
独自のノウハウにより、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、他の不動産会社では取り扱いづらい「お困り物件」を解決に導いてきた、不動産・用地開発のスペシャリスト・株式会社エスエイアシストがお届けする「お困り物件コラム」。第174回目は「区画整理の仮換地の売却」です。
親から相続した土地が区画整理の区域に入り、「仮換地指定通知書」が届いたものの、書かれている場所が登記簿の地番と違っていて、手が止まっていませんか?「いつ終わるのか?」「土地の面積が減るのにお金の話も見えない」、そうして数年が過ぎ、住む予定のない家の管理の手間と費用だけが積み上がっていく一方です。
結論から言うと、区画整理の途中でも土地は売れます。ただし、契約や決済の進め方は、事業の段階や施行者によって変わります。施行主体と事業の進捗、この2つを先に確かめておけば、判断の中心になる問いは「計画上の終わりまで待てるか」の1つに絞れるのです。
今回の記事では、区画整理とは何か、売却を先送りするあいだに何が起きるのか、そして手放すと決めたときに何を確かめればよいのかを、順を追って解説します。土地が減ったぶんのお金についての誤解も、途中で解いていきましょう。ぜひ最後までお付き合いください。
区画整理の仮換地では所有の土地と使える土地が分かれる

はじめに、通知書に出てくる言葉だけ先に片付けます。ここを飛ばすと、この先の説明がすべて分かりにくくなります。
①「区画整理」とは土地を配置しなおす公共性の高い事業のこと
まず、「区画整理(土地区画整理事業)」とは、「道路や公園などの公共施設と宅地を一体的に整えるために、その区域の土地を配置しなおす、公共性の高い事業」です。必要になる土地は、その区域の所有者が権利に応じて少しずつ出し合ってつくります。この出し合いを「減歩(げんぶ)」といいます。自分の土地の面積は事業の前より小さくなりますが、道路や公園が整い、区画の形がそろうことで使いやすい価値の高い土地になる、という考え方です。
②区画整理では土地を3つの言葉で呼び分ける
次に「区画整理」では、土地を事業の段階に応じて3つの言葉で呼び分けます。
・従前地(じゅうぜんち):区画整理の前からある登記簿上の土地
・仮換地(かりかんち):事業が終わるまでの間に従前地の代わりに使う土地
・換地(かんち):事業の終盤に従前地の権利が移る先の土地
この従前地と仮換地は、別の場所に指定されることがあります。これとは別に「保留地」という言葉も出てきますが、これは施行者が事業費にあてるために売る土地で、自分の土地ではありません。この区別があいまいなままだと、手続きの話が噛み合いません。
③「仮換地」が指定されると使う土地が先に切り替わる
そして「使用収益」とは、「自分でその土地を使ったり、人に貸して収入を得たりすること」です。仮換地が指定されると、その効力が発生した日から換地処分の公告(役所などが広く知らせること)がある日まで、原則として使用収益ができるのは仮換地の方になり、従前地は使用できなくなります(土地区画整理法99条1項)。
ただし、仮換地に障害となる物件があるなどの事情があるときは、仮換地を使い始められる日が別に定められることがあります。この場合、それまでのあいだは従前地も仮換地も使えない期間が生じる点に注意してください。
④「換地処分」は事業の終盤に権利を移す手続き
さらに「換地処分」とは、事業の終盤に「従前地の権利を換地に移す手続きのこと」で、公告によって効力が生じます。土地区画整理法では、「公告があった日の翌日から、換地が従前の宅地とみなされる」と定められています。
ここではじめて、法律の上でも自分の土地が新しい場所に移るのです。登記簿の書き換えは、そのあと「施行者」がまとめて行い、換地処分のあとも、清算金の徴収や交付などの手続きは続きます。
補足として「清算金」とは、そのときに生じる土地の価値の不均衡を、金銭で調整するものです。換地を定めるにあたって不均衡が生じると認められるときは金銭で清算するものとし、その額を換地計画で定めなければならないとしています。
⑤「施行者」が「組合」かどうかで売ったあとの話が変わる
最後に、事業を行う主体の「施行者」について。これには「組合」「自治体」「都市再生機構」など、いくつかの種類があります。国土交通省の資料によれば、全事業の約半数は、地権者が共同で行う組合施行の事業です。組合施行の場合、区域内の地権者は、事業に賛成か反対かを問わず、全員が「組合員」になります。
