
独自のノウハウにより入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、他の不動産会社が取り扱いづらい“お困り物件”を解決に導いてきた不動産・用地開発のスペシャリスト、株式会社エスエイアシストがお届けする“お困り物件”コラム、第107回目は「不整形地が売れない理由」です。
「相続した土地、歪な形で活用方法が分からない…」「土地を売りたいのに、不動産仲介業者に断られてしまった…」そんなふうに所有する土地を持て余していませんか?不整形地は、建物の建てづらさや法律上の制限、ローンの通りにくさなどが理由で、整形地と比べて売却が難しいことがあります。ただ、不整形地でも工夫次第で価値を見出し、スムーズに売却する対策があります。
今回の記事では、不整形地が「売れない」と言われる5つの理由とその対策をわかりやすく解説するとともに、どうしても難しい場合に現況のまま売却する方法までをご紹介します。最後まで読んでもらえれば、不整形地を「持て余した負担」ではなく、「活かせる資産」に変えるヒントがきっと見つかるハズ!
不整形地とは?不動産が「負動産」になる前に!

「不整形地」とは、「整形地(土地の四隅が直角に近く、全体的に整った正方形や長方形)と違い形がいびつな土地や、傾斜地などの高低差のある土地」のことを指します。建物を建てにくかったり、敷地にデッドスペースがあったりするため、売却も活用も難しいとされます。
例えば、以下のような土地形状が該当します。
・旗竿地:間口の狭い細い通路の奥に、建物の建つ空間のある
・いびつな形:三角形や台形など、デッドスペースができやすい
・L字やコの字型:効率的な間取りが取りづらく、活用の自由度が大きく制限される
・傾斜地:土地そのものに傾斜があり、造成工事が必要で費用がかさみやすい
・崖地:敷地内に30度以上の崖があり、災害リスクが高く、建築可能な部分が限られる
こうした土地は、利用や売却がしづらく「負動産」と呼ばれることもあります。
特に問題になるのが、「相続などで手にしたものの、活用できず何年も放置している…」といったケースです。手をつけられないまま固定資産税を支払い続けたり、近隣から草木やゴミの苦情が入ったりと、放置しているだけでリスクが積み重なっていきます。
そういった意味では、不動産が「負動産」になる前に、問題解決するための必要な行動をしなくてはならないんですね…。
整形地とは何が違う?不整形地が売れない5つの理由!
そんな不整形地がなぜ売れにくいのか。「整形地」なら、土地の形が整っていて隅々まで無駄のない建築プランが立てやすく、住宅としての使い勝手が良いため人気があります。
一方で不整形地は、例え整形地と同じ立地条件だったとしても、その扱いづらさから「難あり」と判断されるため、買主がつきにくい傾向があります。具体的には、以下のような「売れない理由」が5つあります。
①建物が建てづらい
まず、不整形地は建物の配置や間取りに制限が出やすいです。たとえば、隅にある「鋭角の部分がどうしても使いづらい」といった問題が生まれます。それによって、独自の間取りにするために設計コストが上がる上、思い通りの間取りにならない、ということになります。
また、旗竿地では「家の前に細長い通路」が必要になり、実際に建てられる建物のスペースが減ってしまったり、敷地の奥に重機が入れないことで、工事コストが上がる傾向があります。
②採光や通風が確保しづらい
つぎに、都心部の土地は、その需要の高さや相続、区画整理などによって、限られた敷地を無理にでも細かく分割されてきた経緯があります。それによって増えた不整形地は、住宅などの建物が密集するケースが多く、採光や通風が確保しづらい特徴があります。
特に住宅購入を考える人にとって、「明るくて風通しがよい住まい」は大きな魅力の一つ。不整形地ではその条件を満たしにくくなるため、「見に来てもらったけど決まらない」ということも起こりやすくなります。
③法律上の制限がある
