離婚時の財産分与と住宅ローン完済への出口戦略!最初にやるべき4つのこと

独自のノウハウにより、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、他の不動産会社では取り扱いづらい「お困り物件」を解決に導いてきた、不動産・用地開発のスペシャリスト・株式会社エスエイアシストがお届けする「お困り物件コラム」。第156回目は「離婚時の財産分与と住宅ローン」です。

「離婚が決まったけど、家のローンはどうすればいいのだろう」と悩んでいませんか?実は、同じ状況で立ち止まっている人は少なくありません。2024年の離婚件数は185,904組にのぼり(厚生労働省データ)、住宅ローンが残る家を抱える(元)夫婦の多くが「名義変更できない」「連帯保証人から外れられない」「売れない」という3つの壁に直面し、財産分与との間で悩んでいます。なかでも40〜60代での離婚では、住宅ローンの問題が老後の生活設計に直結します。長年住み続けた家への愛着と、複雑な法的・金融上のリスクが絡み合うなかで、「何から手をつければいいかわからない」という声が後を絶ちません。

結論から言えば、離婚時における財産分与や住宅ローン完済に向けた問題は、「アンダーローンかオーバーローンか」「不動産をどうやって手放すのか」という2軸で整理することで、取るべき行動が見えてきます。

今回の記事では、融資契約の3つの壁やリスクが生まれる仕組み、行動を起こす前に最初にやるべきこと、状況に応じた具体的な出口戦略までをわかりやすく解説します。読み終えれば、今の自分に合った選択肢と、最初に動くべき一歩が見えてくるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。

お困り物件買取事業

離婚時の財産分与と住宅ローンの前提知識

はじめに、住宅ローンが絡む離婚では、「財産分与と住宅ローン」を正しく理解することが大切です。

①財産分与は婚姻中に築いた財産を分け合う制度である
まず、財産分与とは「婚姻中に夫婦が協力して形成した財産を、離婚時に清算し分け合う制度」です。預貯金、株や債券といった有価証券、不動産などが対象になります。分け方は原則として「2分の1ずつ(原則等しい)」ですが、2024年の民法改正(民法第768条改正)により、「婚姻期間」やそれぞれの「寄与の程度」「収入」「年齢」「心身の状況」のほかに、「財産の額」「生活水準」「協力及び扶助の状況」など、一切の事情を総合的に考慮して定める基準が明文化されました。「必ず半々になる」とされないため、個別の事情を踏まえた確認が重要です。

なお、負債(マイナスの財産)があれば、預貯金などのプラスの財産と差し引き(相殺)して分け合います。

②「アンダーローン」か「オーバーローン」かで解決策が変わる
住宅ローンが残っている場合、財産として不動産を評価するためには、「不動産の時価(実際に売却できる額)− 住宅ローン残債 = 純資産額」の計算式を使います。実際の売却が未定であっても、計算上の純資産額がプラスかマイナスかによって、解決の選択肢が大きく変わります。

この純資産額がプラスの状態を「アンダーローン」(時価がローン残高を上回る状態)と呼びます。売却代金でローンを完済し、手元に残った金額が共有財産として財産分与の対象になります。これが、もっともシンプルに進めやすいケースです。

一方、純資産額がマイナスの状態を「オーバーローン」(ローン残高が時価を上回る状態)と呼びます。オーバーローンの場合、不動産自体は例外的に無価値(ゼロ)とみなされ、財産分与の対象外として扱われることが多くなります。ただし、先述の通り、他に預貯金などのプラスの財産がある場合は、そのプラスの財産からオーバーローンのマイナス分を差し引いた全体の残額を考慮して分け合うケースもあります。

これらの考え方は、離婚後の生活に大きく影響するため極めて重要です。

離婚時も住宅ローンの契約変更が認められない3つの壁

たとえ財産分与の方針が固まっても、住宅ローンには別の壁が立ちはだかります。銀行という組織は契約の履行を何よりも優先する存在であり、夫婦間の「話し合い」は何の効力も持ちません。金融機関との契約関係は、夫婦間の合意だけでは変えられないからです。

①銀行は夫婦間での口約束による名義変更を認めない
まず、住宅ローンの名義変更には、金融機関の承諾が必要です。しかし、銀行にとって「離婚」は名義変更を認める理由にはなりません。名義変更の実態は、相手方が新たに住宅ローンを借り直すことと同義だからです。
収入が少ない、または安定しない配偶者への変更を希望するケースでは、新規融資として厳しい審査基準が適用され、ほぼ否認されます。離婚前に夫婦間で「相手がローンを引き受ける」と口約束しても、銀行の同意がなければ法的な効力はありません。

