マンション建替円滑化法は再生円滑化法へ!売却に影響する変化と3つの道

独自のノウハウにより、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、他の不動産会社では取り扱いづらい「お困り物件」を解決に導いてきた、不動産・用地開発のスペシャリスト・株式会社エスエイアシストがお届けする「お困り物件コラム」。第170回目は「マンション建替円滑化法の改正にからむ売却」です。

総会の議案書に、建替えのほかに見慣れない決議の名前が並んでいて、戸惑っていませんか。マンションに関わる法律の名前が変わったという話も耳にするものの、解説を読んでも自分の部屋が残るのか消えるのかまでは書かれていません。結論から言うと、2026年4月1日に「マンション建替円滑化法」は改正され、名称も「マンション再生円滑化法」へ変わりました。そして現に建物が建っている単棟のマンションでは、従来の建替えに加え、新設された4つの手法を含む計5つの選択肢が整理されています。どれになるかで、建物を維持するのか、区分所有権を手放して売却するのか、費用と手続きの時期が変わります。しかも、もしその部屋を貸しているなら、入居者への対応費用が別に発生します。

今回の記事では、マンション建替円滑化法の改正で建替えを含む5つになった決議によって、自分の部屋に何が起きるのかを解説します。議案書のどこを読めば売却の判断ができるのか、そして最終的に選べる3つの道までを整理します。ぜひ最後までお付き合いください。

お困り物件買取事業

マンション建替円滑化法が再生円滑化法へ変わった経緯

はじめに、「マンション建替円滑化法」がどう変わったのか、その経緯と中身を押さえます。よく使われるこの呼び名は、2026年4月1日から正式なものではなくなりました。

①法律の名前が変わった
まず、正式名称は「マンションの再生等の円滑化に関する法律」となり、公式の略称は「マンション再生円滑化法」です。建替えだけを対象とする法律ではなくなったため、名称から「建替え」が外れたのです。ウェブ上にはマンション建替円滑化法のまま更新されていない解説も多く残っているので、読んでいる情報がいつ時点のものかを確かめる必要があります。

②従来の建替えに加え新たに4つの再生手法(決議)が加わった
この改正前は、老朽化したマンションを多数決で処分する手段が、実質的に建替えに偏っていました。改正後は、建物を壊さずに再生する方法や、建物と土地をまとめて売却する方法が用意されました。なお、被災して建物が滅失した場合や団地型のマンションには、これとは別の決議と制度が設けられています。この記事では、現に建物が建っている単棟のマンションを前提に説明します。

③決め方のルールは変わっていない
一方で、決議に必要な賛成の割合は据え置かれています。ここは「区分所有法」が定めており、決議のあとの事業手続きをマンション再生円滑化法が担うという役割分担になっています。原則として、「建替え決議」「建物更新決議」「取壊し決議」は、区分所有者数と議決権の各5分の4以上が必要です。「建物敷地売却決議」「建物取壊し敷地売却決議」では、これらに加えて敷地利用権の持分の価格についても5分の4以上が求められます。一括売却に関する決議だけ、数える物差しが1本多いということです。

なお「改正で要件が4分の3に緩和された」という説明を見かけますが、正確ではありません。4分の3に下がるのは、
・地震に対する安全性
・火災に対する安全性
・外壁や外装材の剥離(落下)による危害のおそれ
・改修が著しく困難な給排水配管の劣化
・バリアフリー基準への不適合
という5つの客観的事由のいずれかに該当する場合だけです。建物が古いというだけでは決議要件は下がりません。

この緩和は上記5つの決議に共通して適用されます。また、行政の「要除却等認定」は決議の要件ではなく、容積率の特例や事業を使うための別の制度なので、混同しないよう注意が必要です。

つまり、マンション建替円滑化法の改正で選べる道は広がったものの、決めるための壁の高さは依然として高いままだということです。

マンション建替円滑化法の改正で広がった5つの決議

続いて、マンション建替円滑化法の改正で広がった5つの決議を整理します。名前は似ていますが、建物を壊すのか、土地を売却するのかで中身が大きく違います。

①建替え決議は「壊して新たに建て替える」
1つ目は、今ある建物を取り壊したのちに、その敷地内で新たに同程度の建物を建築するための決議です。再建後の建物は概ね従前の所有者で構成されますが、新たに購入して入居する所有者も入るケースがあります。工事中は仮住まいが必要になり、住戸の広さや間取りが変わる場合があります。