そして建築基準法では、「原則として家を建てるには幅4メートル以上の前面道路に2メートル以上接している必要がある」という接道義務があります。しかし、いびつに切り取られた不整形地では、この接道条件を満たさないこともあります。また、崖地では災害リスクの観点から厳しい建築制限があることも。
これらにより、いわゆる「再建築不可物件」に土地が該当する場合、家が新しく建てられないため、資産価値は大幅に下がってしまいます。こうなると、金融機関としても土地に担保価値がないので、買主さんが住宅ローンを使えないことになり、「買いたい人はいるのに売れない」という事態も起きます。
④隣地との境界線が不明瞭
さらに、古くからある土地や相続で得た土地では、隣地との境界線が不明瞭、曖昧で正確に分からないケースがあります。これは、いびつで凸凹とした不整形地であれば顕著です。
たとえば、「昔、勝手に塀を立てていた」「境界杭(くい)が抜けてしまった」ということもあれば、「隣地の越境物がこちらにはみ出している…」こともあります。隣地トラブルとなる恐れもある状態なので、買主さんが不安に感じ購入を見送る原因にもなりかねません。
⑤住宅ローンが通りにくい
先にも少し触れましたが、再建築不可物件のような法律上の制限がなかったとしても、不整形地は資産評価が低くなりがちです。これは、金融機関が「担保としての価値が低い」と判断することに直結します。
銀行の審査で「この土地では担保不足なのでローンが通りません」と言われれば、現金で購入できる買主さんしか売却先の対象にならず、売れる可能性が一気に狭まってしまいます。実際、不整形地の物件を内見した人が「気に入ったけれどローンが通らなかった」と断念するケースも少なくありません。
土地の評価が低くなるのは当然!利用価値に応じた補正とは?
ということで、不整形地が売れにくいのは「見た目」や「形状」の問題だけではなく、建築・法律・資金調達などさまざまな要素から、「土地の価値が低くなるのは当然!」と見られます。それは、土地の評価基準の在り方からも見て取れることなのかも…?
一般に土地の評価というのは下記のような基準があり、それぞれ異なる特徴があります。
・実勢価格:不動産市場の需要と供給によって決まる現実的な価格
・地価公示価格:国土交通省が毎年公表する標準的な地点の価格で、指標にもなる
・路線価:国税庁が毎年発表する道路沿いごとの価格で、税計算に用いられる
・固定資産税評価額:市区町村が課税のために算出する価格
そんな中で、不整形地を評価する際に考慮するのが、以下の3つの「補正」です。
①不整形地補正
ひとつに、形がいびつな不整形地では、建物の設計や配置に制約が生じるため、その分だけ価値を減らして評価されます。これを「不整形地補正」と呼び、いびつな土地を整形地として囲った土地があるとして(「かげ地」という)、その割合を算出し、国税庁が公表する「不整形地補正率表」から導きだします。
これによって不整形地の評価額は、整形地と比べて0.7倍〜0.9倍程度に下がることが多いです。
②奥行き補正
つぎに、土地の奥行きが長すぎる、あるいは短すぎる場合、使い勝手が悪くなるため、この点も評価を下げる理由になります。それを調整する「奥行き補正」とは、路線価地域ごとに不整形地の奥行き距離や地区区分によって、補正率表で定められています。
たとえば、細長い土地で建物を建てようとすると、生活動線が不便だったりして暮らしの質が悪くなるため、需要が落ちると判断されるのです。
③がけ地補正
そして、敷地内に急な斜面の崖地が含まれる場合、「がけ地補正」として評価額が下がることがあります。これは、安全性の面で建築制限がかかる可能性があり、実質的な利用面積が減ってしまうことも大きな要因となるためです。崖地の面積割合や傾斜度合いによって決まります。
いずれも、税務評価(相続税や固定資産税)や売却価格の算出時に使われる要素であり、「不整形地=安く評価される」という現実的な根拠になっています。言い換えれば整形地に比べて不整形地の価値が、著しく低いと判断されているということ。
当然ですが、一般市場では人気のない土地であり、不動産売却時には買い手さんを探すのは困難であると言わざるを得ません。
不整形地という難しい土地でも価値を見出す対策とは?

