんにとっては、越境問題を抱えた物件はリスクがあるため、さすがに市場相場通りの価格での買取はできません。しかし、逆に言えば「越境問題があることを理解した上で買い取ってくれる」とも言えます。以下に、不動産買取のメリットを紹介します。

①スピーディーな取引
不動産買取なら越境被害を抱えた現況のまま、売却手続きが迅速に進められます。これによって、長期化する売却活動や広告費・仲介手数料の負担を軽減できます。特に、早く資金の確保をしたいニーズに答えることも可能となります。

②安心確実な売却
また、買取業者さんは越境問題に対する専門知識があるため、トラブルの解決を見越した買い取りが可能です。これによって、安心で確実な不動産売却を実現することができます。

③トラブル回避
そして、買取業者さんとの取引では、越境問題を事前に説明し、解決策を協議した上で売却が進むため、売却後のトラブルが発生しにくいです。もちろん、契約不適合責任を問われるリスクはほぼありません。

越境被害を受ける土地の多くは、隣人トラブルを抱えています。不動産買取では、越境状態のままでも買い取ってもらえるため、問題解決が難しい場合には一つの選択肢として検討する価値があります!

まとめ

というワケで、この記事では、越境被害を受ける土地にあるリスクの内容や、不動産売却はどうすればいいのか、「越境物の覚書」作成の必要性にも触れてきました。

「越境」とは、「建物といった構造物や樹木などの所有物が、隣地に侵入してしまっている状態」のことで、越境しているものを「越境物」といい、隣接する土地から越境被害を受けている状態のことを「被越境」といいます。

こういった越境による被害を受けた土地は、実害を被ることもあれば、経済的な影響を受けることもあり、その影響は不動産売却を難しくさせます。その理由として、
①買主が住宅ローン融資を受けられない可能性がある
②建築確認申請が通らず希望通りの家が建たない
③瑕疵物件と見なされ避けられる

越境被害を受ける土地の所有者さんには、「妨害排除請求権」と言って「土地所有者が自分の土地に対する不法な妨害の排除を請求できる権利」があり、隣地所有者さんに越境物の撤去を求めることができます。

しかし、その権利が行使できない以下のようなケースもあります!
①取得時効が成立している場合
②権利の乱用と見なされる
③手続きを踏まずに勝手に撤去はできない
④撤去には手間も費用もかかりすぐには対応できない

では、もしその越境被害を放置したまま不動産売却をするなら、どんなリスクがあるのでしょうか?
①市場価値の低下
②売却活動が長期化
③契約不適合責任を問われる

それでは、物件売却を売却するにはどうするか?それは、「越境物問題を解決するための合意書」である「越境物の覚書」を作成することです。

越境物の覚書は、越境物の扱いについて条件面を明文化することで、隣地所有者さんとのトラブルを防ぎ、所有権の取得時効を中断させる効果もあります。取り交わした内容は、売却後の買主さんへと引き継がれることになるので、買主さんの物件購入にあたっての大きな安心材料となるのは言うまでもありません。

覚書の作成手順としては以下。
①境界確定の測量を行う
②越境物を特定しその解消方法について協議する
③越境物の覚書を作成する
双方が合意した内容をもとに、以下を盛り込みます。
・覚書作成日
・越境物が境界を越境している事実
・撤去方法や撤去費用の負担者
・撤去のタイミングや猶予(建て替え時など)
・違反時の対処方法
・土地の売却時には新たな所有者に覚書を継承する
・双方の署名捺印
これらを専門家さんのアドバイスのもとで作成します。

しかし、隣地所有者さんの理解も協力も得られず解決が難しい場合は不動産買取を検討します!

不動産買取業者さんにとっては、越境問題を抱えた物件はリスクがあるため、市場相場通りの価格での買取はできませんが、越境問題があることを理解した上で買い取ってくれます。以下に、不動産買取のメリットを紹介します。
①スピーディーな取引
②安心確実な売却
③トラブル回避

不動産買取では、越境状態の問題解決が難しい場合には一つの選択肢として検討する価値があります!

私たちエスエイアシストでは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。それは、越境被害を受けるような隣人トラブルがあっても同様です。もし、ほかの不動産会社で難色を示されてしまった物件をお持ちでしたら、ぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。

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