この区別は他人事ではありません。組合が施行者の場合、事業に要する経費にあてるため、総会の議決などを経て組合員から「賦課金(ふかきん)」としてお金を集めることがあります。自治体が施行者であれば、この組合の賦課金はありませんが、「清算金」は施行者の種類にかかわらず生じることがあります。通知書で施行者の名前を必ず確かめてください。
難しい言葉が並びましたが、これを前提に話を進めます。
区画整理で仮換地を定める理由と終わりが見えない事情
続いて、多くの方がつまずく「仮換地は場所が違う」という現象の正体と、終わりが見えない事情を見ていきましょう。
①工事のために使う場所だけが先に移される
法律では、施行者は換地処分を行う前に、工事のため必要がある場合などに、区域内の宅地について仮換地を指定できるとされています。工事は区域全体で同時に進むとは限らないため、先に整った場所から順番に使ってもらう必要があります。そのために、使う場所だけを先に移すのが仮換地の指定です。
この指定は、仮換地の位置と地積(土地の面積)、そして指定の効力が発生する日を通知して行うものとされています。手元に届いた通知書は、この規定に基づくものです。
②登記が動くのは換地処分のあと
では、なぜ登記簿は元のままなのでしょうか。法律では、換地処分の公告があった場合、施行者が遅滞なく、事業によって変わった土地と建物の登記の手続きをしなければならないとされています。国土交通省の資料でも、換地処分のあとに施行者が土地と建物の変更に伴う登記をまとめて実施すると説明されています。
つまり、登記が動くのは事業の終盤です。それまでのあいだ、登記簿をいくら取り寄せても、通知書に書かれた新しい場所は出てきません。ずれているのではなく、動く順番が違うだけです。
③整理されていないと買主も業者も判断しにくい
ここが実務上いちばんの壁になります。売買の対象は登記簿にある「従前地の所有権」で、買主が実際に使うのは「対応する仮換地」です。この関係が整理されていないと、買主も、間に入る不動産業者も、不動産売買の判断がしにくくなります。
さらに、扱いが変わる局面が4つあります。「仮換地の指定前」「指定を受けたが使用収益をまだ開始できていない時期」「使用収益の開始後」、そして「換地処分の公告後」です。自分がどこにいるのかを決めないまま相談しても、返ってくる答えは一般論にとどまりやすくなります。
④終わる時期を所有者は決められない
加えて、もうひとつの壁が事業が終わる時期です。換地処分は、原則として区域の全部について工事が完了した後に、遅滞なく行わなければならないとされています。定款(組合の規則)などに別の定めがあれば工事の完了前に行うこともできますが、いずれにしても決めるのは施行者の側です。個々の所有者が、単独で事業の終わりを早めることはできません。
もちろん、事業施行期間(事業が完了するまでの予定の期間)は事業計画に書かれていますので、目安にはなります。ただし、事業計画は変更されることがあり、期間もそのひとつです。施行者に尋ねてもはっきりした答えが返ってこないことがあるのは、このためです。待つという選択は、「終わりの見えない時間を引き受ける」ことでもあります。
区画整理中の売却を先送りするほど重くなる負担
そして、区画整理中の売却を先送りすると何が重くなるのかを見ておきましょう。待つあいだに出てくる負担は3つあります。
①換地処分の公告後は登記が止まり決済も先送りになる
1つ目は、待っているうちに換地処分の公告の時期に入ると生じる、手続き上の制約です。法律では法律では、換地処分の公告があった日後は、原則として、施行者による登記がされるまで、区域内の土地と建物について他の登記ができないと定めています(土地区画整理法107条3項)。これは、買主が個人でも業者でも同じです。
この期間は、所有権移転の登記ができません。特に買主が住宅ローンを使う売買では、抵当権(ローンの担保として金融機関が土地に付ける権利)も設定できないため、決済(代金の支払いと引き渡し)や融資の実行が先送りになります。
住宅金融支援機構のフラット35のように、仮換地の指定を受けた土地でも融資の対象とする例があり、「仮換地だから住宅ローンが一律に組めない」というわけではありません。ただし、登記が止まっている期間は、登記を前提とする手続きが進められません。登記が再開する時期は地区ごとに異なるため、施行者に確認する必要があります。
②組合施行では持っているあいだ賦課金を払う立場にある
2つ目は、組合施行の場合に、土地を持っている間にずっと残るお金の負担です。国土交通省の土地区画整理事業運用指針では、「賦課金は、組合との関係ではその時点の権利者(組合員)が支払義務を負う」とされています。つまり、売却を先送りしているあいだに賦課金が課されれば、組合に払う義務を負うのは、そのときの持ち主である自分です。
