
独自のノウハウにより、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、他の不動産会社では取り扱いづらい「お困り物件」を解決に導いてきた、不動産・用地開発のスペシャリスト・株式会社エスエイアシストがお届けする「お困り物件コラム」。第162回目は「代位弁済と不動産売却」です。
ある日届いた代位弁済の通知に、困惑してしまう人は多くいます。「一括返済?」「競売?」との言葉に、不安に駆られるかもしれません。もし、自宅不動産が競売にかけられてしまえば、市場相場に比べて安く買い叩かれることになります。そのような事態を回避するにはどうすれば良いでしょうか?
結論から言うと、通知を受けた後は、残された時間との勝負です。競売の開札日前日までに、債権者の同意を得て売却手続きを完了できる見込みがあれば、競売ではなく、自分の意思に近い形で不動産を売却できる可能性があります。
今回の記事では、代位弁済の通知が届いたあとの競売までの流れと、それを回避するための不動産売却の進め方をわかりやすく解説します。読み終えれば、今すぐ取るべき行動と、自分に合った売り方が見えてくるはずです。ひとりで抱え込まず、ぜひ最後までお付き合いください。
代位弁済とは?住宅ローン滞納で届く通知の正体

はじめに、「代位弁済(保証会社が債務者に代わってローン残額を一括で立て替える仕組み)」とは、住宅ローンの滞納が数か月続いたときに行われる法的な手続きです。
①借金は消えず「返済先が変わった」だけ
ここで誤解してはいけないのが、「借金が消えるわけではない」という点です。返済先が「銀行」から、立て替えた分を請求する権利(求償権)を持つ「保証会社」や「サービサー(債権回収会社)」へ移ったにすぎません。
②「期限の利益」を失い一括返済を迫られる
滞納が続くと、ローンを分割で少しずつ返せる権利である「期限の利益」を失います。これを失うと、残った住宅ローン全額に遅延損害金を加えた金額での一括返済を求められ、それに伴って代位弁済が行われます。つまり、従来どおりの月々の約定返済は原則としてできなくなります。
③フラット35は流れが少し異なる
なお、住宅ローンの種類によっては流れが少し変わります。「フラット35(住宅金融支援機構)」の場合、返済の継続が困難となり、やむなく返済継続を断念せざるを得ないときは、機構から任意売却などの対応を案内され、残債務を圧縮する方法を検討することになります。
要するに、代位弁済は「相手が回収のプロに変わった」というサイン。ここから先は、放置がいちばんの禁物です。
代位弁済の通知後は競売までの時間が短い
この代位弁済の通知が届いたら、まず意識してほしいのが「時間」です。ここが、この記事でもっとも伝えたいポイントです。
①競売の手続きは止まることなく進む
一括返済に応じないままでいると、債権者は裁判所を通じて「競売(裁判所が不動産を強制的に売却する手続き)」を申し立てます。競売が始まると、裁判所の執行官や評価人による現況調査が行われ、その後の公告や期間入札を経て、開札へと進みます。一連の流れは数か月単位で、止まることなく進んでいきます。
②競売を逃れる最終ラインの目安は「開札日の前日」
ここで重要なのが、開札日の前日が「任意売却(住宅ローンが想定する売却価格で完済できない場合でも、金融機関の同意を得て自宅を手放す方法)」によって家を売却できる最終ラインの目安だということです。競売の開始決定が出た後は、物件が差し押さえられるため、所有者が自由に不動産を処分することが難しくなります。
その任意売却で買い手を見つけ、債権者の合意を得て契約を終えるには、それなりの期間が必要です。だからこそ、決断が遅れるほど、選べる手段は一つずつ減っていきます。
代位弁済の放置で競売になる4つのリスク
そんな代位弁済の通知がきたにもかかわらず「いずれ何とかなる」と動かずにいると、競売まで進んでしまいます。そのとき失うのは、家だけではありません。代表的なリスクを順に見ていきます。
①市場相場より安く売られ残債が残る
第一に、価格の問題です。競売での売却価格は、一般市場での相場より低くなる傾向があり、5〜7割程度とされることもあります。安い値段で落札されやすいため、家を失ったあとも多くの残債(売却しても返しきれず残る借金)が手元に残るリスクが高まります。
②現況調査で経済状況が周囲に知られる
第二に、プライバシーの問題です。競売が始まると現況調査で強制的に家の内外を調査されます。その結果作成された「現況調査報告書」や「評価書」は、裁判所の閲覧室やインターネット上に広く公開されるため、経済的に困難な状況を周囲に推測されるおそれがあります。
③強制退去で引越し費用の交渉もできない
第三に、退去と費用の問題です。落札者が売却代金を納付すると所有権は移転します。明け渡しの強制執行(強制的な立ち退き)が行われることもあります。また、任意売却であれば引越し費用の捻出やその日程の調整もできる場合がありますが、競売の場合はその調整が難しくなります。
④連帯保証人にも一括請求が及ぶ
第四に、連帯保証人への影響です。返済が滞れば、連帯保証人にも一括請求が及びます。連帯保証人への事態の共有を後回しにするほど感情的な軋轢が生まれやすく、関係性の悪化にも繋がりかねません。