②無断での登記変更は即時一括返済を招くリスクがある
ただ、金融機関の承諾なしに「登記上の所有者だけを変える」ことは、ローン契約の違反に当たります。発覚した場合、ローン残金の即時一括返済を求められるリスクがあります。
「離婚協議書に書いたから大丈夫」という理屈は金融機関には一切通用しません。そのため、夫婦間だけの安易な取り決めが、かえって深刻な事態を招くことになりかねません。

③離婚後も連帯保証人の責任は続く
さらに、戸籍上の離婚と、銀行との契約上の連帯保証責任は、まったく別の話です。離婚届を提出した後も、連帯保証人としての立場は自動的には外れません。
例えば、あなたが連帯保証人のまま家を出たとして、元配偶者が家に住み続けたとします。その後にローンを滞納すれば、金融機関はあなたに同額の返済を請求できます。

「金融機関との契約関係は離婚後も継続する」、この事実は理解しておかなくてはなりません。

離婚後も住宅ローンの問題を先延ばしにした場合の損失とは?

とはいえ、「とりあえず様子を見よう」と先延ばしにするほど、経済的な損失は膨らんでいきます。時間は不動産にとって最大の敵です。建物の価値は確実に下がり続け、維持コストは増大します。

①修繕タイミングでの負担者についてトラブルが再燃するリスク
特に築年数が経過した住宅において、いつかは屋根や外壁、給湯設備など大規模な修繕が必要になるタイミングが訪れます。離婚後に一方が住み続けていたとして、発生した高額な修繕費を誰が負担するかをめぐり、トラブルが再燃するケースは少なくありません。家を保有し続けることは、修繕リスクも持ち続けることになります。

②定年後の老後資金不足と返済不能リスク
つぎに、「退職金が入ったらローンを一括返済しよう」と計画していた方が、離婚によってその前提が崩れるケースがあります。定年後に収入が減った状態でローンだけが残れば、返済が立ち行かなくなるリスクが高まります。経年による建物の価値下落によって負債が長引けば、貴重な老後資金を食いつぶすことにもなりかねません。

③放置した結果の競売での売却価格の下落リスク
そして、オーバーローンの状態で支払いが滞っているにも関わらず、(後述する) 任意売却を選ばずに放置した結果、競売(裁判所の手続きによる強制的な売却)に至ることがあります。その落札価格は、一般的に市場価格の7割程度になることが多いとされ、大きな経済的損失につながります。

なお、財産分与の請求期限は令和8年4月1日以降の離婚について、従来の2年から5年に延長されました(2024年民法改正・裁判所)。ただし、令和8年4月1日より前に離婚した場合は従来の2年が適用されることになります。猶予が増えたように見えますが、先延ばしにするほど建物の価値は下がり続け、修繕費はかさむ一方です。

財産分与で不動産を動かす際の税金の落とし穴

ここでは出口戦略を選ぶ前に、税金の落とし穴というべき一点について、確認しておきたいことがあります。それは、財産分与に伴って不動産を動かす場合、税金の観点からも整理が必要であり、タイミングや方法を誤ると数百万円単位の損失を招くことがあることです。

①財産分与においては「渡した側」に譲渡所得税がかかる
盲点として、財産分与において不動産を相手に渡す行為は、税法上「譲渡(売却)」とみなされます。渡した(与えた)側に税金がかかるんです。もし購入時より価値が上がっていた場合、譲渡所得税(不動産の売却益にかかる税金)が発生することがあるので、注意が必要です。そのため、感情的な合意で手続きを急がず、税金の影響を事前に確認することが大切です(国税庁 No.3114参照)。

②財産分与の時期を誤ると3,000万円特別控除が受けられなくなる
通常、マイホームを売却した際の売却益には、所有期間の長短に関係なく「居住用財産の3,000万円特別控除」が受けられます。ただし、見落としやすい重要な注意点が二つあります。

一つ目は、配偶者等への譲渡では適用が認められない点です。「離婚届を出す前」に家の名義を配偶者に渡そうとすると、本来払う必要のない高額な税金が発生するリスクがあります。必ず「離婚成立後」に第三者(この場合、元配偶者を想定)への売却や譲渡の手続きを行うことが実務上の鉄則です。

二つ目は期限です。住まなくなってから「3年目の年末」までに売却しなければ、この特例が受けられなくなります。先延ばしにしている間に期限を過ぎてしまうケースも珍しくありません(国税庁 No.3302参照)。