もし、その不動産を売った場合は、所有権や借地権を取得した買主が組合員となり、その組合に対して持つ権利義務も買主に移ることになります。
ここで分けて考えたいことがあります。組合や施行者に対して誰が払うかと、売主と買主のどちらが最終的に負担するかは、別の問題です。後者は法律では決まっていません。売却前に生じていた賦課金も、あとから確定する清算金も同じです。
運用指針によれば、仮換地の売買契約で、元の持ち主が負担すると明示している例もあります。一方で、最終的な負担者がはっきりしないと無用の混乱を招くとして、事業完了前の売買では負担者を明確にするよう、組合が指導することが望ましいとされています。
誰が最終的に負担するかをめぐる争いは、売るときに契約で取り決めておけば避けられるものです。
③待っている間に相続が起きれば家族が引き継ぐ
3つ目は、待つ時間そのものが生む負担です。国土交通省の運用指針でも、建物の移転が多い既成市街地などでは、事業施行期間が長期化する傾向があると指摘されています。その間に自分に相続が起きれば、区画整理をめぐる立場は、そのまま子どもなどの相続人に移ります。法律上も、土地について権利を持つ人が変わった場合、それまでに前の人に対してした処分や手続きは、新しい人に対してしたものとみなされるのです。仮換地の指定も効力が及び、組合員としての立場も同じです。
清算金は換地処分の公告の翌日に確定し、その時点の権利関係が基準になりますから、時期によっては相続人が清算金を受け取る、または支払う立場になります。
親から受け継いだ土地の手続きを、今度は自分の家族に引き継がせることになります。事業の終わりが見えないということは、この引き継ぎが起きる可能性を抱えたまま待つということです。
仮換地を売却すると清算金は誰が受け取るのか

ここで、売却と切り離せない清算金の話を整理します。ここを取り違えると、手残りの計算そのものが狂います。
①清算金は減った面積の補償ではない
そもそも「清算金」は、換地を定めるにあたって生じた土地の価値の不均衡を、金銭で調整するものです。減歩によって狭くなった面積を補償するお金ではありません。「土地を出したぶんはお金で戻ってくるはず」と考えて売却の手残りを見積もると、見込みが外れます。また、清算金は受け取るだけのものではなく、支払う側になる場合もある点に注意してください。
②金額が確定するのは換地処分の公告の翌日
法律では、「換地計画において定められた清算金は、換地処分の公告があった日の翌日において確定する」とされています(土地区画整理法104条8項)。それより前の段階で、施行者が仮に算出した「仮清算金」を徴収したり交付したりすることもあります。この場合、確定した清算金の額と仮清算金の額に差額があれば、その差額があとから徴収または交付される仕組みです。
つまり、売買契約を結ぶ時点では、金額は確定していないのが普通です。なお、公告の翌日は金額が法的に確定する日であって、実際に支払われたり徴収されたりする時期は、施行者の運用によって異なります。
③売主が受け取るには施行者への届出が要る
この清算金は原則として換地処分のときの権利者が対象になります。そのため、売却が済んでいれば、清算金を受け取る、または支払う立場になるのは、買主です。
清算金を売主が受け取る、または売主が支払うと決めた場合は、当事者間の取り決めに加えて、施行者への届出が必要になることがあります。清算金を受け取る権利や支払う義務を相手に移すための、債権債務の譲渡や引受の届出です。契約書に書くだけで、施行者との関係まで片づくとは限りません。届出が必要か、どんな書式でいつまでに出すのかを、施行者に確認してください。
これらは、税金の扱いにも関わります。国税庁の質疑応答事例では、売主が受け取る特約を結んで届出を出し、市から売主に清算金が交付された場合について、実質的に売主が清算金を取得したものとして、「収用等の場合の課税の特例」を適用して差し支えないとされています。ただし、どの特例をどこまで使えるかは、個々の事情次第です。届出を出す前に、どのような扱いになるかを税務署か税理士に確かめておくと安心です。
仮換地の売却前に施行者へ確認することと待てる年数
ここまでを踏まえて、不動産売却に向けて動き出すなら、その前に手元でそろえておくものを整理します。
①通知書と登記事項証明書を並べて自分の位置を把握する
まず、「仮換地指定通知書」と「登記事項証明書(登記簿の内容を証明する書類)」を並べてください。通知書からは施行者の名前と、仮換地の位置や地積、効力発生の日が読み取れます。
ここで確かめるのは2つです。施行者が組合か、自治体などかということと、自分の土地が(先述した)4つの局面のどこにあるかということです。この2つが分からないままだと、相談しても自分の状況に合った答えが返ってきにくくなります。