競売は「安く・知られて・強制的に」かつ連帯保証人に迷惑をかけて進む手続きです。だからこそ、先手を打つ意味があります。
任意売却と代位弁済で知るべき実務上のポイント

では、代位弁済の通知を受けて不動産売却を考える前に、ここでは、任意売却を進める前に押さえておきたい実務上のポイントを確認します。ここを知らないと、いざというときに動きが止まってしまいます。
①連帯保証人の同意は書面で必要になる
まず、任意売却を正式に進めるには、名義人だけでなく連帯保証人の同意も欠かせないため、早めに共有しておく必要があります。実務上は、債権者の指定書式に従い、連帯保証人として「任意売却に関する申出書」等に実印を押印し、印鑑証明書を添付して提出することなどが求められます。家族や親族に事情を打ち明けづらいという感情的なためらいが、手続きを止めてしまう最大の要因です。
②フラット35は機構が直接申立てをする
次に、フラット35の扱いです。フラット35の場合は、返済継続が困難となった際に機構から任意売却などの対応が直接案内されます。「代位弁済の通知が来ないから大丈夫」という思い込みは禁物です。なお、手続きを進めても任意売却が成立する見込みがないと機構が判断した場合には、機構によって不動産競売の申立てが行われることがあります。
③「競売開札日の前日」までに任意売却しないといけない
最後に、期限の感覚です。任意売却の手続きを完了させ、競売を回避できる最終期限は、競売の開札日の前日とされています。しかし、売却を完了させるまでには、売出価格について債権者の確認を得たり、代金決済予定日の2週間以上前までに債権者へ所定の報告書を提出したりするなど、数多くの手続きを踏まなければなりません。逆算すると、買い手探しや債権者との合意に充てられる時間は、決して長くありません。
これらは、次の選択肢を正しく選ぶための前提知識です。頭の片隅に置いておいてください。
代位弁済後に不動産売却を進める手順とは?
ここからは、代位弁済の通知後の不動産売却に向けて、具体的な行動の話です。あわてて売り先を探す前に、まず足元を固める順番を確認しましょう。
①通知と残債や競売の段階を確認する
すぐに手元の代位弁済の通知を読み返し、残債額と遅延損害金を確認します。あわせて、裁判所から競売開始決定の通知が届いていないかどうかも確認してください。今、手続きがどの段階にいるのかを知ることが出発点です。
②返済先(保証会社・サービサー)を確かめる
また、手元の通知から返済先である保証会社やサービサーがどこかを確かめます。相手が誰に変わったのかを把握しておくと、その後の専門家を交えた話が進めやすくなります。
③連帯保証人へ早めに事情を伝える
あわせて、連帯保証人へ早めに事情を伝え、同意を得られる状態にしておきます。任意売却には連帯保証人の同意も欠かせないため、ここを後回しにすると、いざ売却というときに手続きが止まりかねません。
以上の準備が整ったら、自力での債権者交渉は難しいため、不動産の専門家へ早めに相談し、以下のような具体的な手順で任意売却を進めていきます。
・申出書の提出:債権者へ「任意売却に関する申出書」を提出して手続きを開始
・物件調査と売出価格の決定:業者が物件を調査・査定し、債権者がその査定をもとに「売出価格」を確認
・媒介契約と販売活動:仲介業者と専任(または専属専任)媒介契約を結び、販売活動を開始
・売買契約と決済:買い手が見つかったら、債権者や利害関係人の承諾を得た上で売買契約を結ぶ
これらは、競売を回避して自分の意思で売却を進めるために、共通してやるべき準備と手順です。順番に進めるだけで、迷いはぐっと減るはずです。
競売を回避するための不動産の売却方法3つ
その上で、状況に合わせて売り方を選びます。代位弁済の後でも、不動産売却の選択肢は一つではありません。ここで伝えたいのは、「自分に合う任意売却の方法を競売の開札日が来る前に選んで完了させる」ことです。
①不動産仲介で任意売却(開札日まで時間に余裕がある場合)
まず、開札日までに一定の期間があり、市場価格に近い金額で売りたい方に向く方法です。債権者の合意と連帯保証人の同意を得たうえで、一般市場で買い手を探して売却します。競売より高く売れやすく、残債を圧縮できる可能性があります。
ただし、合意形成と買い手探しに時間がかかり、間に合わなければ競売に流れてしまう点に注意が必要です。
②現況のまま売る買取(時間がない・知られたくない場合)
次に、競売の開札が迫っている、片付けや内覧を避けたい、近所に知られたくないという方に向く方法です。買取業者に査定を依頼し、現況のまま売買契約を結んで、短い期間で決済や引き渡しまで進められます。
ただし、手間をかけずに早く現金化しやすい一方で、市場価格より売却額が下がる場合があります。
③リースバック(住み続けたい場合)
最後に、売却したあとも同じ家に住み続けたい方に向く方法です。自宅を売却すると同時に、その買取業者と賃貸借契約を結び、家賃を払いながら住み続けます。
引っ越しの必要がない点が魅力ですが、家賃の負担や契約期間の制約があるため、条件をよく確認して契約することが大切です。
後者2つは、不動産業者による買取を利用することになります。代位弁済の通知が届いてから競売に至るまでは、想像以上に早く進んでしまいます。その点、業者との直接取引で確実な物件の現金化が見込めます。