②建物更新決議は「壊さずに一棟まるごと更新する」
2つ目は、構造上主要な部分の効用を維持または回復するために共用部分の形状を変更し、あわせてすべての専有部分の形状、面積、位置関係を変更する決議です。一般にいう一棟リノベーションに近い手法ですが、専有部分にも手が入るため、工事内容によっては仮住まいが必要になり、住戸の広さや間取りが変わる可能性もあります。

③取壊し決議は「壊すところまでを決める」
3つ目は、建物を取り壊すことだけを決める制度です。この決議で定めるのは取壊しに要する費用の概算額と、その費用の分担だけで、売却の相手方も代金の見込額も出てきません。取り壊したあと再建するのか、敷地を売却するのか、別の使い方をするのかは、あらためて検討と決議が必要になります。

④建物敷地売却決議は「建物と土地をまとめて売却する」
4つ目は、マンション全体と敷地を一括して買主に引き渡すための決議です。区分所有者が個々に売却するのではなく、多数決によってマンション全体と敷地を一括して買受人(デベロッパーなど)に売却します。この決議の議案には、売却の相手方、代金の見込額、各区分所有者が取得できる金銭の額の算定方法を定めることが義務付けられています。そのため決議の前の段階で、金額がどう計算されるのかという考え方は確認できます。

⑤建物取壊し敷地売却決議は「壊してから土地を売却する」
5つ目は、建物を解体して更地にしたうえで敷地を売却するための決議です。買主が、自由度が高く、解体などの手間がかからない更地を求めている場合に選ばれる方法です。

ここで押さえておきたいのは、建替え決議と建物更新決議は建物と区分所有関係を維持する方向であり、2つの敷地売却の決議は現在の区分所有権を手放して転出する方向だという点です。取壊し決議はそのどちらでもなく、解体を決めた段階では最終的な権利関係もお金の受け取り方も確定しません。

また建物敷地売却決議では、売却条件に別段の合意がない限り、購入後の建物や敷地の使い方は買受人の判断に委ねられます。元の区分所有者が同じ場所に戻るには、買受人との別の合意が必要です。

なお、これらは区分所有法(およびその後の事業を担うマンション再生円滑化法)に基づいて管理組合が建物全体を一括処分する手続きですが、自分の一室を通常どおり不動産市場で売却することは、これらとはまったく別の制度です。この記事では混同しないよう書き分けます。

自分のマンションでどれが検討されているのかを知ることが、判断の出発点になります。

議案書に自分の部屋の売却額と退去日は書かれていない

とはいえ、送られてきた議案書を読んでも、自分の部屋の処分や売却についてまでは読み取れません。理由は3つあります。

①議案書は事業全体の説明が中心になっている
まず、議案書に載るのは全体の金額であって、あなた個人の手取り額ではありません。書かれるのは「事業の必要性」「全体の費用」「想定される日程」といった管理組合全体としての情報です。一括売却を伴う決議案には、法律によって「代金の見込額」や「分配金の算定方法」を記載する義務がありますが、それらはあくまで全体の計算ルールや見込みに過ぎません。自分の個別事情(住宅ローンの残債や税金など)を差し引いた「最終手取り確定額」や、実際に引越しを行う「具体的な確定スケジュール」までは、原則として書かれていないのです。

②決議名が似ていて壊すのか壊さないのかが読み取りにくい
また、「建物更新決議」と「建物取壊し敷地売却決議」は字面が近く、専門用語に慣れていないと違いを見落とします。しかし、前者は建物が残る一方、後者は建物がなくなります。ここを取り違えると、判断そのものが逆になります。

③賃貸借の手続きは議案に出てこない
さらに、もし部屋を賃貸に出している場合、賃借人との賃貸借契約の終了や、通常生ずる損失の補償金の支払いに関する手続きが別に必要になります。ところが、これは区分所有者個人の問題として扱われるため、管理組合の議案書には具体的な交渉プロセスや負担額は登場しません。

要するに、議案書は「マンション全体をどうするか」の資料であって、あなた個人の「部屋の最終的な手取り額や、明渡しの確定スケジュール」がそのまま載っている資料ではないということです。

再生円滑化法に基づく組合設立後は売却の自由度がなくなる

そのうえで、判断を先送りにするとどうなるかを見ておきます。ポイントは個別売却の自由度であり、分かれ目になるのは決議そのものではなく、決議のあとに組合が設立される段階です。