③住宅ローン控除の適用可否も確認が必要である
さらに、離婚後も自宅に住み続ける場合、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の継続適用には一定の要件があります。名義や居住状況が変わることで、控除が受けられなくなるケースもあるため、こちらも事前の確認が必要です。

税金は「後から知った…」では取り返しがつかないことも多いです。財産分与の話し合いと並行して、税務署または税理士への確認を進めることが重要です。

離婚時の不動産売却に向けて最初にやるべき4つのこと

では、最初にどう動けば良いのか?具体的な手順を4つに分けて解説します。

①不動産の「今の価値」を査定で確認する
最初にすべきことは、今住んでいる(あるいは所有している)不動産が、現在いくらで売れるかを把握することです。固定資産税の評価額や購入時の価格は、現在の市場価格とは異なります。不動産仲介業者や買取業者に査定を依頼することで、実際に売却できる額(時価)の目安が得られます。査定自体は無料で受けられることがほとんどです。

②不動産の所有名義と住宅ローンの契約状況を確認する
つぎに、売却価格の把握と併せて「権利と義務」を正確に把握することが重要です。法務局で「登記事項証明書」を取得して、不動産の所有名義がどうなっているかを確認し、同時に住宅ローンの契約書で「誰が名義人か」「連帯保証人や連帯債務者になっていないか」を必ず確認してください。

③金融機関に連絡してローン残債を確認する
加えて、住宅ローンの残高(残債)を正確に把握します。毎月の返済明細や年1回送付される「残高証明書」で確認できるほか、金融機関に直接問い合わせることでも教えてもらえます。査定を通じて得た時価の想定と残債を照らし合わせることで、アンダーローン(時価>残債)かオーバーローン(残債>時価)かが明確になります。この判断が、次に選ぶ選択肢を決定づけます。

④状況に応じた相談先に早めにコンタクトを取る
アンダーローンかオーバーローンかが分かったら、それぞれの状況に合った専門家へ相談します。財産分与の取り決めには弁護士または司法書士、税金の確認には税理士、売却方法の検討には不動産業者が窓口になります。どこに相談すればよいか迷う場合は、不動産業者への相談から始めると、売却方法と並行して他の専門家を紹介してもらえるケースもあります。

「状況の把握」と「相談」を早めに動かすことが、選択肢を広く保つことにつながります。ここまで進めることができれば、少しずつ将来への見通しが見えてくるハズです。

離婚時の財産分与や住宅ローン完済に向けた選択肢

このように行き詰まっているように見える状況でも、出口は必ずあります。大切なのは、財産分与や住宅ローンの完済に向けて、自身の状況に合った選択肢を選ぶことです。代表的な3つの方法を整理します。

①アンダーローンなら仲介売却を検討する
まず、不動産仲介業者に依頼して一般的な不動産市場で売る方法です。市場相場の価格での売却が期待でき、手元に残る金額を最大化できます。手残りがあるため、シンプルな財産分与が可能になります。
ただし、成約まで3〜6ヶ月かかることも多く、その間もローンの利息や固定資産税が発生し続けます。離婚による緊急性が高い場合は、期間の長さが精神的な負担になる点も考慮しなくてはなりません。

②オーバーローンでも任意売却によって市場価格に近い額で処分する
つぎに、たとえオーバーローン状態でも、金融機関の同意を得ることで市場価格に近い額での売却が可能になる「任意売却」です。競売と比べて手元に残る金額が大きく、交渉次第で引越し費用を確保できる場合もあります。また、売却後に残った残債についても、無理のない範囲での分割返済を相談できるケースがあります。
ただし、金融機関の合意が必須であり、必ず承諾されるとは限りませんし、買い手がつかなければ成立せず、信用情報に一定期間登録されるほか、売却後も残債の返済義務は残ります。

任意売却はすべてを解決する方法ではありませんが、競売による資産毀損(きそん)を避けながら前に進む現実的な選択肢です。

③スピードと確実性を最優先したい場合は不動産買取を利用する
さいごに、不動産業者が直接買い取る方法です。一般に、不動産仲介に比べて売却価格が低くなることには留意が必要です。なお、買取はアンダーローンが原則(状況や一部業者により対応可)となります。それでも、最短数日で現金化でき、ローン利息の垂れ流しを即座に止めることができます。何より、早期に関係性が悪くなってしまった(元)配偶者との縁を切ることも大きいかもしれません。