では、不整形地は諦めるしかないのでしょうか?単純にそんなことはありません。以下の対策を取ることで、不整形地という難しい土地でも価値を見出すことはできるかもしれません!
①分筆して整形化する
はじめに、土地を分ける「分筆(ぶんぴつ)」して整形化する方法です。不整形地の中でも比較的広い土地に向いていて、形の良い部分だけを切り出して、整形地として売却することで、購入希望者の関心を得やすくします。
ただし、注意点があり、分筆後に残った土地の使い道や固定資産税の負担、さらには再建築性の有無なども考慮しなければなりません。
②隣地所有者に等価交換や買い取りを持ちかける
つぎに、自地の一部と隣地の一部の等価交換や買い取りを持ちかけることで、双方の土地形状が改善される場合もあります。交渉によって協力関係を築ければ、お互いの土地の資産価値が向上する有効な対策となります。
特に、都心部の土地を整形地に近づけることで、思いがけず高値で売却できることもあり得ます。
③傾斜地・崖地は造成や擁壁工事を適切に行い売却する
不整形地の中でも、特に売却が難しいとされるのが傾斜地や崖地です。建築にリスクが伴い敬遠されがちな土地でも、造成や擁壁(ようへき)工事を行うことで、安全性を確保し、建築可能な土地として見直されることがあります。
もちろん、工事には数百万円単位の費用がかかることになりますが、「工事によっていくら価値が上がるか?」を事前に判断し、費用対効果が見合うと考えられるなら選択できます。
④隣地の一部を購入する(接道義務を果たす)
続いて、旗竿地や道路に接していない袋地などに有効なのが、隣地の一部を購入して接道義務をクリアするという方法です。建築基準法において、建物を新しく建てるためには接道義務を果たさなくてはなりません。
もし、「あと50cmあれば接道義務を満たせる」という場合があれば、隣地から少しだけ土地を買い取ることで、大きな資産価値の差が生まれることもあります。
⑤活用プランを提示して仲介で売却する
さいごに、買い手さんが見つかりづらい不整形地でも、「こうすれば活用できます!」という具体的な活用プランを提示できるなら、仲介でも売却することは可能です。
先述の通り、都心に多いとされる不整形地。立地や周辺環境の利便性、傾斜地や崖地の眺望の良さ、小規模店舗に向いているなど、具体的にアピールできれば、不動産仲介によって思わぬ売却チャンスにつながるかもしれません。
対策が難しいなら買取で現況のまま売却する!