①再生の検討時は買主の判断や融資に影響する
たとえ決議が成立しても、その時点で区分所有権がただちに移るわけではありません。マンション再生円滑化法にもとづく事業の手続きが動き出すまでは、自分の判断で住戸を売却する余地が残っています。ただし再生の検討が進んでいることは、買主の判断や融資に影響するため、状況を適切に説明する必要があります。

②組合が設立されると売却に組合の承認が必要になる
建替えや建物更新の事業では、再生円滑化法に基づく組合の設立などの公告があったあと、施行者(組合)が登記所に権利変換手続開始の登記を申請します。この登記がされた後は、「組合員が区分所有権や敷地利用権を処分するときは、施行者の承認を得なければならない」という趣旨が定められています。承認を得ずに行った処分は、施行者に対抗することができません。

なお、施行者の側も事業の遂行に重大な支障が生じるなどの正当な理由がなければ、承認を拒むことはできないとされています。とはいえ、売却のたびに組合へ相談する必要が生じる点は変わりません。自分だけの判断で買主と話を進められる状態ではなくなります。

③売却事業では自分の都合に関わらず一括で権利を失う
建物敷地売却や建物取壊し敷地売却の事業では、マンション等売却組合(売却事業を行うために設立される認可法人)の組合員となったうえで、分配金取得計画の認可を待ちます。そして計画に定められた権利消滅期日に、区分所有権と敷地利用権を失います。日付は計画で決まるため、自分の都合で前後させることはできません。

このように、組合が設立される前と後では、売却について動かせる幅がはっきり変わります。加えて、方針が1つに絞られるまでの時間そのものも長くなりがちです。法改正(区分所有法の改正)により選べる手法が5つに整理や新設されたぶん、管理組合が比較検討する対象も増えたためです。

そして合意形成が長引く間も、負担の増加と資産価値の下落は進みます。国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、計画上の予定積立残高に対して実際の修繕積立金の積立残高が不足しているマンションは36.6パーセントにのぼっています。
しかもそのうち、不足が20パーセントを超えているマンションが11.7パーセントを占めます。方針が決まらない間も修繕は先送りになり、負担感は積み上がっていきます。

つまり、時間の経過とともに減っていくのは資産価値だけではなく、自分で売却を決められる範囲そのものだということです。

貸している部屋は補償金を払うまで明け渡してもらえない

そして、ここで別視点を加えます。もし部屋を賃貸に出している場合には、住んでいる場合とは別の負担が発生します。見落とされやすいところなので、順に確認しておきます。

①賃貸借の終了を請求できる人は法律で決まっている
まず、賃貸借の終了を請求できるのは、建替え決議等に賛成した区分所有者、再生(建替え・更新・売却等)に参加する旨を回答した区分所有者、これらの人の全員の合意で指定された人、そして賃貸されている専有部分の区分所有者本人です。区分所有者なら誰でも他人の部屋について請求できるわけではありません。なお、賃借人の同意は必要ありません。

②請求の日から6か月で賃貸借契約は終了する
次に、終了の効力が生じるのは請求から6か月後です。すぐに空けてもらえるわけではないため、事業の日程から逆算した準備が要ります。

③通常生ずる損失の補償金を支払う義務がある
そして、賃貸借の終了によって賃借人に生じる通常の損失について、法律上、その部屋の区分所有者が補償金を支払わなければなりません。損失としては、引越し費用などが想定されます。

④補償金の提供を受けるまで賃借人は明渡しを拒める
加えて、たとえ賃貸借が終了しても、賃借人は補償金の提供を受けるまで明渡しを拒むことができると定められています。つまり支払いを済ませない限り、部屋は空きません。

なお、この補償金は区分所有者だけが背負うとは限りません。区分所有者以外の終了請求者(賛成者の合意で指定された請求権者など)は、その部屋の区分所有者と連帯して弁済する責任を負います。賃借人に対する法律上の支払義務者と、関係者どうしの最終的な負担分担は、分けて確認しておく必要があります(ただし、組合等が代わりに弁済した場合は、最終的にその費用が当該区分所有者へ求償される場合あり)。

また、無償で貸している場合(使用貸借)と配偶者居住権が設定されている場合とでは扱いが異なります。使用貸借については、終了の請求権と「請求から6か月後に契約が終了する」という規定のみが準用(ある規定を、それと類似する別の対象に必要な修正を加えて適用すること)され、補償金の規定は準用されません。配偶者居住権については、消滅請求とあわせて補償の規定も準用されます。

貸している部屋では、売却による代金(分配金)や建替えに伴う清算金などを受け取る時期とは別に、賃借人への補償金や明渡しへの対応費用が発生します。売却や再建で手元に残る金額を計算するときは、この支出を先に見込んでおく必要があります。