②仮換地証明書と図面で対応関係を示せるようにする
次に、施行者から「仮換地証明書(従前地と仮換地の対応を示す書類)」と図面を取り寄せます。この2つをそろえておくのは、従前地と仮換地がどう対応しているのかを、相手にひと目で示すためです。
書類の名前や出し方は事業ごとに異なるので、施行者に確認してください。売買の対象は従前地で、使うのは仮換地だという関係を、買主と不動産業者に見せて説明できるようにします。不動産売買において「話が進まない」状態は、この資料がそろうだけで解消に向かうこともあるでしょう。
③施行者に問い合わせて計画上の条件を確かめる
あわせて、組合の事務所か、市区町村の区画整理の担当課に問い合わせます。確認したいのは次の項目です。
・事業計画に書かれた事業施行期間の終わり
・使用収益を開始できる日
・清算金と賦課金の見込み
・換地処分の公告の見込みと登記が再開する予定
・建物は移転の対象になるか(その移転の補償が出るか)
補足すると、使用収益を開始できる日は、前の章で触れたとおり、指定の効力が発生する日とは別に定められることがあります。指定を受けたからといって、すぐに使えるとは限りません。
また、事業の認可などが公告されたあとは、建物の新築や増改築に許可が必要になり、古い家が建ったままの土地では、建物が移転の対象になることもあります。
④確定したときに誰が負担するかを特約で決めておく
最後に、売買契約の中身です。清算金も賦課金も、契約の時点では金額が確定していません。ですから、金額そのものを契約で決めることはできません。決められるのは、確定したときに誰が負担し、誰が受け取るのかというルールです。これを特約(契約に付け加える個別の取り決め)として契約書に書いておきます。
そして、そのために必要な届出を誰がいつ出すのかまで、あわせて合意しておくことが大切です。口約束のままにしておくと、確定した金額の通知が届いたときに揉めるもとになります。
その上で、決めるべき問いは1つです。「計画上の終わりまで自分は待てるか」。そして「計画が延びた場合でも待てるか」。待てると決めた年数ぶんの管理費用、固定資産税、修繕費や保険料を足し合わせておきます。事業の終わりは選べませんが、自分がどこまで待つかは選べます。
区画整理の仮換地は待つか売却するかで手放し方が変わる
材料がそろったところで、進む方向を決めましょう。
最初に、売却手段の比べ方を確認しておきます。比べるのは、どちらが高く売れるかという金額だけではありません。今の査定額は、売却価格を約束するものではありませんが、今手放した場合の目安として知ることができます。
一方、待つ場合は維持費が確実に出ていき、終わりが延びる可能性も残ります。そして、待った先の売却価格は、今は誰にも分かりません。金額の大小だけでは決められないからこそ、今分かる金額、確実に出ていく費用、分からない将来の売却価格を分けて並べたうえで、計画上の終わりまで待てるかを決めてください。
仮換地の指定前であれば、従前地をまだ自分で使えるため、通常の土地売却に近い形で進められます。仮換地の指定後は、局面ごとに次の道があります。
①使用収益ができる状態で仲介で売る
土地を使える状態にしてから、不動産仲介業者に頼んで売り出す道です。使用収益の開始前なら、まず開始できる日を施行者に確認して待ちます。開始後であれば、すぐに不動産市場に出すことができます。買主は実際に土地を使える前提で検討できるため、見通しを立てやすいでしょう。清算金と賦課金の負担は、特約で決めておきます。
ただし、開始できる日は障害となる物件があるなどの事情で別に定められることがあり、開始前の場合はいつまで待てばよいのかが読めません。それを待つ間の維持費は積み上がっていきます。
②事業終盤なら公告前に決済と登記を終える日程を組む
事業が終盤に入って公告の時期が見えている場合は、仲介でも買取でも、公告前に決済と登記を終えられる日程を最優先で組みます。まず公告の予定時期を施行者に確認し、公告より前に決済と登記まで終えられるかを検討してください。このときに清算金の負担と届出も決めておきます。
ただし、日程が公告のあとにずれこむと、施行者の登記が終わるまで所有権移転の登記ができません。動けない期間が生じますので、余裕をもった日程を組む必要があります。
③現況のまま買い取ってもらう
もし、計画上の終わりまで待てない場合や、古い家が建ったまま手放したい場合は不動産買取が有効です。相談するときは、事業名と仮換地の街区・画地番号(仮換地の場所を示す番号)、使用収益の開始状況、希望する時期を伝えると話が早く進みます。その上で現況のまま査定を受け、清算金と賦課金の負担も契約で決めます。