そして買取には、仲介にはない5つの大きな付加価値があります。
・早期に損失回避して生活再建に進めることができる
・残地物等の整理不要で手間がかからない
・不動産売却の事実を近隣に知られにくい
・契約不適合責任(契約内容との相違に対する売主責任)の免責できる可能性がある
・問題のあるお困り物件でも確実な取引ができる

状況によって、抵当権(金融機関が不動産を担保にする権利)の抹消にはローンの完済が必要となるため、任意売却の手続きを経るか、不足分を別途補填する必要があります。事前に買取業者や金融機関に確認しながら進めてください。

状況に合った方法が見えてきたら、もしくはまだ現状の把握が難しく感じている場合でも、まずは専門家への相談をしましょう。

まとめ

今回の記事では、離婚時における財産分与や住宅ローンの3つの問題とリスク、状況に応じた具体的な出口戦略までをわかりやすく解説してきました。

はじめに、住宅ローンが絡む離婚では、「財産分与と住宅ローン」を正しく理解することが大切です。
①財産分与は婚姻中に築いた財産を分け合う制度である
②「アンダーローン」か「オーバーローン」かで解決策が変わる

この純資産額がプラスの状態の「アンダーローン」が財産分与をもっともシンプルに進めやすく、一方で純資産額がマイナスの状態を「オーバーローン」といい、不動産売却にしても財産分与にしても制限があります。

たとえ財産分与の方針が固まっても、住宅ローンには別の壁があります。
①銀行は夫婦間での口約束による名義変更を認めない
②無断での登記変更は即時一括返済を招くリスクがある
③離婚後も連帯保証人の責任は続く

「金融機関との契約関係は離婚後も継続する」ことから、先延ばしにするほど、経済的な損失は膨らんでいきます。
①修繕タイミングでの負担者についてトラブルが再燃するリスク
②定年後の老後資金不足と返済不能リスク
③放置した結果の競売での売却価格の下落リスク

なお、財産分与の請求期限は令和8年4月1日以降の離婚について、従来の2年から5年に延長されましたが、先延ばしにするほど建物の価値は下がり続け、修繕費はかさむ一方です。

また、財産分与に伴って不動産を動かす場合、税金の観点からも整理が必要です。
①財産分与においては「渡した側」に譲渡所得税がかかる
②財産分与の時期を誤ると3,000万円特別控除が受けられなくなる
③住宅ローン控除の適用可否も確認が必要である

では、具体的にどう動けば良いのでしょうか?
①不動産の「今の価値」を査定で確認する
②不動産の所有名義と住宅ローンの契約状況を確認する
③金融機関に連絡してローン残債を確認する
④状況に応じた相談先に早めにコンタクトを取る

大切なのは、自身の状況に合った選択肢を選ぶことです。
①アンダーローンなら仲介売却を検討する
②オーバーローンでも任意売却によって市場価格に近い額で処分する
③スピードと確実性を最優先したい場合は不動産買取を利用する

そして買取には、仲介にはない5つの大きな付加価値があります。
・早期に生活再建
・手間がかからない
・近隣に知られにくい
・契約不適合責任の免責ができる可能性がある
・確実な取引ができる

判断に迷う場合は、まずは電話相談だけでも、ぜひ弊社にご連絡ください。

私たちエスエイアシストは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、扱いが難しい「お困り物件」のご相談を数多くサポートしてきました。
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【参考エビデンス・出典】

・令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況(厚生労働省)
「2024年の離婚件数185,904組」の根拠。厚生労働省が毎年公表する人口動態統計の確定数。出生・死亡・婚姻・離婚件数の推移を網羅した一次資料であり、本記事における離婚の実態を示す数値の直接的な出典です。
URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/index.html

・財産分与請求調停(裁判所)
「財産分与の請求期限が令和8年4月1日以降の離婚について従来の2年から5年に延長」の根拠。令和6年民法改正(民法第768条)の内容を案内する裁判所の公式ページ。改正前後の期限の違いと調停手続きの概要が解説されています。
URL:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_04/index.html

・No.3302 マイホームを売ったときの特例 / No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき(国税庁)
No.3302は「居住用財産の3,000万円特別控除」の適用要件として、配偶者等への譲渡では控除が認められないこと・住まなくなってから3年目の年末までに売却するという期限を規定しています。No.3114は、財産分与による不動産の移転が税法上「譲渡」とみなされ、渡した側に譲渡所得税が課される可能性を解説しています。
URL(No.3302):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
URL(No.3114):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3114.htm

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