再生円滑化法の手続きが動く前に確かめる売却の判断材料

そこで、決議や再生円滑化法の事業手続きが動き出す前に、手を動かしておきます。順番に進めるだけで、売却するかどうかの判断材料はそろいます。

①議案書でどの決議が議案になっているのかを確認する
最初に、「建替えなのか」「建物更新(一棟リノベーション)なのか」「一括売却(敷地売却等)なのか」「取壊しだけなのか」、この一点で自分の部屋の行き先が決まります。決議の名称をそのまま書き写しておくと、後で調べるときに間違えません。

②売却系であれば代金の見込額と算定方法を読む
次に、先述のとおり、「代金の見込額」「算定方法」、この2つは決議の中で定められます。手取りを見積もる手がかりはここにあります。数字だけでなく、どういう考え方で算出しているかまで押さえておきます。

③自分の部屋の状況を書き出す
あわせて、「登記名義」「住宅ローンの残債」、賃貸に出しているなら「契約の残存期間」と「賃借人の状況」。この4つを1枚の紙に並べると、売却に動けるかどうかが見えてきます。

④相談先を役割で分けて判断する
最後に、手続きや賃借人との関係といった制度や法律の疑問は、自治体の相談窓口のほか、国が指定する専門窓口の「住まいるダイヤル(03-3556-5147)」や弁護士へ。管理運営や長期修繕計画の中身は、自治体の窓口や「マンション管理センター」へ。売却の価格や具体的な買取条件は、複数の不動産業者や不動産鑑定士へ。相手を役割で分けておくと、判断を誤りにくくなります。

なお資金面では、マンション再生等事業を対象とする公的融資に高齢者向けの返済特例があります。ただし借入申込時に満60歳以上であることと、自分が住む住宅であることが条件です。50代の方や賃貸に出している住戸では使えないため、あてにして判断しないほうが安全です。

このように、組合が設立されてからでは売却の自由度ははっきりと制限されてしまいます。加えて、法改正(区分所有法の改正)によって選べる手法が5つに整理や新設されたため、管理組合が方針を1つに絞るまでの比較検討にも、以前より長い時間がかかることが予想されます。

だからこそ、組合が設立される前の「今」のうちに、これらの準備を進めておくことが不可欠なのです。選択肢そのものを増やすわけではありませんが、期限が迫る中で、自分自身が正しい決断をくだすための重要な材料になります。

自分の部屋がどうなるかで選ぶ3つの道

その上で、進む道を整理します。法律上の選択肢はこれだけではありませんが、区分所有者が検討しやすい代表的な3つの方向としてまとめます。

①建物と区分所有関係を維持する道に乗る
1つ目に、建替え決議または建物更新決議に参加する道です。追加負担を用意でき、工事期間中の住まいを確保できる場合に向いています。議案書で負担額と工期を確認し、参加の意思を回答し、権利変換(従前の権利を再建後の住戸などに移す)の手続きに進みます。
ただし、原則として5分の4以上(一定の客観的事由がある場合は4分の3以上)の賛成がそろわなければ計画そのものが動かず、建物を壊さない建物更新であっても専有部分に工事が及ぶため、一時的な仮住まいが必要になる場合があります。

②一括売却で区分所有権を手放して転出する
2つ目に、建物敷地売却決議または建物取壊し敷地売却決議に進む道です。追加負担を負う余力がなく、分配金(または建替え不参加時の清算金)を受け取って住み替える場合に向いています。議案書の算定方法と代金の見込額を確認し、分配金取得計画(または不参加時の権利変換計画)と所有権が移転する期日を待ちます。
また、貸している場合は、決議案が可決される前の段階から、賃借人との明渡しの調整を先行して進める必要があります。
ただし、期日は自分では動かせず、補償金の支出が分配金(または清算金)より先になる場合があります。なお、取壊し決議だけが可決された段階では、この道に進むかどうかはまだ決まっていません。

③決議を待たずに自分の住戸だけ売却する
3つ目に、決議を待たずに自分の住戸だけ売却する道です。方針が固まらないうちに手放したい場合や、賃貸中の調整を自分で抱えたくない場合に向いています。管理組合の資料をそろえ、制度上の可否を公的な窓口で確認したうえで、不動産買取業者による買取条件を確認し、一般市場での仲介による売却条件と比較します。
決議前の任意売却では、区分所有法や再生円滑化法に基づく一括処分手続きとは異なり、売却の時期や相手方、契約条件を交渉できる可能性があります。
ただし、決議の前に売却すれば必ず高く売れるとは限りません。マンション再生の検討が進んでいるという不安定な状況は、一般の買主に敬遠されることがあるためです。再生の検討が進んでいることは買主の判断や融資に影響します。売却の際は状況を適切に説明し、決議が成立した場合の扱いも契約で整理しておく必要があります。