「代位弁済」の通知を受けて、その難しい手続きに困惑し不動産売却に迷ったときは、自分の状況に合う売り方を専門業者へ早めに相談することです。
まとめ
今回の記事では、代位弁済の通知が届いたあとの競売までの流れと、それを回避するための不動産売却の進め方をわかりやすく解説してきました。
はじめに「代位弁済」とは、「保証会社が債務者に代わってローン残額を一括で立て替える仕組み」のことで、住宅ローンの滞納が数か月続いたときに行われる法的な手続きです。
①借金は消えず「返済先が変わった」だけ
②「期限の利益」を失い一括返済を迫られる
③フラット35は流れが少し異なる
要するに、代位弁済は「相手が回収のプロに変わった」というサインであり、この通知が届いてまず意識してほしいのが「時間」です。
①競売の手続きは止まることなく進む
②競売を逃れる最終ラインの目安は「開札日の前日」
任意売却で買い手を見つけ、債権者の合意を得て契約を終えるには、それなりの期間が必要です。にもかかわらず放置すると競売まで進み、失うのは家だけではありません。
①市場相場より安く売られ残債が残る
②現況調査で経済状況が周囲に知られる
③強制退去で引越し費用の交渉もできない
④連帯保証人にも一括請求が及ぶ
競売は「安く・知られて・強制的に」かつ連帯保証人に迷惑をかけて進む手続きです。それを回避して不動産売却を考えるなら、以下の実務上のポイントがあります。
①連帯保証人の同意は書面で必要になる
②フラット35は機構が直接申立てをする
③「競売開札日の前日」までに任意売却しないといけない
これらは、選択肢を正しく選ぶための前提知識です。それを踏まえての具体的な行動は以下です。
①通知と残債や競売の段階を確認する
②返済先(保証会社・サービサー)を確かめる
③連帯保証人へ早めに事情を伝える
以上の準備が整ったら専門家を交え、「申出書の提出→物件調査と売出価格の決定→媒介契約と販売活動→売買契約と決済」の手順で任意売却を進めていきます。
これらは、競売を回避して自分の意思で売却を進めるために、共通してやるべき準備と手順です。順番に進めるだけで、迷いはぐっと減るはずです。
その上で、状況に合わせて売り方を選びます。ここで伝えたいのは、「自分に合う任意売却の方法を、競売の開札日が来る前に選ぶ」ことです。
①不動産仲介で任意売却(開札日まで時間に余裕がある場合)
②現況のまま売る買取(時間がない・知られたくない場合)
③リースバック(住み続けたい場合)
後者二つは、不動産業者による買取を利用することであり、仲介による任意売却にくらべて売却価格は低くなります。ただ、代位弁済の通知が届いてから競売に至るまでの期限を考えたとき、業者との直接取引で確実に現金化しやすい点は大きな利点です。
「代位弁済」という難しい手続きに困惑し迷ったときは、自分の状況に合う売り方を専門業者へ早めに相談することが大切です。私たちは、お困り物件や訳あり案件に対する実績とノウハウがあります。複数の選択肢を踏まえ、人に知られにくい形で出口を一緒に設計できます。
私たちエスエイアシストは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、扱いが難しい「お困り物件」のご相談を数多くサポートしてきました。
「どこに相談すればいいか分からない」「家族に迷惑をかけたくない」と感じている方こそ、ひとりで抱え込まず、まずは現状をお聞かせください。お客様の状況やご希望を踏まえ、無理のない出口プランを一緒に考えます。お困りの物件でお悩みの方は、ぜひエスエイアシストまでご相談ください。
【参考エビデンス・出典】
・代位弁済や求償権、連帯保証の法的根拠
保証会社が債務者に代わって弁済し、求償権を取得する仕組み(民法第499条・第501条)や、連帯保証人の責任の根拠となる条文です。本文の代位弁済の定義と、連帯保証人への請求に関する記述を裏づけます。
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
・フラット35の保証の仕組みや返済困難時の対応
返済継続が困難な場合に、住宅金融支援機構が任意売却による残債務の圧縮を案内する旨を示す公式ページです。本文のフラット35の扱いに関する記述の根拠です。
URL:https://www.flat35.com/user/baikyaku/index.html
・競売の現況調査〜入札〜開札の流れ
競売の申立てから現況調査、期間入札、開札に至る手続きの流れを示す裁判所の公式案内です。本文の競売スケジュールに関する記述の根拠です。
URL:https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section21/kaiuketetuzuki_fudousan/index.html
・任意売却のメリット・返済困難時の特例
返済が困難な場合の特例や、任意売却による残債務の圧縮の検討を案内する公式ページです。本文の任意売却のメリットに関する記述を裏付けます。
URL:https://www.jhf.go.jp/hensai/hensai/komatta.html
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