ただし、不動産買取で手放す場合、仲介で売却するよりも売却価格は低くなるのが一般的です。また、換地処分の公告後に登記が止まる期間は、買取であっても決済を待つことになります。
それでも、買取専門の不動産業者を選ぶことによるメリットは以下のようなものもあります。
・業者との直接取引になるため、買主を探す期間がいらない
・まだ使用収益を開始できていない土地でも、売却の時期を決めやすい
・建物が移転の対象になるかなどを確認した上で、古い家を解体せずに現況で引き渡せる場合がある
・管理の手間や固定資産税といった維持費から早期に解放される
対応できる範囲は業者によって異なりますので、事前に確かめておいてください。まずは無料査定で、売却額を知るところから始めてみると良いでしょう。
まとめ
今回の記事では、区画整理の途中にある仮換地について、なぜ場所がずれるのか、何を確かめ、どの局面で動くのかを解説してきました。
はじめに、通知書に出てくる言葉について、押さえておきたい点が5つあります。
①「区画整理」とは土地を配置しなおす公共性の高い事業のこと
②区画整理では土地を3つの言葉で呼び分ける
③「仮換地」が指定されると使う土地が先に切り替わる
④「換地処分」は事業の終盤に権利を移す手続き
⑤「施行者」が「組合」かどうかで売ったあとの話が変わる
登記上の所有権は従前地に残り、実際に使うのは原則として仮換地です。この分かれ方が、区画整理の土地をわかりにくくしています。
次に、仮換地を定める理由と、終わりが見えない事情は4つに整理できます。
①工事のために使う場所だけが先に移される
②登記が動くのは換地処分のあと
③整理されていないと買主も業者も判断しにくい
④終わる時期を所有者は決められない
ずれているのではなく、動く順番が違うだけです。
また、売却を先送りすると重くなる負担は3つあります。
①換地処分の公告後は登記が止まり決済も先送りになる
②組合施行では持っているあいだ賦課金を払う立場にある
③待っている間に相続が起きれば家族が引き継ぐ
待つ時間が長くなるほど、この3つを抱える期間も長くなります。
清算金については、売却に関わる3点を押さえてください。
①清算金は減った面積の補償ではない
②金額が確定するのは換地処分の公告の翌日
③売主が受け取るには施行者への届出が要る
清算金を売主が受け取る、または支払うと決めたなら、契約書だけでなく施行者への届出まで確かめておきましょう。
ここまでを踏まえて、売却に向けて動き出す前に確かめることが4つあります。
①通知書と登記事項証明書を並べて自分の位置を把握する
②仮換地証明書と図面で対応関係を示せるようにする
③施行者に問い合わせて計画上の条件を確かめる
④確定したときに誰が負担するかを特約で決めておく
確かめる軸は施行者と局面の2つ、判断の中心になる問いは、計画上の終わりまで待てるかの1つです。
その上で、進む方向を決めます。
①使用収益ができる状態で仲介で売る
②事業終盤なら公告前に決済と登記を終える日程を組む
③現況のまま買い取ってもらう
不動産買取は、仲介よりも価格が低くなるのが一般的です。その一方で、買主を探す期間がいらず、まだ使えない土地でも売る時期を決めやすく、古い家を解体せずに引き渡せる場合もあります。維持費から早期に解放される点も含めて、買取を選ぶメリットになります。
区画整理の仮換地は、売れないのではありません。売れる条件が、局面と施行者によって変わるだけです。事業の終わりが見えなくても、自分がいつ手放すかは選べます。「あと何年待つのか?」そこを自分で決めたとき、はじめて判断が定まります。
私たちエスエイアシストは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、扱いが難しい「お困り物件」のご相談を数多くサポートしてきました。
「どこに相談すればいいか分からない」「家族に迷惑をかけたくない」と感じている方こそ、ひとりで抱え込まず、まずは現状をお聞かせください。お客様の状況やご希望を踏まえ、無理のない出口プランを一緒に考えます。お困りの物件でお悩みの方は、ぜひエスエイアシストまでご相談ください。
【参考エビデンス・出典】
・土地区画整理法(e-Gov法令検索)