その場合、現況での買取を検討する事業者に相談する方法があります。買取であればリフォームや残置物の片づけを求められないことが多く、引渡し日も相談して決められます。
ただし、価格、賃借人の扱い、決議後の権利関係の整理は事業者ごとに異なるため、仲介と買取の両方で条件を比べることが大切です。

判断を誤らないためには、まず「自分の部屋の現在の市場価値(査定額)」を正しく把握し、建替え参加に必要な追加負担額と同じ土俵で比べられるようにすることが第一歩です。「マイホームの3,000万円特別控除などの税制特例が適用できるか」を確認したうえ(賃貸に出している住戸は不可)で、想定される税金、住宅ローンの残債、賃借人への補償金、引越し費用を差し引いた「手取り額」で厳密に比較してください。

まとめ

今回の記事では、マンション建替円滑化法の改正で広がった選択肢と、自分の部屋の売却にどう影響するのかを解説してきました。

はじめに、マンション建替円滑化法が2026年4月に何が変わったのかを確認しました。
①法律の名前が変わった
②従来の建替えに加え新たに4つの再生手法(決議)が加わった
③決め方のルールは変わっていない

正式名称は「マンションの再生等の円滑化に関する法律」、公式の略称はマンション再生円滑化法です。決議に必要な賛成は原則各5分の4のままで、売却系の2つの決議では敷地利用権の持分の価格についても5分の4以上が必要になります。4分の3に下がるのは5つの客観的事由に該当する場合だけです。

次に、区分所有法(およびその後の事業を担うマンション再生円滑化法)によって整理や新設された5つの決議を整理しました。
①建替え決議は「壊して新たに建て替える」
②建物更新決議は「壊さずに一棟まるごと更新する」
③取壊し決議は「壊すところまでを決める」
④建物敷地売却決議は「建物と土地をまとめて売却する」
⑤建物取壊し敷地売却決議は「壊してから土地を売却する」

建替え決議と建物更新決議は建物と区分所有関係を維持する方向、2つの敷地売却の決議は現在の区分所有権を手放して転出する方向です。取壊し決議の段階では、最終的な権利関係もお金の受け取り方も確定しません。

そして、議案書を読んでも自分の部屋の売却がどうなるか分からない理由を挙げました。
①議案書は事業全体の説明が中心になっている
②決議名が似ていて壊すのか壊さないのかが読み取りにくい
③賃貸借の手続きは議案に出てこない

そのうえで、判断を先送りにするとどうなるかを見ました。
①再生の検討時は買主の判断や融資に影響する
②組合が設立されると売却に組合の承認が必要になる
③売却事業では自分の都合に関わらず一括で権利を失う

そして、管理組合での合意形成が長引く間も、負担の増加と資産価値の下落は進みます。

貸している部屋については、次の4点を押さえてください。
①賃貸借の終了を請求できる人は法律で決まっている
②請求の日から6か月で賃貸借契約は終了する
③通常生ずる損失の補償金を支払う義務がある
④補償金の提供を受けるまで賃借人は明渡しを拒める

なお、無償で貸している場合は終了請求と6か月の規定だけが準用され、補償金の規定は準用されません。配偶者居住権については補償の規定も準用されます。

決議やマンション再生円滑化法の手続きが動き出す前に確かめておくことは以下です。
①議案書でどの決議が議案になっているのかを確認する
②売却系であれば代金の見込額と算定方法を読む
③自分の部屋の状況を書き出す
④相談先を役割で分けて判断する

その上で、代表的な3つの道があります。
①建物と区分所有関係を維持する道に乗る
②一括売却で区分所有権を手放して転出する
③決議を待たずに自分の住戸だけ売却する

決議前の任意売却では、法定の手続きとは別に、売却の時期や相手方、契約条件を交渉できる可能性があります。再生の話が出ているマンションは仲介での売却に時間がかかることがあるため、現況での買取もあわせて比較しておくと判断しやすくなります。

