
独自のノウハウにより、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、他の不動産会社では取り扱いづらい「お困り物件」を解決に導いてきた、不動産・用地開発のスペシャリスト・株式会社エスエイアシストがお届けする「お困り物件コラム」。第155回目は「店舗付き住宅」についてです。
「1階がお団子屋で、2階が僕らの部屋だった。あの頃は活気があったけれど……」「親が亡くなってから、シャッターを下ろしたままもう5年。固定資産税だけが引き落とされていく」
昭和の時代、街道沿いや駅前商店街に数多く建てられた「店舗付き住宅(店舗兼住宅)」。職住一体の便利な建物として当時は重宝されましたが、現代の「実家じまい」においては、対応が難しい物件のひとつとなっているようです。
相続されたお子様世代にとって、この建物は「広すぎて管理が大変」「解体も容易ではない」「買い手が見つかりにくい」といった、いくつもの課題を抱える存在になりがちです。なぜ、地方の店舗付き住宅はこれほどまでに売却が難しいと言われるのでしょうか。そして、どうすればこの状況を前向きに進めていけるのか、その実態と検討すべき選択肢について解説します。ぜひ最後までお付き合いくださいね。
理由1:住宅ローンという「資金調達」の壁
店舗付き住宅の売却が難航しやすい大きな理由は、買い手にとっての「お金の借りづらさ」にあると考えられます。
一般の方が中古住宅を購入する際、多くの方が利用されるのが「住宅ローン」です。住宅ローンは、ご自身やご家族が住むための家を支援する仕組みとして、比較的低い金利で長期の返済が可能な特別なローンです。
しかし、店舗付き住宅の場合、この住宅ローンが適用されないケースが少なくありません。
・「半分以上」のルール
多くの金融機関では、建物の総面積に対して「居住部分の割合が50%以上」であることを住宅ローンの条件としています。1階の店舗部分が一定以上の広さを持つと、「商売用の物件」とみなされてしまうのです。
・資金計画のハードル
住宅ローンが使えない場合、買い手の方は金利が高めの「事業用ローン」を検討するか、多額の自己資金を用意しなければなりません。地方の古い店舗物件に対して、それほどのリスクを負って購入を決断できる方は、どうしても限られてしまうのが実情です。
理由2:改装に多額の費用がかかりやすい
次に、建物の構造そのものが現代のライフスタイルと合いにくいという点も挙げられます。
今の買い手の方が求めているのは、「断熱性が高く、使い勝手の良い居住空間」であることが一般的です。しかし、昭和に建てられた店舗付き住宅には以下のような特徴が見られます。
・特殊な造り
業務用厨房や広い土間、重厚なシャッターなど、店舗としての造りがしっかりしているほど、それを「普通の住居」へとリフォーム(コンバージョン)するための工事費は膨らみがちです。場合によっては、新築を建てるのに近い費用がかかることもあります。
・残置物の片付け
店内に残された大型冷蔵庫やショーケース、調理器具などは、家庭ゴミとして処分することが難しく、専門業者に依頼するだけで相応の費用が発生します。
「リフォームして住もう」と考えて内見に来られた方も、こうした見積もりを見て、検討を断念してしまうケースが少なくないようです。
理由3:解体か維持か。所有者を悩ませる税制の仕組
「建物としての活用が難しいなら、更地にして土地として売ればいい」という考えもありますが、地方においてはそれもまた、一筋縄ではいかない事情があります。
解体費用の負担
店舗付き住宅は、通常の木造住宅よりも頑丈に作られていることが多く(鉄骨造など)、解体費用が想像以上に膨らむことがあります。また、古い建物にはアスベストが含まれている可能性もあり、その除去費用を含めると、負担はさらに重くなります。
固定資産税の変動
ここが大きな悩みどころです。建物を壊して更地にした瞬間、土地にかかる固定資産税の優遇措置(住宅用地の特例)が受けられなくなります。翌年から土地の税負担が大きく増えてしまう可能性があるため、「壊したものの、土地もすぐには売れない」という状況を懸念し、手を出せずにいる所有者の方も多いようです。
放置された店舗付き住宅が抱える懸念
なかなか方針が決まらないからといってそのままにしておくことは、所有者の方だけでなく、地域にとってもいくつかの課題を生むことになります。
管理状況への視線
空家等対策特別措置法の改正などもあり、管理が不十分な空き家に対する自治体の対応は年々厳しくなっています。シャッターの錆びつきや看板の劣化が進むと、近隣への安全性の観点から行政指導の対象となることもあります。放置が続けば、税金の減免措置が受けられなくなるなどのリスクも否定できません。
心理的な葛藤
「親が大切にしてきた店を、自分の代で壊してしまってもいいのだろうか」という思いは、多くの方が抱かれる感情です。しかし、建物は人が住まなくなると傷みが進みやすいものです。かつての活気が思い出として鮮やかなうちに、次の方へ託したり、新しい形へ整えたりすることこそが、その家に対するひとつの敬意の表し方と言えるかもしれません。
解決へのヒント:専門家による「直接買取」という選択肢
地方の店舗付き住宅を一般の市場で「住居」として売却しようとするのは、時間の面でも労力の面でも、大きな負担になることがあります。そこで、ひとつの有力な選択肢となるのが、事業用物件や少し事情のある物件を扱う「専門の買取会社」への相談です。
【専門買取ならではのメリット】
・資金調達の心配がない
専門会社は自社資金で買い取りを行うため、銀行の住宅ローン審査の結果を待つ必要がありません。
・そのままの状態で引き渡しが可能
店内の機材や在庫、多くの残置物がある状態でも、そのまま引き受けてもらえるケースがほとんどです。所有者の方が片付けに奔走する必要はありません。
・再活用のノウハウ
専門家は建物を壊すだけでなく、リノベーションして賃貸店舗にしたり、倉庫や福祉施設として転用したりするなど、その土地や建物に合った再生ルートを熟知しています。
まとめ
地方の店舗付き住宅は、地域の発展を支えてきた大切な財産です。しかし、今の生活においてそれが「重荷」に感じられているのであれば、将来を見据えて新しい一歩を踏み出す時期なのかもしれません。
私たちエスエイアシストは、入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可物件など、扱いが難しい「お困り物件」のご相談を数多くサポートしてきました。「仲介会社に依頼しているけれど、なかなか進展がない」「お店の片付けをどこから手をつけていいかわからないと感じている方こそ、ひとりで抱え込まず、まずは現状をお聞かせください。お客様の状況やご希望を踏まえ、無理のない出口プランを一緒に考えます。お困りの物件でお悩みの方は、ぜひエスエイアシストまでご相談ください。
【参考エビデンス・出典】
・国土交通省:空家等対策の推進に関する特別措置法
https://www.mlit.go.jp/jutaku_fr/akiya_000001.html
・住宅金融支援機構:店舗併用住宅の融資基準について
https://www.jhf.go.jp/
・総務省:空き家対策に関する実態調査(地方の商業併用住宅)
https://www.soumu.go.jp/
・国土交通省:住宅用地に係る固定資産税の課税標準の特例措置
https://www.mlit.go.jp/jutaku_fr/tatemono_000001.html