仮換地の指定と通知(98条1項・5項)、仮換地の指定の効果として原則として従前地の使用収益ができなくなり仮換地を使用収益すること(99条1項)、仮換地の使用収益を開始できる日を別に定められること(99条2項)、換地処分は原則として区域の全部について工事が完了した後に遅滞なく行うこと(103条2項)、換地処分の公告の翌日から換地を従前の宅地とみなすこと(104条1項)、清算金が公告の翌日に確定すること(104条8項)、清算金は不均衡が生じるときに金銭で清算し換地計画で額を定めること(94条)、仮清算金(102条1項)、確定清算金と仮清算金の差額の精算(110条1項)、施行者が変動に係る登記を申請・嘱託すること(107条2項)、公告後は原則として施行者の登記がされるまで他の登記ができないこと(107条3項)、組合施行の区域内の宅地の所有者等はすべて組合員となること(25条1項)、所有権を承継した者への権利義務の移転(26条1項)、権利者の変更があった場合に従前の者に対する処分や手続きが新たな者に対するものとみなされること(129条)、組合が賦課金を徴収できること(40条1項)、建築行為等の制限(76条1項)の根拠。
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000119
・市街地整備:土地区画整理事業の特徴と実績|国土交通省
土地区画整理事業が道路・公園等の公共施設と宅地を一体的に整備する事業であること、地権者がその権利に応じて土地を出し合う減歩によって公共用地と保留地を生み出し、利用価値の高い宅地が得られること、全事業の約半数が地権者の共同施行である組合施行であることの根拠。
URL:https://www.mlit.go.jp/toshi/city/sigaiti/toshi_urbanmainte_tk_000030.html
・市街地整備:土地区画整理事業の流れ|国土交通省
事業計画において施行地区・設計の概要・事業施行期間・資金計画を定めること、換地処分により従前の宅地上の権利が換地上に移行し清算金も確定すること、施行者が土地・建物の変更に伴う登記をまとめて実施することの根拠。
URL:https://www.mlit.go.jp/toshi/city/sigaiti/toshi_urbanmainte_tk_000033.html
・土地区画整理事業運用指針(令和6年4月)|国土交通省
賦課金は組合との関係ではその時点の権利者(組合員)が支払義務を負うこと、総会の議決により組合員に賦課金が課される場合があること、仮換地の売買契約で旧権利者の負担を明示する例もあるが最終的な負担者が明確でないと無用の混乱を招くため、事業完了前の売買契約の際の負担者を明確にするよう組合が組合員に指導することが望ましいとされていること、既成市街地で大量の建物移転等を伴う場合等に事業施行期間が長期化する傾向にあることの根拠。
URL:https://www.mlit.go.jp/toshi/city/sigaiti/content/001740690.pdf
・換地処分のしおり|鴻巣市・広田中央特定土地区画整理事業
換地処分の公告の翌日を権利移行日とすること、一般の登記が再開する時期は登記閉鎖後であり地区ごとに定まること、清算金の対象者が公告時の土地所有者等であること、売主に帰属させる、または売主が負担する取り決めがある場合には債権譲渡・債務引受等の別手続きが必要になることの根拠。
URL:https://www.city.kounosu.saitama.jp/uploaded/attachment/27392.pdf
・土地区画整理事業に伴う清算金に対する課税|国税庁
仮換地の売買で清算金を売主に帰属させる特約があり、売買当事者が清算金に関する債権債務の譲渡届出書を市に提出し、市が売主に清算金を交付している場合に、売主の清算金に係る譲渡所得について収用等の場合の課税の特例を適用して差し支えないとされていることの根拠(関係法令:租税特別措置法33条)。
URL:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/14/10.htm
・仮換地指定を受けている土地に住宅を建設する場合、融資の対象になりますか?|住宅金融支援機構(フラット35)
仮換地の指定を受けた土地での住宅建設も融資の対象となること、原則として対応する従前地に第1順位の抵当権を設定すること、登記閉鎖中で融資実行後すみやかに抵当権を設定できない場合には融資金を受け取れないことの根拠。
URL:https://jhffaq.jp/jhffaq/flat35/web/knowledge3342.html
弊社は「ピタットハウス浦和西口店・恵比寿店」としての営業を2026年7月をもって終了し、
「【エスエイアシスト本店(浦和)/東京支店(池袋)】」としてリニューアル営業しております。
過去のブログ内に旧店舗名の表記が残っている箇所がございますが、スタッフや運営会社等に変更はございません。
これまで以上に皆様のニーズに寄り添ったお部屋探し・不動産サポートに努めてまいります。