ただし、判断の際は、査定額や受取分配金そのものではなく、建替えや更新に参加する場合の「追加負担額(清算金)」、あるいは売却時に引かれる税金、住宅ローンの残債、賃借人への補償金、引越し費用を差し引いた「手取り額」で厳密に比較してください。

当社の買取査定に費用はかかりません。先に金額を知っておけば、建替えへの参加と売却をはじめて同じ土俵で比べられるようになります。

私たちエスエイアシストは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、扱いが難しい「お困り物件」のご相談を数多くサポートしてきました。
「どこに相談すればいいか分からない」「家族に迷惑をかけたくない」と感じている方こそ、ひとりで抱え込まず、まずは現状をお聞かせください。お客様の状況やご希望を踏まえ、無理のない出口プランを一緒に考えます。お困りの物件でお悩みの方は、ぜひエスエイアシストまでご相談ください。

【参考エビデンス・出典】

・国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
個人が自ら居住しているマイホーム(区分所有財産)を一般市場で任意売却した際に、譲渡益(もうけ)から最高3,000万円まで控除できる税務上の特例(3,000万円特別控除)を規定しています。自分が住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することなどの期限要件が示されており、相続物件や非居住住戸を売却する際の手取り額に大きく影響します。
URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

・建物の区分所有等に関する法律(e-Gov法令検索)
建替え決議・建物更新決議・取壊し決議は区分所有者数と議決権の各5分の4以上、建物敷地売却決議・建物取壊し敷地売却決議はこれに加えて敷地利用権の持分の価格も5分の4以上であること、4分の3に緩和される5つの客観的事由、各決議で定めるべき事項、賃貸借・使用貸借・配偶者居住権の終了請求と6か月・補償金・連帯責任・明渡し拒絶の根拠。2026年4月1日施行の改正後条文。
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069

・マンションの再生等の円滑化に関する法律(e-Gov法令検索)
2026年4月1日に「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」から改称・施行。権利変換手続開始の登記後は組合員が区分所有権等を処分する際に施行者の承認を要すること、承認のない処分は施行者に対抗できないこと、マンション等売却組合の組合員、分配金取得計画に分配金の価額と権利消滅期日が定められることの根拠。
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000078

・国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状」
長期修繕計画上と実際の修繕積立金積立額の差について、計画に対して不足しているマンションが36.6%、うち不足が20%超のマンションが11.7%であることの根拠。
URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750158.pdf

・国土交通省「住宅:マンションの再生等について」
2026年(令和8年)4月1日施行のマンション法改正(区分所有法、マンション再生円滑化法)を踏まえ、従来の「建替え」だけでなく新設された「建物更新(一棟リノベーション)」や「一括売却」など、5つの多数決決議や実務手続きについて解説した公的マニュアルを公表しています。また、国の指定相談窓口(住まいるダイヤル:03-3556-5147、マンション管理センター)の役割についても案内されています。
URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000050.html

・独立行政法人 住宅金融支援機構「まちづくり融資(高齢者向け返済特例)」
区分所有マンションの建替えや建物更新(リノベーション)事業などの再生に参加する区分所有者が利用できる公的融資制度です。借入申込時に「満60歳以上」かつ「自ら居住する(居住用の区分所有権)」という要件を満たす場合に限り、存命中は利息のみの支払いとし、元金は死亡時に相続人が一括返済(または建物等で代物弁済)する高齢者向けの特例措置が定められています。
URL:https://www.jhf.go.jp/kojin/machizukuri_revermo.html

弊社は「ピタットハウス浦和西口店・恵比寿店」としての営業を2026年7月をもって終了し、
「【エスエイアシスト本店(浦和)/東京支店(池袋)】」としてリニューアル営業しております。
過去のブログ内に旧店舗名の表記が残っている箇所がございますが、スタッフや運営会社等に変更はございません。
これまで以上に皆様のニーズに寄り添ったお部屋探し・不動産サポートに努めてまいります。

エスエイアシストなら処分しづらい“お困り物件”を買取ります!

エスエイアシストでは、
古い住宅・アパート・倉庫・工場等を現況のまま
仕入れ、ひと手間掛けてきれいに仕上げた
住宅用地を同業他社に「土地卸し」の形で
販売することを得意としています。
          他社では買取りを断られるようなトラブルを
抱えた物件や、同業の不動産会社から
扱いに困った物件を買取り、
住宅用地として整えることで不動産価値を創出しています!

不動産事業や人材事業などお困りのことがあれば
エスエイアシストにご相談ください!

お問い合わせはこちら

仲介業者様歓迎!

Tel.048-824-0900

問合せフォーム