ここまで解説した対策が「実行できない!」、あるいは「面倒だし費用もかかりすぎる」と感じる場合、不動産買取業者さんに「現況のまま」売却するという選択肢もあります。
もちろん、時間と手間を惜しまず仲介によって売却活動することで、不整形地をより市場相場に近い価格で売却できるのが理想かと思います。買い取りをする業者さんは付加価値をつけて再販して利益を上げなくてはならないためです。どうしても、仲介売却よりも低い価格になるでしょう。
それでも以下のような具体的なメリットがあります。
①一般不動産市場では難しい土地でも買い取ってもらえる
たとえ一般不動産市場では難しい旗竿地や崖地、再建築不可物件といった不整形地でも、不動産買取業者さんはこれまでの実績とノウハウを活かして、再活用の方法を持っています。いわば「買い手がいない土地」の専門家です。
②古家付きでもリフォームや解体不要
もしも、価値のない古家付きでもリフォームや解体不要でOK。建物が老朽化していても、自費で解体や整地が必要だったとしても、そのままの状態で買い取ってもらえるのが大きな魅力です。契約不適合責任(物件が契約書通りではない時の責任)は免責になることも多く、解体費用や残置物の片付けの手間をも気にせずに済みます。
③法的問題があっても相談可能
ときに、接道義務が満たされていない、境界線が不明確、越境問題がある…など、こうした法的問題があっても、買取業者さんならリスクを加味した上で、対応してくれることがあります。「この状態では売れないかも…」と諦める前に、まずは相談する価値があります。
④直接取引で手間や時間がかからない
それも、仲介売却と違って不特定多数への広告や内見対応は不要。買取業者さんとの直接取引なので手間や時間、仲介手数料もかからず、売却までの手続きもスムーズで、スピード感を持って進められます。
⑤土地の現金化への見通しが立ちやすい
さらには、売却までのスケジュールが読めない仲介と異なり、買取の場合は「査定→価格提示→売買契約→現金化」までの流れが明確です。急ぎで現金が必要な場合でも、土地の現金化への見通しが立ちやすいため、安心感があります。
特に、売却までの手続きや管理に不安がある方には、「プロに任せて手放す」という判断が、精神的にも現実的にも安心です。
まとめ
今回の記事では、不整形地が「売れない」と言われる5つの理由とその対策、どうしても難しい場合に現況のまま売却する方法までをご紹介してきました。
「不整形地」とは、「整形地と違って形がいびつな土地や、傾斜地などの高低差のある土地」のことを指し、例えば旗竿地・いびつな形・L字やコの字型・傾斜地・崖地といった土地で、売却も活用も難しいとされます。 特に問題になるのが、相続などで手にしたものの放置しているケースです。そのため、リスクが積み重なり不動産が「負動産」になる前に、問題解決するための必要な行動をしなくてはなりません。
不整形地は、例え整形地と同じ立地条件だったとしても、その扱いづらさから「売れない理由」が5つあります。
①建物が建てづらい
②採光や通風が確保しづらい
③法律上の制限がある
④隣地との境界線が不明瞭
⑤住宅ローンが通りにくい
また、不整形地が売れにくいのは、建築・法律・資金調達などさまざまな要素以外にも、土地の評価基準の在り方からも見て取れることができます。
一般に土地の評価というのは、実勢価格・地価公示価格・路線価・固定資産税評価額といったものがあります。その上で、不整形地を評価する際に考慮するのが、以下の3つ。
①不整形地補正
②奥行き補正
③がけ地補正
いずれも、税務評価や売却価格の算出時に使われ、「不整形地=安く評価される」という現実的な根拠になっています。言い換えれば、整形地に比べて不整形地が著しく価値が低いと判断されているということであり、一般市場では人気がなく買い手さんを探すのは困難です。
ただ、以下の対策を取ることで、不整形地という難しい土地でも価値を見出すことはできるかもしれません!
①分筆して整形化する
②隣地所有者に等価交換や買い取りを持ちかける
③傾斜地・崖地は造成や擁壁工事を適切に行い売却する
④隣地の一部を購入する(接道義務を果たす)
⑤活用プランを提示して仲介で売却する
もし、これらの対策が実行できないと感じる場合、不動産買取業者さんに「現況のまま」売却するという選択肢もあります。
もちろん、買い取りをする業者さんは付加価値をつけて再販して利益を上げなくてはならないため、仲介売却よりも低い価格になるでしょう。
それでも以下のような具体的なメリットがあります。
①一般不動産市場では難しい土地でも買い取ってもらえる
②古家付きでもリフォームや解体不要
③法的問題があっても相談可能
④直接取引で手間や時間がかからない
⑤土地の現金化への見通しが立ちやすい
私たちエスエイアシストも不動産買取業者のひとつです。入居者がいる古いアパートや借地・底地、再建築不可など、困ってしまう“訳あり物件”のご相談を数々と解決してきた実績があります。ぜひ他社さんと比較して頂ければと思います。不整形地をお持ちで売却までの手続きや管理に不安がある方は、一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。
